【映画】贖罪をテーマにしたのに描写の積み重ねが足りない フィスト・ファイター 感想

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フィスト・ファイター

製作国

アメリカ

監督
ジノ・カン
脚本
ジノ・カン
出演者
ジノ・カン
ビル・ダフ
ピーター・ラロジェイ・ウッドロー
ジェームズ・ハイザー
ジョン・カーニー

今回は贖罪をテーマにした映画、フィスト・ファイター(原題:Fist 2 Fist/Hand 2 Hand)の感想。

過去の贖罪をしている男に過去が追いついてきて自身の贖罪の結果が試される…というとてもテーマに相応しい王道なえいがなのですが。

登場人物の描写の積み重ねが少々不足しており、感動にまで至らない、
アクションの方は良い方ではあるんですが、この映画全体で抱える問題があり、イマイチ乗り切れない形になってしまっているなど、
そんなとにかくもったいない映画となっておりました。

ジャンルはアクションで上映時間は約92分となります。

ここが見どころ!

贖罪の結果を試される男の結末

あらすじ

若者たちの支援を続けるのは過去の贖罪か、未来への希望か―。自らの罪と向き合う時、男は孤高の戦いへと赴く!韓国の武道ハプキドーの師範であり、1990年代後半より映画製作を手掛けるジノ・カンが監督・脚本・製作・主演を務めたバイオレンス・アクション!青少年支援センターを運営しながら武術を教える主人公の前に、昔、救えず死なせてしまった若い夫婦の息子が現れる。一方、その罪で服役していた旧友が仮出所、主人公に復讐しようとしていたことから、主人公は改めて過去と対峙することになる。犯した過ちは償えるのか。善行を積めば許しを得られるのか?

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登場人物

ケン

若者支援センターを運営している男性

過去に強盗など非道を行っていてその贖罪のために活動している

ハプキドーを使え時に若者達を力で救っている

かつての仲間であるジョーが出所したことで自身の過去と贖罪に再び向き合うことになる

ジョー

ケンのかつての仲間

ケンの告発で警察に捕まり15年収監された

裏切ったケンを恨み復讐のために彼の元に訪れる

ジェームズ・メイソン

ケンに強盗をしようとして返り討ちにあったストリートで生きる少年

彼との出会いをきっかけにケンの支援センターに訪れる人生をやり直そうとする

過去に交通事故で両親を亡くしている

エリックとジェン

ケンの支援センターで働くカウンセラー

2人ともケンに師事され武術を習っている

ブルーノ

ジョーの腹心

スピード

ジョーの新入りの部下

稲妻のように速いパンチを打つとされるカンフー使い

贖罪がテーマの映画

過去に非道を繰り返してきた男ケンが贖罪のために若者を支援していたところ、かつての仲間の出所により再び過去と贖罪に向き合うことになる本作。

若者を支援するケンは時にハプキドーの武術を使い力を持って若者を救っている男。

彼はかつて強盗などの悪事に手を染めていたが、今は過去の贖罪のために若者を支援していた。

そんな時にケンに強盗をしようとして出会う若者ジェームズ(以下ジム)
彼は両親を亡くしストリートで生きる若者であったがケンと出会い人生をやり直そうと彼のセンターで働くようになる。

その一方で支援センターは援助を打ち切られ、資金不足で閉鎖の危機に見舞われていた。

その時ケンのかつての仲間ジョーが長い刑務所生活から出所しケンの元に訪れる。

彼の目的はケンに対する復讐、そのために武術を習わせているジムも含めた3人の若者に地下で行われている暴力的な賭け試合に参加するように要求する。

ケン達が勝てば自身は身を引き更に10万ドルを渡すというジョー。

賭けに乗ったジムを筆頭に3人をかつての伝手を使い鍛えるケン。

試合が迫る中でケンの妻であるミミはジョーの元に訪れ自分たちに関わらないで欲しいと懇願するがミミはジョーに誘拐され監禁されてしまう。
そしてジョーはジムのことも呼び出し彼の両親の死の真相を語る。

ジムの両親はケン達の強盗の際に車を渡さなかったことでケンに射殺され、父親もまた同じように殺されたのだと…

動揺するジムはケンに真実を問いただすが、ケンの口から語られたのは殺害したのはジョーの方だと言う言葉。
ケンに刃物を突きつけるジムであったが彼は怒りを呑み込みケン達と共に試合に臨むことを決意する。

そして始まった地下の危険な賭け試合。

順調に勝ち進むジム達、その一方でケンにかかってくミミを誘拐したというジョーの仲間達からの電話。

ミミの救出に向かうケン、そしてジム達の試合の行方は…?

