【映画】マークスマン 感想 燻銀な結末はまだ早い

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製作国

アメリカ

監督
ロバート・ローレンツ
脚本
クリス・チャールズ
ダニー・クラビッツ
出演者
リーアム・ニーソン
キャサリン・ウィニック
ファン・バブロ・ラバ
テレサ・ルイズ
ジェイコブ・ペレス
レリア・サイミントン

犬が死ぬので見たくない人は避けましょう

 今回はアマプラにて鑑賞、マークスマン(原題:The Marksman)の感想。

 リーアム・ニーソンが演じる元軍人と少年のロードムービーということでアクションなら交流やらを期待して視聴したわけですが、中身は果たして。

 ジャンルはアクション(かなぁ?)で上映時間は約108分となります。

(C)2020 AZIL Films, LLC. All Rights Reserved.

あらすじ

愛妻に先立たれ、メキシコ国境付近の町で牧場を営みながら愛犬と暮らす元海兵隊の腕利き狙撃兵、ジム・ハンソン(リーアム・ニーソン)。ある日、メキシコの麻薬カルテルの魔の手を逃れ、越境してきた母子を助けたことから、彼の運命は大きく変わり始める。カルテルに撃たれた母親は、ジムに11歳の息子ミゲルを託して絶命した。ミゲルをシカゴに住む親類のもとに送り届けてほしい–日々の生活に手いっぱいのジムだったが、仕方なくこれを引き受ける。一方、米国に侵入したカルテルは執拗に彼らを追撃。迫りくる危機に、ジムは必死に抵抗する。果たして彼は、ミゲルを守り、シカゴにたどり着くことができるのか? 命を懸けた戦いの火ぶたが、切って落とされた!

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登場人物

ジム・ハンソン

元海兵隊の狙撃兵

現在は愛犬ジャクソンと共に牧場を経営しているが先立たれた妻の医療費により差し押さえが迫っている

国境付近で密入国しようとする母子を見つけたとかにより、事件に巻き込まれていく

ミゲル

母ローサと共にカルテルに追われメキシコから逃げてきた少年

サラ・レイノルズ

警察官

亡くなったジムの妻の娘でジムに取っては義娘にあたる

ミゲルを連れてカルテルから逃げるジムの安否を心配し、何とか連れ戻そうと説得する

マウリシオ・ゲレロ

カルテルの人間でミゲルを追う男

ローサ

息子のミゲルと共にカルテルに追われ、密入国をしようとした女性

カルテルとの銃撃戦の最中で凶弾に倒れ、ジムに息子を託す

ざっくり概要

 ここからはいつも通りに途中までの話をざっくりと。

 メキシコとの国境付近で牧場を営む元海兵隊の男ジム。

 彼は妻にガンで先立たれ、その医療費で牧場の経営も差し押さえを受けるほどに切迫しており、バーで今まで国に尽くしてきても妻も牧場も何も残らないと義娘で警官のサラにバーで愚痴るのだった。

 次の日国境付近で密入国をしようとする母子を見つけ、国境警備隊に通報するジム。
 しかし、その時母子を追ってきたメキシコのカルテルが現れ彼女達を引き渡すように要求する。

 一触即発の雰囲気の中、銃撃してきたカルテルに応戦するジム。
 カルテルの内1人を仕留め、何とか母子を連れて追手を振り払うことに成功するが、母親は銃撃戦の最中で凶弾に倒れてしまう。

 母親は息を引き取る前にジムに息子を守ってシカゴにいる親戚の元まで送り届けて欲しいと息子をに託すのだった…

 母親の言葉を聞きながらも警察を呼ぶジム。

 今後の少年の行き先をサラに聞くと児童養護施設に送られるとサラに教えられる。
 そして現場に来ていた通訳からは遺された少年が“見逃してくれてたら母は生きていた”と言う言葉を伝えられてしまう。

 火曜日

 前日の聴取の後に駐車場に停めた車の中で眠ってしまったジム。
 愛犬ジャクソンと共に朝食を食べに行こうとしたその時不審な男達が駐車場に入ってくるのを目撃してしまう。そして少年の母親が残したバッグが車内にあることにも気付き、その中を確認すると大量の札束が入っていたのだった。

 一旦は男達を無視をして朝食に向かおうとするジムだったが、少年の母親から託された言葉が頭に引っかかり急いで引き返す。

 少年が既に移送されたか確認するジム。

 だが聞かされたのは少年が命を狙われているにも関わらずメキシコに強制送還されてしまうと報告だった。

 それを聞いたジムは少年ミゲルを連れ出して自宅で準備を整えた後、ジム、ミゲル、ジャクソンの2人と1匹で急ぎシカゴを目指すことを決断する。

 ガソリンスタンドで給油をしながら、地図を貰うジム。
 サラに連絡をしてミゲルを連れ出した事情を話すが、すぐに連れて帰るように説得される。
 ミゲルの母親と約束をしたからと断るジムだったが、その直後自宅がカルテルの手によって燃やされたことを知るのだった。

