【映画】キリング・フィールズ 失踪地帯 感想 湿度の高い“土地”を描いた映画

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© 2011 Gideon Productions,LLC All Rights Reserved.

製作国

アメリカ

監督
アミ・カナーン・マン
脚本
ドナルド・F・フェラローネ
出演者
サム・ワーシントン
ジェフリー・ディーン・モーガン
ジェシカ・チャステイン
クロエ・グレース・モレッツ
ジェイソン・クラーク
アナベス・ギッシュ
シェリル・リー
スティーヴン・グレアム
ジェームズ・ヘバート

犯罪多発地域。
そこで起きている当たり前になってしまっている出来事や認識。
それらをドライに土地だけに焦点を当てて描いている映画でした。

 今回はアマプラにて鑑賞の映画、キリング・フィールズ 失踪地帯(原題:TEXAS KILLING FIELDS)の感想。

 正直人物描写はそれっぽいだけで浅め、サスペンスとしてはあまりにもそのまんますぎる展開と映画として楽しいかと言われるとまぁまぁ疑問はあり。

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 ただ犯罪多発地域という土地を題材にした映画と見ると、この描き方でも考える物がある映画にはなっているかなという内容でした。

 ジャンルはサスペンスで上映時間は約106分となります。

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あらすじ

サム・ワーシントン、クロエ・グレース・モレッツ競演! 巨匠マイケル・マンの実娘がメガホンをとったクライム・サスペンス。
巨匠マイケル・マンの実娘アミ・カナーン・マンが、『モールス』のクロエ・グレース・モレッツ、『アバター』のサム・ワーシントンを競演に迎えて放つ本格派クライム・サスペンス。実在する米・テキサスの犯罪多発地帯で、謎の失踪を遂げた少女を救うべく、殺人課の刑事たちが捜査に奔走する。ハリケーン“カトリーナ”が直撃した後のニューオーリンズで撮影した、荒廃した風景にも注目。
テキサス州の警察に在籍する刑事・マイクは、NYから転属してきたブライアンと共に、連続少女失踪事件の捜査にあたっていた。そんな矢先、ブライアンが気にかけていた孤独な少女アンが、“殺人地帯”と呼ばれる犯罪多発地域で失踪してしまう。アンが事件に巻き込まれたと直感したブライアンに引っ張られるように、マイクも次第にアンの失踪事件に深く入り込んでいく。

Rakuten TVより
マイシアターD.D. 公式チャンネル

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登場人物

マイク・サウンダー

刑事

相棒のブライアンと共に少女殺害事件の犯人を追う

ブライアン・ヘイ

NYからやってきてマイクと組んだ刑事

アンと交流があり、彼女を気にかけている

パム・ストール

マイク、ブライアンとは別の管轄を担当する刑事

少女の行方不明事件を追う

マイクとは元夫婦

アン

保護監察中の少女

母ルーシーの乱れた生活などで追い込まれており、ブライアンと交流する

レボン・シャルマース

前科者の男で殺害された少女と関与があったことから容疑者となる

ルール・バリー

タトゥーを入れた男

少女殺害の容疑者

ライノ

アンの母ルーシーの家に入り浸っている男

アンの兄とも交流がある

マイクから怪しい男として目をつけられる

実在の問題地域を元に描かれるサスペンス

 テキサス州で起きている実在するらしい犯罪多発地域で起きる2つの箇所で起きた少女達の行方不明、そして死亡した事件を巡るサスペンス映画。

© 2011 Gideon Productions,LLC All Rights Reserved.

 かなり淡白かつ、人の背景は分かりにくいし、事態では突発的なことが起きる映画なんですが、画面から滲み出てくる雰囲気だけは確かな良さがありました。

 突っ込みどころもかなり多いのですが、まぁこの雰囲気が好きになれるかどうか、雰囲気の方を好きになれたとしてもこの突発的なことが多い話が好みかどうか、
 賛否としては間違いなく否よりが多いことにになるのは間違いない映画でしたね。

湿度が高い土地と雰囲気

 この映画、サスペンスにしては話的には上で書いた通りに突発的なことが起きるし、伏線も碌に無いし、あるがままをただ見るだけで成り立ってしまう内容です。

 ただ話はこんなんでも作品の中に漂い続けるジメッとした雰囲気だけは本物かなと擁護したい部分だったりします。

 登場人物も田舎の雰囲気もそして現場も全てジメッとしている。
 湿地帯で起きる事件だからというのでは済まされない湿度です。

 田舎独特の排他的な雰囲気、その雰囲気から生まれたような荒れた家庭、その結果として少女達が誘拐、殺害されてしまう事件が起きているような、
 そんな閉塞感のある湿度が話の中で起きている事態全てに繋がって常に巡り続けているような感覚があるんですよね。

