【映画】クロス・ミッション 感想 話や展開のツボの押さえ方がすげえ好み【Netflix】

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製作国

韓国

監督
イ・ミョンフン
出演者
ファン・ジョンミン
ヨム・ジョンア
チョン・ヘジン
チョン・マンシク
チャ・レヒョン
イ・ホチョル

今回はネトフリ配信の韓国映画、クロス・ミッション(原題:크로스/Mission: Cross)の感想。

みんな大好き実はすごい経歴だった系アクションなんですが、個人的にはそこよりも夫婦の空気感の描き方がすげえツボにハマって好みだった映画。

数あるネトフリ系アクションの中でも上位に来るくらいにはハマる内容でした。

自然にいられることこそ夫婦、そこにロマンチックな過去なんて必要ない。

そんな空気感を大切に夫婦が別アプローチで追いかけるシリアスな1つの事件、しかしそれが夫婦というフィルターが通ると途端にコメディに。

そして最後に交わる時の無敵の夫婦っぷり、このツボの押さえっぷりをしっかりと堪能出来ました。

ジャンルはアクションで上映時間は約100分となります。

ここが見どころ!

・夫婦の空気感

・シリアスさとコメディさが入り混じるストーリー

あらすじ

特殊要員から主夫になった男と、夫の過去をまったく知らない刑事の妻。図らずも危険な任務に巻き込まれた2人は、夫婦のきずなが試される大きな試練に直面する。

Netflixより
Netflix Japan

登場人物

パク・ガンム

刑事である妻ミソンを支える主夫

実は元情報司令部の特殊要員で6年前の作戦で部下を亡くし、クビになっていた

元部下のヒジュが追われていたのを救い彼女、そしてこれまた元部下のジュンサンが追っていた事件に協力する

カン・ミソン

強力犯罪捜査隊刑監

射撃でアジアナンバー2になった実力を持つ

銃撃事件を追う中でガンムの関わる事件と交わっていくことになる

ヒジュと再会した夫を目撃した部下が不倫と誤解したことで事件と夫2つを探ることに

チャン・ヒジュ

ガンムの元部下

何者かに追われていたところをガンムに救われ、政府の事件を追っている夫ジュンサンが行方不明になったことを語り協力を求める

キム・ジュンサン

ガンムの元部下

ガンムがクビになった後、作戦に関わっていた国防部の防衛産業の不正を追う中で行方不明となる

パク将軍

ジュンサンが追っていた大物の軍納業者

ざっくり概要

ここからはいつも通り途中までのあらすじを。

敏腕刑事だけど家事や健康管理はダメダメな妻ミソン、そんな妻を支えながらも尻に敷かれる主夫の夫ガンム。

そんなお互いに少しの不満がありながらも何だかんだで一緒にいる夫婦。

刑事であるミソンはとある銃撃事件の捜査に入る。

トンブ貿易で防犯カメラが外された状態で行われたプロと思わしき犯行。
ミソンは大きな事件の予感と銃撃された女性の安全のために彼女は死亡したと記者に公表させる。

その一方でガンムは街中で複数の人間に追われる女性を救う。

彼女はかつてガンムが政府の特殊要員を務めていた時の部下ヒジュであった。

何があったのかヒジュに事情を聞くガンム。彼女の口から語られたのはもう1人の部下ジュンサンが大きな事件を追って行方不明になったことだった。

そんな2人の再会を見ていたミソンの部下2人、彼らはガンムとヒジュが不倫をしていると誤解をし、ミソンの耳にもそれが入ってしまうのであった。

ガンムの脳裏に思い起こされる6年前の出来事。

ロシアによる北朝鮮の武器の輸入阻止作戦のために前倒しで上からの許可なく行った作戦で部下のグムソクを失っていた。

しかし、その作戦には不可解なことも多く、行き先が北朝鮮ではなく韓国だったこと。そして荷物には謎のマークが彫られていたこと。

しかし、独断で行った作戦により部下を失ったガンムはクビになり、ジュンサンがその事件を引き継いで追っていたのだった。

トンブ貿易について調査するミソン。

しかし社員たちは数ヶ月の間に殆どが事故死しており、そして身元引受人の中にはジュンサンの名前が…

その一方でジュンサンを探すために彼のヒジュと共に隠れ家を訪れるガンム。

そこで聞かされたのはジュンサンは内部告発をしようとしていたこと、内容は国防部の防衛産業の不正。

ジュンサンの手掛かりを探そうとするガンムとヒジュ。

