この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
製作国
韓国
監督
イ・スソン
出演者
チ・イルチュ
ジヨン
チョ・ギョンフン
チェ・ソンミン
今回韓国のゾンビ映画、江南ゾンビ(原題:강남좀비/Gangnam Zombie)の感想。
まぁこの映画、とってもピュアで楽しいゾンビ映画となっております。
冒頭でゾンビの群れをテコンドーとバットでいなしてる時点で、
この映画は一味違うな!ある意味すごい期待に応えくれそうだな!と掴みはばっちりな映画となっております。
ストーリー面でも韓国らしい世知辛い人間ドラマやこれまたらしいかもしれない初々しい恋愛ドラマだって用意されております。
何より自分が唸ったのは最後の仕掛けなんですけどね。
ゾンビ映画ならその感染の回避の仕方があったかと思わず唸ってしまう方法が見れますよ。
ジャンルはホラーで上映時間は約81分となります。
目次
あらすじ
ソウルの中心、華やかな江南地区の動画制作会社で働くヒョンソクは、かつてはテコンドー韓国代表の控えとなるほどの実力の持ち主だった。そんなヒョンソクは密かに同僚のミンジョンに思いを寄せていた。ある日、会社に半狂乱の男が乱入し、人々を襲いだした。噛まれた人々が次々とゾンビ化、爆発的に増えていくゾンビ集団に街は占領されてしまう。周りが次々とゾンビ化していく中、残された数少ない生存者たち。ヒョンソクはテコンドーで習得した超高速回し蹴りを武器に襲い来るゾンビどもをぶちのめしていく!!
DMM TVより
江南ゾンビを配信している配信サービス
※2024年
見放題 | レンタル | |
Amazon Prime Video | ✖️ | ◯ |
Netflix | ✖️ | ✖️ |
U-NEXT | ✖️ | ◯ |
hulu | ✖️ | ◯ |
DMM TVプレミアム | ✖️ | ◯ |
登場人物
・イ・ヒョンソク
元テコンドー韓国代表の元控え選手
同僚のミンジョンに密かに思いを寄せておりクリスマスイブにコンサートに誘おうと決意している
動画制作会社“江南ファミリー”で働く
・ミンジョン
ヒョンソクの同僚
動画の編集が好きで実績作りのために会社で働いている
社長のカンからセクハラを受けているが揉めて実績作りのために耐えている
・デヨン
ヒョンソクとミンジョンの先輩
彼らの仲を応援している
・カン
“江南ファミリー”の社長
制作している動画が伸びずにヒョンソク達の給料やオフィスの賃料を既に3ヶ月滞納している
パワハラ、セクハラ気質で社員には無茶を言う
・イ・スンジャ
オフィスビルの大家
パワハラ気質で貧乏人を見下しており警備員などにも強権的に振る舞う
江南のビルで発生するゾンビ
感染したおじさんにより1つのビルがゾンビ塗れになり、そこで生き延びるために奮闘するピュアな恋愛や社会の世知辛さが渦巻く本作。
コロナ禍から時間も経ち迎えるクリスマスイブ。
江南区のビルにある動画制作会社で働く元テコンドー韓国代表のヒョンソクは想いを寄せる同僚のミンジョンをコンサートに誘おうと決意していた。
その一方で働いている会社は動画再生数が全く伸びず給料は3ヶ月も支払われず、会社の社長カンによるパワハラやセクハラは当たり前の環境。
そんなヒョンソク達だが近くで生肉を食べるおじさんの異様な光景の映像が撮影されバズった動画を発見する。
そのおじさんは朝ヒョンソクにぶつかりスマホの液晶を壊した様子のおかしいおじさんだった。
実はおじさんは泥棒であり、舎弟と共にコンテナに忍び込み盗みを働いていたが、
その時猫に噛まれて何かに感染して舎弟を噛み川で流されて江南区に辿り着いていたのであった。
ビルの中に入り込み次々と人を噛み感染させていくおじさん、混乱するビルの中で大家であるスンジャと警備員が“江南ファミリー”に逃げ込んでくる。
事態を見て通報しようとするミンジョンをビルの価値が下がると静止するスンジャ、更にカンも動画再生数を求めて通報には積極的ではない立場を取る。
そんなら一行の元に現れるおじさんゾンビ。
自分を守るためにカンに盾にされてデヨン、共に逃げてくるも既に噛まれて感染していた警備員に噛まれるスンジャ、そして感染したデヨンに噛まれるカン。
周り全てがゾンビとなったビル内、ヒョンソクとミンジョンの2人はその中で何とか打開策を探すのであった。
とあらすじはこんな感じ。
韓国らしいちょっと生々しいシビアなドラマ要素にゾンビを混ぜたって感じの映画ですね。
モンスター・パニックの系統だと生前や隣人の感染という要素が絡むため、
比較的人間ドラマというものも強く求められるのがゾンビ映画ですが、