 その頃ミゲルを追うカルテルはアリゾナ州の拠点からジムのカード支払い履歴を辿り、彼の居場所を特定していた。

 自宅を燃やされたことや今の現状に苛立つジム。その時英語を話せないと思っていたミゲルが国に帰りたいと英語で話したことに驚く。

 驚いたのも束の間、昨日の銃撃戦により車のラジエーターに穴が空いており冷却水が漏れ、水温異常で止まってしまう。

 急ぎ修理を頼むジムだったが、店じまいの時間であり、応急処置でも1日かかると言われ、近くに泊まることにするのだった。

 銀行に返済の目処が立ったと連絡をした後、ミゲルになぜカルテルに追われていくのか質問するジム。

 ミゲル達が追われていた理由は母ローサの兄であるカルロスがカルテルの金を奪い、怒らせたからと教えられる。

 水曜日

 急場凌ぎの修理を終え、ジャクソンの散歩をして帰ってきたミゲルに地図を読むのを任せて出発する2人。

 だが道中で車の傷とミゲルを見て不審に思った警官がジムを止めて事情聴取を始める。

 だがミゲルに話を一切聞かない警官と不審な連絡を聞いたジムはこの警官がカルテルに誇りを売り渡した男だと察して、警官を気絶させて急いで横道に車ごと隠れる。

 そして警官の元に現れたカルテル達の様子を伺っていると、警官が目の前で殺害される。
 何とか気付かれずにやり過ごしたジム達だったが、地図を落としてしまい、カルテル達にそれを拾われてしまうのだった。

 警官に奪われた代わりの銃を購入するジム。

 本来なら身元検査などが必要だったが、トラブルに巻き込まれたことを話し、元軍人のよしみで盗難届を出す代わりに特別にその場で銃を売ってもらう。

 トラブルはジムが原因か?と最後に店主に問われるが、「トラブルは自分が原因ではないが関わる道を選んだのは自分だ 」と答えるそれに対し店主は「正しい道ならいい」と返すのだった。

 再びサラに連絡して追ってきている男の情報をもらうジム。

 追手の男の名前はマウリシオ・ゲレロ、少年時代からカルテルにいる男であり、また最初銃撃戦で彼の弟を殺害したことからミゲルだけでなくジムも個人的な理由でも狙われていると分かる。

 これ以上は危険なので引き返して当局に任せろとサラに説得されそれを了承するジム。
 現地の人間を応援につかせようとするサラだったが先の警官の件で信用出来ないとジムが答えサラ自身が彼の元に向かうのだった。

 ミゲルに服を見繕いお菓子などを買った後、目立たない場所に車を停めモーテルに一泊しようとする。

 少しの時が経ちカルテルも町に着き、ジムがカードで支払った店を次々と襲う。
 ジャクソンを散歩のために外に出したジムがカルテル達を目撃してすぐにミゲルを起こして部屋から離れる。

 カルテルに追われるジム達だったが、警察の到着で難を逃れる。
 しかし、カルテルに飛びかかったジャクソンが無惨にもジムの目の前で撃ち殺されてしまうのだった…

哀愁ある男のロードムービー

 今作はおっさんと少年のちょっと血生臭いロードムービー。

 まぁ大体の人は好きな構成であり、代わり映えを出すのが難しい構成でもあるやつですね。

 実際今作もロードムービーの構成としてはそこまで代わり映えはしないストーリーです。

 色々失った哀愁漂うおっさんジムが密入国してきた母親ローサから息子ミゲルを託されて目的地シカゴを目指すと言う内容ですからね。

 ただ始まりが血生臭く、そして使命感よりも俗っぽさが目立つのがやや珍しいところでしょうか。

 軍人として国に尽くして妻を失って牧場も差し押さえされそうになるジムの元にカルテルに追われる親子がやってきて亡くなった母親から息子を託される、そしてその母親が持っていたのは大量の札束だった。

 最初は哀愁漂うおっさんにしては珍しく純度100%の善意や使命感ではなく金も目当てというね、これに関しては銀行に返す目処が立ったと連絡をしたことから間違いないでしょう。

