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製作国
アメリカ
監督
ダーレン・アロノフスキー
脚本
チャーリー・ヒューストン
原作
チャーリー・ヒューストン
出演者
オースティン・バトラー
レジーナ・キング
ゾーイ・クラヴィッツ
マット・スミス
リーヴ・シュレイバー
ヴィンセント・ドノフリオ
バッド・バニー
グリフィン・ダン
新年1発目の映画感想、そして新年1発目の映画館での映画鑑賞。
そんな鑑賞先に選んだ映画はこのコート・スティーリング。あらすじや予告だけを見てご機嫌な予感を感じ取り、新年最初に見るならそんなご機嫌な映画だろうと決定した本作。
実際に蓋を開けてみると、自分には中々に沁み入る人生譚な映画でした。
ジャンルはコメディスリラーで上映時間は約107分となります。
目次
あらすじ
1998年、ニューヨーク。メジャーリーグのドラフト候補になるほど将来有望だったものの、運命のいたずらによって夢破れた若者・ハンク(オースティン・バトラー)。バーテンダーとして働きながら、恋人のイヴォンヌ(ゾーイ・クラヴィッツ)と平和に暮らしていたある日、変わり者の隣人・ラス(マット・スミス)から突然ネコの世話を頼まれる。親切心から引き受けたのもつかの間、街中のマフィアたちが代わる代わる彼の家へ殴り込んでは暴力に任せて脅迫してくる悪夢のようなの日々が始まった! やがてハンクは、自身が裏社会の大金絡みの事件に巻き込まれてしまったことを知る──が、時すでに遅し!
公式サイトより
警察に助けを求めながら戦々恐々と逃げ続けていたある日、ついに大きな悲劇が起こる。理不尽な人生に堪忍袋の緒がブチギレたハンクは、一念発起して自分を巻き込んだ隣人やマフィアたちにリベンジすることを決意する──!
逃げ続けて
本作の主人公ハンク。
お隣のラスから猫バドを預かっただけなのに、それのせいでなぜか大金を巡りマフィアに狙われてしまい、そこから逃げ続けるというとてもとても理不尽な境遇。
いきなり腎臓は破裂させられるとかなんか思った以上に容赦がない映画だな?と思ったわけです。
で、そのマフィアから最初は徹底的に逃げの一手なんですが、普通ならそれは当然の行動。しかし、ストーリー的には意味があるという。
このハンク、実はかつてメジャー入り内定組の選手でもあり、栄光を掴みかけていた存在。
しかし、その直前で自身の運転していた際に起きた事故で同情していた親友は亡くなり、自身も膝を大怪我して選手を諦めざるを得なかったという栄光からの転落を味わっているんですね。
でもその事故の時に彼が最初に頭によぎったことは目の前の親友の死よりも、自身の野球人生の終焉のこと。
自分が招いてしまった悲劇にも関わらず、その考えが最初によぎった。そのことの罪悪感、もう出来なくなった野球への未練、そして親友を死なせてしまった責任から逃げてしまった。
なので本編の彼は常に逃げ続ける人間になってしまっているんですよ。それでいて過去の栄光の先にあった未来には執着していて、所属出来たかもしれないジャイアンツをずーっと応援している。
本編で巻き込まれた事態に対しては確かに理不尽な物なんですが、それでも例え巻き込まれた物であったとしても何がしかの形で向き合わないと解決はしない。でも彼は酒を飲んだりして逃げ続けてしまうんですねぇ。
自分は栄光なんて一度も得かけたことすらないですが、ただドロップアウト経験はあるんで良く理解出来たりしてしまう。
分からない人には一生分からない話でしょうが、一度嫌な思いをしてしまい、そこからたとえ最初は身と心を守るためとはいえ逃げてしまうと立ち向かったり、やる気を出す気力を搾り出すのには途方もないエネルギーを必要とする人間になってしまうもんなんですよね。

