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製作国
イギリス、アメリカ
監督
ダニー・ボイル
脚本
ダニー・ボイル
アレックス・ガーランド
出演者
ジョディ・カマー
アーロン・テイラー=ジョンソン
ジャック・オコンネル
アルフィー・ウィリアムズ
レイフ・ファインズ
エドヴィン・リディング
エグゼクティブプロデューサー
キリアン・マーフィ
今年公開の映画の中でもトップクラスに期待していた28年後…
あのレイジウイルスによる地獄が世界に広まり、そしてリアルでも作中でも長い時を経てついにそれが描かれる。
シリーズを改めて見直して魅力を再確認し、

備えた上で久しぶりの新作ということで無難によくあるゾンビ映画の構成に傾倒してしまっていないか心配しながらも鑑賞してきました!
目次
あらすじ
ロンドンで発生した人間を瞬時に凶暴化させるウイルスのパンデミックから28年後…
公式サイトより
感染を逃れたわずかな<人間たち>は、ウイルスが蔓延した本土から離れ、孤島に身を潜めている。
対岸の本土にいる感染者から身を守るため、島の人々は見張り台を建て、武器を備え、コミュニティの中の厳しいルールに従って“安全に”生活している。そこに暮らす家族が、ある任務を実行するために島を出て本土に向かおうとしている。父親のジェイミー(アーロン・テイラー=ジョンソン)と息子のスパイク(アルフィー・ウィリアムズ)だ。
「その子にはまだ早い」と言う人々の忠告に対し、ジェイミーは「大丈夫だ」と島民を説得し、2人は頑丈な門の外に出る。本土と島をつなぐのは一本の土手道だけ。そして、島を離れて本土に行けば、誰も救助には来ない——。
美しく、緑豊かな大自然が広がる本土だが、感染者はどこに潜んでいるか分からない。弓矢を構えて森を抜ける2人の前に、変わり果てた姿の<感染者たち>が現れる。
人間の頭蓋骨が積み上げられた塔。人間が、人間ではなくなっている世界——。そんな世界で2人は、驚くべきことに感染を逃れて生きている人間=ケルソン先生(レイフ・ファインズ)に出会う。 彼は語る「感染者は進化している、もう別物だ。」と。
感想
面白え!面白えよ!
このシリーズに求めていた人間らしさ故に生まれるドラマ。
それを28年後という時間の経過によって誕生した周囲と隔絶した世界で生きることになった少年を通して見通すことで、今のこの世界を知らない観客に対してもこの変わってしまった世界への知見を与えて何を思うかを問うている。
シリーズじゃなければ出せない形のストーリー、このシリーズだからこそ出せる味が存分に出ておりましたよ。
同じ目線で見るロードムービー
皆さんはこのシリーズに求める物というのは何でしょうか?
自分はゾンビ映画という括りで見ると、人間らしさというものにフォーカスしているという部分に強く惹かれています。
人間らしい当たり前の恐怖や後悔故に最悪の事態を引き起こしたドンだったり、勇敢さを持って感染者の如く大立ち回りを見せたジムだったり、他にも正義感や使命感故にというドイルやスカーレットみたいに、ゾンビ映画でありながら人間らしさがトリガーになっているというのがたまらなく好きなのです。
それ故に久々の新作である今作が感染者に翻弄されるだけだったり、感染者相手に立ち向かうだけだったりと、自分にとって魅力に感じていた部分をスポイルされてゾンビ映画のテンプレートな楽しみだけを強めていたらどうしようと不安に感じながらも公開を迎えたわけですが…
全然そんな不安は杞憂でした
やっぱり人間がトリガー、変わり果てた世界で見せる新たな人間らしさにフォーカスしている求めていた映画でした。
今作は前作から28年後が舞台。
感染者の拡がりにより、イギリス全土のみが他国によって完全封鎖されて、残った人間は見捨てられたという世界観に変わり果てていました。

