【映画】ダーク・ナイト ー聖なる剣ー 感想 王道に帰結するダークファンタジー

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(C) 2023 HIGH RISE STUDIO ENTERTAINMENT INC.

製作国

カナダ

監督
マシュー・ニネーバー

出演
ジェレミー・ニネーバー

マシュー・ニネーバー

クリステン・カスター

シェイン・ナイスリー

 今回はアマプラにて鑑賞の映画、ダーク・ナイト ー聖なる剣ー(原題:A KNIGHT’S WAR)

 ダーク・ナイトはダーク・ナイトでもバットマンではなく、ちゃんとダークファンタジーなダーク・ナイト。

 ダークファンタジーは個人的には堕ちたままという好みな作風と王道に回帰するという、より好みな作風が存在するのですが、この映画はどちらになるのか。

 ジャンルはファンタジーアクションで上映時間は約103分となります。

(C) 2023 HIGH RISE STUDIO ENTERTAINMENT INC.

あらすじ

そこは闇に覆われた世界。だが、炎のような髪の色をした女が世界を変えるという救世主出現が予言されると、その存在を恐れた神々の謀略により赤色の髪の女は火あぶりにされ“堕落の地“と称される闇の世界へと葬られた。予言を信じ実現するという揺るぎない信念を持ち兄と共に旅をする騎士ボーディーはカルト教の悪魔召喚の儀式に遭遇、“堕落の地“から予言の女を連れ戻すため禁断のゲートをくぐる。そして、ゲートを守る門番である悪魔と契約を交わし100回の死に耐えられるペンダントを手に入れる。“堕落した者の地“でボーディーは同じペンダントを持ち、魔女と戦い続ける女騎士と出会う。

Amazon Prime Video より

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登場人物

ボーディー

予言を信じ、兄ウィリアムと旅をする騎士

カイウス教という邪教によって連れ去られた予言の女を連れ戻すために兄によって門の先へ送られる

アヴァロン

門の先で出会った女性

予言の炎の髪の色をした女であり、ボーディーと共に門から戻るために行動する

ウィリアム

ボーディーの兄

連れ去られたアヴァロンを連れ戻すために弟を門の先へと送る

門番

神々の地の門番

ボーディーに首飾りを与える見返りにボーディー達の住む世界に自分を連れて行けと要求する

ざっくり概要

 ここからはいつも通りに途中までのざっくりとした内容を。

選ばれし者の出現が大昔に予言された
炎のような髪の色の女が世界を変えると
だが神々は彼女を恐れ男達にこうささやく
“そのような女児は火あぶりに処せ”
人間が心に汚れを負い──
汚れのない命が火に消された

 闇に包まれた世界。

 予言を信じ、炎の髪の色の女を旅する騎士ボーディーとその兄ウィリアム。

 彼らは旅の道中でカイウス教と名乗る邪教が炎の髪の色の女を贄に悪魔を召喚しようとする儀式を目撃する。

 悪魔をこの世に呼び寄せないために儀式を阻止しようとする2人だったが、悪魔は呼び寄せられ女は門の向こうへと連れされてしまう。

 予言を実現させるという兄弟の誓い、この誓いを再び互いに確認し、ウィリアムはボーディーを門の向こうへと送り出すのだった。

 門の先で目覚めたボーディー。

 目覚めた彼の前に現れたこの地…神々の地の門番と名乗る男あら100回の死に耐えられる首飾りを譲り受ける。
 そしてこの首飾りを渡す見返りに門番は門が開いたら自分を門の外に連れて行けとボーディーと血の契約を結ぶ。

 この地から帰る方法は1つ。それぞれの主が守護している3つの石、これらを奪うこと。
 ボーディーは帰還するため、そして予言の女を守るためにこの地での旅路を始める。

 門番により飛ばされた地で急襲を受け罠にかかり捕まるボーディー。襲ってきた者の姿を確認するとそれは予言に酷似した炎の髪の色の女だった。

 その女アヴァロンはボーディーが身につけている首飾りを見て彼を解放し、魔女を倒すために協力しろと要求するのだった。

 既に何度も魔女に挑み殺されていたアヴァロン。
 そのため魔女がボーディーを追う内に自分が不意打ちをするという作戦を立てる。

 作戦前に首飾りについて聞こうと首飾りを外してしまったボーディーは急に意識を失い、謎の存在に呼ばれる。
 アヴァロンに意識を戻された彼は首飾りを外すと“呼び覚ます者”に見つかると教えられる。

(C) 2023 HIGH RISE STUDIO ENTERTAINMENT INC.

