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製作国
中国
監督
ルオ・リー
出演者
フェン・リージュン
ペン・ガオチャン
ガオ・シューグアン
ソン・ジャンキ
今回はこのブログだと妙に感想が多くなってしまった中国B級アクション映画、フォービドゥン 選ばれし者(原題:遮天:禁区)の感想。
とにかく安定感のあるのがこの中国B級映画。
本作も実にケレン味に溢れ、パク…参考資料が丸分かりな映画となっておりましたとも。
ストーリーはほとんどおまけと言ってもいい奴ですが、でも最後の展開だけは割と童話のお手本のような展開でちょっと染みる物もございました。
ジャンルはファンタジーアクションで上映時間は約87分となります。
目次
あらすじ
禁断の地に眠る秘宝が世界を救う
Rakuten TVより
九頭の龍が巨大な青銅の棺を北斗星域へと運ぶ時、葬天島が現れる。この島に隠された秘宝“帝器”を手に入れた者は、世界を支配する大帝となる事ができる。しかし、秘宝を手に入れる為には多くの修行者と最後の一人となるまで戦わなければならない。シュー・コンは、育ての親である師匠が自ら身を売り、奴隷となってまで彼を修行者にするべく送り出した青年だ。シュー・コンは帝器を手に入れる為、命がけの過酷な戦いに挑むのだが。
フォービドゥン 選ばれし者を配信している配信サービス
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登場人物
・シュー・コン
過去に師匠により聖地に預けられた修行者
電光石火の能力の使い手
自らを奴隷にしてまで聖地に預けた友人や師匠のために修行をしている
・シャオシャオ
シュー・コンの幼馴染の1人
師匠に自分ではなくシュー・コンが選ばれたことには複雑な思いを抱いている
帝器を破壊するために幼馴染達やシュー・コンと共に葬天島へと乗り込む
・ユエ・シン
修行者
装備作りが得意であらゆる物を操作する
シュー・コンのことを見下しており因縁がある
・ツァイ・シン
ユーシー門派の長
秘術により武器も水も火も効かず、腕を外し偵察なども行える
ユーシー門派の幹部、四鬼を従えている
・ルー・ション
聖域を支配しているルー家の次男
兄とは不仲で父に対しても嫌悪を抱いている
家族を出し抜き帝器を手に入れるためにシュー・コン達を救う
ざっくり概要
ぶっちゃけストーリーはおまけレベルなんでどうでもいいっちゃいい部分なんですが、ざっくりとしたあらすじだけは。
修行者が集まる聖地と呼ばれる土地。
そこの白虎闘技場に集められた修行者達。
その目的は葬天島にある“帝器”、そこに同行する者を見極めるためであった。
修行者の1人で電光石火の能力の持ち主であるシュー・コンは一度はその試練の合格条件である玉蝉を手にするが、
その矢先に別の修行者であるユエ・シンの襲撃を受け負傷し玉蝉を奪われて試練にも敗北してしまう。
聖地を支配するルー家、そしてユーシー門派の長であるツァイ・シンと共に葬天島へと飛ぶユエ・シン。
一方で負傷したシュー・コンはかつて自身を聖地へと修行に向かわせる引き換えに奴隷となった幼馴染達に救われていた。
幼馴染達の目的はシュー・コンと共に葬天島に向かうこと。
そしてルー家達の後を追い彼らは聖地へと潜入して葬天島へと向かう。
辿り着いた葬天島では先に向かった者達の多くが絶命していた。
帝器は1つ、つまり手に入れることが出来るのは1人だけ、それを奪い合い、殺し合いが既に始まっていたのだった。
そして進むシュー・コン達の前に現れたのはルー家の長子であるルー・シウ。
彼に襲撃され仲間の1人であるリウズーが犠牲となる。
追い詰められたシュー・コン達を救ったのはルー家の人間でルー・シウの弟であるルー・ション、
彼がルー・シウを引き受けシュー・コン達はその隙に逃げるのであった。
リウズーの死に打ちひしがれるシュー・コンは幼馴染達になぜ帝器を求めるのかその目的を聞く。
彼らの本当の目的は帝器の破壊、帝器を手にすることで得られるとされる不死の力は天の雷と隕石を招き、
1人の不死によって聖地の1万人が犠牲になる、そうさせないために争いの元である帝器を破壊しに来ていたのであった。
