【映画】承認欲求は恐ろしい ワイルド・インフルエンサー 感想

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ワイルド・インフルエンサー
(C) 2018 Launch Over LLC. All Rights Reserved.

製作国

アメリカ

監督
マイケル・J・エプスタイン
ジェレミー・ロング
脚本
マイケル・J・エプスタイン
ジェレミー・ロング
出演者
コルビー・スチュワート(アマンダ・コルビー・スチュワート)
ブランディ・アギラール
セス・チャットフィールド
ライアン・ジェームス・ヒルト
セドリック・ジョナサン(イカイカ・ジョナサン)

今回は動画配信者がストーカーに襲われる映画、ワイルド・インフルエンサー(原題:Clickbait)の感想。

この映画を一言で言うと、

承認欲求は恐ろしい

これに付きます。基本はコメディなノリなのにこの部分には物凄く力を入れており、なかなかに(特にラストに)狂気を感じる内容でした。

ハッピーデスデイとか好きな人には結構受けるかなと思う映画ですね。

ジャンルはサスペンスコメディで上映時間は約80分となります。

ここが見どころ!

承認欲求の恐ろしさ

コメディとストーカー描写のギャップ

あらすじ

人気獲得のためなら何でもやる!
女子大生のベイリーは、ルームメイトで超ガリ勉のエマに撮影を手伝ってもらい、動画投稿サイト“フラッシュ”で、5週連続トップを誇る人気ビデオブロガー。しかし闘病中の様子を公開したガン患者のローラにトップの座を奪われイラだっていた。ある夜、ハロウィン・パーティで泥酔したベイリーをエマが連れ帰ると、帰宅の様子を覆面ストーカーに盗撮される。その動画は500万回再生されてバズり、ベイリーの人気が再浮上。ベイリーは今こそ大学に行くより動画を作るべきだと主張するも、エマは将来を考えるべきと諭す日々。ドブソン巡査に事件解決を訴えるも盗撮はエスカレートしていき、ベイリーの部屋にストーカーが侵入する誘拐未遂動画が公開され、2000万回再生を突破する。

Rakuten TVより

ワイルド・インフルエンサーを配信している配信サービス

※2024年1月20日時点

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登場人物

ベイリー

女子大生

人気配信者でインフルエンサーの女性

ガン患者のローラに1位を抜かれ焦っている時に自身に対するストーカー動画がバズりそれをコンテンツにする

エマ

ベイリーのルームメイトでガリ勉の友人

ベイリーの動画撮影をいつも手伝っている

ドブソン巡査

ベイリー達のストーカー事件の捜査でやってきた警官

デスクワークから現場に移った初めての捜査で気合いを入れているが雑な捜査をする

ローラ

ベイリーから1位を奪った配信者

ガンに侵されておりその記録を配信している

人気配信者はストーカーすらコンテンツにする

1位を奪われた人気配信者がストーカーに襲われたことすらコンテンツにして返り咲こうとする強かさと愚かさを感じる本作。

人気配信者だったベイリーはガン患者であるローラの配信により彼女に1位を奪われる。

その最中で自身の家に侵入されるというストーカー動画が配信され、
その再生回数が500万回を突破するのを見たベイリーはルームメイトであり動画にも協力してくれているエマの懸念を振り切り、
そのストーカーを自身のコンテンツにすることを決める。

ストーカーの行動は下着を漁る、ベイリーだけでなくエマも襲うなどエスカレートしていくが、その動画の再生回数は2000万回にも上っていた。

エスカレートしていくストーカーに警察も呼ぶが駆けつけたドブソン巡査はどこか無能。
彼女達に真剣に取り合わないくせに初めての任務だからと仕事を譲ろうとはしない。

エスカレートしていくストーカー、無能な警察、認識の甘いベイリー、
それぞれが噛み合いついにベイリーはストーカーに攫われてしまう。

攫われたベイリー、ストーカーの正体、真実が明らかになる時、
過激なコンテンツの行き着く先を目撃することになる…

とまぁノリはお気楽ながら最後まで見るとそのお気楽さが逆に怖い映画なんじゃないかなと感じました。

承認欲求を満たすために過激なことすらコンテンツにして輝く配信者。
そしてその近くにいるとその眩しさで抑圧された物が肥大化することもある人間。

多分監督は配信者が嫌いなんだろうなと思いながらもそれでも予想は簡単な結末や内容ながら警鐘を鳴らしてもいる、コメディとしてのお気楽さすら上手く使っているストーリーでした。

予想が簡単につくのにみんな作中ではみんな楽しんでいるのも怖いかも?