この映画もしっかりとドラマ要素を面白おかしく活かしていたと映画でした。
シリアスに活かしていたとは言ってない。
人間ドラマの世知辛さとゾンビによる悪趣味なカタルシス
韓国映画(というよりアジア圏の映画?)はコメディでも何でも生々しい人間ドラマを入れていることが普通なわけですが、
この映画も多分に漏れず大分世知辛い人間ドラマが繰り広げられておりました。
そもそもコロナ禍にも慣れてきたクリスマスイブなんて言う要素が割と世知辛いわけですが、
そこに社会の世知辛さや理不尽もしっかりと盛り込んでいるわけですよ。
主人公であるヒョンソクやヒロインよミンジョンが働いている会社やその会社が賃貸オフィスとして利用しているビルの大家。
ここら辺での理不尽、セクハラ、パワハラは当たり前のように描写されております。
ここの構図で実に理不尽なのが大家<社長<社員という構図。
社長は社員にパワハラ、セクハラしている上に給料まで未払いですが、その社長も大家には家賃を3ヶ月滞納している、
このパワーバランスで上から上から圧力や理不尽が振りかかる序盤の社会の縮図はコメディ風味で送っていてとてもとてもストレスの溜まる展開でございました。
しかもこの上に位置する2人はゾンビ騒動が始まったら大家はビルの価値が下がるから通報させない、
社長はこの騒動を撮影して再生数のバズりを狙う上に部下のデヨンを盾にして彼が噛まれているうちに退避すると
なんて分かりやすいくらいに腹立つ奴らなんだとストレスが頂点へとに導かれていくのですよ。
しかし映画の中で溜まるストレスは解放されるカタルシスがあってこそ。
そしてこれはゾンビ映画、となると彼らが辿る道はもうお分かりですよね?
そう、大家は自分がパワハラをした警備員に、社長は盾にしたデヨンに噛まれてゾンビになるというお手本のような報復とスカッと体験を見せつけてくれます。
そしてゾンビ映画ならではの要素として噛まれたら当然彼らも感染してゾンビになる。
そう、彼らはパワハラした部下により感染しゾンビになった後は更にもう1度◯されるのです。
やっぱこれこそがゾンビ映画で展開する人間ドラマと崩壊、そしてカタルシスですよね。
ゾンビじゃないと腹立つ上司を2回も◯すなんて出来ない。
世の不満というものをとても悪趣味に解放させてくれるストレス溜まる人間ドラマとゾンビ映画としてのカタルシスでした。
初々しい恋愛ドラマと唸った感染回避(ネタバレあるよ)
パワハラ、セクハラ当たり前の上司達に比べて主人公のヒョンソクとヒロインのミンジョンの恋愛ドラマは実に初々しい展開を見せておりました。
この2人の関係性はオフィスラブ、といってもヒョンソクの方の片想いなのですが、
クリスマスイブなのでコンサートに誘おうとしていたらゾンビ騒動が起きると分かりやすいくらいの王道っぷりです。
正直あまりにも王道すぎて特筆して語るところは全くないのですが、ゾンビ物でここまでピュアピュアした恋愛すること自体が珍しい要素かなと思います。
中身は普通で捻りなしな恋愛ドラマだけどゾンビ映画だとここまで初々しいのは珍しいということですね。
最後なんかベッタベタに噛まれた自分を置いて行かせてミンジョンだけ逃がそうとするなんて展開あるくらいですからね。
今の世らしく守られるだけの関係性でもないですし、本当語る必要がないくらい王道な恋愛でした。
ですが、
恋愛は王道でも最後の透かしは個人的にこの映画で1番唸り上手いと思ったポイントです。
大家に噛まれて感染したからミンジョンだけでも逃がそうとするヒョンソク。
最後にミンジョンを抱きしめるところなんかは他のゾンビ映画だったら間違いなく噛んでミンジョンも感染するバッドエンドでしょう。
しかし、ピュアピュアな2人にそんな残酷な展開を突きつけないのがこの映画。
何とヒョンソクは噛まれたにも関わらず感染していないのです。その理由で自分は本当にその手があるかと唸りましたよ。
その唸った手というのが大家が入れ歯だったから大丈夫。
これ正直なるほどですよ。
そうだよな歯で直接噛まれないなら感染しないならこの手もあるよな。
コメディでしか許されないけど目から鱗な展開で唸りまくりましたよ。
普通ならガードする何かが挟まっていたとなるでしょうが、本当に噛まれたにも関わらず感染を回避するなら確かにこれは納得の手法。
他所でも1回くらいはやってそうな回避手段ですが自分はこれがファーストコンタクトなので、
2人にとってはハッピーエンドなのもあって気持ちが良く新しい物も見れたゾンビ映画だったなと満たされた気持ちになれましたよ。
逃げた2人がビルのドア開けっぱなしにしたせいでゾンビが街に解放されているんですけどね!