そして隠れ家に郵便受けに直接投函されたUSBから繋がった匿名チャットからジュンサンに会えるという答えが返り呼び出されたホテルに向かう。

事件と夫の浮気の可能性に荒れるミソン。

浮気の証拠を探すが、出てくるのは夫が自身を大切にしていることが分かる情報ばかりであった。

ヒジュと合流しようとするガンムを尾行するミソン。

ホテルに入ったところをドローンで監視していたが銃撃事件の被害者であるペクが目覚めたことを聞き、急ぎ引き返す。

ミソンが引き返す中ガンムとヒジュは呼び出された部屋に向かい、男と出会う。

彼から語られたのはジュンサンが追っていた事件の全容。

国防部の3兆5000億ウォンの軍納不正、主導したのはパク将軍という大物の軍納業者、そして6年前の作戦の時に見たマーク。

ジュンサンはチームを組んで将軍を追っていたが次々と死者が。

そして大金だったために将軍を不審に思い裏金は将軍ではなく安保司令部が管理することになる。
それをチャンスにジュンサン達は口座を凍結し裏金口座を奪って隠したのだった。
口座が消えれば隠れている将軍が姿を現すと思い…

そして浮気の尾行から帰ってきたミソンには監視カメラでジュンサンを見つけるミソン。
彼はトンブ貿易の社長、つまりジュンサンのチームはトンブ貿易を騙って動いていたのだった。

将軍に拉致されたジュンサンを救い出すために彼のいる旧国軍精神教育院の下見に行くガンムとヒジュ。

ミソンの方はヒジュの顔と指紋を確認して自宅に帰っていた。しかしそこにはまだ洗われていない皿が。
彼女より遅れて帰宅したガンムだったがその目に映ったのは夜勤だから先に寝ていてというメッセージとミソンが洗った皿であった。

嫌われたのかと不安になるミソンだったが同僚がガンム経由で渡した手首のサポーターを見てそんなことは絶対にないと確信さて励ましていた。

目覚めたペクから軍納不正事件について話してもらうミソン。
彼女からパク将軍のマークを、管制センターからはジュンサンが役目不明になる前の最後の監視カメラの映像を伝えられるのであった。

ジュンサンを救い出すために潜り込むガンム。

拷問されていた彼を何とか救い出し脱出する。

その頃管制センターによって発覚したジュンサン最後の足取りの映像を確認するミソン。

そこには複数の人間に囲まれて拉致されるジュンサンの姿が、しかしミソンが気付いたのは現場の坂の上にいる人物。

そこに映っていたのはヒジュ。
パク将軍の正体は彼女であることが判明するのであった。

ガンムとミソンそれぞれが追う1つの事件の行方は、そして浮気疑惑の誤解のまま突き進んでいる夫婦の仲はどうなるのか。

こういうツボを抑えた話はかなり好み

夫婦が別のアプローチから1つの事件を追う、つまりクロスするミッションなこの映画。

この映画の夫婦の描き方や夫婦間の誤解を交えながらコメディも交えたストーリーの展開、そしてその過程を経た上での後半と。

韓国映画らしい汚さや痛さを遠慮しない部分も含めて、これらがしっかりとツボを押さえていた作りが個人的にすげえ好みでした。

夫婦の描き方が逆にロマンチック

まず夫婦の描き方がいいんですよ。

なんといってもこの2人、夫のガンムが元政府の特殊要員という凄まじい経歴、
こんな過去にも関わらず夫婦の出会いとか馴れ初めとか結婚した経緯とか一切語られないんです。

普通だったらこんな過去があったらそりゃもう過去の回想でやさぐれていた男が妻との出会いをきっかけに尻に敷かれる主夫になるまでを描く方がロマンチックじゃない?と思うにも関わらず描かない。

もうね、これがこの夫婦の空気感としてすげえ良い感じに見えるんですよ。

妻の方のミソンが冒頭とラストのモノローグで夫は宝くじのようなものだと語るんですけど、これ当たりくじとは絶対に最後まで絶対に言わないんですよ。

『妥協して暮らすのが夫婦なのか、互いに一緒に暮らす理由がありそれが夫婦だ』とここから伺い知れる何となく一緒にいるけど裏を返すと何となくでも一緒に居続けられる関係が夫婦なんだって。

この描き方がすげえいい。

こんなことを言いながらも浮気疑惑には嫉妬もするし、でも夫であるガンムがそんなわけはないと信じるところとか。

ナチュラルに想いあっている見せ方がいい空気感を出しているんですよ。

何て言いますか2人の馴れ初めとかの過去を見せず今のあり方だけを見せることで、自然体でいられるというこの関係の夫婦の描き方が劇的な馴れ初めを描くよりずっとロマンチックに見えるんですよね。

