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製作国
日本
監督
清水崇
脚本
角田ルミ
清水崇
出演者
渋谷凪咲
早瀬憩
山時聡真
荒木飛羽
今森茉耶
蒼井旬
穂紫朋子
今井あずさ
小原正子
伊藤麻実子
たくませいこ
山川真里果
松尾諭
マキタスポーツ
染谷将太
中務裕太
映画、あのコはだぁれ?観て来ました。
あのロックな曲作りをするさなちゃんが帰って来た!
と、これだけで観る理由にはなったのですが、謎解きや対処、解決と言ったお話として楽しい部分を少々おざなりにして、ホラーとしての部分をひたすら強調する映画となっていましたね。
ここら辺はミンナのウタをストーリー込みで気に入っていた身としては少し残念でした。
ホラー映画続編あるあるなキャラクター化してしまう問題からはこの映画も逃げられなかったかぁと。
前作であるミンナのウタの知識はまぁまぁ前提とされているので、まずはそちらを見た方が楽しめると思いますよ。
観たことを前提に仕掛けられたホラー演出もありますしね。
ジャンルはホラーで上映時間は約107分となります。
目次
あらすじ
ある夏休み。補習授業を受ける男女5人。
この教室には、“いないはずの生徒” がいる──。とある夏休み、臨時教師として補習クラスを担当することになった君島ほのか(渋谷凪咲)の目の前で、ある女子生徒が 突如屋上から飛び降り、不可解な死を遂げてしまう。
公式サイトより
“いないはずの生徒”の謎に気がついたほのかと、補習を受ける生徒・三浦瞳(早瀬憩)、前川タケル(山時聡真)らは、“あのコ”にまつわるある衝撃の事実にたどり着く……。
彼らを待ち受ける、予想もつかない恐怖とは……?
当日感想
前作ミンナのウタの知識は前提
今作は続編なんで当然っちゃ当然なんですが、前作となるミンナのウタの知識は割と前提にはなっていました。
説明自体は結構あるんですけど、特にさなちゃんの背景部分はダイジェストなんで呪いの伝染条件などは作中では詳しくは語っていません。
ちゅうても雰囲気で分かるんで問題は無いっちゃ無いですが。
そして舞台がさなちゃん出身の母校となり、登場人物も前作メインだったGENERATIONS関係(マネージャーだった角田凛も含めて)以外ほぼ登場と前作からの地続き感はかなり強いです。
結構これに関しては思い切ったなと思いました。
ミンナのウタってホラーとしてはただのタイアップホラーだと思ったら予想以上に良かった以上の作品ではなく、
リングみたいに誰もが知るレベルの爆発的なヒットをしたわけでもないので、
特にある意味花形であるさなちゃんの説明をがっつり省くのは相当な決断だなと。
人によってはタイアップだからどうせそこまででもないでしょ?と思ってミンナのウタをスルーした人もいるでしょうし、
そもそもこれが続編ということにも気付いていない人もいるレベルだと思うんですよ。
多分製作側はさなちゃんを新たなホラーアイコンとしようと考えているんでしょうけど、
だからこそタイアップとか関係なくまっさらな目で見られやすい今回の方がさなちゃんに関しての説明をがっつりと丁寧に入れるべきかなと思いましたね。
そこら辺省けるのが続編の良さであり強みなので、入れなかった理由も理解はしています。
ストーリーは軸が1つ欠けてしまったかな
本作のストーリーなんですが、前作から謎解きという軸がただ欠けただけという印象になってしまいました。
これはホラーの続編あるあるなんですが、基本的に1作目は観客含めて何も知らない相手に対して対処法や呪いの抜け方、
そして相手の人となりという真実を知って何とか生き延びようという、
怖いだけではないストーリー的な面白みってもんがあるんですよね。
前作ではさなちゃんがどういう人物だったのか、何を抱えていたのか、
それを探す中で家庭や学校で居場所がない少女と思いきや、実はとんでもない少女だったとどんでん返しからの怖さがあったわけですよ。
でも今回はその真実は当然分かっているのでそのさなちゃんの真実という面白み1つが抜け落ち、
それでいて前作と同じように呪われて翻弄されると言う焼き直し状態。
言ってしまえばさなちゃんが好き放題するだけの映画なんですよね。
これはホラーアイコン目指してキャラクター化したホラーの続編あるあるな路線になってしまったかなと思っています。
そのキャラクターを活躍するだけに注視してしてしまい、話の部分で受けたところは蔑ろにしてしまっている、そんなストーリーでしたね。
特に今回はさなちゃんの犠牲となる補修組の生徒達に思い入れが全然出せない作りになっているんですよ。
何と言っても彼ら同士の関係性がかなり希薄。
5人のうち3人が生贄、犠牲者以上の意味を持っていないんですよね。
ただたまたまさなちゃんの新しい音集めのターゲットとなり、理不尽に取り込まれる(1人は死亡)
これだと登場人物のモチベーションにもならないのでイマイチこっちも身が入りきらない。
こう考えるとミンナのウタのタイアップでしかないGENERATIONSは、
メンバー同士ってことでこっちも無条件で仲が良いんだろうなと思わせる先入観植え付けられていて意外と機能していたんだなと思ってしまうくらい。
一応同じさなちゃんの歌を聴いたという関係性なんですから、もう少し互いに集まるとか分散して情報を収集するとかそういう要素が欲しかったですね。
一応今回からの新要素としてさなちゃんのラジオを手に入れて、
さなちゃんがリアルタイムで次の犠牲者の音を集めようとするのがこちらも分かるという要素が追加されたんですよ。
でも、これがイマイチ機能していない。
この要素で求められるのは翻弄ではなく対処なんですが、何一つ実らず犠牲が増えていきただの犯行予告にしかなっていないんです。
ここら辺からもさなちゃんの理不尽の強調だけで話的な面白さは放棄してしまっているなと感じてしまいましたね。
話的に面白くなりそうな部分だと今回から登場の女子生徒の瞳とさなちゃん、
後は主人公のほのかの彼氏である悠馬が実はさなちゃんの弟だったってところ。
瞳はさなちゃんと背格好や髪型、そして最初にさなちゃんに会話する存在として出ているんです。
そして最終的にはさなちゃんが瞳と重なり合おうとする部分など、
瞳に執着する理由をもっと明確にすれば人間味を出す必要はないですが、
理解の及ばない異常性の強化にも繋がってもっとさなちゃん自体の深みの強化にも繋がったんじゃないかなぁと思いますね。
瞳に関しては母親との関係性なども結構投げっぱなしなんで、もっとさなちゃんとの関連性深められた気がするんで勿体ない感強いです。
そして冒頭で派手に轢かれてくれる悠馬。
これ実はさなちゃんの実の弟とだと判明するんですが、まずこれ聞いて思ったのが。
高谷家お前らみんな生きとったんかい!
