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監督
デクラン・ホワイトブルーム
脚本
イアン・ヘイデン
出演者
ルビー・ローズ
フランク・グリロ
パトリック・シュワルツェネッガー
ルイス・ダ・シルヴァ・Jr
エマ・マドック
ダニー・ボーネン
スコッティ・ボーネン
個人的に大好きフランク・グリロが出るということで今回はこのバトル・クルーズ(原題:Stowaway)を観賞しました。
ジャンルはスリラーアクションで上映時間は約94分となります。
ルビー・ローズも出るということで結構派手派手なアクションかなと思ったら、予想外に真面目な内容(とガバ)が目立つ内容でした。
目次
あらすじ
ベラのもとに疎遠だった父の訃報が届く。父の形見として残された豪華な船を引き取り、上機嫌となったベラはバーで知り合った男を連れて船の中で一晩を過ごす。しかしその最中、急に船が動きだし、ベラが甲板に出ると武装した男たちに船は占拠されていた。
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登場人物
・ベラ・デントン
父と疎遠になり1人で生きてきた女性
過去のトラウマで水が苦手
刑務所で戦い方を学んでいる
・アーサー・デントン
ベラの父
ベラにクルーズ船“ベラ号”を遺した
・エド・ミーザー
アーサーの親友であり仕事仲間
アーサーの訃報と遺産についてベラに知らせに連絡する
・ローソン
“ベラ号”の船長
アーサーとは軍隊で一緒だった
妻子がおり、娘のアナが診断不能の病気を抱えている
・マイケル
世界中を旅している男性
バーでベラと知り合いクルーズ船で行きずりの関係となる
・サンシャイン
クルーズ船を襲撃した男
PCに長けておりアーサーの金庫の解読をする
・ジム
クルーズ船を襲撃する男
暴力的な性格
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逃げ場のない船上戦
クルーズ船という周りは海で逃げ場のない船上で追い詰められていくスリラー展開な映画…
なのですが、実はあまり緊張感は無かったりしました。
襲撃直後に助けを呼びに行ったマイケルが射殺されて助けの目が無くなるということで中々の緊張感はあったと思うんですがその後がですね…
途中まで駆け引きもなくただ隠れているだけで襲撃者達に見つからないので、無風な展開が多いのです。
途中で1回見つかるんですが、すぐに協力者が出てきてまた見つからない時間が長引くという緊張感というものに関してはあまり感じない作風ですね。
協力者のローソンなど最後まで見るとこの展開は主題では無いのかなと思うので致し方ないとは思いましたが、
こういう襲撃者に追われる映画なら折角大きめなクルーズ船という舞台なのだし、
もう少し追われながらも部屋や道具を駆使して出し抜くという駆け引きが見たかったのが本音ですね。
ここら辺はよくある実は凄腕の軍人だったとか舐めてた相手を返り討ちというタイプの映画じゃないので、
逃げと隠れの一手というのはリアルではあるんですけど盛り上がりだからとしてですね。
俳優的にもそちらを期待していた人は多いと思う。
特に警備隊が1回駆けつけるシーンはちょっと冗長でしたね。
救護ボートに隠れていて警備隊に助けてもらおうと思ったら、なぜかドアが開かなくなり警備隊が帰った瞬間に開くというのは絶望感の演出なんでしょうが冗長過ぎて必要性が薄く感じてしまいましたね。
こんな感じでほぼほぼ会敵することなく進むのでほぼラストまで反撃に転じることもアクションもないのは勿体無いなと思いました。
追いかけっこも隠れんぼも駆け引きがやはり欲しい。
反撃に転じてからもそこまでアクションをがっつりというわけではないので、
シチュエーションから期待される見所は薄めな作風でした。
あ、でもサンシャインとの格闘戦前の会話で刑務所で戦い方学んだと言ったら、
サンシャインがニヤリとしながら「行くぞ」と言って格闘が始まる変な律儀さはかなり好きでした。
襲撃者達の目的
父の遺したクルーズ船「ベラ号」を襲撃した襲撃者達の目的。
それはクルーズ船の金庫に隠されていたと(思い込んだ)8000万ドルの金でした。
アーサーの軍事会社に所属していた兵士達が現地の指揮官を殺害して奪った金。
それを奪回したアーサーが今も所持していると思って襲撃したわけです。
計画としては娘のために金を欲している船長であるローソンを仲間に入れ、
“ベラ号”を沖に出して金庫から金を盗み出した後に爆破させるというものだったのですが…
ぶっちゃけ計画は(というか脚本が?)かなりガバい内容でした。
理由は複数あるのですが、まず1つ目の理由として、金が“ベラ号”にあるとした根拠がなんだったのか分からない。
いや、本当に何でここにあると思ったのか全然分からないんです。
強いていうなら他の当ては既に探し終わっていたからとか金庫が厳重だったからとかそんなところでしょうか。
そして2つ目は船長のローソン引き入れているなら別にベラに連絡する必要は無くない?というところ。
内通者を既に引き入れているなら別にベラを呼ぶ必要性を感じないんですよね。
穏便に正式な管理者呼んでからの方がスムーズと考えているのかというとそうでもなく。
いきなり忍び込もうとするところ警備員のガブリエルに見つかったら殺害して強引にいってるんですよ。
ローソンの話だと人殺しはしないという約束の元に協力したらしいのでこのためだけにやったと取れなくもないですが、