 夜になり囮となったボーディーの前に現れる2人の魔女。彼女達の連携に翻弄され蹂躙されたボーディーは捕まり拷問を受けてしまう。

 だがその隙をついて石を奪ったアヴァロンだったが、手にした石はたちまちに崩れ去り、主である魔女達を倒さなければ石は手に入らないと悟る。

 そしてボーディーは魔女達に敗れ初めての死を体験するのだった…

 死から目覚めたボーディーは魔女を倒すために互いに協力し、戦うことを提案する。

 共に戦う2人だったが、足並みは揃わずに何度も魔女達に殺されてしまう。だがその死の中で魔女達が傷を共有すること、そして目が見えないことを把握する。

 片方に傷がつけばもう片方にも。ならばたったひと刺しが通じればいい…

 自らの鎧をぶら下げ音を立て、そしてボーディーは自らが何度も死ぬことが出来ることを活かして、自らを囮に魔女に己を殺させ拘束させた隙にアヴァロンに魔女を倒させる。

 こうして幾多の死を乗り越えて最初の石を手に入れるのだった。

 石の主を倒して門番の元に送られる2人。

 一時の休息の中でアヴァロンの目的を聞くボーディー。彼女がこの地に邪教を利用してまでやってきたのは“呼び覚ます者”が持っている強大な武器を手に入れるため。

 そしてその武器を持って復讐するためだと…

 新たな地、凍える土地に送られた2人。

 先に訪れていた者達を倒し、歩みを進めていく2人。そして辿り着いた先でアヴァロンの真意を知ることになるのだった。

意外としっかりダークファンタジー

 大規模な映画ではないながらも意外とダークファンタジーとしてしっかりしている本作。

(C) 2023 HIGH RISE STUDIO ENTERTAINMENT INC.

 ダークファンタジーとして纏わりつく重く暗い空気、戦闘や道中で度々覗かせるグロさや人間の闇。

 これらを表現しながらオチでは王道に回帰する、B級としては理想的なダークファンタジー映画となっておりました。

結局王道に回帰するのがいいところ

 B級としては意外なほどにしっかりとしていた本作。

 予言の女を守るために悪魔のいる地で100回死ねる首飾りを胸に突き進んでいくという、いわゆる王道とは違い、死という暗い物を武器にして進んでいく如何にもなダークファンタジー。

 ちょっとゲームっぽいというかソウルシリーズっぽい雰囲気ですが、それは置いておいて、ダークファンタジーというのは基本的には王道の逆張りをして進行する物だと自分は思っているのです。

 本作で言うなら生より死を武器にして、人間関係では絆より裏切りがあり、そして最後に予言の衝撃の真実もあります。

 こんな感じで言い方はあれですが、少し思春期に入って王道に対して捻くれた時に入るのがこの逆張り感のあるダークファンタジーという存在だと思っているのです。

 その進行の進み方もやはり暗くもあり、グロくもある。

 例えば最初の敵である2人の魔女。

 この魔女を倒すために100回死ねる首飾りという物を活かして自らが何度も死ぬことで敵の情報を集めて、囮になり敵を拘束してその隙に倒させるというね。

 これが愉快な映画だったら死に様も開き直った楽しみがあるのですが、この映画の場合はどシリアスなので体は開きにされる、首を切られるなどとてもとても痛々しい描写を乗り越えてようやく倒す。