とまぁざっくりとした内容はこんな感じ。

主役のケンが贖罪のために慈善活動していたらかつての仲間のジョーが訪れて再び過去に向き合わされるという内容ですね。

更生した人間が過去に襲われるというのは贖罪がテーマの割とよくある話なんですが、
このテーマを扱ったにしては積み重ねの不足が目立つ内容の映画となっておりました。

贖罪にも過去にも積み重ねが足りない

この映画のテーマは贖罪。

フィスト・ファイター

冒頭から、

罪は許されるのか?
犯した過ちは償えるのか?
十分に善行を積めば強さを得られるのか?
許しはあるのか?
過去に対峙する時正しい道を選ぶ勇気はあるか?

こんな重めの独白から始まるくらいに贖罪に向き合っている男ケンの映画となっています。

なんですが、

この映画はテーマに対しての積み重ねが兎に角足りない内容となっております。

贖罪は自分達の強盗により両親を奪ってしまったジムとの関係性、かつての非道な自分の過去との対峙はジョーとの関係性が担当している内容なんですが。

正直どちらも描写が不足しているんですよね。

ジムとは彼に強盗で襲われた際に彼がかつての自分達の強盗により命を落としてしまった子供と知りながらそれを黙って彼を支援して面倒を見ている訳です。

そしてジョーの登場により彼が強盗の真実を伝え(一部ケンのせいにする脚色あり)ジムはケンを問いただす訳ですよ。

そこでケンは今までの善行による贖罪の結果を見ることになるという流れ。
とても素晴らしい流れで本来なら何の問題もありません。

ただこの映画だとケンがジムの面倒を見ている様子やジムがケンの活動を見ている描写が全然無いのでイマイチこの素晴らしい流れに感動を覚えないのです。

贖罪がテーマならジムとの関係性は間違いなくメインのはずなのに本当全然積み重ねが足りないんですよ。

もっと反発するジムと向き合うとかケンが他の若者を支援している姿を見て感じる物を覚えるジムの姿とか、
そういう積み重ねがあれば両親の仇であるケンを殺害せずに耐え切ったジムの姿を見て、
あぁケンの善行は間違っていなかったんだなと感動を覚えるように本来出来るはずなんですよ。

でも描写が足りないのでどうしても感動的なシーンでも心が揺さぶられない。

訓練シーンに時間割くならここにもっと時間割いてもいいんじゃないかなと正直思いましたね。

そして過去との対峙であるはずのジョーとの描写も正直全然足りません、寧ろこっちの方が足りなすぎるくらいかもしれません。

かつて悪事を行っていた仲間であるジョーの存在は言ってしまえばケンの過去そのもの。
贖罪においては彼の行動を全て越えることでなし得る部分でもある存在です。

ですがやはりこちらも描写不足。

かつてのジョーとケンの関係性が全然分からないまま話が最後まで進んで終わってしまうのです。

普通ならケンがどれほどの悪事をやってどんな性格だったのか、そしてその時のジョーとの関係性はどんな物だったのか、
それを教えてくれなきゃ彼との対峙に感慨なんて浮かぶわけがないんですよ。

これらが不足しているためジョーの存在は過去との対峙ではなく、ふと出てきた悪徳なマフィアとかとそんな変わらない存在になってしまっているのです。

当然そこまで描写が不足していると最後にケンとジョーが地下で殺害ありの試合をしたところで
かつての友人、もしくは仲間との悲しき、もしくは決別の戦いではなく、
ケンの活動を邪魔しているただの悪党を倒すだけにしか見えなくなってしまっているんですね。

尺の配分がおかしいのはこういう映画ではよくあることですが、
でも善行にやら贖罪がテーマなのであればかつての悪行や仲間との関係も現在の活動も、
これらをしっかりと描写してこそ扱うテーマなのではないかなと自分は思うのです。

テーマと結論自体はとてもいい話になっているはずなのに積み重ねの不足によりそれを感動にまで辿り着けない形になってしまっている、
はっきり言うと、とても勿体無い。そう思ってしまう惜しいストーリーでしたね。

