この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
製作国
スペイン
監督
パコ・プラサ
脚本
パコ・プラサ
ホルヘ・ゲリカエチェバァリア
出演者
アリア・ベドマル
マル・バルディビエルソ
ルイサ・メレラス
アルムデナ・アモル
チェロ・ヴィヴァレス
サラ・ロチ
オリンピア・ロチ
アドリアナ・カマレーナ
マリーナ・デルガド
クラウディア・フェルナンデス・アロヨ
今回はネトフリオリジナルのホラー映画ブラックサン(原題:Hermana Muerte/Sister Death)の感想。
自分は情報見るまで知らなかったのですが、本作はエクリプスの前日譚に当たる映画とのこと。
申し訳ないことに自分エクリプスを見たことがございません。
なので主人公であるナルシサに関してはもしかしたら検討違いな感想も多いかもしれません。
いずれエクリプスもちゃんと見ます…
ま、まぁ体験というのは取り消せないのでエクリプスを見たことない側の感想という視点はそれはそれで需要があるかもしれないということでご容赦を。
で、肝心の内容なのですがなかなかに宗教的な要素の強いホラーといった内容でした。
とはいっても素直に見てもその演出や雰囲気から十分な怖さは感じ取れたので単純なホラーとして見てもいい映画でしたよ。
ジャンルはホラーで上映時間は約90分となります。
目次
あらすじ
不思議な力を持ち、聖少女と呼ばれたナルシサ。やがて修練者となった彼女は、元修道院にある女学校で少女たちに教え始めるが、そこには何か邪悪な存在が巣食っていた。
Netfrixより
登場人物
・ナルシサ
かつてペロブラスコの聖少女と呼ばれた女性
静かに生きればまたマリア様が戻ってくると思い世間から離れた修道院にシスターとして着任した
・シスター・サグラリオ
戦争前の時代から修道院を知るシスター
ナルシサのことは歓迎している
・シスター・フリオ
戦争前の時代から修道院を知るシスター
ナルシサの奇跡を疑っており彼女を歓迎していない
・ロサ
修道院に住む少女
ある夜に“あの子”を見て怯えるようになる
・シスター・ソコロ
ナルシサの部屋の葉巻箱の中の写真に写っているシスター
既に亡くなっている
3章仕立てのストーリー
本作はナルシサの修道院着任から全3章で成り立つストーリーとなっております。
“聖少女”、“彼女が名前を書けば呪われる”、“シスター・ソコロ”この3章で成り立っており、
各章概ね30分で約90分の映画なのでまるで連ドラのような感覚で見れる映画でしたね。
ストーリーとしてはナルシサの身の回りで起きる連日の不穏な事態と“あの子”の噂。
この2つの真実が重なる時に恐ろしい奇跡が起きるという内容となっていました。
せっかく章仕立てで進む映画なので上で言った通りの連ドラ感覚で各章の感想について述べていかせてもらいます。
第1章 聖少女
1949年、かつて“聖少女”と呼ばれたナルシサがかつて戦争の爪痕残る修道院にやってくることから始まる導入の章ですね。
ここでのあらすじとしては、
かつて“聖少女”と呼ばれた周囲からの期待から逃げるようにここに来たことや、
かつてのことにはナルシサ本人も違和感を覚えており、
もしかしたらあの時見たマリアは本当に見えた物ではなく自分自身が見たい物を見ただけだったのではという疑問。
そんな思いを抱えながらやってきた修道院に入った直後から誰もいないのに転がってくる謎の黒い玉、
案内された部屋では前の住人の物と思われる葉巻箱の中から出てくる“シスター・ソコロ”の写真とハサミ。
そして毎夜ひとりでに倒れる椅子と周囲に誰もいないのにも関わらず聞こえる強いノックの音。
2日目の夜にノックの音の後に聞こえる母を探す子供の泣き声に外へと出ると再び黒い玉が転がっており、
ひとりでに移動する玉の後を追い地下室に行くと戦後行方不明になった聖マルタの手を見つけるのであった。
と冒頭から不気味な現象とナルシサのパーソナルな部分が見えてくるという構成。
特にナルシサに関しては自身が見た奇跡の存在が何だったのかという疑問を自分自身でも抱えており、