 そして(B級らしく)魔女戦で尺を使いすぎた後は敵の精神の揺さぶりがメインになるのですが、そこには裏切りや葛藤などがあるわけです。

 そしてヒロインのアヴァロンは予言を信じた人間、父によって母ごと燃やされるという経緯があり、世界を憎んでいる。

 更に踏み込んだネタバレをするなら、この予言そのものがこの世界にいる門番、“呼び覚ます者”が門を越えるために仕組んだ物だったという全てを否定する真実だってあります。

 こういったダークファンタジーらしく暗く重く進む映画なのですが、これは個人の信条となりますが、
 ダークファンタジーというのはあくまで進む道が違うだけで辿り着くゴールは王道に回帰するのが物語として美しい形になるのだと思っているのです。

 この映画なら魔女戦の何度も死を経験するという物。

 これは苦痛や恐怖を経験することになるのですが、それを乗り越えるのは勇気を振り絞ることと言われているわけですね。

 これは死を何度も経験するという道中の違いこそあれど、勇気を持って敵に立ち向かうというのはやはり王道なんですよね。

 そしてアヴァロンの復讐と予言の真実。

 最初から予言など存在はしない、そしてその予言を信じた人間の選択によってアヴァロンは父によって母ごと燃やされるという経験をしている。

 その復讐心を利用して“呼び覚ます者”はアヴァロンに武器を授けて共に門を抜けて破壊を行おうとするわけなんですが、それでもボーディーと共に旅をしてきた僅かな期間と交流で彼女の復讐心には綻びが生まれる。

 その結果、“呼び覚ます者”に見限られて対立し、今度はボーディーの心の隙間をつくことになるのですが、庶子であるボーディーは名誉ある死や特別な存在になることを望んでいましたが、彼もまたこの旅路の中でその価値を否定する。

 そして“呼び覚ます者”を対立した2人が彼を倒すのに活かしたのがアヴァロンの能力。

 確かに予言は存在しない、ですが彼女は燃やされても燃えないという能力は持っており、その能力を活かして炎の中でアヴァロンは“呼び覚ます者”を焼き殺すのです。

 存在しないはずの予言、ですが2人の選択によって、アヴァロンの能力によって確かに存在しないはずであり、そして“呼び覚ます者”自らが作り上げた予言通りに彼を倒すのですね。

 何度も死ぬからこそ生の価値が分かる、復讐に苦しんだからこそ人の温かみが分かる。

(C) 2023 HIGH RISE STUDIO ENTERTAINMENT INC.

 同じ予言と予言の女というフォーマットでも王道ならば試されるのは仲間同士の絆などで、最終的には運命を“掴み取る”物語になるでしょう。

 でもこのようにダークファンタジーだとやっぱ捻くれているわけで、予言も予言の女も嘘、絆だって最初は無いんだから試されるのではなく、本当に小さく小さく育むことで歩みを進めていく。

 でも最終的には嘘の予言でもそれを実現させる、運命を“作り出す”という形で王道と同じ結末に帰結するんですよね。

 このように王道とは辿る道は暗く異なる道でも辿り着く道は人の強さを信じて世界を救うかもしれない糸口になるという王道に回帰してくる。

 このダークファンタジーらしくも綺麗な結末へと戻ってくるストーリーというのがかなり自分の中で好みな映画でした。

まとめ

 美術面やグロさの表現などで重苦しい空気感を漂わせながら最終的には光の道に戻るというのが、ダークファンタジーとしての“王道”という物が見れたようで掘り出し物な映画でした。

 最後まで闇に堕ちたままなダークファンタジーというのが好きな人もいるでしょうが、正義を求めて進む道が異なるダークファンタジーならこの王道に回帰するというのがベストでしょう。

 単純に1つのファンタジー世界を作り上げるという手腕でも頑張っていますし、後はその世界の歴史を構築すれば完璧ですかね。

 結構ゲームっぽい部分があるのも否めないですし、最初のボスが1番強敵というのもお約束でもあるような、尺や予算を感じさせるような、そんなメタな視点での微妙さでもあり面白さを感じる部分もあるのですが、それはB級っちゅうことで!

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