強行手段使い過ぎて普通ならベラ呼ぶ理由がまるでないんです。
というか呼ばない方が誰も死なずに済んでただ金が手に入らなくて悔しがるで終わった気もするくらいです。(その場合ローソンはアナを助けられないんですが)
強いて理由を考えるのであればアーサーの最期の言葉に対してベラに金を残す義理を果たそうとした、
もしくはアーサーへの報復としてベラを巻き込もうと思ったくらいでしょうか。
後者に関してはベラが巻き込まれたのは完全にアクシデントなので多分違いますね。
最後に3つ目の理由、これが1番ガバいです。
それはローソンが持ってたアーサーの収支書に8000万ドル既に使い切ったという記載がされているということです。
これは計画より脚本の問題な気がしますが、仲間に引き入れたローソンがこの事実知ってるならそもそも強盗する意味がない。
もっというならローソンがこの計画に参加する意味すらないという大ガバです。
ここのガバだけは流石にどうかと思いましたね。
他は無理矢理でも理由捻り出せますけどここだけは無理です。不可能です。
まとめるとこんなガバ具合ですよ。
- 金が“ベラ号”にあると思う根拠がない
- 内通者引き入れて強行手段使うならベラを呼ぶ理由がない
- そもそも引き入れたローソンが持ってる収支書で8000万ドル使い切ってることが記載されている
こういうガバを見ても分かる通り脳筋な襲撃者達でした。
ちなみに襲撃には黒幕がいるのですが、全く予想を裏切らずにエドです。
ネタバレですが分かりきってるネタバレってやつですね。
予想つかない人なんて誰もいないでしょう。
父の愛
これがこの映画のテーマだと思います。
この映画にはアーサーとローソン、2人の父、そして2人の娘がいるのですが、
アーサーとベラの親子は疎遠なまま死別してしまいました。
そして今回の件でベラは父について多くのことを知ることになります。それこそ襲撃者からも。
軍事会社を経営していたこと、仲間の治療費を払っていたこと、奪回した8000万ドルを多くの人々に分け与えていたこと、そして自分のことを愛していたこと。
厳重な金庫に隠されていたのがベラとお揃いのネックレスということからもそれを深く知ることになります。
そして最後の局面で爆破が迫る船から自身のトラウマである水の中に飛び込みます。
この時思い返すのが冒頭にも流れおそらくトラウマの原因となった海で溺れた回想。
そしてその時に父に助けられたこと。
ベラはそれを思い出し沈む海から導かれるように這い上がります。
この瞬間ようやく疎遠となっていた父と和解した、そように見える演出でした。
そしてもう1人の父であるローソン。
彼は難病で病名すら分からない娘のために今回の計画に乗ってしまいます。
アーサーへの“恩”がありながらも道を間違えてしまいますがそれでもベラを匿い、警備隊も救おうと奔走します。
そのことが結果としてベラ達を救い、そして後に娘のアナを救うことにも繋がっていきます。
道は間違えどアーサーへの“恩”と父としての思いで踏み外しきらなかった。
この父としての顔が自身は報いは受けても父として心から救いたかったものを救いました。
ラストで船の保険金をベラがアナに寄付しますが、
これは父アーサーが行っていたこと、ローソンが父として守りたかった者。この2つの父の思い両方をベラが継承し果たしていく。
これを見ると父の愛の話だったんじゃないかなと思いました。
スタッフロールで流れるのが幼少期の海でのベラとアーサーの映像というのを見てもそれを感じた気がします。
結局ベラがグレた理由がはっきりしなかったのがあれなんですけどね。
最初は冒頭で溺れたのが原因かと思いましたが、アーサーはちゃんと救ってましたし、
単純に母親がいない環境で反抗期が合わさってなのかもしれません。
最後のセリフで全部アナに上げたわけじゃないのよとベラらしいオチもつくのが、彼女らしい部分が入っていて良かったですね。
ちなみに最初に撃たれたマイケルは実は生きてます。彼は実にいいやつでした。
さーて、今回のフランク・グリロは?
フランク・グリロが好きな自分がこの映画を見た理由は彼が8割程占めていたのですが、さて今回の彼はどうだったのかというと。
で、出番が少ねえ…
序盤とラストに出るだけと今回はあまりにも出番が少なかったですね。
その出番も序盤は絶対こいつ黒幕だわと確信できる配役で、
ラストで本性表したら少し交渉で駆け引きして後は船ごと爆死と碌なアクションすら無く退場してしまいました。
アクションだけが彼の魅力とは言いませんが、今回のストーリーならアクション欲しかったのが偽らざる自分の本音です。
というかルビー・ローズとフランク・グリロ使って碌なアクション無し。
これはもうパッケージ詐欺ならぬ俳優詐欺ですよ!
とまぁ冗談はさておきフランク・グリロ目当てだと今回は正直消化不良な内容でしたね。
彼が活躍すれば自分はお腹が満たされるのに。
まとめ
ちょっと襲撃者側の計画のガバっぷりがあまりに気になる内容でした。
親子の話としてはそんなに嫌いではないので、ここら辺もう少し練ってくれてスリラー映画としての駆け引きもあれば良かったかなと。
配役に対してストーリーは少々派手さに欠けるのでそこら辺を分かった上で意外と真面目な内容と思って見るべき映画でした。
重ね重ねこの配役でアクションが乏しいのはちょっと勿体なかったなぁ。
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