【映画】スパイ『映画』を求めると物足りない エージェント:アンヌ 感想

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エージェント:アンヌ
(C) 2022 VEGA FILM SA – SOMBRERO FILMS

製作国

フランス、スイス

監督
ジェローム・ドシエ
脚本
ジェローム・ドシエ
ディディエ・ルジェ
出演者
アーシア・アルジェント
ジャンヌ・バリバール
ジョゼフ・レズウィン

今回はスパイ映画と思っていた、エージェント:アンヌ(原題:Seule: Les dossiers Silvercloud/Let Her Kill You)の感想です。

蓋を開けてみると登場人物は殆どアンヌしか映らない会話劇、
2008年のアメリカ大統領選に纏わる話にしてるのでメタ的に結果が分かっており駆け引きはあまり成り立たないと、
はっきりとスパイ映画を求めてしまうとおそらく物足りない映画です。

なのでこの映画は主人公アンヌとシャルリー、この2人の愛の物語として見ましょう。

実際、登場人物達の行動にあまり意味がないのでこの2人の結末くらいしか見どころはないので。

ジャンルはミステリースリラーで上映時間は約98分となります。

ここが見どころ!

ラストまで徹底した会話劇

色々駆け引きがあるようで実はシンプルな物語

あらすじ

美しき元諜報員。女は必ず遂行する–。裏切りと銃弾が交錯する、スパイ・サスペンス・アクション!!雪山で身を潜めて暮らす元諜報員アンヌ。しかし、数々の機密情報を握る彼女を野放しにしておくわけがなかった–。忍び寄る組織の“掃除人”。そしてかつての恋人。凍える殺意の果てに、待ち受けるものとは–。極寒に閉ざされた戦場で、孤独な闘いが始まる–!!

TELASAより
FilmIsNow Movie Trailers Internationalより

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登場人物

・アンヌ・ケラー

かつてシャルリーに勧誘された元ロシアのスパイ

現在はエリザベス・ケラーと名乗りサンモリッツに犬のルフィと共に住んでいる

過去にスパイとして行った大統領選での仕事の唯一の証人としてジョーに協力を求められ、シャルリーからは隠蔽を求められる

シャルリー

ロシアSRVのスパイ

アンヌを勧誘した女性であり彼女とは恋人関係にあった

大統領選でのロシアの暗躍の暴露を阻止するために組織の指示で再びアンヌと接触させられる

出生届の名義はカーチャ・エゴロヴァ

ジョー・ターナー

暴露サイト多国籍メディアNGOのシルバークラウドの人間

大統領選でのオバマ陣営にいたロシアのスパイの暴露の証人としてアンヌに協力を求める

カン博士

オバマの選挙顧問

裏の顔はロシアSRVのスパイでコードネームはステッペンウルフ

政治思想も持たず金でも動かない人間だったが妻の癌の治療費のためにロシア側に協力していた

会話劇なストーリーだけど意味はあったのか?

元ロシアのスパイであるアンヌが2008年のアメリカ大統領選にまつわる過去の仕事に追われることになるという本作。

当時のオバマの側近としてロシア側のスパイが潜り込んでいたという仮定というかモキュメンタリーな内容ですね。

実際アメリカ大統領選なんてマジでこんなの日常茶飯事だろうし、モキュメンタリーでもないかな?

そんなこの映画ですがぶっちゃけてしまうと殆ど会話だけで進むという所謂会話劇な映画です。

エージェント:アンヌ
(C) 2022 VEGA FILM SA – SOMBRERO FILMS

時系列でいうと現代のシーンで映っているのは殆どアンヌだけ、
重要人物であるシャルリーやジョーに関しては前者は最後の最後にようやく、後者に関しては声だけでしか登場しない徹底っぷりです。

過去の回想シーンならシャルリーやカン博士はもっと映りはするのですが、現代はマジでほぼアンヌだけ。

たとえ銃撃戦になろうとも街中に出ようとも本当にアンヌしか映りません。

犬のルフィの方が下手すりゃ他の登場人物より画面に映る。

ここまで徹底しているとなると重要なのはこの構成に意味があったのか?という話になると思うのですが、正直なところ個人的にはあまり意味を感じませんでした。

こういう構成は相手の顔を映さないことで真実に対する想像や予想を膨らませたり入れ替わったりというのが行う意味だと思うのですが、
別にこれ顔を出しても出さなくても結果は同じだしなぁとしか思わなかったのです。

顔を出さずにアンヌと接触する主な人物というのは過去にアンヌをスパイとして勧誘して恋人関係だったシャルリー
そして暴露サイトでオバマのスパイの話を暴露しようとするジョーなのですが、
この2人特に何も変化もなく最後までシャルリーとジョーなんですよ。

敢えて顔を出さないという構成にしていてしかも相手はロシアのスパイ組織ですよ?
そりゃシャルリーが偽物だったり接触していたジョーが実は裏切り者、もしくは途中で入れ替わったりとか考えるじゃないですか?

