【映画】セーヌ川の水面の下に 感想 真面目なサメ映画だと思ったら最後一気にアクセル踏み込むぜ!【Netflix】

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セーヌ川の水面の下に

製作国

フランス

監督
ザヴィエ・ジャン
脚本
ザヴィエ・ジャン
ヤニック・ダアン
モード・ハイヴァン

ヤエル・ラングマン
出演者
ベレニス・ベジョ
ナシム・リエス
レヌ・レヴィアン

アンヌ・マリヴィン

森本渚

サンドラ・パルフェ

アクセル・ユストゥン

オレリア・プティ

マルヴィン・デュバル

ダウダ・ケイタ

イブラヒム・バ

今回はネトフリオリジナル映画、セーヌ川の水面の下に(原題:Sous la Seine/Under Paris)の感想。

タイトルからは想像つかないでしょうがサメ映画です。

しかもこれがネトフリオリジナルともなればやはり真面目。
真剣に現実や人命を軽視する者の愚かさの末路とその重さを知っている2人が正しく立ち向かおうとするとても真面目なサメ映画です。

…と思うでしょう?

いや、今言ったことに一切の偽りは無いのですが、そこはやはりネトフリオリジナルと言えどサメ映画。
ラストに一気にアクセル踏み込んでフルスロットルでみんな知っているサメ映画のはっちゃけを見せてくれますよ。

とりあえずラストまで見るとすんごいことになっているので最後までちゃんと見るべきサメ映画ですね。

ジャンルはホラーサスペンスで上映時間は約101分となります。

ここが見どころ!

人命と現実を軽視することの愚かさ

その2つの重さを知っている者との対比

ラストのはっちゃっけっぷり!

あらすじ

トライアスロンの国際大会を控えたパリで、セーヌ川に巨大ザメが出現。流血の惨事を防ぐため、ひとりの科学者は自らの悲惨な過去に向き合うことに。

Netflixより

登場人物

ソフィア・アサラス

元オーシャンオリジン“進化”プロジェクトの一員

3年前の調査対象のアオザメ“リリス”に仲間や婚約者を殺害されてからは失意の中で水族館の案内などをしていた

SOSのミカによりかつて取り付けたビーコンからセーヌ川にリリスが住み着いていることを知り市長に警告を発する

アディル・ファエズ

水上警察の巡査部長

とある理由で軍を退役した元軍人でもある

リリスの起こした事件によりソフィアと協力して事態にあたる

ミカ

かつてソフィアが所属していたオーシャンオリジンの活動を引き継いだ団体SOS(セイブ・アワー・シーズ)に所属する女性

ソフィアにリリスのことを伝え処分される前にリリスを海上へと逃がそうとする

アンジェル

海上警察の警視

リリスの事件によりソフィア達と共に市長へ危険性を訴える

リリス

3年前ソフィアの仲間を奪ったアオザメ

調査対象であり3年後もなお機能していたビーコンによりセーヌ川に住み着き巣を使っていることが判明する

普通のサメより明らかに巨大なサイズへと成長している

ざっくり概要

中盤くらいまでは真面目、そこから一気にアクセル踏み込んではっちゃけるこの映画ですが、まずは中盤までのざっくりとした内容を。

3年前、海のゴミの調査やサメの生態系を調査していた環境団体オーシャンオリジン“進化”プロジェクトの一員だったソフィア。

彼女とそのチームは研究対象であるアオザメ“リリス”の様子とサンプルを採取にビーコンを頼りに北太平洋に向かう。

潜水チームがゴミだらけの海の中で近づくビーコンからリリスと接触するが、
リリスの体は7メートルという3ヶ月前からは考えられない異様なまでの大きさに成長していた。

潜水チームは危険を感じながらもソフィアの指示に従いリリスからサンプルを採取する、しかしその時リリスが潜水チームを攻撃、
次々と犠牲になっていく潜水チームを救助するためにソフィアも海の中に潜る。

そこでソフィアが見た物は婚約者クリスの腕。そして接近してくるリリスだった。
リリスに深海へと引き摺り込まれそうになるソフィアだったが何とか引き剥がして生還するもチームは全滅。
彼女は急速で深海に引き摺り込まれた影響で僅かな障害と深い心の傷を負うのだった…