いつの間にか吹雪となっていた島で先に来ていたユエ・シンが島の化け物に襲われているところを見つけるシュー・コン達。
再び幼馴染のスー・コンの犠牲を払いながらも化け物を倒し、そしてその化け物から出たエネルギーはシュー・コンを強くするのであった。
かつて支えてくれたスー・コンの死を振り切り先へと進むシュー・コン、その一方でルー家の戦いは弟のルー・ションの勝利で終わっていた。
ユエ・シンと共に域門まで戻る一同だったが、道は塞がれ帝器を得るまで島から出れないことを悟る。
武器も無くし絶望するユエ・シン、そんな彼に「武器は無くてもお前はお前だ」と励ますシュー・コン。
そんな彼らの前にユーシー門派の幹部、四鬼が襲撃してくる。
彼らに敵わず拘束される一同、しかしシュー・コンは門派の長であるツァイ・シンに化け物達との戦いと帝器へと向かう戦力としての交換条件として協力を申し出る。
自身が優位な状況に立つツァイ・シン達はその申し出を断るが、その瞬間に大量の化け物の襲撃にあう。
再び追い詰められるシュー・コン一同とユーシー門派だったがシュー・コンの電光石火の能力で皆を救う。
救われたツァイ・シンは帝器の前で決着をつけるといいシュー・コンの休戦の申し出を受けるのであった。
中盤までは大体こんな感じのストーリー。
中国B級アクションとしてはよくある話ですよね。
何か重要なアイテムがあってそれを巡って争い主人公には特別な力がある、もう散々同ジャンルを見てきたからだんだんフォーマットも分かって来ましたよ。
でも別につまらないというわけでは無くストーリーがオマケ程度なら力を入れるのはアクション面。
こちらは十分に楽しめる物になっていましたよ。
もはや安心感のあるアクション
B級として見れば常に高いクオリティを誇るのが中国B級アクションと中国B級モンスター・パニック。
今回は前者(ほんのり後者も)がばっちり充実しておりましたよ。
まぁ何と言っても開始3分で世界観の説明した後、はいもうアクション始めますと言わんばかりに闘技場で戦闘が始まりますからね。
そのアクションが修行者と呼ばれる聖地で修行した能力者達が色々な遠距離攻撃、分身、そして電光石火など、
まるで魔法のような演出のアクションをエフェクト増しましで繰り出し、
あっ、この映画のアクションはこういう感じでしかも始まって早々こんだけアクションで飛ばすということはストーリーはおまけなんですね。
と10分も経たない内からどういうテンションや目線で見ればいいのか教えてくれる親切設計となっております。
相変わらずケレン味出すことに関しては中国B級は完璧だぜ!
といってもアクションに幅があるかと言われたら実はそうでもなかったり。
主人公であるシュー・コンの電光石火の能力がメインにし、ただ雷を纏い高速で移動する。それを中心としているので演出的にはやや一辺倒になっている部分は正直ありました。
そしてこの雷を纏い移動する電光石火、そして中国B級といえばパク…参考資料丸分かりなアクション。
はい、今回は思いっきりアメコミのフラッシュまんまでございます。
相変わらずだな!
雷のエフェクトを纏いスローモーションで崩れた岩場から岩場を伝い仲間を救うシーンなどこれでフラッシュを思い浮かばない人はいないでしょう。
ここら辺はとっくに慣れているから自分は何とも思いませんが、
相変わらず豪快にパク…やっている、そしてB級予算でその演出が出来る潤沢さもほのかに感じ取れたりしますね。
後半には宇宙に出てスーパーマンやったりしますし、今回はDCをメインに悪魔合体しているアクションでした。
ツァイ・シンの手取って偵察とか面白いからもっと見たかったんですけどねぇ…
RPGのような話の構成
今回のストーリーの進め方は完全にRPGです。
最初は修行者ではない幼馴染達とと共に行動してイベントが終わるごとに幼馴染達は犠牲になるけど、
代わりに敵対していた修行者が仲間になるなどこれがゲームだったらマジで熱い展開目白押しです。
映画だから展開早いんですけどね!
何より露骨なのが島の化け物倒した後にその化け物から出てきたエネルギーでシュー・コンが強くなるシーン。
これ完全にRPGで敵を倒した時の経験値を可視化した物じゃん!