毎日苦行や時に断食なども行っているとここら辺正直深い理解が及ばない宗教的な自罰的な行為も見えてきていますね。
そんな中で黒い玉に導かれて見つけた聖マルタの腕という新しい奇跡。
奇跡のあり方や不安、そして不穏が見えてくる章でした。
この章、導入なので当然派手な何かが起きるわけではないのですが、雰囲気の作り方が上手いんですよ。
特にナルシサの部屋で起きる現象については椅子とノックについてはこの段階では不気味さ、ラストまで見るとゾッとする怖さを感じれると上手い演出でした。
第2章 彼女が名前を書けば呪われる
第2章ではいよいよ視覚的にもストーリー的にも本格的に不気味なことが始動するいった内容。
夜中に修道院に住む少女ロサが妹のトイレに付き合い部屋の外に出ると、バスタブの近くでハサミをそしてバスタブの中では蠢く水と“あの子”を見てしまう。
そして部屋では髪を切られた少女、それをハサミを持っていたロサの仕業として彼女は地下の懲罰房の中に閉じ込められてしまう。
ハサミのことを知ったナルシサは自分の部屋の“シスター・ソコロ”の葉巻箱の中を確かめる。その中にはあったはずのハサミが無くなっているのであった。
ナルシサは懲罰房のロサの元に行き何があったのか話を聞くとその口から“あの子”のことを聞く。
“あの子”とは一緒に遊んではダメ、彼女の絵に触れてもダメ、そして名前を書けば呪われる。
後日、懲罰房から出たロサが授業中に突然席を立ち逃げ出す。
そこの黒板には“あの子”がロサの名前を書いていた。
ロサを信じて“あの子”の描いた絵に2人で絵を描き足すロサとナルシサ。
すると再び椅子が倒れ、ロサのみが女の子じゃない何かを見る。
ロサの視線の先を追い彼女から視線を逸らすと不意に消えてしまったロサ。
彼女を方々探して礼拝堂につくとロサの祈りの声が告解室から。
その中を開けるとロサが首を吊り既にしぼうしていたのであった。
“あの子”の存在が示唆され犠牲者も出る第2章。
ここは“あの子”の行いで犠牲になるロサの流れも見事なのですが、
それ以上にナルシサのある種の卑しさが見えるのが良かったですね。
この章、目玉入りのパンを食べさせられたり、ナルシサの指に数珠が食い込んだり、来ているベールやドレスが急にナルシサを締め付けるなどの現象が全て夢落ちで起きるのです。
これホラーなので分かりやすい映像で間を持たすために入れたという事情もあるのでしょうが、
それと同時にナルシサの内面から追い詰められているという部分も出ているのではないかなと感じました。
1章でも語られた“聖少女”として見た物に自身でも疑問を持っているナルシサ、
この章でも自身に鞭打つなど苦行をかしているシーンもあります。
そんな中で起きたロサの“あの子”の騒ぎ、これでロサをどこか利用しているという本音を告解室の“何か”に突きつけられています。
知りたさや見たさからロサを利用して再びの奇跡を見ようとしていたと思われるナルシサ。
ロサの結果は彼女のある種の卑しさが招いた結果と言えるのでしょう。
ここでのナルシサの思惑がこの映画で個人的には1番好きかもしれません。
宗教的な映画なので登場人物への共感が難しい中で分かりやすい俗な考えの共感のしやすさである種の安心感を感じるんですよ、ここ。
異質さを感じながら見るのもいいんですがこういう部分が無いとただ俯瞰して見るだけになるので、
最後の奇跡があるにしてもここでナルシサへの共感を感じられたのは良かったですね。
第3章 シスター・ソコロ
第3章はこの映画の最後の章。
部屋で起きる謎の現象と“あの子”の関係。これが全て明らかになった時に恐ろしい奇跡が再び成るという締めに相応しい章でした。
ロサの死に後悔するナルシサ。修道院を出て行こうとした矢先に起きる日食。
その日食に彼女は再びあの日の奇跡を見ようと太陽に目を焦がれされがらも日食を見つめ続ける。
そして目を焼かれた彼女は“シスター・ソコロ”に何があったのかを見ることに。
“シスター・ソコロ”彼女は戦時中に兵士に狼藉されて子を身籠ったこと、