3年後

トライアスロンを控えているパリのセーヌ川で不発弾が発見され海上警察が対処している中、
ソフィアの元にはかつての自分たちの活動を引き継いだ環境団体SOS(セイブ・アワー・シーズ)に所属している女性ミカが接触してくる。

彼女がもたらした女性はあのリリスがセーヌ川にいること。
にわかには信じられないソフィアだったが3年前のビーコンがまだ機能しておりそこの座標は確かにセーヌ川を指していた。

リリスを海に返そうとするミカは既にセーヌ川周辺で行方不明になった人物がいたりなどリリスの身にとっては一刻の猶予もないことからソフィアに協力を求めるが、過去のトラウマからソフィアは返事を渋る。

その夜、ミカとその恋人ベンが行方不明事故が起きた現場にこっそりと立ち入り潜水して調査を開始する。
何かの気配を感じるミカだったがその時水上警察が見つかり彼女は勾留されてしまう。

ミカを交流しながらトライアスロンの影響で場所の移動を余儀なくされたホームレス達の面倒を見る海上警察。

一方でソフィアはミカ達から得たビーコンの信号を辿りセーヌ川を調査していた。
そして、ビーコンの刺す位置に辿り着いた彼女だったがそこには人はおらず吠えている犬がいるだけ、
しかしその場所は先ほど海上警察が面倒を見たホームレス達がいた場所であった…

ミカの聴取をする海上警察のアディル。
サメがいるというミカの言葉を鼻で笑うアディルだったがその時彼に緊急の召集がかかる。

現場に行ったアディルが見た物は昨日のホームレス達が川の中で“何か”に無惨に食い荒らされた後であった…

調査の過程で警察に呼ばれるソフィア。
彼女はミカの言葉通りに川にはサメ…リリスがいることを訴えかけるが警察はまずサメがいるかの確認をしようとする。

潜水をして確かめようとする警察にソフィアは危険だと訴え自分もついていきその調査に参加する。

ビーコンが示す位置についた警察は早速潜水して調査に入る。
そこで目にする物は食い荒らされた海洋生物の姿。

異様な光景に警戒を深める中、ソフィア達を追いかけていたミカはこのままではリリスが駆除されてしまうとベンにビーコンの信号を切るように伝える。

信号が途絶えたこと、そして何かを見たことから急ぎ水上に上がる警察達。
ソナーを確認するとそこに映っていたのは巨大なサメの影だった。

ビーコンが途絶えたことをアディルに疑われ仲違いする警察とソフィアだったが、
ふと目を外に配るとミカの姿を見かけソフィアは彼女の仕業だと気づくのだった。

SOSに向かいミカのビーコンの信号を切るという危険な行いを咎めるソフィアだったが、
彼女から3年前のことを持ち出されソフィアは立ち去り2人の仲は決裂してしまう。

その頃アディルはソフィアの経歴について調べ、3年前の彼女の携わった事故について知る。
それと時を同じくしてSOSが世間にリリスの存在と自分達の活動理念をSNSを通じて表明する。

次の日、アディルがソフィアの元を訪ね、昨日の疑いと非礼について詫び、彼女に市長の説得のために同行することを求める。

市長室に向かうソフィア達だったが、市長はトライアスロンの件を優先してソフィアと警察の訴えを真剣には受け止めないのであった。

事態に対して今出来る限りの行動をしようとするソフィア達。
ビーコンの信号こそ途絶えた物の今まで川で起きた事故を辿りリリスの居場所を突き止めようとする。

そんな最中にSOSのベンがソフィア達の元に訪れリリスの居場所とミカがこれから行おうとしていることを伝える。

リリスのいる地下墓地に集まるミカを始めとしたSOSの面々。

ソナーを使いリリスを誘き出そうとしている彼女を止めるためソフィアとアディル、海上警察が向かう。

出口は1つ、人間は50人近く。
ゆっくりと冷静に移動させようと努めるソフィア達だったが、その時リリスがソナーに導かれて現れる。

しかし、現れたのはリリスだけではなくもう1頭。
リリスはすでに出産していて子供と共に現れたのであった。

サメは無害だと主張するミカに対して、既に地下墓地はリリスの巣となっているとすぐに引き上げるように伝えるソフィア。

聞き入れず水中にいたミカをリリスが喰らいつくのであった…

ミカが襲われたのを見てパニックになるSOSの面々。
冷静に出口に向かえず川に落ちていく面々をリリスが襲い次々と犠牲者が増えていく。
そして警察からも1人の犠牲者が出てしまうのであった…