ちゃんと積み重ねれば地味だけど感動出来る良作映画に絶対になれたのに。

ちょっとシュールで地味なアクション

フィスト・ファイター

アクションも目玉の1つであるこの映画。

内容としては最初は実戦的なアクション描写ではなく決まった動きで型をなぞるような演舞的なアクションとなっております。

なんといっても最初のアクションでチンピラが中国拳法のような動きをするくらいですからね。
この時点でこの映画はアクションにおいてはそういう世界観なんだなと提示しているような冒頭アクションです。

色々なアクションが見られるのですがちょっとしたシュールさと、そして全体的に抱えている問題が1つだけ存在しています。

まずは主役たるケンなのですが、見た目だけなら全然冴えないおっさんなのに強いという割とみんな好きな奴なのではないでしょうか?

でもケンの見た目の冴えなさは類似の映画のそれより失礼ながら遙かに上、更に使う武術もハプキドーとこれまた珍しい武術。

自分はこの映画を観た後に調べて初めてハプキドーを知りました。

冴えない見た目でメジャーじゃない武術で戦うケンに関しては割と好みな作風でした。

で、ジョーの登場の後からアクションでは少し変化が起きます。

地下の闘技場での危険な賭け試合ということでここからは総合格闘技のようなアクションが増えてくるのです。

ここはジム達3人が担当していますが、正直ここは結構くどいです。

ダイジェストでしか試合を見せない割にはそのダイジェストの数が多いのでかっこよさよりくどさが目立ってしまうんです。

その一方で攫われたミミを救うケンのアクションは1対多数によるアクション。

ちなみにミミを救いに行く時はあっさりと攫われた場所突きとめてます。

ここはキレがそこそこある戦闘で見応えはあります。
ハードルが下がっているような気がしますが何よりダイジェストな戦闘ではないのがいいですね。

スタンガンパンチだったりシュールな戦闘が見れたり、割とかっこいいナイフ捌きが見れたりなど、
ここら辺はこの映画内比で満足度が高めなのではないでしょうか?

特にスピードとの戦闘がシュールすぎて面白いんですよ。

黒人でカンフー使いでかぎ爪つけて怪鳥音出しながら戦闘するとか属性盛りすぎなこのスピード。
もう彼を見たら3日は忘れらない存在となること間違いなしなので彼との戦闘だけでも見ても損はしないかもしれません。

色々と褒めているようなそうでもないような話をしてきましたが、最初に言ったアクションで全体的に抱えている問題なのですが。

BGMが無くSEがとてもゲーム的なのです。

いや、後者は好みの話ですが、BGMが全然主張しないのはアクションだと困り物だなと強く認識しましたね。

いや、無音の良さというのがあるのは分かるんですよ?

でもそれって決着など印象的なシーンでやるからこその良さのはずなのにこの映画は終始BGMの主張が弱い、あまりに弱すぎる。

アクション映画においてはBGMはアクションをより華やかにしてテンションを上げさせる役割を果たすはずなのにそれが全然ない。

これだけはこの映画で全く擁護できない部分でしたね。

そしてSEがゲーム的というところ。

これに関しては実はストーリー構成との相乗効果でより強く感じた部分であります。

元々演舞的なアクションというところでも現実離れした部分はあるんですが、

銃がほとんど出てこなかったりとかね。

ミミ救出の流れがとにかくゲーム的でしてね。

牢屋に捕まっているけど鍵は奥にいるスピードが持っている、
そしてスピードの前には角材などを持ったジョーの部下達が多数いてそれを突破する、
ステージの奥に行ったらボスがいて倒したらステージクリアという、ファイナルファイトかな?と思う構成なのです。

BGMの無さとこのゲーム的なステージ構成とSE、これにより熱さよりもシュールさの方が上回ってしまうアクションなのでした。

まとめ

散々貶したような内容の感想もありましたが、正直惜しい映画だなと思っています。

本気で冴えない見た目の実は強いおじさんが贖罪のために慈善活動をして、過去と対峙しながら贖罪の結果を見る。

本当しっかりと積み重ねさえすれば地味でも良作に絶対になれるはずの映画だったと思うんです。

だからこそ惜しさを強く感じて何か色々と言いたくなってしまう、
何というかダメな彼氏を私だけは分かって磨いてあげられるのにとかそんな感覚に近い映画なのかもしれません。

ちなみに日本ではまだ配信されておりませんが続編もあるようなので、もし来たなら見ておきたいですね。

書きました。

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