【映画】11ブロックス 感想 はっちゃけたアクションと変にシリアスな話のノリが噛み合っていない

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製作国

カナダ

監督
サーシャ・モリック
マシュー・ベネット
脚本
サーシャ・モリック
マシュー・ベネット
出演者
クレイグ・ヘンリー
ヴィヴェック・パテル
ボー・マーティン
パトリック・ウォーレン
タイラー・ウィリアムズ

今回はアマプラにて視聴の映画、11ブロックス(原題:11 Blocks)の感想。

恐慌によってギャングが蔓延し牛耳られた町、そしてそのギャング達のビジュアル。

どう見てもアルティメット+パージなノリを感じてこりゃ大好物な映画かもしれないと今回食いつかせていただきました。

そして実際のその中身ですが、アクション面やギャング達は期待通り。

しかし、ストーリーの方は少しばかりノリに不満がある。そんな内容となっていました。

ジャンルはアクションで上映時間は約79分となります。

あらすじ

暴力組織がはびこる世界で、過去のトラウマに苦しむ男の命がけの行動が始まる!組織のカネを強奪した男の運命や、いかに!?世界中が前代未聞の金融危機に陥り、ホームレスの数が400万人にも上る近未来。さらにその半数は子どもたちで、10代のホームレスの50万人は“ホラー・ギャング”と呼ばれる暴力組織に加入していった…。そんな未曽有の危機にさらされ、貧富の差ごとに11のブロックに分けられた荒廃した町を舞台に、組織のカネを強奪した男の運命を描くバイオレンス・アクション!時間軸を錯綜させつつ、さらには同じシーンをそれぞれの立場から幾度も見せ込んでいくカラー&モノクロの編集が、来るべき未来の悪夢の一夜を体感でき、クライマックスの格闘シーンが大いに魅せてくれる一作!

