【映画】取り憑かれたというより取り憑かれていた エクソダス 爆弾に取り憑かれた男 ネタバレあり感想

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エクソダス 爆弾に取り憑かれた男
(C)2021 Vega Investments Coverman

製作国

ポーランド

監督
パトリック・ベガ
脚本
パトリック・ベガ
出演者
プシェムィスワフ・ブルシュチュ
アンジェイ・グラボウスキー
セバスティアン・デラ
ユステナ・カルウォフスカ
ジャン・フリンキーヴィチ

映画エクソダス 爆弾に取り憑かれた男(原題:Pitbull)感想。

ジャンルはアクションと紹介されてましたがサスペンスだと思います。で、上映時間は約112分となります。

あらすじ

不遇な幼少時代を過ごしてきたノーズ。彼の唯一の生きがいは爆弾を作ることだった。爆弾を自由自在に扱える能力により、ノーズはギャング組織で成り上がっていくが、殺人課の刑事・ヤツェクに逮捕されてしまう。それから十数年後、因縁の2人は再び出会い…。

U-nextより

登場人物

ノーズ

少年時代に両親に見放され爆弾製作に没頭した男

その腕を買われてペルシング率いるギャングに加わった

本名アンジェイ・パウツキ

ヤツェク・ゴッチ

ノーズを追うワルシャワ警察の刑事

息子がノーズの家に空き巣をしたことによりノーズを追い詰める作戦を練る

ヤロスワフ・ゴッチ

ヤツェクの息子で工科大学生

ノーズの家に空き巣に入ったことにより彼に追い詰められていく

レナータ

ノーズが一目惚れした女性

後に彼の妻となり息子を産む

ソボル

ヤロスワフの友人

彼と共に空き巣をしノーズに追い詰められたことから過激な手段の空き巣を繰り返す

ペルシング

ノーズを雇ったマフィアのボス

3章仕立てのストーリー

ギャングのボス、ノーズと彼を追っていた刑事ヤツェクを中心にして3章仕立てとなっているのがこの映画。

悪魔の子、奴隷、脱出の3つで構成されておりノーズという人間、そしてノーズとヤツェクの因縁について語られていきます。

悪魔の子

主にノーズ視点で進む悪魔の子。

ノーズとヤツェクの出会いと因縁の始まりも描かれている章にもなっています。

個人的にはここが1番面白い章だったかもしれないです。

理由としてはノーズという悪魔が構築されていくという他の映画と1番差別化されていて見所が多い章だったからですね。

後この章が1番爆弾使っているので見所満載です。

基本的に語られていくのは母親の妊娠中に父親が蒸発し母親はその件で息子のノーズを含む男を憎むというこんな感じで幼少期から両親に見放され、
戦時中の線路から見つけた爆弾をいじって爆弾に没頭していくところから始まっていくわけです。

その際にあれだけ爆弾弄って死ななかったのは奇跡とノーズ本人も言っていますが、これこそ彼が選ばれた存在と言える証明とも取れ万能感を感じていく彼の狂気がどんどん増幅されていくのが見て取れます。

見てすぐに分かりますがノーズは共感できる要素が1つもない狂気の男であり、
だからこそ彼の主観が多く進む悪魔の子が面白さに繋がっていたとも感じますね。

いやこの人本当に共感出来る要素が無くてですね。
母親の売春宿の商売乗っ取りと〇害までが早いし、
レナータを見初めてからいきなり求婚と子作り申し出る辺りとか人間として何か欠けてそうでヤベェなこいつとしか言いようがないんですよ。

それに応じるレナータもレナータですが。

ギャングに入ってからは爆弾で成り上がっていくわ。
脅しもエスカレートしていくわで狂気に駆られているのですがノーズの怖いところは映画通して表情が終始無表情なところなんですね。

感情を出さずに何を考えているのか読みとれない、やはり狂気というものはこれくらい徹底的に表現してくれた方が見てる側としては楽しめるなとは思いましたね。

それに対する話としてのカウンターがヤツェク刑事。

彼の話もこの悪魔の子が1番面白かった気がしますね。

生涯にわたる関係と評される通り、警察が巻き込まれた段階からノーズの逮捕を狙うわけなんですが、
これ逮捕自体はさっさと罠にハメてかなりあっさりされるんですがその後ですね。

逮捕だけでは収まらない2人の関係性ですが、
こういう関係性というのは謎の親近感や友情が生まれたりなんていうものも珍しくないですが、
この映画はそんなものは全くないです。

不気味なノーズと正義を成そうとするヤツェクと最後まで気持ちなんて全く交わらない、
この関係性を最後まで突き通したのは絶対に相容れない物はある、
それを分からせるために必要な関係性でしたね。

で、このヤツェクの話で忘れてはいけないのが教会と宗教観です。

彼は定期的に境界に来て神父に告解を行い助言を求めます。
これが1つの指針となり動く、彼の敬虔さやもっと言うなら神父の助言の的確さと見るべきか彼の噛み砕き方の上手さと見るべきか最後まで決断の指針となっていましたね。

こういうガッツリとした宗教要素が出るたびに海外の映画見るのに宗教の勉強した方がいいよなと思ったりします。

悪魔の子においては正義が為されるのを待つか、自分が為すかで悩むヤツェクに対して、
第3の選択肢として悪には関与せず悪が向かう先を変えるという選択肢を与えます。

内通者を利用してギャング同士の内紛を引き起こさせ打撃を与える。
そしてその後釜にはノーズが入り裏切り者の粛清が行われる。

結果としてはノーズがギャングのボスになりますが、この章のラストの2人の邂逅がなかなか印象的かつその後の展開に影響していてこれが興味深かった。

息子に買い物を我慢させるヤツェクとその後にすれ違いこれ見よがしに息子に大人買いするノーズと、
これが次の章にも影響しているようでこの大人の話として展開されていましたね。

