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こちらでは本作でのストーリー感想を語っていこうと思います。
当然ですがネタバレはありますので参考にしようと思っている方は気をつけてください。
目次
あらすじ
長き戦いの果てに
犬族の国『ランヴェルフルト王国』
猫族の国『ヒディーク共和国』両国の間で勃発した戦争は十数年にも及ぶ。
戦争はどちらの陣営も雌雄を決する決め手に欠けたため
クロステイルズ公式より
長期にわたって続き、互いの民族は記憶に刷り込まれたかのように、
意味もなく互いを憎しみ合っている。
とまぁこんな感じで二国間の戦争を描いている話となっております。
ストーリー開始時点ではこの二つの国は睨み合っているくらいで相手を刺激しないようにしている膠着状態。
そこで1つとある刺激が与えられた事で再び大きな戦争へと発展していくという流れになっております。
主人公は2人
主人公はランヴェルフルト側の軍人の男主人公フェリクスとヒディーク側のジャービー領を治める家長の娘の女主人公シャイマー。
この異なる両国出身の主人公が用意されています。
ランヴェルフルト側の主人公フェリクス編は軍人という事で職業軍人的なストーリーが展開され、
発足したばかりの小さな部隊がお姫様を助けて信頼を得て中核部隊になっていくという軍人というよりは騎士の王道なストーリーですね。
そしてヒディーク側の主人公のシャイマー編は複数の部族によって治められる共和国でその中の筆頭部族の1つの娘、つまり将来は部族の家長となる立場。
そのため国の統治の在り方、そこに新しい統治の風を吹かす存在として活躍するという、
フェリクスより責任感ある立場故のストーリーが展開されております。
ルートは各主人公2つずつ そしてプレイ時間は?
ストーリーとしては各主人公ごとに戦争ルートと真相ルート、この2つが用意されており中盤で選択肢により分岐される構成となっています。
フェリクス編では21章、シャイマー編では22章で分岐が発生します。
※注意点としては1周目は強制的に戦争ルートに分岐、2周目以降から真相ルートへと入る事が出来ます。
ルートによって加入する仲間が1人だけ変化するなどルート限定の加入キャラなどもいます。
はっきり言うと結末はそこまで変わりません。
同じような結末ですが、通る道が変化すると思えばいいと思います。
なのであのキャラの方が使いたいけど後味悪いのはなぁ…などと言った繊細な部分には配慮はされている作りですね。
とはいえ真相ルートの方が1人分犠牲は少ないのでこれをどう思うかですね。
個人的には犠牲は犠牲であってもいいんじゃないかと思っておりますが。
で、ルートごとの個人的な感想となりますが、
シャイマー編戦争ルート>>>シャイマー編真相ルート>フェリクス編真相ルート>フェリクス編戦争ルート
こんな評価ですね。
理由としてはシャイマー編の方が自発的な動きが多いので面白いというのと、
そしてそのシャイマー編で真相ルートではなく戦争ルートの方が評価が高くなるのはとある一点が物凄く大きかったからだったりします。
割とこのゲームの根幹に関わる部分が出来ていたのがこのルートだけだったのでそこがかなり加点ポイント…
というか他が減点大きすぎただけとも言えるかもしれません。
各主人公ごとの感想
ここからは各主人公ごとのざっくりとした感想を。
ちょっと辛辣なことも書いてあるのでそこら辺見たくない人はここで戻ることをオススメします。
フェリクス編
フェリクスはあまりにも職業軍人すぎましたね。
小さな小隊から始まって冒頭でいきなりお姫様を助けて個人的な信頼を得て確実に出世していくととても王道ではあるんですが、