でもそんな劇的な展開なんてあるわけもなく、シャルリーはシャルリーとしてロシアの組織の中で今回の件を阻止して隠蔽するため、そしてどさくさに紛れてアンヌと逃げたいがために接触していて、
ジョーは最後まで顔出すことなくアンヌからの情報を得て暴露するだけ。

途中の入れ替わりもなければ実は裏の目的も無い、これじゃ会話劇にした意味がなぁと。

強いて言えば最初はシャルリーが本当に本人かと疑う部分辺りがこの構成の意味なんでしょうけど、別にこれ出生届の件を話す序盤だけでも成り立つしなぁと、
もっと声色の変化とか相手の真意が読めないとか顔を見せないことによる会話劇の意味がもっと欲しかったですね。

結局は愛のお話です(ネタバレあるよ)

エージェント:アンヌ
(C) 2022 VEGA FILM SA – SOMBRERO FILMS

この映画のストーリー。
オバマの側近がロシア側のスパイだったとか、
それを暴露しようとする暴露サイトからの接触とか、
その暴露を阻止しようとするロシア側の組織だとか、
そんなん全部気にすることなく投げ捨てて見ていいアンヌとシャルリーの愛の物語です。

いや、本当ぶっちゃけこれでしかない物語なんです。

現実を元にしている以上は裏でどんな事が起きていたにしても表向きの結果は決まっている、
登場人物が少なく政治的思想をぶつけ合って主張するようなストーリーでもない。

なら結局この映画で気になるのはアンヌとシャルリーの愛の結末と後は生死くらいしかないでしょう。

言ってしまえば他の要素は2人の愛を阻む障害、愛が遠ければ遠いほど燃え上がるってやつです。

そもそもこの2人の関係性なんですがロシア側のスパイである色々な人間を勧誘するのが得意なシャルリーがアンヌのことも当時勧誘していた自分達に協力させていたという関係性なのです。

ですがオバマの側近としてカンを使うという作戦の後にここら辺はあまり語られませんが、
過去の回想の一幕を見る限りアンヌは足を洗いシャルリーも一緒に来るはずだったけど来なかったそんな関係性のまま終わってしまった関係だったのでしょう。

そんな別れた2人を過去の事件が再び結びつけるという訳なんです。

エージェント:アンヌ
(C) 2022 VEGA FILM SA – SOMBRERO FILMS

ですが当然当時のような関係性のままでいられるわけもなく、
アンヌはシャルリーはあくまで仕事して自分に接触しているのでは?もっと言えばこの声の持ち主はシャルリーなのか?と疑いますし、
シャルリーはシャルリーで自分は人を勧誘する立場、言ってしまえば人の心の隙間に入り込んで利用するようなスパイだったので、
その自身が行ってきた仕事故に当時アンヌが自分のことを本当に想っていてくれていたのか疑問に思う訳です。

ですがその2人の想いも通信越しに過去にシャルリーが教えた自分の出生届の名前、
いわば自分のパーソナリティな部分を教えた信頼の証ですよね。
それをアンヌが通信越しにシャルリーから聞き出して少なくとも彼女はシャルリーだという確信は持つ訳です。

そしてそんなオバマの件の唯一の証人である2人が本当に組織から解放されるためにアンヌも最初は組織というかシャルーンの言うことを聞き、編集したビデオ渡し、
でも結局は予防線として残していた編集前の真実が写った写真を暴露サイトに渡そうとする、
当然そうなると組織からは狙われる訳ですよね。

その結果として2人は最終盤にようやく再会はする、そして共に逃げようとしますが、
シャルーンは撃たれてアンヌは生き残るという2人の愛の物語は悲劇で幕を閉じることになります。

これは言ってしまえばスパイ行為という代償が幸せな形で終わることはないということなのでしょう。
でもアンヌは真実を渡すというある種の償いを行い、シャルーンは組織の言うことを聞き続けた、
メタ的に言うと悲劇を迎える2人の生死を分けた部分なのかなと思います。

生き残った方が悲惨だよねと言う意見もあるでしょうけど。

結局会話劇なので再会すらも最後の最後、それも碌な会話も交わせないまま今生の別れとなってしまう結末なのですが、
あんだけお互いが見えない時は会話が多かったのにいざ出会ってしまうと全然会話もなく終わってしまうというのはなんか諸行無常を感じるストーリーですよよね。

色々喋る会話劇だけど結局は色々な要素はどうでも良くてこの2人の話でしかない、しかも実際に出会った時が1番会話が少なく終わってしまう…

これをおしゃれと見るか、なんじゃこりゃと見るかは人によって評価が分かれそうな内容でした。

自分がどっちに感じたかは想像にお任せします。

まとめ

色々ややこしいこと言っている会話劇でしたが、全部見てしまえば至極シンプルな内容の映画でした。

2008年が舞台ということで使われているデバイスにそれとない懐かしさを感じたりなど(当時から今日までの技術の発展な凄まじいですなぇ)

あまりに会話劇すぎてスパイ『映画』として見ると正直物足りない内容ではありました。

流石にアクションたっぷり入れりゃいいという脳筋レベルな難癖はつけるつもりは無いですが、
もっとこう相手の顔が見えないことによる駆け引きが面白かったら良かったんですけどね。

でも好みは別としてこういう映画があること自体はいいことだと思っていますよ。

でも犬が死んだことだけは解せぬ。


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