 登場人物達も訳ありそうな離婚歴を持つ刑事マイク、都会からわざわざここにやってきて刑事をしているブライアン。

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 この主要な2人すら曰くありげな過去がありそうなのに語られず、なのにその過去を動機として動いたり感情をぶつけているこの映画こんな描写がとにかく多いんですよね。
 主要人物ですら、この煮え切らない情報なのがまた湿度が高いと言いますか、何かこの映画の話の方針を打ち出しているように思えます。

常に苛立っているから梅雨の時期に過ごしているかのような湿度。

 で、序盤から登場して後半のキーパーソンになる少女のアンですら、ほぼ舞台装置扱い。

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 全体的にこれ何だったの?と思うよう人物描写が多くやはり人にはあまり興味がなさそうな映画なんですよ。

 主要人物ですらこれなんで、何というか、人よりも土地を映し出している映画なんですよね。
 その土地の風土や空気、それに染まること、それがこの映画で起きている事件、そして実際に現実で起きている事件を表しているような…

 こういった部分からも自分がこの映画を一言で表すなら湿度だなと言い切れますね。

現実の根の深さが何となく分かる後半

 この映画のメインとなる事件。

 マイクとブライアンの管轄で起きた少女の殺害事件、パムの管轄で起きた行方不明(誘拐)事件。

 この2つを同時に調べていき、誰が犯人なのか捜査する訳なんですが、蓋を開けてみると、作中で提示された怪しい人物は全員犯人でした。

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 殺害された少女と関与していたレボンとルールは本当に誘拐していました。
 アンの家で出会いマイクが怪しんだライノは本当に少女を殺害していましたって話ですからね。

まぁ、強いて言えばアンの兄貴の関与がサプライズ?

 そして2つの事件は完全に別々の話で後半になって1つの出来事として収束するというわけでもない。

 サスペンス映画としては推理も推測もあったもんじゃないこのオチ。
 ですが、この映画が土地を描いていると考えるとこれはこれでありじゃないかなとも思えるようにはなりました。

 完全に別々の事件、なのに狙われたのは共通して少女達だった。ここの根の深さを感じる部分を問題にしたいのだろうなと。

 主要人物ですら人物描写を明らかにしない映画ですが、それは今回の両方の事件、両方の容疑者も同様なんです。
 彼らがそれを行った動機は一切語られない、ただ行ったことに対して逮捕やバレて仲間割れが起きるだけで終わる。

 動機が描かれないということは深い理由もなく当たり前の出来事ということ、当たり前になっているのはそれだけ頻発しているということ。

 人を深く描かないことでこの事実が浮き彫りになっているように見える。
 こういった犯罪多発地域の根の深い現実を映しているんじゃないかなと。

 この映画は実際の出来事を元にした映画ではありますが、
 明確な1つの事件という枠組みが小さく人が見える題材ではなく、犯罪多発地域という大きな枠組みで土地を題材に描いていることからも、その地域で当たり前になってしまっているのでは?という部分を問題にして描いていることが分かるような気がします。

 とにかく人に興味のない映画ですが、刑事でも容疑者でも誰かしらにスポットを当てて掘り下げてしまうと、その人の英雄譚や悲劇、狂気の話になってしまうので、
 “その土地の当たり前”を描く上ではこの人への興味のなさは必要ではあったのかなと納得はしましたね。

あんまり考えていないだけな可能性もある。

まとめ

 ジメッとした雰囲気はいいものの、その湿度に合わせてか物凄く面白くなりそうな雰囲気のままで進んで終わってしまう煮え切らない映画でもありましたね。

 自分の場合は色々と頭の中で納得する材料を揃えて考察なり推察なりで煮え切らなさもこういう映画なんだろうと納得させましたが、その上で評価はあまり高くはないです。

 現実に起きていることを伝えるという意味では意義はあったのでしょうし、土地の問題を描くために人に興味を持たないドライさの意図も分かります。

 でもそれが映画として面白いと感じるかはまた別の話ですからね。

 分かりやすい面白さを足すのはこの映画の場合だとそれはそれで台無しでしょうけど、ここまでドライなのも問題。

 感情移入先の人物がいないのでイマイチ乗り切れないし、その上単独行動して出し抜かれたりなどおバカな一面も頻発するため、冷めてしまう部分が多め。

 やっぱ自分は登場人物の誰かを通して物語を見たいタイプなんだなぁと思いましたね。
 やっていること、やり方はいいんですけど物語の映し方においては自分には合わない映画でした。


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