【映画】幽霊による勘違いストーカー被害 ゴーストライン 死者の叫び 感想

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ゴーストライン 死者の叫び
(C)Undaunted Films 2014

製作国

アメリカ

監督
ディーン・ホイットニー
脚本
ディーン・ホイットニー
出演者
レイチェル・アリグ
ザック・ゴールド
バート・カルヴァー
マーク・ベンジャミン
ジャスティン・リトル

今回は霊によるストーカー映画ゴーストライン 死者の叫び(原題:Ghostline)の感想。

執拗にかかってくる非通知の勘違い電話、徐々に迫る電話の主と設定は正直かなり興味を惹かれる設定。

…何ですが、電話の主の正体が最初から割れてしまっているのが、個人的にはちょっとジャンルとしては怖さを薄れさせてしまっていたかなと感じる映画でもありました。

でもまぁ今の時代(と言っても2015年の映画ですが)に固定電話による恐怖と言うのは逆に新鮮さが生まれていて独特な雰囲気が漂う映画にはなっていますよ。

ジャンルはホラーで上映時間は約85分となります。

ここが見どころ!

勘違いストーカーの不気味さ

いい人タナー刑事

あらすじ

その女、憎悪と殺意を纏う―。
タイラーは恋人のチェルシーとLAを離れ、叔母の遺産として受け継いだ家に引っ越してきた。田舎暮らしに不安を感じながらも生活を立て直すため、職探しを始めるタイラー。しかし、近くにある原子力発電所の影響で自宅では携帯電話の電波が届かない始末。しかたなく家に設置されていた固定電話を使い始める。その夜、タイラーが履歴書を作成していると非通知の着信が入る。ひどいノイズの中、“エリック”という人物の行方を尋ねる女の声に対し、間違い電話だと伝え電話を切るが、再び電話が鳴り出す。苛立ち、強引に電話線を引き抜くタイラーだったが、翌朝、間違い電話の女から36件もの留守番電話が録音されていて…。