奴隷

次の章のタイトルは奴隷。

視点は代わり時間は経過し、ヤツェクの息子ヤロスワフの視点が追加されていきます。

彼の視点によって追加される要素は子供の火遊びの重すぎる代償といった所でしょうか。

親から遊べる金を貰えず工科大学生としての知識を駆使して仲間と空き巣に入るという火遊びをしてしまいます。

ここら辺が悪魔の子のラストからの繋がりがあり、
相変わらず買ってもらえないヤツェク側と惜しみなく買うノーズ側、
この対比によって子供の道が変わるというのは面白いですね。

我慢出来ないからスキル使って盗みますは環境ではなく本人の資質以外の何者でもないですが、
こうやって対比として出されるとまるで環境が影響しているかのように見えるのが面白い。

とまぁ、この金持ちの家に何件も空き巣に行う中で入ってしまったのがノーズの家という再び彼らに繋がりが出来てしまう訳ですが、
身も蓋もないこというとこれ本当にただの偶然だったのはどうかなぁと少し思ったりしますね。

ちょっとご都合主義感を感じるというかどちらかに何か計算があっての状況という方が自然だなと思うのですが、
これが2人の避けられない運命と因縁と思っておっさん同士の血みどろロマンチックという風に見るべきなのかもしれません。

違約金という名の制裁でノーズに追い詰められて空き巣が強盗になるほど追い詰められていく中でようやく父のヤツェクに相談するのですが、
警官の息子からこんなん言われても困るわという話ですし相手もノーズだしということで流石に頭抱えますわという話です。

そこでやっぱり相談するのは教会。

この告解にて示される道は犯罪者を逮捕する警官にも我が子を救う父親にもなれるという助言。

ここでヤツェクは息子を救う父としての道を選ぶことになる訳です。

こういう告解のシーンでその助言に従い道を見出したり拓けたりするのを見ると、
やはり宗教的な側面が強い映画だなとも思いますね。

教会の出番自体はここで終わりですが妙に強い印象を残す。
何というか最後まで万能なままそっと出番が終わる神の万能感を示されているように感じました。

よく考えたら当たり前のこと言ってるだけなんですが神と教会が乗るだけでここまで人に指針を与えてしまうんだなと。

脱出

そして最後の章、脱出。

ここからは互いの駆け引きですね。

やってることは悪魔の子と同じく、悪が向かう先を変えるという手口。

資金源を断ちながら麻薬組織のロシア人をノーズ側に向かせるという手口でしたが、
密告者を引き込みという点まで同じだったのでここはちょっと新鮮味には欠けましたかね。

何ですが、駆け引きの妙としてノーズの穴になるのが家族というのが面白かったですね。
家族を失い人質を解放するもすぐに復讐者として解放した人質を殺害に向かうと。

情というべきか、執着というべきか彼の家族関係見ると興味深い部分ではありましたね。

何の説明もなくレナータが薬漬けで廃人になっているのが、彼の狂気や執着をほんのり見え隠れしている気がします。

ラストの展開はあっさりしたもんですが、
互いに家族がアキレス腱となり毒になるそれでいて本人達は直接対峙することはなく決着がつく…

盛り上がりとしてこれはどうなんだろう?と思いつつもこの展開と雰囲気に妙に「大人」を感じて惹かれたものがあるのも事実でした。

爆弾に取り憑かれた男とは何だったのか?

これだけ書くとノーズについて深く書くように見あるかもしれませんが、ただの邦題への疑問です。

この映画の邦題(副題?)爆弾に取り憑かれた男ですがこれはちょっと大袈裟でしたね。

確かに間違ってはいないけどそこまで前面に出すべきタイトルではないそんな感じです。

理由としては至って簡単。
中盤から全く爆弾使わないからです。

いや、1回だけ使うんですが逆に言うとその1回だけなんです。
これは流石にタイトル詐欺感あるでしょう。

取り憑かれていること自体は間違ってはいないとは思うのです。
幼少期から爆弾に興味を持ち自分で爆弾を作り実験をする…
まぁ間違いなく取り憑かれています。

しかしここで終わりなんです。
大人になってからも爆弾は使いますがそれは正直スキルとして使っているだけなんですよ。

爆弾使いたくてしょうがないわけではなくこれが1番効率いいからそれくらいです。
大人なんだからそんな一々拘ったりしないよ。

後半で1度だけ使うのも最初の緻密な感じはどこにやら、ドローンで窓まで飛ばして爆発させるだけなんで手段としか見ていない取り憑いたというより取り憑かれていた男ですね。

大人なんだから子供の頃の執着なんていつまでも待ち合わせて行動しませんよってことですね。
ぶっちゃけノーズの怖さはここではないので爆弾期待させるのはちょっとミスかなと思いました。

まとめ

警察とギャングという分かりやすい軸の話だったこの映画。

見た結果爆弾に取り憑かれた男という邦題はちょっと主軸から外してしまった感ありましたね。

分かりやすさは大事ですし、自分もこの邦題見て見ようと思ったので偉そうなこと全く言えませんが、
この映画の面白いところはそこではないんだよなと見てからは思いますね。

過去と現在で変わった2人のアキレス腱。

それにより変化する駆け引きなどここら辺の面白さをもっと押し出しても良かったんじゃないかなと。

ノーズというキャラクターが強いようで弱いのでアクの強さだけで引っ張る話にせず、ちゃんと全体で引っ張る構成になっていたのは個人的には好感です。

後は宗教面の強さですね。
こういうの見ると本当に勉強しといた方がいいなと途中でも書きましたがしみじみと思いました。


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