 で、最初がこんなもんですし、ミゲルの方も最初の通報の件で母親が死ぬことになり、ジムに微妙なわだかまりがあるんで交流というのがなかなか進まなかったりする。

 終盤までは深入りしそうでしない、そんな展開がダラダラと続くわけですよ。

 中盤はどちらかと言うと簡単に入国出来てしまい、しかもアメリカに拠点があるばかりか、カードの履歴までハッキング出来るカルテルのやばさの方が面白いくらい。

 そこで大きな変化をもたらすのはやはり共通の思いのある相手に対するショッキングな出来事。

 この2人の道中で唯一2人に対して平等に接するのが、ジムの愛犬のジャクソン。
 このジャクソンが追ってきたカルテルに吠えかかってしまってあっさりと本当にあっさりとするくらいに射殺されてしまう。

 登場人物もショックですが、見ているこっちもショック。
 話が横道に逸れますがこの出来事で迂闊に人に勧められない映画になったことは間違いありません。

 この共通の存在が殺されたことで2人にしっかりとした変化が起きる。

 それがジャクソンの埋葬のシーンなんですが、ミゲルはジャクソンが天国に行ったと語るのに対して、
 ジムは大人気なく、──関わったことによる結末なので苛立つのも当然ですが──愛犬の死に対して天国なんてなく、慰めに使う“まやかし”もうどこにもいない、要は無になるとまで言い放ってしまう。

 ここの死についての議論、この後にすぐに改まってミゲルのために教会まで連れて行って亡くなった母親のために祈りを捧げる機会を与えるのですが、ここでジムは明確にミゲルをちゃんと見たのだと思います。

 死なんて物への幻想なんていうのは大体年齢を重ねるごとに薄くなっていってしまうものですが、ミゲルはまだ天国を信じるくらいの子供。
 彼はまだ未来がある少年だと明確に認識して彼のためだけに行動する決意をここでしたのだと思います。

 その証拠にこの後にローサの持ってきた金を全てミゲルと共に燃やす、これをやった時点で何も得ることのないミゲルの安全以外は何も残らない旅路にするのですから。

 この後に追ってきたカルテルのマウリシオとの決戦もありますが、ここら辺はリーアム・ニーソン起用にしてはとても大人しめのアクション。

結構期待していたのでここは残念。

 でもこの映画は哀愁漂う親父のロードムービーなのでアクションそのものよりも大事なのはその結末。

 マウリシオがミゲルを捕まえて国に戻って自分と同じように兵士に育てようとする場面で、
 ジムが「生きる道は自分で選ぶんだ」と言うのですが、マウリシオが自分に選べる道は無かったと返す。

 少し唐突感はあるにはあるのですが、マウリシオはミゲルのあり得た可能性でもあったのでしょう。

一応マウリシオが追走の最中でカップルを意味ありげに見ていたのが伏線といえば伏線?


 でも救って導いてくれる存在がいなかったマウリシオに対してミゲルにはジムがいた。

 だからこそミゲルは親の仇であるマウリシオの殺害は何とか堪えることが出来、正にジムの言う「生きる道は自分で選ぶ」判断をする。
 そしてマウリシオにもそのまま銃を渡して彼にも最期の道だけは選ばせる。

 最後の最後でようやく哀愁さから渋さになったと思います。

絶対に後ろから撃つと思ったのは内緒。

 そしてシカゴに送り届けたミゲルとの別れも怪我の深刻さを隠して勲章だけを渡して立ち去り、バスの中でひっそりとおそらく息を引き取って幕を閉じる。

 なんかジムが可哀想な話になっていると思わなくもないですが、実際道中で結構この幕引きは予想出来るんですよね。

 最初に家を燃やされ、道中で関わった人はジムのせいではないとはいえ殺害されたり、終いには愛犬だって殺害される。そして自分の手で金だって燃やしてしまう。

 こういったある種の終活準備に無理やり入らせるという流れなので。

 正直この話が面白いかと言われたら、ロードムービーとしてはでかいショックによって関係性の発展を一気に縮めると言う形なので、交流の少なさから深い関係性にはあんまり見えない。

 でも哀愁漂う何も残っていない、何なら道中で更に奪われていく親父が最初の目的だった人生をやり直す金を燃やして少年のためだけに人生を尽くす覚悟をして何かを残して終わるというのは燻銀な良さがあります。

 やっぱこういう擬似的な関係のロードムービーは別れがあることが美しいんですよね。

 まぁ、面白かったかと思えたかはまた別の話なんですが…

まとめ

 往年の西部劇的なノリでもありますし、ロードムービーとしても無難な作りでもあります。

 でも求めていた内容かと言われると自分にとってはそうではなかったかなぁと。

 こういう燻銀な渋さ全振りな終活をリーアム・ニーソンにはまだ求めていないと言いますか…

俳優が違えば多分感想変わった。

 渋さ自体は良いのですが、まだまだ程よく暴れる親父であって欲しいという願望の方が強いので、
 なのでこの映画は好き嫌いという範疇ではなく、単純に合わない映画でした。


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