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製作国
韓国
監督
カン・テホ
脚本
チョ・ドンヒ
出演者
チョン・ジェウ
パク・ジス
コ・ウォンソク
ソル・ジェグン
ソ・ガプスク
今回はアマプラにて鑑賞の韓国映画、暴力都市(原題:살인청부업자/HIT MAN)の感想。
ドンソク兄貴の犯罪都市に完全にあやかったようなら邦題にハードボイルドなあらすじという組み合わせに惹かれて見たわけですが、中身の方は色々と渋いというか淡々といいますか…
ジャンルはスリラーで上映時間は約91分となります。
(C). 2022 PETERPAN Pictures Co., Ltd. All rights reserved
目次
あらすじ
冷酷ヒットマンが挑む地獄の処刑ミッション 復讐と制裁のクライム・バイオレンス・アクション 腐敗と欲望に満ちた街で、“生き地獄”という名の流儀が遂行する。
Rakuten TVより
ノウォンで発生した一家惨殺事件。家族を奪われた老女は、真相を追い求め、ある“復讐請負事務所”に依頼する。動き出すのは、感情を持たず任務だけを遂行する冷血の処刑人たち。指を切り、自白を引き出しながら、標的をひとりずつ追い詰めていく生地獄。暴かれていくのは、裏社会と政界が絡む黒い利権。そして現れる“最終標的”へ向かう…淡々と進行する制裁の先に待つのは、金と欲望にまみれた世界の終焉だった。韓国発・クール&ハードなクライム・バイオレンス・アクション!
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登場人物
・パク
元刑事の寡黙な殺し屋
・シム
殺しを請け負うパクの相棒
足が悪く杖や車椅子を使っている
・パク・チョンジャ
依頼人
3ヶ月前に息子夫婦と孫を焼き殺され、関与しているとされる男達の殺害を依頼する
・ソルミン
市会議員
依頼人の息子とは投資関係による金銭問題があった
・テジュ
暴力団員
殺人未遂で有罪判決を受けた
ソルミンと繋がりがあり、殺害に関与していると見られる
ざっくり概要
ここからはいつも通りに途中までのざっくりとした内容を。
2021年9月21日ノウォン一家の殺害事件
3ヶ月前に起きた夫婦とその子供が殺害された放火殺人。
その母親であるパク・チョンジャは大金を持ち、殺し屋を請け負っている“各種研究所”を訪ね、研究所を運営しているシムに殺人に関与しているものを殺害するように依頼する。
その関与している相手とされているのは市会議員のソルミン。
息子とは金のことで言い合いになっていた。
依頼を請け負ったシムは殺し屋である男パクに事件の概要とその容疑者ソルミンとその周辺について情報を渡す。
ソルミンと関与のあった男テジュはマカオに逃亡した暴力団員でマカオに行ってからはカジノの仲介業で大金を稼いでいた。
ソルミンはテジュの事業に投資家を斡旋しており、密接な関係だったが、ビジネスは長続きせずテジュは残された投資家と金を見捨て韓国に戻り、ソルミンが全責任を負わされ、その事業に金を注ぎ込んだ投資家達はソルミンを訴えていた。
そしてソルミンはそんな奴らを始末するしかなく、その中に依頼人の息子夫婦も含まれていたのだった。
テジュと決裂していたはずのソルミンは誰に投資家達を殺害していたのか、パクは早速調査を始める…前にシムから「ナジュンがソウルに来ている」と伝えられ、パクは僅かに反応する。
シムから違法カジノの住所を受け取り客として潜入するパク。
女性ディーラーとギャンブルを行っている最中で“ダイナマイト”と呼ばれる男に話しかけられる。
彼と意気投合したフリをしたパクは彼から契約殺人のこと、そしてそれにチョンテという男が関与していたことをそれとなく聞き出すのだった。
後日“ダイナマイト”を呼び出し、仲間と共に彼を捕らえ拷問をするパク。
苛烈な拷問を受けた“ダイナマイト”はチョンテの連絡先を吐き、パクはその情報を聞き出した後容赦なく彼を殺害する。
暇もなく聞き出した情報からチョンテと連絡をして、彼を捕らえ続けて拷問するパク。
事件の依頼者と殺し屋の情報を要求し、チョンテはテジュの弟テジョンとテジョンの手下のフーンが関与していたことを聞き出すことに成功する。
ソルミンについても聞き出そうとするが、依頼人の情報を知らなかったチョンテはそのままパクに殺害されてしまうのだった。
チョンテの情報から今度はカラオケにいたテジョンとフーンを捕らえて拷問するパク。
情報のためにテジョンの目の前でフーンを殺害し、続けてテジョンの拷問を始めようとしたその瞬間にシムから電話があったかかってくる。
その電話の声の主はパクが追っていたテジュ。
彼はカジノの女ディーラーから情報を得てパクに目星をつけて、ソルミンと共に依頼人とシムを人質に取ったのだった。
弟と人質の交換を要求するテジュ。そしてソルミンはパクの素性を調べ、3年前に妻子を失って刑事を解雇された彼に復讐相手はナジュンだろと言い放ち、その有益な情報を材料にして、パクと交渉する。
パクはメールで居場所を伝え、彼らの到着を待つのだった…
韓国版Vシネマって感じ
タバコの香りが漂う中で酒、暴力、薬物、殺し、下ネタなどが行き交う韓国版Vシネマって感じの映画。
話の作りもそれに近く、結構粗があったり、話に乗り切れない場面は多め。
それでも韓国映画なんでエグさとVシネ路線は相性がいいと思っていたのですが、これは主人公であるパクのとある問題でそれすら発揮しきれていないので、何とも微妙な映画でした。
淡々としすぎて失敗している気が…
寡黙な男の殺し屋映画。
この寡黙さのせいで韓国映画らしさや話運びに感情が乗らない映画になってしまっていました。
主人公であるパク。
殺し屋である彼はとにかく感情が動かない、そしてこの感情が動かないから話の方も彼のプロ意識に合わせるかのようにとにかく淡々と動いています。