Rakuten TVより

ゴーストラインを配信している配信サービス

※2023年12月2日時点

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登場人物

タイラー・ヤンツェン

役者の男性

収入が厳しくなったため亡くなった叔母の家を相続して住むことに

家に住んだその日からエレンと名乗る女性からエリックと勘違いされる電話が何度もかかってくる日々を送ることになる

チェルシー・ワトキンス

タイラーと4年付き合っている恋人

彼の家で同棲するが彼同様にエレンの電話に悩まされることに

友人のヘザーの話でエレンは幽霊ではないかと疑う

エレン・ペンドルトン

タイラーの家に何度も彼をエリックと思い込み電話してくる女性

エリックとは恋人で8年前に行方不明になっている

エリック・チャンバース

電話の主エレンが探す男

かつてタイラーが住んでいた家の家主の甥で8年前に失踪したエレンとは恋人同士だった

ニック・タナー刑事

連日かかってくるエレンからの電話の件を担当することになった刑事

タイラー達に親身に接する刑事で幽霊話を持ち出されても頭ごなしに否定せずに接する

スター刑事

タナーと共にエレンの電話の件を担当する刑事

タナー同様に彼らに親身に接して事件に対応する

大学では宗教学を習っていた

勘違い幽霊のストーカー物語

新居に引越ししたその日から身に覚えのない女性エレンからの執拗な電話に悩むという本作のストーリー。

この映画、一言で言うと幽霊が完全に主人公タイラー達を自分を殺した男と勘違いして嫌がらせしてくる勘違いストーカーによる被害のお話です。

何かこう聞くとコメディ?と思うかも知れませんが話自体は終始シリアスな雰囲気。

設定としてはなかなか見ない形なので面白いのですが、やっぱり規模相当の粗があったり味があったりする映画となっておりました。

冒頭でバラすのは勿体ない気が

番号を持たずに電話が出来る回線、電話の追跡は出来ないというゴーストラインという回線で非通知の電話をかけてくる女性エレン。

ゴーストライン
(C)Undaunted Films 2014

彼女の正体が霊というのが冒頭で即分かってしまうのは個人的に勿体ない要素かなと思いました。

ゴーストラインがダブルミーニングになっているのを早めに提示したかったのかもしれませんが。

なぜかと言うと思い込みが激しい勘違いストーカーというエレンの要素は生きている人間からでも全然怖いからというのが理由ですね。

徐々に迫るストーカーの被害、家の中にまで侵入しているという恐怖、
これらは霊より生きている人間がやっている方が正直よっぽど不気味で怖い要素だと思います。

なのに冒頭の時点で霊の存在を示唆してしまうというのはあまりに勿体なかったんじゃないかなと。

最終的に霊の仕業と明らかにするにしてもストーカー的な要素を出すなら、生きている人間からの仕業かも?という選択肢は最低でも中盤くらいまでは維持した方が絶対怖かっただろうなと思います。

やはりホラーの怖さの1つというのは得体の知れなさというのは間違いなくあるので、
ホラー慣れしていると最初に霊の仕業と提示されると尚更怖くなくなってしまうんですよね。

怖くないという理由に関してはそれ以外にも冒頭の霊の描写がちょっとシュールな面白さがあるというのも理由なんですが。

だって埋められた土の中から霊魂出てきて断然に入り込んで、徐々に電線伝ってタイラー達に近づいていくんですもん。

エレン本人や製作陣は至って真面目なんでしょうが、この何とも言えない可愛らしさと面白さがある描写で、
見ている側としてはエレンをこの映画の恐怖の対象ではなくキャラクターという目線になってしまいました。

こういった描写のシュールさや最初から存在に答えが出ている、
これによってストーカーの不気味さと言うものをイマイチ損ねてしまっていてちょっと勿体無いなと思った次第です。

こんだけ勿体ないと好き勝手に言い続けて対案も出さないのはあれだと思うので、
個人的には冒頭の遺体遺棄は必要でも埋められた後の霊魂は出さなくてもいいんじゃないかなと。

この電話をきっかけに8年前から続く合計8人の女性失踪事件と徐々に繋がっていくという構成なので、
その事件と繋がり犠牲者の仕業なのでは?と思わせてからのエレン登場でストーカーは霊の仕業と明らかになるというくらいが不気味さと両立する塩梅じゃないかなと思うのです。

エレンは1度登場したらその後は普通に姿見せ続けるのでね。
だからこそ何の仕業なのかという緊張の溜めがあれば話への興味も深められたと考えています。

やっぱ得体の知れないというのはホラーの醍醐味の1つなので隠すほうが個人的には好みなのです。

それでもエレンのストーカー描写は気味が悪い

上で何だかんだ言いましたが、エレンのストーカー描写はなかなかに気味が悪いです。だから霊の仕業と最初にわかっているのが勿体無いんですが

最初の非通知の電話でタイラーをエリックという男性と勘違いして何を言っても聞く耳を持たない、
言葉は通じても話が通じないというこの最初のアプローチは完璧だと思います。

そこからの連日の息遣いだけが録音されている留守番電話の量、初日の時点で36件、次の日は58件と異常な何かが起きタイラー達が疲弊していく様は生々しいです。

相手への対応などで意見がすれ違い口論になるのもまた生々しい。

電線通じて家に着いた頃には冷蔵庫にネズミの死体入れたり、キッチンの家具をぶち撒けたりなど、
タイラー達視点だとこの段階だとまだ霊とも思っていないと言うのもあり、
鍵を閉めているにも関わらず侵入されているというここの精神的な追い詰められ方は本当ストーカー物としては見事と思います。