国内情勢が比較的安定しているため、上に不満を持つ余地がなくフェリクスの主体性が少々欠けているんですよね。
一応お姫様であるエルフリーデが冒頭で狙われていた理由になる人物がいるため、
その人物の問題を片してから戦争が始まると、
冒頭から戦争に巻き込まれるシャイマー編と比べると余裕があるんですよ。
で、結局のところ一軍人でしかないため国の方針に従って従軍、しかも国は至って健全なのでその方針も問題無し。
これでは戦争という舞台においてはドラマにならないんですよね。
普通は国の方針に疑問を持ったり相手の国を知ることで何か躊躇が生まれる物だと思うのですが、こと戦争においてはフェリクスは一切国の方針に対して悩むことはありません。
だって何の問題もないんだもん。
ドラマとしてはエルフリーデとのロマンスの要素もあるにはあるんですが、
そのエルフリーデが戦争ルートだと呪いで眠らされてエンディングまで目覚めなかったり、
真相ルートだと早々に呪いは解かれるのですが、立場上フェリクスについていける訳でもないのこっちでも結局エンディングまで出番がなかったりと、
護られ系ヒロインの弱点を久しぶりに見た気が致します。
そして個人的にフェリクス編1番の問題だと思うのはこれは戦争ルート、真相ルート共にエンディングへの和平への道のりだったりします。
戦争ルートでは敵国のボスに手を引かせようとするのですが、
そこで「相手だけに手を引かせようとして自分達が手を引こうとしないのは結局自分達が優位な形で戦争を終わらせたいのだろう?」
というプレイヤー側にも中々響く台詞があるんです。
これを戦争ルートで言わせたにも関わらず真相ルートも結局ランヴェルフルト側が優位に立った状況で戦争終わらせてしまうんですよね。
ここがフェリクス編最大の問題。
長い歴史の禍根の中で互いに手を引くという形ではなく、結局相手を叩いて終わりにしてしまうのが戦争ルートからの流れだと勿体無い展開だと思いましたね。
何と言うか真面目系主人公で国が安定していて上の判断も何の問題もない、
こうなると自分で考える必要も余地もないので主体性が無くなるのは当然と言いますか、
引っ掻き回すべきギースの退場の早さも相まって物語に導かれるタイプの主人公でした。
シャイマー編
シャイマー編は比較するとフェリクス編よりは良かったですね。
最大の理由は国内情勢が良くないのとラスボスがいる側の国というのが1番大きい理由ですね。
つまり上の方針には不満が絶対に出るそうなるとシャイマーも自分で考えて相手に反発したり自分の道を進むようになっていくんですよ。
その中で自分なりに戦争を終わらせる道も探すと、どう考えてもこちらの方が戦争を舞台にしたストーリーとしてはドラマになりますよね。
何より良かったのは戦争ルートでフェリクス達との協力。
相手国の主戦派を捕えるためにフェリクス達と協力するのですが、実は主人公同士が協力するのはこのゲームではここだけだったりします。
なのでこのシャイマー編戦争ルートが1番評価が高くなるんですね。
ですが逆に真相ルートに入るとそこからフェリクスは影も形もなくストーリーが終わってしまうと、これはこれで結構極端ですよね。
ですが、戦争という舞台で主体性を持って動く、これだけでシャイマー編の方が全体的に楽しい作りにはなっていると思います。
フェリクスと違い国のトップに問題があるからこそ自分の考えで動き事態を動かす、物語をちゃんと引っ張る主人公としてシャイマーは機能していたかなと。
結構な問題点
このゲームの最大の問題点をここで1つだけ。
すまん、これ主人公2人にした意味あったか?