買った宝くじが当たりじゃなくてもいい、でも自分にとっては必要なくじだった。うーん、いい夫婦です。

夫婦というフィルターを通すとコメディに

この映画、本筋は至ってシリアスです。

ガンムの方は自身の部下を失った後悔している過去に纏わる作戦と元部下の危機、ミソンの方は銃撃事件を端を発した大きな陰謀。

夫婦がそれぞれ別々のアプローチで1つの事件を追うことになるわけなんですが、
この事件がいざこの夫婦というフィルターが通されると誤解によって急にコメディさが出てくるんですよ。

というのもガンムと元部下の女性ヒジュの再会をミソンの部下が目撃して浮気疑惑が持ち上がるからですね。

この疑惑によってシリアスな部分にコメディさが一気に付与されていくんですよ。

ガンムはヒジュのために骨身を削って事件を追っていくわけですが、自分の過去を隠していてしかもヒジュと出会ったことが知られているとは思わないんで、

ミソンに隠してヒジュと事件を追っているのがミソン視点だと浮気の密会にしか見えなくなるというこの誤解が面白い。

で、ガンスを心から信じていながらもそれを見たミソンが嫌われてしまったのかも?と思うところで尻に敷くだけの恐妻家ではなくなるところがまた上手い。

追っている時間は3兆ウォン超えの巨額の金が絡んだ国家レベルの不正…

なのにこれを追う2人が夫婦というフィルターを通すと途端に浮気疑惑という小さな、しかし夫婦にとっては国家レベルどころじゃない事態になってしまう。

この大きな事件の話でもどこまでも夫婦の小さな話を捨てないところがすげえツボにハマるわけですよ。

夫婦とコメディをしっかり活かした後半

この夫婦の描き方と浮気疑惑のコメディ。

どこまでも夫婦をしっかり描きながらも実はこれがちゃんと後半の展開に活きるところがこの映画の憎いところ。

コメディとシリアス混じりで進んだ展開がジュンサン救出と拉致の瞬間の映像から一気にシリアス寄りになるんですけど、
ここで浮気疑惑を追っている最中でミソンがヒジュの顔を確認していた。
これによってジュンサンが拉致された時に映像にヒジュが映った時に彼女がパク将軍だとミソンも理解出来るようになる。

このコメディ部分がしっかりと活きるのにはなかなか唸らされましたね。

で、それによって今度はガンムよりミソンの方が真相に近付き彼女がピンチになったところをガンムが救い夫の過去を知ることになるというね。

もうこの流れがあまりに綺麗すぎてその後の夫婦の会話も含めていい計算がなされている映画だなと思えるわけですよ。

ガンムの素性を知った時の2人の会話がまた良くてですね。

「どう受け止められるのか怖かった」というガンムに対して、

「私以外に誰が理解するの?、世界中の人があんたを罵っても私は味方になる、それが夫婦よ。」

こう返すミソンを見て相手に惚れ込んでるのも分かるのと同時に尻にしかれている理由も伝わってくるのがまたいいんです。

この時だけ2人が尻に敷かれる夫と尻に敷く妻の関係性で会話するのも含めて、ここでこの空気感になれるのが夫婦だよなって納得出来るんです。

この空気感こそがこの映画の最大の魅力だなって思えますね。

そこからの2人の反撃については語るまでもないでしょう。

このノリの映画なら、元特殊要員の夫とアジアナンバー2の射撃の腕前を持つ敏腕刑事の妻。
夫婦通じ合った状態でパクの元に乗り込むとなれば最高の無双が見れるって訳ですよ。

こんなどこまでも夫婦の自然な空気感に気を使った映画であり、
全てが終わった最後の台詞「夫は人生最大の宝くじ、合わないけど歩み寄って生きる、私たちは夫婦だから。」

これで締められたらもうこっちが言えるのはごちそうさまとしか言いようがないですね。

まとめ

なんかすげえツボを押さえている、正確には自分のツボにハマる映画でした。

ロマンチックさがないのが逆にロマンチックというかね、この夫婦の空気感は滅茶苦茶好みでした。

アクション映画としてもネトフリらしくしっかりと豪華ですし、それでいて韓国映画らしい汚さや痛さもしっかりと忘れずに描写されている。

特に糞尿収集車使ったカーチェイスで遠慮なく糞を使って切り抜けるところとか最高に韓国映画って感じがして好きです。

こういう押さえるべきツボを押さえるという作りは韓国、というかアジア圏の映画の方が上手い気がしますね。

まぁこってこてなベタな映画と言われたらそれまででしょうが、それでも個人的には大当たりの映画でした。

これからも期待しているぜネトフリ。


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