Amazon Prime Videoより

11ブロックスを配信している配信サービス

※2024年9月28日時点

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登場人物

ジョン・ボング

立ち退きにより職も家も失った青年

養父から武術を無理やり教え込まれていた

養父に誕生日に足をコンクリート詰めされた過去から“コンクリート”のあだ名をつけられる

仕事探しの帰りにギャングの取引に巻き込まれる形で期せずして手に入れてしまった金のせいで妹のベサニーが攫われてしまう

ベサニー・ホング

ジョンの妹で彼の唯一の大切な相手

ダンサーから目がでかいから“バグ”とあだ名をつけられる

ジョンが手にした金を取り戻すための人質としてフィンガーに攫われる

フィンガー

警察署長に雇われている掃除屋

人体を理解しており、人の命を奪う瞬間を指で味わうことからフィンガーと呼ばれる

ダンサー

立ち退かれたジョン達を拠点まで安全な案内してくれた娼婦

グレムリン

ジョンと共に仕事探しをする仲間

ジョンの“コンクリート”のあだ名の名付け親

ざっくり概要

ここからはいつも通りに途中までのあらすじを。

大恐慌以来の金融危機となった町。

不況により400万人のホームレス、その内半分は子供だった。

そして10代のホームレス達の内50万人はギャングとなり区画で分かれた町を我が物顔で暴れ回っていた。

不況により家の立ち退きを求められたジョンとその妹ベサニー。

彼らは保護をしているシェルターに向かおうとするが、娼婦であるダンサーがシェルターでは人が消されていると忠告をして自分が利用している拠点へとジョン達を案内する。

拠点で雨宿りをする3人、そこにグレムリンと名乗っている男が現れ、ジョンと共に建設現場募集の仕事を受けに行く。

無賃乗車などをして何とか仕事の現場に向かうジョンとグレムリンだったが、住所がないことを理由に断られてしまう。

ベサニーの誕生日に何もあげられないことを嘆くジョン。グレムリンとジョンは互いに自分の過去を語り合う。

自分の誕生日に養父に足をコンクリートで固められてそれを殴って破壊した過去を語るジョンをグレムリンは面白がり、彼に“コンクリート”とあだ名をつける。

仕事を諦めて移動する2人の前に現れた光景は区画を牛耳るWCCギャングの取引現場だった。

取引を目撃した2人は拘束され、リンチを受け、グレムリンは海に落とされてしまう。

ジョンは“コンクリート”と名乗りギャング達を返り討ちにして中身も知らないカバンを持って逃走するのであった。

ジョンが持ち去ったカバンの中に入っていたのは大量の札束。

それは汚職警官である警察署長の金であった。

事態を知った警察署長は雇っている掃除屋フィンガーに金を取り戻すように命じる。

命令を受けてベサニーを攫ったフィンガー。

ジョンに妹と金を引き換えにすると電話するフィンガー。

公共機関が封じられた町、ジョンはギャング渦巻く町の中、大量の札束が入ったカバンを持ち“11ブロック”先の取引現場へと急ぐのであった。

ゲーム的な構成から繰り広げられるバイオレンスなアクション

この映画、見所は間違いなくアクションなんですが、相手となる存在や構成がとってもゲーム的。

大量の金を持っていることから分かる通りギャング達からすれば垂涎物の状態。

なので区画を移動するごとにギャング達に襲われるというステージクリア型のベルトアクション的な構成となっているんですね。

しかもその相手となるギャング達がまたゲーム的。

死んだフリして襲いかかるギャングから、
まるで猿みたいにウキウキしながら襲いかかるギャング“スリープウォーカーズ”
オープニングで目立った映画パージみたいなメイクをした“スカルファッカーズ”
最後に仮面で顔を焼きナイフで襲いかかってくるギャング達と

とにかくリアルとはとても言えないゲームの雑魚敵で出てきそうな構成の連中なんですね。

そんな連中相手に繰り広げられるバイオレンスアクション。

主人公のジョンが父親に鍛えられたという背景を説得力に1対多数を何度も繰り返して見れるわけです。

このアクションがかなりいい!

ちょっともっさりな部分もあるにはあるんですが、長尺ワンカット多めでこれだけ1対多数をやるのはかなり頑張っている。

この映画全体のジョンのアクションに言えることなんですが、ベースが詠春拳のためかカウンターが上手いんですよ。

多数との戦いに1人で勝つならこれだよねって感じで避けて蹴る、避けて殴る、受け止めて切り付けるなど
暴力的な中に華麗さも混じっているのが実に味があっていいわけです。

ギャング達と相対するジョンがカウンターで華麗にいなすケレン味に溢れつつ、決着の際は石やパイプなどで容赦なく追い討ちする。

このバイオレンスさがあるのもグーですね。

そしてゲーム的な構成である以上ボスとして待ち受ける存在となるのがフィンガー。

彼は指でジョンの腕の動きを奪ったり、吐き気を誘発するなど分かりやすく言えば秘孔使いです。北斗の拳です。

しかもここまで1対多数を繰り返してきてジョンが1対1で苦戦するんですよ。

正にボス敵、この能力を使いながらジョンと同じような技で相対するんでこれがゲーム的じゃ無ければなんだと言うんだってくらいですよね。

この2人の武術の応酬が良くタイマンになり相手の実力も上がると動きの魅せ方もやはり変わる。
詠春拳らしい連打もあれば隙を見て秘孔をついてくるフィンガー、過去の父との回想も重ね合わせて気合いでそれを跳ね除けるジョン。

長尺で互いの特徴活かした工夫も混ぜ込んだ格闘戦でしっかり見応えがあって引き込まれるラストバトルでしたね。

自分はこういうゲーム的なのは大好物なのでこのケレン味溢れるファイナルファイトのような流れで突き進む“アクションの方”は最後まで楽しんで見ることが出来ました。

思いっきりぶっちゃけると世界観の設定的にもパルクール無しの劣化アルティメットにメイクや無法部分にパージを加えたくらいの内容なんですが、そもそもこの両者のフォーマットの出来がいいですからね。

例え劣化しようともアクションやケレン味に関してはクオリティは決して低くない内容となっていました。

変なシリアスやテクニックは逆にノイズ

アクションの方はかなりケレン味たっぷりなんですが、ストーリーの方はそのケレン味にあまり合わない構成となっていました。

この映画中盤から話がベサニー救出へと動き出すのですが、そこに至る過程がなぜかまどろっこしい構成で見せてくるんですよ。

話的には汚職警官である警察署長の金を期せずして手に入れて妹が引き換えさせるために攫われるという物凄くシンプルな流れ。

なのに無駄に時系列を戻しながらそれを描写するので変に尺を使ってしまっているんですね。

話自体は、

ジョン達家から立ち退きをくらう→ダンサー達と出会い仕事を探しに行く→仕事を見つけられず帰る途中で取引現場に出会して金を手に入れてしまう→ベサニー攫われてようやく本筋開始。