だからこそこの段階ではまだ霊と分からない方が怖かったと思うんですけどね。

ちょっと残念ポイントとしてはその後のゴーストバスターによる調査のシーンではっきりとエレンが姿を見せて匂わせるということをしないということですね。

その代わりにこの後は霊らしい追い詰め方をしてきて家に泊めてくれたタナー刑事に取り憑いて操って銃をぶっ放すなどちゃんとアプローチを変えてはくれています。

ただこの取り憑きについては正直やりたかっただけ感は否めないんですけどね。

その根拠としてはとてもシンプル、エレンは作中で自らの手で直接2人殺害しているからです。

ゴーストライン
(C)Undaunted Films 2014

姿を消して近づくことが出来、殺害も自分の手で物理的に出来るにも関わらず彼女がわざわざタナー刑事に取り憑いたのは製作がやりたかっただけでしょうね。

もしかしたらタナー刑事とタイラー達を引き離すという作戦の可能性もありますが、
この勘違いと思い込みで突き進むエレンにそんな知恵が働くとは思わないので間違いなくやりたかっただけでしょう。

こんなストーカーの不気味さと被害をしっかりと霊らしい手段も混じえて見せてくれるエレン。

彼女に問題があるとしたら最終盤まで勘違いと思い込みで完全に無関係のタイラー達に手を出していることでしょうね!

最後に物凄くいい顔で浄化され成仏していきますが、あなた無関係のタイラー達にひたすら嫌がらせして、無関係な人を1人殺害していることを忘れるなよ!

タイラー達の人の良さで何かいい雰囲気で成仏させてもらっているだけで、生前の可哀想さをかき消すくらいのことをやっているのは間違いない幽霊なのでしたとさ。

いや、本当最後の成仏シーンはいい顔と合わさって突っ込まざるを得ないので1回体験してほしいかくらいです。

意外性は特にない過去の事件とゴーストラインの真実(ネタバレだよ)

ゴーストライン
(C)Undaunted Films 2014

エレンによるタイラー達の家にかかってきたゴーストライン、
なぜエレンはタイラーをエリックと呼ぶのか、
過去に住んでいた住民とそのエリックの関係性、
8年前から続く複数の女性失踪事件との繋がりは?
そして冒頭の死体遺棄の映像との関連は?と。

こんなミステリーな要素がある本作ですが、明かされる真実は上の情報から推測する1番簡単な答えまんまというド直球な真実となっております。

ストーリー的にはキモとなる部分にも関わらず捻りはないので、あくまでエレンの勘違いストーカーっぷりの舞台作りのための物と考えてもいいかも知れません。

簡単にまとめると8年前にエレンから別れ話をされたクズ男エリックは逆上し彼女を殺害して死体遺棄(冒頭の話)、
そしてエレンは霊となりエリックに恨みを晴らすために電線に入り込み彼を捜索、
かつてエリックが親戚と共に住んでいた家にタイラー達が住み固定電話が復活したことにより、かつてエリックが住んでいた家にいるタイラーをエリックと勘違いしてタイラー達にゴーストラインで電話してストーカーと嫌がらせ開始、
一方でエリックはエレン殺害により変な方向に目覚めてこの8年で他にも女性も殺害し埋めていたと。(これが失踪事件の件ですね。)

見ての通り出てくる情報からというか冒頭の映像と霊魂、エリックの存在が明らかになった時点で簡単に答えに辿りつける信じたとなっております。

そして見れば分かる通りタイラー達はクズ男と勘違い幽霊から完全にとばっちりを受けているという始末ということですね。

普通なら実はエリックかエレンどちらかと繋がりがあり、実は狙われる理由があるんじゃと予測すると思いますが、そんなことは一切なし!完全にとばっちりでございます。

心霊現象と言うのは理不尽な方が怖いという部分もありますが、ここまでタイラー達が無関係だとシュールな笑いの域に入っていたかなぁと思う程でしたね。

蓋を開けると過去に殺人した男が殺害した女の霊に狙われているだけという話なのに、
ここで正当な復讐をしているはずの霊の方に勘違いストーカーという要素を入れることでここまで変にこじれた話にするのですからちょっと感心してしまいました。