依頼人の家族を殺害した男達に近づきすぐに捕らえて拷問して、そのまま殺害する。
これを3回も淡々と繰り返して着実に仕事を実行していくんですが、これは彼にはなんの関与もない相手なので殺しという大きな話でもこちらの感情も動かないんですよね。

話運びでも語るところがないレベルの淡々さ。
あぁ拷問がエグいなぁ…とこれくらいにしか感情が動かない。
しかもパクがプロフェッショナルで拷問して禍根を残した相手はすぐさま殺害する徹底っぷりなんで、相手と駆け引きな要素が成り立つ部分もなく、ただただ追い詰めていくだけだから話の展開すら激しくならない。
後半ソルミンが腹立つことを言うのですが、びっくりするくらいに響かずに仕事をするのだからこの淡々とした話運びの徹底っぷりは大したもんです。
それでも寡黙な主人公ならパーソナリティが明らかになった時に大きな展開を期待…というのが普通の映画なんでしょうが、この映画はそこら辺も裏切ってしまう。
一応妻子を殺害されて刑事を解雇されたという事実が後半に明らかになるのですが、そのパクの復讐相手となる存在が今回の話には何も関わっていないので、結局パクが感情を動かす余地が全くなく終わる。
いやいや、そこは何がしかの形で復讐相手が関わっていないと映画的には困るでしょう?この復讐相手が出ないからパクのパーソナリティな部分も断面的でこの事件で法の届かない範囲で何か起きたんだろうなぁくらいにしか分からないんですよ。
なのでこの映画は主人公であるはずのパクが1番よく分からない人物になってしまうというオチなんですよ。
自分だけかもしれないですが、韓国映画というものには人や社会によるエグみというものを求めているので、そこに対して達観していてしかも当事者じゃないから淡々と話を運ぶという存在であるパクは主人公としては失敗しているなぁと思いましたね。
今回の話で言うならせっかく息子夫婦と孫を殺害された依頼人という存在がいるのですから、そっちの視点を描写して感情というものを出していく方が良かったんじゃないかなぁ。

やはり人や社会へのエグみというのは激情から生まれるものでしょうし、それを出すなら家族を奪われた依頼者の方が相応しかったと思います。
でも結局パク以外は殺害対象も依頼者も相棒シムも全滅するというオチですし、この結局何だったんだ…と思う虚無感。
韓国映画にしては淡々としすぎて失敗しているなぁというのが、申し訳ないですけどこのストーリーに対する自分の結論ですね。
拷問がワンパターンなのも映画的には
この映画の見所は多分拷問シーン。
殺し屋らしく効率の良いエグい(韓国映画らしさはここくらいかも)拷問シーンが繰り広げられます。
まず最初に図解を持ってきて中指と人差し指を切断、それから質問開始。更に答えなかったかったら残りの手の指も切断、そこから足の指に行くとめっちゃ丁寧にいやーなことを語るんです。

そして切断シーンも音も描写も痛い痛い痛い!!!と思わず唸るような描写、この映画ここだけは妙に力が入っており、エンタメ的な部分は不謹慎だけどここなんだなと思っていました。
なんですが、流石淡々とした映画。
なんとこの拷問シーン、捕らえた相手全員に同じことやるだけなんです。
指切って、情報吐いたらサランラップで顔をグルグル巻きにして殺害、これの繰り返し。
確かにやっていることは現実味あって怖いんですよ?現実的なことを考えるとこれが効率良いんでしょうし、凝ったことをする必要なんて確かにありません。
でも、これ映画なんすよ。
拷問シーンを見せ場とするならば、そしてわざわざ年齢制限もかけたならば、その場にある物や、相手の経歴に合わせた趣向の凝った拷問をしないとエンタメにはならねぇ。

不謹慎なこと言ってるのは自覚しています。
プロフェッショナルを描写しているんだからそんな物は必要ねえ!という考えなんでしょうけど、話も淡々としていて、拷問もワンパターンだったら見どころがあまりに足りない。
こんな暴力的な形でも観客の感情をどうにか動かそうという気概は見せてほしかったというのが本音でした。
まとめ
正直韓国語で話すだけの日本のダメなVシネを見ている気にしかならない映画でした。
しかも韓国映画でこれをやられるとがっかり感が更に増すといいますか、少なくとも自分の韓国映画に対する需要を満たしてくれる映画ではなかったです。
せめて淡々とした成りの緻密さでもあればまだ楽しめたのに、後半の人質交換でノコノコと相手のトラックに入るテジュ達はバカすぎてもはや楽しむの意味が違うんだよなぁ…
寡黙なプロフェッショナルは良いんですが、せめてそれならアクションとかゴアで感情を揺さぶってくれないと。
こんな感じで自分にはあまり合わない映画でした。

韓国映画を見てもたまにはこうなる時もある。
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