と、時系列的にはこういう流れなんですよ。

なのに本編だと金を奪われたところから始まり時系列を何度も戻して、実はこうだったを繰り返すんですよね。

これが正直尺稼ぎにしか見えなくてですね。

実はこうだったというのは何がしが衝撃の事実が明らかになるのが必須だと思うんですが、この構成でそれが得られたことが一度もないのですよ。

立ち退きの後に出会ったグレムリンやダンサーが実はジョン達を陥れようとしたとか、
警察署長が実はジョン達と懇意の人物だったとかならこの構成も意味があると思うのですが、

ただただ事実を垂れ流しにしているだけで伏線とか何もない。

なので一番楽しい本筋に向かうまでの時間は実は作中時間だと物凄い短い話なのでただただ尺稼ぎにしか見えないんですよね。

で、作中に漂う雰囲気も変に全体的に重苦しい物があります。

経済恐慌による不況とギャングの蔓延、そして警察のトップが汚職上等、まぁ法も秩序もないようなバイオレンスな世界です。

んで、このノリだとしっかりとそれに向き合った社会派的な話にするか、ヒャッハー的なノリではっちゃけるかの二択になると思うんですが、
終始ヒャッハーなことしているのにテンションは社会派なように進めるというチグハグ感があるんですよね。

だってこの映画でジョンがやってることなんてゲーム的なキャラ立ちしたギャング達やフィンガーをステージクリア式で倒していって妹を取り返すだけなんですよ?

なのにさも社会派のようなテンションで振舞われても何で?ってやっぱ感じてしまうんですよね。

この社会派なテンションで行くならこの社会の問題の解決、もしくはその糸口を見つけることはセットだと思うんです。

実際確実に元にしたよね?と思うようなアルティメットは滅茶苦茶力技の展開ですが、ちゃんとその体裁は整えてはいました。

一応この映画も少なくともジョンの災禍の元となった汚職警官である警察署長が風俗でSEX中に背後から回ってきた風俗嬢に始末されるという無理矢理な解決はしています。

ジョンが全く関係ないところで

結局のところこの変にシリアスなノリをやった上での不満はこれかもしれません。

ジョンの行動が社会の事態の解決に結びつかないなら別にこの社会派装ってお高く止まる必要はなくない?って思ってしまうんですよね。

劇中でジョンが関わる連中ははっちゃけた存在しかいないギャング。

ならあくまで社会情勢というシリアスな部分はこいつらを登場させるための舞台装置程度に抑え、
シナリオのノリはこのはっちゃけた連中に合わせた方が統一感あって絶対にゲラゲラ笑えました。

本編はケレン味溢れるギャング連中とアクションするってことしかやってないのに、
こいつら登場させるための舞台装置の部分にノリを合わせて真面目にシリアスやられると、真面目なはずなのにノイズになってしまうんですよね。

なんなら舞台を作った後は中身スカスカでもいいくらい。

先に言った通り警察署長なんて風俗で不意打ち喰らって死亡するシーンなんてロックなBGMかかったB級映画のやるような末路でどうでも良く始末するくらいなんだから、そのB級な展開をメインにしてお高く止まった雰囲気にする必要は無かったと思うんですわ。

まとめ

やってることはっちゃけてるのに話のノリをお高く止めるB級って言うのは自分的にはやはり不満点になってしまいますね。

やるならやるでしっかりと答えを明示させるのが義務だと思うんですが、そこら辺はB級らしく投げっぱなしにしてしまいますからね。

どうせこうなるからB級はそんなお高く止まったノリで進むのは茨の道だと思うのですよ。

B級でもここら辺をちゃんとやる作品もあるので一緒くたでお高くやるなとは言いませんが、
ただこの映画に関してはちゃんとやらなかったから「ならお高くやるな!」と言いたくなるのは仕方がないんです。許してください。

一応言っておくとあくまでこの不満点はこの映画に興味を持った目的部分から来る不満ではなく、おまけとしての部分が思ったよりノイズになっただけでしかないと言うことはちゃんと伝えておきます。

この映画を見る大抵の人の目的はアクションやテンション高そうなギャングでしょうから、その最初の目的部分にはちゃんと応えきっています。

なのでB級としてはしっかりと需要に応えて満足させてくれている作品ではありますよ。

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