ある意味日本的な怨恨が絡む映画の香りを感じる。

何と言いますか捻りはないけど妙な情緒と笑いを感じる、そんな真実でした。

人の優しさが目立つからこそ当事者2人が目立つ

この映画の登場人物は基本的にかなりいい人達ばかりです。
彼らがいるからこそ本来の当事者であるエリックとエレン(特にエリック)の酷さが目立つと言ってもいい構成です。

まず主人公のタイラーとその恋人チェルシー。

ゴーストライン
(C)Undaunted Films 2014

彼らはどちらかと言うと終盤までは意味不明なストーカー被害に翻弄されるだけの立場の人間なんですが、
それでも終盤にエレンの真実が分かると逃げてもいいにも関わらず次に家に住む人間に対して同じことが繰り返されてしまうと立ち向かうことを選ぶくらいにはいい人な主人公達です。

普通こういうのだと名声に利用しようとしたりとか下心を出すもんですが、そんなこともなく善意だけで立ち向かうのだから実に立派な2人でしたね。

そんな善人にはやはりいい友人がいる者で彼らの友人2人もまた彼らの心配も常にしてくれるいい人物なんですよ。
この2人は話的に必要あるか?と言われたら霊の仕業かも知れないという情報を与えるくらいでしか必要ないんですが、タイラー達の善性という物を見せるには効果的ではあったかなと思いますね。

そして個人的に1番のお気に入り人物がエレンの件を担当してくれるタナー刑事。

彼はゴーストホラー映画の警察なのに滅茶苦茶いい人です。
霊の仕業かもしれないと聞かされても決して頭ごなしに否定しない、更に霊が迫っていることを知るとタイラー達がそのまま家に住むのは危険だと思い自分の家に彼らを泊まらせると、
本当ホラー映画の警察なのにかなり理解ある人で惚れてしまうレベルですよ。

話的に見ると取り憑かれたりすると苦労人ですが、エリックの情報も持ってくるなどホラー映画の警察とは思えないくらいの優秀さと親切さで自分は完全に彼に惚れ込んでましたよ。

とまぁこんな主人公含めた周囲の人間が善性の側だからこそ、エリックのクズっぷりとエレンの勘違いっぷりがよく引き立つようになっているんです。

エレンは上で語った通りただただ勘違いでタイラー達に迷惑と命の危機を与えると最早生前の可哀想さが吹き飛ぶくらいで、
被害者のはずなのに加害者にもなっているので満足げに成仏する前にせめて最後に謝って帰ってくれと思うほど。

そしてエリック。

彼はクズですね。エレンを殺害した後に殺人にハマり女性失踪事件全てに関わっているというクズっぷりでございます。

事実だけを語られてあまり人物性などは掘り下げられないのですが、
この失踪事件の犯人という方とエレンに殺害された後にエンディングで今度は彼がタイラー達にゴーストラインを送ってくるというオチで彼の性格の悪辣っぷりがよく分かるってもんです。

こう振り返るとタイラー達が善性の人すぎてゴーストラインを送ってくるエリックとエレンは加害者と被害者のはずなのに何だかんだでお似合いなのでは?と思うくらいに彼らの影がタイラー達の善性に照らされて浮き出て目立つ内容となっていました。

まとめ

シンプルなストーリーラインのはずが霊の勘違い1つで拗れてしまうという妙な愉快さがあるホラーでした。

シンプルな話を1つの事象で拗らせるというのはよくある構成といえば構成なんですが、
その事象の勘違いをしているのがよりによって超常的な存在である霊というのがこのシュールさに繋がっていたのかなと思いますね。

序盤に色々と見せすぎてしまったせいでホラーやストーカーとしての不気味さや怖さは大分薄れてしまっているのは残念な点ですが、
間違いなく独特な味は出せている映画なのでシュールさ強めのホラーを求めている方は是非とも。


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