承認欲求は恐ろしい(ネタバレあるよ)

この映画のストーリーで感じるのは承認欲求と数字の怖さ。

ワイルドインフルエンサー
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主人公でありインフルエンサーであるベイリーがガン患者のローラに1位を奪われたことによりこのストーカー事件は起きます。

早々にぶっちゃけてネタバレしちゃうとこのストーカー事件はベイリーがドブソン巡査と協力して行った自作自演です。

これは正直簡単に予想はつきます。
断定は出来ずともこの可能性を最後まで頭から除外する人はいないだろうってくらいの真実です。

でもやっぱ怖いんですよ、この映画なストーリー。

何が怖いって返り咲くためにこんな自作自演をしてしまうことの承認欲求の強さとそれをコンテンツにしてしまう配信者と視聴者です。

今の時代何事もコンテンツとして消費されてしかもその消費速度も凄まじいです。
だからこそ常に輝き続けるには注目を浴び続ける必要があるわけですが、
それに命に関わることをコンテンツにするという怖さです。

人の死も不幸だって本人にも視聴者にもよくある消費するコンテンツとしか見なしていない、だからこの映画に漂うお気楽さは不気味さでもあるんです。

後半ベイリーが攫われた時に(自作自演ではありますが)みんなそれを笑って見ている、誰か1人くらい真剣になって通報していても良さそうなものですが、

それがあれば悲劇は避けれたかもしれない。

そんなことはせずに良くある消費されるコンテンツの1つとして誘拐事件をみんな眺めている。

ここまでいくとこれはお気楽なのではなく、思考放棄の域まで行っていると感じるでしょう。

そして真剣に受け止め心配したエマがバカを見るもそのエマも最後には承認欲求の渦に浸かる…

多分これ監督は配信者や下手すればそれを楽しむ視聴者のことすら嫌いですよね。

でも嫌いということは詳しいということでもあるので、ここまでお気楽さを不気味さに変化させるようなストーリーを作れたのだと思います。

ラストに流れるエマの狂気、正直者がバカを見たのか、それとも誰もが抱えている抑圧から開放されたのか、
承認欲求という名の狂気と何事もコンテンツにする世の中の怖さをコメディに包んで良く描けていた映画でしたね。

承認欲求以外のもう1つの可能性として定期的に出てくるトゥート・ストルーデルの放射能なあれを食べたせい説もありますが。

ベイリーとエマ

この映画の主要人物であるベイリーとエマ。

ワイルド・インフルエンサー
(C) 2018 Launch Over LLC. All Rights Reserved.

この事件の結末により彼女達は最後にそれぞれ真逆の位置に立つことになります。

ベイリーはローラに奪われた人気No.1の座をストーカー事件の自作自演で取り返そうとする女性。

中々にいい性格をしており、ローラの回復を祈って彼女が死ななければ忘れ去られるなどととんでもないこと言ったりします。

ここら辺でも人をコンテンツとしか見ていないこの世界観を現していますね。

言ってしまえば浅はかなのですが、最後まで見ると彼女はこの映画のメインではない存在だなとも感じました。

彼女は言ってしまえば最後のエマを映し出すためだけのコンテンツ。

自身が犯した自作自演の過ちで真剣に心配してくれた友人に過ちを犯させてしまい、
そして彼女に代わる新しい承認欲求モンスターを作り出すためのコンテンツです。

そんな成り代わる立場のエマですが、彼女はベイリーの友人で、
今回の件でコンテンツとしてストーカー事件を見るのではなく真剣に受け止めてベイリーを心配してくれています。

そしてだからこそ攫われた(と思っている)ベイリーを助けるために衆人環視の中でストーカー役のドブソンを殺害してしまうという過ちを犯すのです。

多分このエマの行動、側から見て笑っている視聴者からしたら、こんなことにマジになってどうすんの?ってこれまた笑いながら見てしまうのでしょう。

これも正直者はバカを見るって奴なんですかね。

ただこの件を受けてかエマは最後にベイリーの代わりにインフルエンサーとして大人気になっています。

おそらくはベイリーが自作自演ということではなく本当に誘拐されたことにしてエマを守り、
そして贖罪として彼女の動画に協力してエマとベイリーの立ち位置は完全に真逆になって終わります。