28週後…のラストに起きた他国での発生は何とか抑えたようですね。
そんな世界でこの映画で行われるのが少年の目を通して行われるロードムービー。
最初はね、この展開になるまで不安だったんですよ。
この世界になってから管理された村の中で生きてきて外を知らない12歳の少年スパイクとその父親ジェイミー。
この2人でスパイクが一人前になるために初めて“外”に出されて狩りをするという、
この展開にやっぱり人間らしい展開を捨ててエンタメ的な方向に切ってしまったんじゃないかと。
でもそんな物は何度も言いますけど、杞憂でした。
進化した感染者であるアルファとの対峙、外で見た別の生存者の焚き火、母アイラの病気、そして変わってしまった世界の“常識”
これらを経て人間らしさから始まるロードムービーはこの映画に求めていた物でした。
感染者を初めて仕留め、アルファとの接触までした上で逃げ延びて帰還したスパイクを村の人間は一人前として宴として歓迎する。
でもその様はやっぱ怖いんですよね。
感染者を仕留めたことに対する異様なくらいの熱狂、そして父の嘘と不貞など、どこか自分達が知っている普通の社会の常識からは外れている。
そして母アイラは病気なのに外で見た焚き火の主である医者の存在を黙っていたことで不信感が爆発してアイラと共にスパイクは外の医者を目指す。ここからロードムービーが始まるわけですね。
異常が正常、正常が異常になったような社会形成において、スパイクは未熟ゆえにまだそこに染まっていない。
それは当然見ている自分達の感覚に近い物なので彼を通して狂ってしまった世界観を共に学んでいけるんですよね。
ロードムービーというのは1作目である『28日後…』も思い出す構成。シリーズらしさと世界観の説明を共に行うのがニクイというか上手い。
この始まった少年のロードムービーというのは様々な形の出会いと死と生の形を知る旅路です。
途中で出会う外から来た兵士エリック、感染者が産んだ(!?)子供、分け隔てなく弔う医者のケルソン、そして何より母アイラ。
こういった様々な出会いから学ぶいくわけです。ある意味血みどろグログロジュブナイルです。
救ってくれたエリックはあっという間に死にますし、そして苦労をして連れてきた母は末期癌というこでいわゆる安楽死を迎えさせられる。
殺されるという形で終わる死もあれば、希望を持って医者に見せても愛する者とのどうしようもない避けられない死も見ることになる。
こういった死の一方で感染者の産んだ感染していない子供との出会いもあるなど、死と生が混沌と渦巻いているわけです。
そこで考えさせれるのが医者であるケルソンの姿勢で彼は弔い自体は感染者と非感染者を分け隔てなく行う。つまり差異を持っていない。
そしてこの出会いと生と死を見届けたスパイクが最後に選ぶ答えは帰ることではなく、世界を見ること。
経験によってスパイクはこの世界の常識ではなく非常識の側にいることを選ぶと。
28年前にはまだ生まれていない少年がどうしようもない環境の中で一足早く大人になる。
あまりにも一足早く訪れてしまった成長の物語だったわけですね。
この生と死で成長するからか、この映画は死を暈さなかったですね。
とにかく殺すにしても殺されるにしてもグログロ、何なら産まれるところもまぁまぁ生々しくやっているとグロさというのはこと映画においてはエンタメ的な物ではありますが、本作に関しては生命というものを重要視しているが故かなと思いましたね。
このスパイクを通じた成長と説明はロードムービーと本当に相性が良かった。そして人間らしさを見せるこのシリーズらしさが存分に感じられて、アイラとの別れではこのシリーズで初めて泣いてしまいましたね。
最後にはこの映画の冒頭で登場していた急にノリが違うやべえ奴らを引き連れているジミーと出会って終わるわけですが、この出会いが彼をこの世界の常識にまだしてしまうのか、それとも非常識でいさせるのかは気になるところですね。
とまぁかなり期待通りに応えてくれた映画ではあるんですが、エリックに関してはもう少し引っ張って欲しかったりも。
彼ははスパイク達を助けてくれた存在ではありますが、アイラが感染者が産んだ子供を庇護しようとしたら殺害しようとするところでアルファに殺されると言う役割なわけですが、これに関してはもう少しぶつかり合ってほしかった気もします。
彼の感じた感染者の産んだ子供を殺害しようとする考えは当然と言えば当然ですし、でもだからといって感染者から産まれたというだけで感染すらしていない赤ん坊を殺そうとするのは正しいのか、そこに対する議論はもっと強く深めても良かったような気がするんですよね。
この映画においてはこちらの観客側の世界の倫理観や常識こそが尊ばれる物で、映画の世界観の常識は間違っているかもしれないというメタ的な物があるんで、そこに対する審判としてアルファに殺されるという形になったんでしょうけど、それが分かっていてもキャラ的にエリックは勿体無い気持ちが強いんですよね。

もしかしたらこの世界の兵士に対してドイルの幻影を自分は追っているのかもしれない。
感染者の進化
今回大事なのは感染者の進化。
なぜ餓死するだけだったはずの感染者が28年にも渡り、君臨しているのかと言う部分ですよね。
レイジウイルスがステロイドのような役割となり、体を肥大化させ、その個体がアルファとなり、感染者の統治者となるとのこと。
これに関してはそりゃそうだよなと。
人間側に発症せずに保菌者となるに留まるアリスというイレギュラーがいるんだから、感染者側だってそらイレギュラーな進化や変化を持つ存在は出ますわなって話です。
他にも逆に適応しきれなかったのか、クッソノロマな個体やお馴染みの個体が出たりなど、ここら辺は固有名詞も含めてちょっとゲームっぽくはなってましたね。
それよりも何よりも見るべきは感染者の出産ですよね。
確かになぁ、感染者ってゾンビじゃなくて感染しただけの人間だもんなぁ、そりゃ出産もするかぁと納得しながらも、自分としては申し訳ないですがエリック側になっておおぅ…となってしまいましたね。
こういった様々な進化や変化、よく考えたらそりゃそうだという物など、今作だけで新たな感染者の形というのもしっかり情報提示されておりました。
そして本作の感染者を色々見た上で自分が言えるのは、
アルファはデカい(意味深)
これだけです。
まとめ
ここまで望み通りのシリーズ新作になるとは思ってなかったので面白くてしゃーなかったです。
この人間らしさを重視して進行するのが、この映画の特徴であり差別化点だよなと改めて再認識。
三部作ということで次回はジミーと合流したスパイクがどうなるのか、そして父ジェイミーはどうやって動くのかが楽しみです。

クレイヴン以降アーロン・テイラー=ジョンソンはかなり好きな俳優なので色んな意味で次回は活躍して欲しい。
1つの予測と期待としては次回の人間らしさの焦点は“信仰”といったところになりそう。ここら辺は日本人だとしっくりこないこともあるのでまた一抹の不安が生まれましたが、それでも今作も不安を乗り越えてくれたので次回もそれを乗り越えてくれると信じております。
とても満足する続編、最高でした。

それはそれとしてジムが出なかったな…