産まれた子供は修道院の外に出ることを許されずそんな中で病気になった“あの子”を外の病院に連れて行こうとすると、
それを許さない他のシスター達に部屋に閉じ込められ彼女はドアを叩きながら叫び続けていた、
そして“あの子”はシスター達が熱を冷ませようとバスタブに押し込められた暴れた際に頭を強く打ち亡くなってしまう。
あの子の叫びが聞こえなくなった“シスター・ソコロ”は何が起きたのかを察して椅子の上に立ち自ら首を吊り命を絶っていたのであった。
彼女の怒りに共感するナルシサ、あの日のソコロの部屋のドアを開くと彼女は過去で“あの子”を殺したシスター達に復讐する。
過去で殺害されたシスターは現在に影響を受け同じように死亡していくシスター達。
復讐を終えたソコロはバスタブから“あの子”を抱き上げる再会した親子を見たナルシサは静かに微笑むのであった。
“シスター・ソコロ”の部屋で起きたノックと椅子、そして“あの子”の謎が交わり明らかになったことで起きる恐ろしい奇跡の話な3章。
この2つの現象が交わり起きる強い恨みの話の構成には素直にいいなと思いました。
閉じられた世界の暗部なんて言うのはお約束ですし、そしてシスター達が“あの子”を意図的に殺害してしまった訳ではないのがいいですね。
教義の都合上行えない中でやれる全力の結果というのが如何にも宗教的なホラーの代表的な落ち度といった感じで好みです。
ただ正直な話を言うとここのナルシサに関しては自分がエクリプス未見だからかイマイチ釈然としないんですよね。
言ってしまえば彼女の能力は結局何なのかがよく分からないのです。
日食に目を焼かれることでソコロの過去を知り更にその過去にまで影響を及ぼすことが出来るというのはそういう能力なんだと言われたらそこまでなんですが、
神の奇跡なのかそれとも作中で1回指摘された悪魔の罠なのか、ここが分からないのです。
目を焼かれたことで見えるようになったというのは余計な物を見ると目が逆に曇る的な物と判断しましたが、
奇跡が何による産物なのか、これはエクリプスを見れば分かるのでしょうか?
メインとなる“シスター・ソコロ”と“あの子”が交わるという展開はいいんですが、
それを交わらせるナルシサの能力に関してはどうしても疑問が残り続けてしまいましたね。
宗教的なホラーはやっぱり難しい
この映画は宗教的なホラーなのですが、やはり難しいなと思う部分が多々ある映画でしたね。
言ってしまえば各種の描写による本当の怖さというものに心からの理解や共感をどうしても出来ないのですよね。
例えばナルシサの夢の描写なんかは不気味で怖いなぁと思うことはあっても本能的な部分にまで訴えてくる怖さには至らないのです。
ホラーの怖さというのは絶対的な不可侵の領域を侵されるような感覚が1つの怖さだと思うのですが、
宗教観が関わるとそこに疎い自分みたいな人間だとそこを重視した演出には届ききらないと言いますか。
これは完全に宗教観的な問題となるので一生溝が埋まることはないだろうなと改めて思う部分でありました。
まとめ
2つの軸が交わる瞬間から起きる恐ろしい奇跡が素晴らしい構成。
何ですがそれを結ぶ奇跡の部分が宗教観的不足かエクリプス未見だからかイマイチ理解しきれない部分もあった内容でした。
ここら辺は自分の知識と感覚不足による物なのであくまで個人の評価の問題ですね。
でもやっぱり宗教的なホラーで演出もそれを重視していると心から怖いと感じるのは難しいですね。
それがいいのか悪いのかは別として大作ホラーなんかはやっぱり分かりやすく怖い演出を入れるようにしているんだなぁとちょっと発見がありました。
逆に言うとこの映画は宗教的な部分に特化したホラー演出を入れているということでメインの客層をしっかりと定めてそこに向き合ったホラーとも言えるでしょうね。
怖さを感じ取れるかは別として宗教観強めたことによる醸し出される不気味な雰囲気、
3章仕立てという転換の分かりやすいストーリー構成と見た目の割に入りやすく見やすいホラー映画にでした。
他の映画感想
他のホラー映画感想はこちら。