エマにも真実を伝えたかは結構怪しいですが。

エマはベイリーという輝きの影で誰からも興味を持たれていなかった存在ですが、そんな光の近くにいると影も濃くなる物。

彼女の立場に憧れを抱き、それが最後に大爆発してこの映画最大の承認欲求モンスターが生まれてしまったのでしょう。

確かにエマにとってはこの憧れは内包されて抑圧され膨らんでいた部分ではあると思います。
しかし実際そんなのってみんな抱えて生きて折り合いをつけていますからね。

でも、ベイリーの犯した過ちでエマは取り返しのつかない道を歩んでしまった。
純粋に心配して行った行動でタガを外したならもうモンスターになるしかないのかもしれません。

彼女の最後の笑顔から感じる狂気が人気者になれた達成感より過ちを犯して壊れた人間による物に見えるのは自分だけでしょうか?
ここら辺は見た人によって受け止め方は変わるでしょう。

どちらにしてもベイリーは贖罪のために最後までエマに付き合うのでしょうね。

漂うお気楽さが不気味さにも感じるいいホラー演出

ジャンルとして見るとやはりここが面白さではあったでしょう。

ワイルドインフルエンサー
(C) 2018 Launch Over LLC. All Rights Reserved.

この映画のお気楽な会話をコメディとして楽しんでいたら、
だんだんあれ、このお気楽さは逆に不気味でホラーじゃね?と印象が変わっていく、ここがこの映画の味と言えるでしょう。

もうね、どいつもこいつもバカな会話やバカなことばかりやってるんですよ。

ベイリーはそもそも自作自演だから危機感を感じないのは当然なんですが、ただ事情を知らない他の人物達ですよね。

ストーカーに部屋に侵入されて命の危険もあるはずのベイリーの境遇をみんなコンテンツとして笑って楽しんでいる。

人の命すら娯楽となっていると考えるとこのお気楽さはホラーとしての不気味さにもなっていると言えるでしょう。

合間合間に挟まれる他の配信者の映像も実に不謹慎だったり下らなさを極めている、でも何故かそれが受けているんですよね。

ストーカーのキモさもかなりホラーな描写ですが、これは自作自演と分かると極端なことこそ求められているのである意味テンプレートなストーカー演出を演じていたと分かります。
でもテンプレ化してるって要はみんなが生理的にキモく感じるからこそのテンプレなんだから、あれを笑ってみるものかぁ?とも思ってしまいますよね。

まぁでもこれを何故かと感じるのは自分の感性がついていけていないだけなのかもしれませんが、
でもそれは多分製作側も同じ認識でもあるんだろうなぁと。

何でこんなのが受けるんだ!こんなこと続けていたらこうなるぞ!という憤りをお気楽さで進行して、
最後にそれこそエマのようにナイフで刺すかのようなラストに全力でその思想をぶつけてきているかのような展開。

でも結局本気で信じて心配したエマもそのお気楽さに飲み込まれ、反省したベイリーは何も笑えずエマというコンテンツの撮影に付き従うしかない。

お気楽さこそが不気味さでありホラーという現代の消費が早く不謹慎なコンテンツを良く現していら空気感でしたね。

ワイルドインフルエンサー
(C) 2018 Launch Over LLC. All Rights Reserved.

まとめ

思いの外にいい映画だなぁと思いました。

話の流れも真実も正直先が読めるのが余裕なレベルなんですが、でもこのお気楽さが不気味さにも繋がる空気感の作り方は配信をよく見て作ったんだろうなと。

承認欲求で目立つのが第一、人の迷惑なんて二の次、そして楽しむ人や数字が出ているんだから悪くない、自分の世界だけで生きている人間のこの空気感の出し方は素晴らしい。

自分は製作側は絶対配信者とかインフルエンサー嫌いだろうと感じましたが、でも人によっては好きだからこそここまでしっかり描けたと感じた人もいると思います。

ここら辺は見た人の世代や楽しんでいるコンテンツによって変わると思うので、是非とも一度見て印象を聞いてみたいですね。

時間も短いのでさっぱり見られますよ?


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