病院で後悔に襲われるソフィア。
それを励ますアディルの元に緊急の連絡が入る。

地下墓地に向かった2人が見た物はリリスの子供の死体。
すぐさま回収してソフィアが検死を行うのであった。

リリスの子供の検死で明らかになったこと。
それはリリス達が淡水に適応したこと。
まだ子供にも関わらず大量の子供を妊娠していたこと。
そしてオスを必要とせずに単為生殖で繁殖していくことであった。

リリスはアオザメではなく新たな新種の第一号。
単独で子供と共に際限なく繁殖してこのままでは海を植民地化させてしまうのも時間の問題であることを悟るソフィア達。

急ぎ市長にトライアスロンの中止とリリスへの早急な対応を打診するソフィアと警察達だったが、
自分の立場を優先して聞き入れずリリスの件を秘匿し、
警察を現場から外し軍に警備を任せるという判断をするのであった。

現場から外されて権限を失ったソフィアとアディル達。

しかしこれ以上犠牲者を出すわけにはいかない。
トライアスロンが強行される中、彼女達は独自で海と人類の脅威となったリリスに立ち向かう準備を始める…

中盤までは大体こんな内容。

ジョーズよろしくな市長の判断や環境保全団体らしい行動など真面目さやお約束が目立ちますが、
ここから後半にかけてアクセルを踏み込んでサメ映画らしいとんでもない展開へと発展していくのです。

ここまでとのギャップがマジですごいんですよ。

真面目さとはっちゃけが混ざり一粒で二度美味しいサメ

この映画のある意味主役とも言える巨大サメのリリス。

彼女の描写は映画のストーリー同様に序盤は真面目、後半は一気にサメ映画らしい行動を見せてくれるようになります。

本当にね。序盤は真面目なんですよ。

冒頭でのソフィア達を襲うところもはっきりと被害は見せない。
ここら辺でサメの暴れっぷりやグロで惹かせるタイプのサメ映画ではないんだなと勘違いしたくらいですからね。

しかし、ミカを襲ってから生態が明らかになった辺りから様相が一気に変わってくる。

ミカを食う瞬間なんて下から飛び上がって一口という完全にお約束の描写ですし、生態に関してはサメから完全にモンスターのように変質している説明なんですよ。

オスを必要とせずに単独で繁殖可能、しかも子供にもその性質が引き継がれ子供はわずか2ヶ月で単独で更に大繁殖する。
正にネズミ算式にリリスの系列が増えていくという自分でクローンを産み続けているような得体の知れない化け物になっていくんですよね。

こうなった経緯というのはさっぱり説明はされませんが、
環境保全についての話をしているので設定的にはそれこそベタに環境汚染、もしくは種の存続のために単独で進化したと見るのが自然でしょう。

まぁここら辺を考察しても馬鹿らしいくらいに後半が真面目さを捨ててぶっ飛んで行くんですが。

その後半でリリスとその子供達が単独で異常繁殖していく生態を活かした絵面がゾッとするんですよね。

巣に爆弾を仕掛けて一気に吹き飛ばすという作戦なんですが、その巣の描写たるや。
一面に単独で繁殖し続けた大量のサメが現れる、まさかサメ映画で大量の虫を見たかのような嫌悪感を感じるとは思わなかったですよ。

ここら辺の絵面は馬鹿なサメ映画でもあるっちゃあるんですが、
ここまでは真面目にストーリーを進行してきたおかげで笑いではなく嫌悪感が上回ったと思いましたね。

そして巣を吹き飛ばしてからのリリス。

ここからは完全に彼女が主役です。

犠牲者出さないなんて映画的に綺麗に終わらせるなんてことは一切頭に無く、無情にもトライアスロンの客を食い荒らす。

水上警察が乗っていたボートは力技でひっくり返し、軍が銃を撃っても被弾しながら泳ぎ続ける。

そして最後の文字通りの大爆発が始まるわけですよ。

映画の冒頭でセーヌ川に大量の不発弾があるなんてすっかり忘れてしまったような設定が掘り起こされてリリスが逃げ続けた結果、
軍の銃弾が不発弾に被弾して次々に不発弾が誘爆を起こし続ける。

