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製作国
アメリカ
監督
スコット・スピアー
脚本
ジェイソン・フックス
出演者
ベラ・ソーン
リチャード・ハーモン
ダーモット・マローニー
エイミー・プライス=フランシス
ショーン・ベンソン
生者と死者が同居する世界で伝えられるメッセージ。
今回はそんな映画ザ・メッセージ(原題:I Still See You)感想です。
ジャンルはSFスリラーで上映時間は約98分となります。
この映画の見どころ
・死者である“残存者”が当たり前のように存在する世界観
・ありえないはずの“残存者”が残したメッセージによるドラマとミステリー
目次
あらすじ
シカゴで起きた爆発事故の衝撃波によって多くの人が死に絶えてしまった世界。
世界はそれ以来変容し、<残存者>と呼ばれる死者の幽霊が、生きている人々と共存しながら生活していた。
爆発から10年過ぎたある日、ロニーはある<残存者>から「逃げろ」というメッセージを受け取る。
不安を感じた彼女は<残存者>たちに異常な執着を示す同級生のカークに助けを求めるが…。
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登場人物
・ロニー
“残存者”からメッセージを受け取った少女
そのメッセージを見て調査を始める
・カーク
“残存者”オタク
ロニーとメッセージの件で協力する
・ビットナー
ロニー達の学校の教師
・スタイナー博士
アシュバーン研究所の博士
10年前の爆発事故を起こしたラボの責任者
・ブライアン
ロニーに“逃げろ”とメッセージを残した“残存者”
“残存者”達
この映画の特徴的な設定となる“残存者”
これは亡くなった人達が姿を現して生前の行動を繰りすという日本の映画で言うと残穢みたいな設定の存在です。
この“残存者”達の特徴として別に所謂霊感的なものは一切必要なくみんなが見えてるというものがあります。
同じ時間、同じ姿で現れループ、変化しない、常に繰り返し、世界に影響を与えないとされています。
そしてこの映画の舞台の街は10年前の研究所の大爆発で“残存者”達がそれはもうあちらこちらで見受けられる状況となっております。
劇中でも言っていますが似たような状況になった場所として広島、長崎、チェルノブイリの名前も出てきます。
つまり国や場所を問わず“残存者”達が普通に見受けられる世界観ということですね。
この“残存者”達がこの映画にいい雰囲気を作ってくれているんですね。
普通にスッと出てきて触れたり時間になると消えるとても不気味でありながらも儚い存在で独特の雰囲気を醸し出しています。
生前そのままなので生きてる人間とは接触するまでぱっと見は区別がつかないというのもストーリーのロジックに使われており上手かったですね。
そんな絶妙な雰囲気を醸し出してくれる“残存者”ですが最終盤はちょっと個人的には残念だなと思う描写もありました。
その残念なところというのが犯人を湖に引きずり込むなど直接的な物理干渉を行うことでした。
他にも穴を掘り起こすなども行っておりちょっと後半は雰囲気変わりすぎましたね。
彼らが実はロジック通りではなくある程度の意思を持って干渉しているというのは語られるのですが、
それでも直接的な干渉をしすぎてそれなら最初からやれば良かったのでは?とどうしても思ってしまう部分がありました。
誕生日が同じ生者に“残存者”が入り込めるなどの設定もあるので一定の条件が揃ったらという憶測もできるのですがそれでもちょっと台無し感がありましたね。
タイミング良く現れて犯人の邪魔する父親くらいの干渉の方が雰囲気的には整っていて良かったんじゃないかと自分的には思ってしまいました。
これ残穢のラストでも思ったことなのでここら辺はどうしてもやりたくなっちゃうもんなんですかね?
“残存者”の助けというのは素晴らしいものだったのであまりにも便利すぎる干渉は無しでラストまで突っ走って欲しかったかなと。
そこ以外は完璧な雰囲気でした。
ラストの不穏な描写に関しては“残存者”に意思があるならそりゃ彼もこうなるよねって感じなので問題はなかったと思います。(分かっていてもスッキリ終わってくれよと思う人もいるでしょうが)
伝えられたメッセージ
邦題となる“メッセージ”ですがこれは映画見ると内容に沿ったいい邦題だなと思いました。
ロジック通りに行動するはずの“残存者”がロニーに残した“逃げろ”というメッセージ。
ただそこにいるだけのはずの“残存者”からのメッセージを契機にロニーの周りで起こる不可解な事件とロニーの誕生日でもある過去のうるう日で起きた過去の事件とのリンク。
言ってしまえば死者からのメッセージによるミステリーなストーリーになっていきました。
このメッセージ、ミステリーとしても登場人物達のドラマとしてもかなり機能していて素晴らしかったですね。
ミステリーとしては“残存者”が意思を持って起こしている事件なのかそれとも…という感じで、どちらに転ぶかは匙加減1つなストーリーだったので最後まで読みきれないものでしたし。
ドラマとしても残された者にとってメッセージというのがあらゆる方向に転ぶものとして捉えられていて心に残る内容となっていました。
実はロジック通りに動いているわけではない“残存者”達の残したメッセージ。
ブライアンはロニーを救うためにかなり直接的にロニーの父もそれとなく新聞でヒントを伝えるなど、
彼らは救うメッセージを発信し続けていました。
それとは逆にロジック通りに行動していた犯人の娘の“残存者”
彼女は意図してはいないでしょうが結果として目の前で娘を失った犯人にその死の瞬間を何度も繰り返すことにより、
犯人を狂気に駆り立ててしまうメッセージを発信し続けてしまうことになりました。
そしてメッセージというのは死者から生者だけに送られるものではありません。
ラストにロニーは自身が10年前に父を死に追いやったと思い込む後悔から行けなかった墓参りに父へのメッセージを送ります。
死者から生者だけではなく生者から死者へと送られるメッセージもあり、この邦題はナイスな邦題だと賛辞の声を送りたいですね。
原題のI Still See Youも勿論いいタイトルなんですけどね。
今回に関しては自分としては内容見た上で邦題の方がグッとくるタイトルだなと思いました。
まとめ
“残存者”という独特な設定を活かしたミステリーでも本作。
ミステリーは勿論ドラマとしても“残存者”と“メッセージ”が機能していて無駄が無く引き込まれるストーリーでした。
後半の“残存者”達の干渉の強さはちょっと自分的にはマイナス点なんですけどそこ以外は一切不満無し、
不気味さと儚さがある雰囲気とドラマ性でお気に入りの1本ですね。
ただパッケージに関してはもうちょい本筋に絡んだもっと良い場面あったでしょう?とは思います。
マイナス点として上げてる場面もカーク絡みでいいなと思う部分はあるので単純なマイナスではないということだけは伝えておきます。
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