敵を倒したら成長するのをこれだけ分かりやすく説明的にするのはもう完全にゲームのノリです。
その化け物はエネルギー溜めて腹からビーム出してこれまたアニメよりもゲームっぽいですし、
洞窟の中の罠も天井が落ちてくる中足元の仕掛けをみんなで踏み続けている間は扉が開く仕掛けと、
ゲームっぽさを映画にすると説明的な演出になってしまうんだなと再確認出来ましたね。
他にもこういう映画はありましたねぇ。
自分はこういうのは馴染みがあるので楽しく見れますし、割と中国B級だと通例なような気がしますが、
ここまでやるならもっとはっちゃけて宝箱からアイテム入手するくらいまで突き抜けて欲しかった気もします。
でも定期的なボス戦や現時点では攻略不可能なボスなどゲーム好きなら絶対これゲーム的な演出意識してるなとニヤリと出来る要素満載ですよ。
上手い話には罠がある(ネタバレあるよ)
最後にストーリーの後半について少し触れておきましょうか。
帝器を巡る戦い、それは1つを複数人で奪い合う戦いとなりバトルロワイヤル的な構図になっているのですが、
それは帝器に偉大な力があると伝承されているからなんですよね。
劣等感や虚栄心、他にも純粋な欲からなんて物もあるでしょう。
それを動機にみんな争って命を奪いあってしまうわけです。
そうなるとみんな生き残るためには腕を磨いており辿り着く1人は当然強者となる。
そう、最初から帝器を巡る争いは人々の欲を利用して強者を誘い出し皇帝が体を乗っ取り返り咲くための物だったというオチ。
まぁ、よくある話ですよね。
そんな欲を目的意識にした部分に待ったをかけるのが帝器を破壊するためにやってきたシュー・コン、そして欲で動いていたものの意識の変化があったユエ・シンなわけです。
シュー・コンは「形式より行動を重んじる者は才能を無駄にしない」
この師匠の言葉通りに目的ではなく行動で示す姿、これこそが為政者に皇帝に相応しい人物。
だからこそ彼は電光石火の能力で1000年後の未来にに大帝となった自分の助けを借りて復活した皇帝を撃ち倒すのですが、
卵が先か鶏が先か、とはいえ現在で行動で示す自分がいるからこそ未来の自分が存在し、辿り着くわけですから、
時間超越とかフラッシュすぎるね!
欲がない者こそ為政者に相応しく、その者によって悪政を敷こうとする者が倒されるというのは正に童話のようなお話ですよね。
でもこの分かりやすさと気持ちよさはエンタメ重視な中国B級映画らしくて自分は好きですよ。今はこういうのは照れが出て逆にお出ししにくいですからね。
そしてもう1人のユエ・シンですが個人的にはこちらの方がテーマ的には相応しい人物かなとと思っていたり。
彼は最初は名家に対する憎しみがある一方で羨ましいと思う気持ちも持ち合わせていた。
そういったコンプレックスがあるからこそ最初は落ちこぼれなシュー・コンに対して上から目線な立ち位置だったのだと思います。
そんな彼に変化が起きるのは葬天島で仲間を失い、シュー・コン達に救われてから。
得意の武器も失い自身は何者でもないと言う彼に対してシュー・コンが「武器が無くてもお前はお前だ」とそう声をかけるのですよ。
自分の価値を支えていた物を失っても自分の価値を認めてくれる存在はいる、
そう感じたことで彼は身一つで様々な苦難から自己犠牲でシュー・コン達を救ってくれるんです。
最後にはシュー・コンの蘇生の時間稼ぎをするために橋を壊し壁となり、そして命を落とす…
彼の生き様はこの映画のテーマに相応しい生き様だったと思うのですよ。
コンプレックスがあり、そこから脱却する欲もある、でもそれを帝器に頼らずとも乗り越えて己だけで仲間を自己犠牲によって救う。
最初から価値観が完成されているシュー・コンのような人物もいいですが、
自分みたいな人間だとやはり価値観を変えて乗り越えたユエ・シンみたいな人物にどうしても惹かれてしまうんですよねぇ。
個人的には能力描写だとシュー・コン、人間的な部分だとユエ・シンが見どころの映画だったなと思います。
まとめ
ケレン味とゲームっぽさで安定感ある中国B級アクションでしたね。
アクションは相変わらずB級としてはクオリティ高く、
パク…参考にしている物に関しては全く持って褒められた物じゃないですが、
でもB級にしてはクオリティ高めなのがずるいんだよなぁ。
気楽に見れるのに映像面では楽しいというのは完全に中国B級の強みとなっていますね。
それに対してストーリーはオマケ。
この意見は変わらないのですが、それでもユエ・シンの描写に関しては満足出来る物がありました。
やっぱ乗り越える人間というのにはやっぱどれだけ変なストーリーでも共感は出来てしまう物なんですよ。
彼がいたからこそストーリー面も楽しめる映画となりましたね。
だからこそ生き残って欲しかった…
この映画、自分は楽しめましたがぶっちゃけあんま期待を高めて見る物ではないです。
でも中国B級のお約束やらパク…やらを許容して笑えて、安定した高クオリティのアクションを見たい人なら十分に楽しめる映画にはなっていると思いますよ。
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