いや、マジでこのゲームの構造的な大問題ってここだと思うんですよ。
対立している国にそれぞれの主人公を配置、それなのに全然絡みがない。
上で言ったシャイマー編戦争ルートでしか協力せず、後はもう戦場でたまに邂逅して戦闘するだけ。
こんなん主人公2人にした意味もルートを分岐させてる意味もないじゃん。
普通に想像したら戦争ルートでは互いに道も信念も交わることなく対立したまま終わり、
真相ルートで手を取り合うというのが期待されていた部分だと思うんですが、
なぜかそこは完全にスカしてくるんですよ。
言っちゃなんですが、真相ルートは完全にご都合主義な展開です。
第三国が実は裏で糸を引いていてそいつを倒せば戦争が終わるっていう、こんなん完全に都合のいい敵を出してストーリーを丸く納めるだけの存在ですよ。
でもそれ自体は別にいいことなんです。
戦争ルートで交わらなかった両国を都合のいい共通の敵を出すことで手を取り合うという形に出来るんですから。
でもなぜかこのゲームはそれをしないんです。
各主人公だけで問題を解決して黒幕を倒して戦争終了。
いや、都合のいい敵を出して対立している国にそれぞれ主人公いるんだからそこも都合良く手を取り合って合流して倒そうよ。
そっちの方が長い禍根のあった種族が手を取り合って戦争を終わらせたっていう明らかに王道な展開になるんだから。
この2人の主人公と2つの国、そして2つのルートがあるなら、
個人的には戦争ルートは一切の余地なく交わることが出来ずに相手主人公の命を奪うくらいにとことんな非情な現実を、
真相ルートで両主人公が手を取り合うとことんまで子供じみた理想論な展開になることを求めていましたね。
正直主人公を2人、ルートを2つ用意したのにこれをやらなかったのは本当に構造的に問題ありすぎるストーリー構成だと正直思いましたね。
安易な理想論をやりたくないにしても、
せめて各主人公の戦争ルート限定キャラは真相ルートでも仲間に出来るご都合が欲しかった。
主人公がお互いに動いて事態を好転させるのではなく、選んだ主人公の部隊だけで事態を動かし解決してしまうという問題。
タイトルに反して主人公同士が交わる、つまりクロスするのがシャイマー編戦争ルートのみなのは構造的に間違っていると思いますね。
ぶん投げが多くなってしまった理由
このゲーム、設定をばら撒いて回収していない物が結構多かったりします。
例を挙げるとヒディークのラッシード将軍が元は名家で再興のために頑張っているとか、
フェリクス編でカイを見たペトラが兄(義兄)の面影を見るとか、
こういう描写や設定入れておいて特に回収しないのがかなり多いです。
こうなった理由は至って簡単です。
このゲームはメインストーリーだけでサブストーリーが無いからです。
他のゲームでならやるであろう寄り道が一切無いためキャラがいても掘り下げがまるで行われないんですよ。
せっかく魅力的なキャラがいるのにそこら辺を深く知るための導線が用意されておらず、ひたすらに本筋を進むしかない。
そうなるとどうしても主人公だけに描写が集中してしまいますよね。
合間合間で他の仲間の戦う理由や普段の生活、過去などを知る機会を寄り道として用意されていればもっと魅力的になれたキャラは多いと思うんですけどね。
それこそSRPGなんてキャラをたくさん用意して掘り下げてなんぼ、
それによって愛着持たせるキャラゲー的な側面が昨今強くなったジャンルなんですから、ここは力を入れて欲しかった部分でした。
アッバースとラフィーナの兄妹関係とか会話で設定出すだけで済ませていいもんじゃないと思うんですけどね。
まとめ
なんというか、自分達で期待を持たせるような構成にしておきながら、
結局その王道をやってくれないのが不満、そんなストーリーでした。
2人の主人公を用意してそれぞれに2つのルートがあるのなら絶対に期待される部分にもっと全力で答えて欲しかったなというのが偽らざる本音ですね。
散りばめただけで終わった設定やカイやハキーマのあんまりな出番の少なさや終わり方など不満を言ったら正直キリがありません。
でも色々言いたくなるのはそれだけ魅力的に映る人物が多かったということなんですよ。
SRPGとしてのシステム部分は好みですので、何がしか続編なり追加要素なりで登場人物達にフォローを効かせてくれると個人的には嬉しいですね。