要は逃げ癖ってやつです。
それこそブログの記事書くのだって書こう!と思ってもすぐに取り掛からず、ダラダラと頭の中で反芻してしまう。そしてまぁギリギリの時間になって焦って取り掛かるなんてザラなもんです。
そうこんな感じで逃げ続けようと思ってもいつかは向き合わなくてはいけない物に追い付かれてしまうんですよ。
作中のハンクも当然同じで逃げ続けた結果、行く先、行く先で悲劇に見舞われてドンドン追い詰められていってしまう。
恋人も隣人も職場の上司もみんな殺害されていってしまうんですよね。
現実では逃避の先はちょっとしたペナルティで済みますが、ハンクの逃避の先には悲劇が待っていた。
こんな感じで逃避には中々に厳しいメッセージが含まれていて、自分にはちょっと居た堪れなくなる内容でしたね。
追い詰められて
逃避の先の悲劇があるということはそこから先のドンデン返しがある。
ハンクは逃げて逃げて逃げて、追い詰められて追い詰められて追い詰められて、そしてようやく逃げ続けていたことに向き合って爆発する。
知人も何もかも失って一緒にいるのは猫だけ。
そしてついには最愛の母親までもを巻き込れようとしている時にようやく腹を決める。
ここからの展開は実に気持ち良い。でもどこかほろ苦さもある。
協力しているけど、信頼はしていないマフィア同士を争わせ、潰し合わせる。その中で今までとてもムカつく振る舞いをしていたマフィアを素手でのしたり、悪徳刑事を自分の手ではない形で始末させたりなど、覚悟を決めた男の強さを見せてくれる。
個人的にはもう少しハンク自身に大立ち回りをして欲しかった気持ちもありますが、それは最後にやってくれたのでいいとしましょう。
その最後というのが自分を追っていたけど、最後に利用したマフィアへの一撃。協力していて何となく互いに感化されていた部分もあったけれど、そのマフィアが持っていたライターを見て事態は一変。
この瞬間まで誰が処刑したのか分からなかった恋人のイヴォンヌの犯人がここで分かり、そして最後に1発をかます。
かつて自分のトラウマであった車の事故を起こして、シートベルトをしていなかった2人を殺害することに成功するんですよ。
この1発はトラウマに向き合うなんてレベルじゃねえぞって荒療治的な展開でしたが、だからこそエンディングには納得いくんですよね。
マフィア達の大金を手に入れて母親に明け渡して自分は猫バドと共に高飛び。
そこでの一幕としてあんなに逐一応援していたジャイアンツの試合で重要な局面がテレビで流れているんですが、その瞬間にテレビを消す。
この映画を通じて逃避をやめて向き合ってトラウマだって再現して苦境を脱した結果。栄光への執着だって捨て去って新たな人生を始めた彼の姿が映される。
逃げていても、もっと言うなら逃げ続ければ逃げ続けるほど、いつかは追い付かれた時に向き合う問題は大きくなってしまうもの。
けどどれだけその問題が大きくなっても向き合って答えを出せば、逃げていた頃よりは人生好転するかもしれない。
それがかつての自分が望んだ形ではないとしても今通れる道から選択するしかないのだから、きっとそれは今よりはマシなんでしょう。
このストーリーはドロップアウト経験がある、長い人間ほど沁み入る内容だと思いますね。

というか沁みた。
まとめ
なんか人生少なくともドロップアウトしないくらいには順風満帆だったか、そうじゃなかったかによって結構評価変わりそうな映画だなと思いました。
人から見ればハンクは逃避し続けて、人を不幸にするうぜえ奴としか思わないところあるでしょうし、一般的にはそっちの方が正しい感じ方な気もします。
でもなぁ、自分みたいなドロップアウト経験ある人間にはこうやって事態が悪くなると分かっていても逃げ続けてしまう気持ちが分かってしまうんですよねぇ。
そしてこんだけ事態が悪くなっても向き合って立ち向かったら、最後には人生好転しているっていうハンクの人生譚とこの映画のメッセージはすげえ温かさを感じて沁み入ってしまうんですよ。
猫のバドも可愛いし、それを最後まで守り切ろうとするハンクの姿もいいしで、何か面白いとか超越してとにかく自分には沁みる映画でした。
ちょっと1998年のきたねえNYの描写に力と時間を入れ過ぎている感もありますが、そんな汚さも最後の綺麗さへのフリということで。

ちょっと自分的には冷静には語れない映画っすわ。
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