その不発弾の爆弾を掻い潜りながら泳ぐリリスは完全に80〜90年代往年のおっさんアクションスター。
爆発を背にひたすらに泳ぎ続けるんですよ。

そしてこれはサメ映画、リリスが爆発を背に泳ぐということは爆発していくのはパリ。
不発弾の誘爆により川は氾濫してそれに街は水没、パリが完全に破壊されて映画が終わるのですよ。

まさかあんなに真面目に話を進めていたのに最後に大爆発で街が水没して終わるなんて誰が予想出来たか。

本当いい意味でネトフリオリジナルらしくもフランス映画らしくもない、サメ映画というジャンルに舵を切っていましたね。

序盤は真面目、後半は大爆発と一粒で二度美味しい素晴らしいサメ映画でしたよ。

しかも水没したパリがサメに支配されているとか最高すぎるだろ。

現実と人命の重みを知る者こそ

この映画で真面目な部分として捉えていたのはこの2つでした。

この人命と現実、これらを軽視した結果、悲惨な結果を招くという形になる映画でしたから。

市長とミカを始めとした環境保全団体SOS。

彼女達はベクトルは違えど完全にこの2つを無視していたんですよね。

市長はもちろん五輪を前に控えたトライアスロン大会のため。
つまり自分の権威のためにサメがいるという現実を軽視してそれは当然人命の軽視にも繋がる話でした。

彼女が事態を重く見てトライアスロンを中止してリリスの対処を軍と警察共同で行うようにしていればあの結末はなかったでしょう。

そしてミカを始めとしたSOSの面々。

彼女達はいわゆる環境を重視していて理想論的に現実を見ていなかった人間達ですね。

リリスによる被害は既にソフィアの件で出ているにも関わらずサメは安全だと思ってしまった。
そしてその結果自分達から犠牲者が出るという分かりやすいくらいの末路ですね。

いわゆる環境テロリストの域にまでは入っていないので嫌悪感は薄めなのですが、でもやはり矛盾はある存在なんですよね。

自然に任せようとしながら自分達の意見を通すためにリリスをコントロールした、これは烏滸がましいっちゃ烏滸がましいんですよ。

市長にもSOSにも言えることですが、信念も事業も現実を見た上で行動しないと被害が出てしまい結果として主張や功績というのは汚れて霞んでしまうんですよ。

それをお花畑すぎて理解していないように見えて、まぁだからこそのそれぞれの最期の末路だとは思うのでバランスはちゃんと取れてはいましたね。

そんな2つの存在があるからこそ、現実と人命、この2つの重みを痛感してきたソフィアとアディルの行動が映える訳ですが。

ソフィアは3年前に自分がリリスのサンプルを取るように強行した結果自分の婚約者や仲間を失うという結果をもたらしてしまった。

アディルもまた軍に所属していた頃の人質救出作戦で仲間を見捨ててしまい、人質の救出と引き換えに仲間を失ってしまった。

この現実と人命の重さを痛感した2人がリリスの件で正しく行動しようとする。
だからこそこの2人は最後まで見えざる神の手により生き残ったんだと思います。

しかし、最後の状況はパリに川の上でサメに囲まれながら2人だけボートの上で取り残されるというとてもとても生き残って幸せとは言えない状況。

これは見方を変えると正しく行動したからこそ生き残れたけど、
過去に犠牲を出した人間だからこそ生き残っても絶望的な状況に取り残されてしまったと見えます。

そこまで考えているのかは分かりませんが、こうして見ると人間パートは因果が巡るような結末を迎えている人物が多い内容でしたね。

まとめ

真面目さとはっちゃけが混ざる一粒で二度美味しいいいサメ映画でした。

サメ映画というカテゴリーで考えると相当に良質。

最終盤のリリスのアクションスターかのような暴れっぷりと大爆発には最早テンションが上がる余地しかなかったですね。

そして人間側の因果が巡るかのような結末。

ここら辺がおざなりだとストレスが溜まるのでここら辺のバランス感覚もとても良質でした。

強いて不満を言えば現実と人命を重視した末路を辿る映画でしたので、
序盤でソフィアに人の心がない言葉を放ってフェードアウトしたクソガキヴィクトルも子供だからと日和らずに相応の末路を見せてくれたから満点でした。

とはいえ全般的には良質なサメ映画。

ネトフリオリジナルでこんなはっちゃけた内容になったというのもこれからのコンテンツ的にはいい傾向だと思うので、これからもネトフリオリジナルには期待したいところですね。


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