ゾンビとアクションは面白い(笑えると言う意味で)
実はこの映画を見た理由というのはゾンビという要素は当然なのですが、ヒョンソクが元テコンドー韓国代表の控え選手、
控えというところがまたいい線ついてますわ。
この2つの要素だけでこれは変なゾンビ映画だ!と期待して見たわけです。
そしていざ見たら冒頭から集団のゾンビ相手にテコンドーとバットを振り回す主人公とヒロイン、これはもう他所とは違うな!と期待が確信に変わりました。
ゾンビ自体は生身の人間に血糊がついているくらいでそこまで気合いの入った造形ではないんですが、
生前の行動を少し意識している部分もあるのでそこは新鮮ほやほやのゾンビということで納得しました。
ビルもモールの違いはあれどラジオに反応したり徘徊するゾンビ達の絵面は原点たるロメロ版を思い起こす絵面でもありました。
そんなゾンビとテコンドーの戦いが愉快な絵面でいいんですよ。
そもそもの感染源となったおじさんゾンビがいるんですが、何とこのおじさんとは3回も戦います。
おじさんしぶとすぎぃ!
先ほども言った通り生身に近いゾンビなのでおじさんは攻撃を避けたりもするんですよ。
ゾンビと言ったら攻撃は受けつつも迫ってくる耐久が売りと思うのに避けるのと耐えるのを両方やるので、
元はただのコソ泥、見た目は普通のおじさんでクリーチャーっぽく変異していないゾンビにも関わらず屈指の強さのゾンビというこのギャップが絵面的に面白いんですよ。
ビジュアル的には口から血を流しているだけのおじさんがここまでゾンビとしてメインを張り活躍する映画なんてこれくらいでしょうね。
説明ないけど多分なんか社会派っぽいウイルス要素
元々はコソ泥のおじさんが盗みに入ったコンテナの中で何がしかの病原菌持っていた猫に噛まれて感染という流れなのですが、この猫については何の説明もありません。
ですがわざわざコロナ禍という要素を入れてコロナウイルスの始まりであったとされるコウモリの映像も入れている、
そして新しい病原菌が出たら人類は対抗出来るのかという説明も入れているところを見ると、
猫経由で新しいウイルスがおじさんの中で出来たと見るのが自然な流れでしょう。
特殊な免疫から出来た病原菌を持ったコウモリを食べた人間からコロナが蔓延されたとされる現実同様に、
人とは違う免疫耐性から出来たウイルスを猫が持っていてそれに噛まれて新しいウイルスが出来るなんていうことも確かにあり得るのかもしれませんね。
ちなみに現実のコロナの要素入れてウイルスが出来たゾンビ映画って設定はアサイラムがやりそうだなと思っていたのは内緒です。
まとめ
韓国らしい世知辛い人間ドラマによるストレスをゾンビに食われて2回死ぬという悪趣味なカタルシスで解放し、
それとは真逆の方向性で主人公とヒロインの初々しい恋愛ドラマを展開してハッピーエンドに導くと実に韓国らしいコメディゾンビ映画でした。
テコンドーでゾンビと相対するという要素でゲラゲラ笑えるんですが、やはり自分としては最後の感染回避をとても推したい。
これにはゾンビ映画の無限の可能性の1つを垣間見た気がしましたよ。
時間も短め、カタルシスはある、新しい着眼点も見せてくれる、玉石混交のゾンビ映画の中で比較すれば当たりの部類なので暇が余りまくっていたら選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
最優先で見るべき映画とは間違っても流石に言えません。
他の映画感想
他のゾンビ映画感想はこちら。