いや、前作で両親や小さい男の子をさなちゃんが使っていたので、
てっきり高谷家は弟が生まれてから少年になるくらいの年になった時に取り込んで殺してしまっていたのだと。
ちょっと話が横に逸れましたが、悠馬はさなちゃんの実の弟としおだった(呪怨かな?)訳ですが、これもあんまり機能していないんですよね。
なぜなら悠馬は冒頭で植物状態になってからラストまで寝っぱなしなんで、特にいてもいなくてもそこまで大きくは変わらないんですよ。
個人的な意見を言うと今回は悠馬主役の方が話的には面白くなったんじゃないかなと。
狂った実の姉に意味も分からず狙われて自分のルーツを探す過程で姉を知るという方が、話的にもさなちゃんの肉付け的にも自然な気がするんですよねぇ。
ついでに説明も兼ねられるんで一石二鳥!
特に両親との邂逅とか絶対に実の息子の方が絶望感あると思うんですよ。
匙を投げた父親と狂ってしまった母親、しかし最後にはその母親が手を貸してくれるというあの流れ、
やっぱほのかや瞳を助けるより実の息子を助ける方があそこは説得力あったんじゃないかなと。
でもそれをやらずにほぼ目覚めない犠牲者として使ってラストギリギリまで役に立たない、
こういうところでもさなちゃんの理不尽さだけを強調したい映画なんだなと感じますね。
今回は謎解きの部分が無くなり代わりの要素となる対処の部分も全くの徒労に終わってしまうと、
本当にただただ翻弄されるだけのストーリーになっていました。
エンディングなんかもそうですよね。
瞳の身代わりとしてラジオに自分の名前を叫んだほのかが解決したと思ったら実は取り込まれていたというオチ。
あれもさなちゃんのホラーアイコンとしての強化にはなっていますけど、話的にはなんか締まらない。
結局キャラクターを確立したさなちゃんを理不尽に描くことだけが目的としていた内容でしたね。
ホラーとしてはちゃんと怖く見せているんでホラー映画としては別に失敗ではないんですけどね。
ホラーとしてはちゃんと怖い
ストーリーのところでは色々言いましたが、本作ホラーとしては真っ当に怖いです。
特に今回上手かったのは、分かっていて身構えてしまうからこその怖さの活かした方ですね。
序盤からいきなり交通事故、そして前作と同じ校舎からの落下、ここで音の演出の使い目を瞑らせることを塞いでからの高谷家ですよ。
ここミンナのウタを見た人からするとトラウマポイントなんですよね。
突進母ちゃんやさなちゃんの最期などいやーな思い出しかないんです。
ですのでこの高谷家に入った瞬間からみんな身構えるんですが、そこでほのかが直面する高谷家両親との会話ですよ。
途中まで世間話をしていたと思ったらさなちゃんが祖母の面倒を見始め、命の音を録ろうとしてタオルを被せる。
そして両親が何度も同じ会話を繰り返すようになる。
ここで前作の突進母ちゃんを思い出して、既に知っているからこその目を背けたいという気持ちを生ませるのが上手いんですよ。
そして今回はそこからの上乗せ。
やはりさなちゃんが手にかけた高谷家祖母がトイレから登場して、(ちなみに体つきも怖いです)被せられたタオルが張りたいた状態で迫ってくるんですよ。
もうお前…!こんなんサイレントヒルのクリーチャーじゃん!
最終的にはタオルを啜って飲み込むのはちょっとギャグでしたが、それでも怖いものは怖かった。
前作のいやーなシーンに更に新しいの被せて来て相変わらず高谷家はクソ怖かったわけですよ。
後半になると凝った演出が逆効果でギャグにしかなっていませんが、高谷家だけは常に安定した怖さを誇っていました。
ホラーアイコンとしてのさなちゃんを見ると…
で、ここまで内容を思い起こし、そしてミンナのウタのことも反芻して思うわけですよ。
あれ、もしかしてさなちゃん本人より高谷家の方が怖いんじゃね?と
これがさなちゃんが新しいホラーアイコンになれるか微妙なライン。
明らかに製作側はさなちゃんを新しいホラーアイコンとして君臨させようとしているのは明らかなんですが、
さなちゃんって単品だとそんなに怖くないんですよね。
さっきから高谷さなではなくさなちゃん、さなちゃん言ってることからも分かる通り、
自分視点だとさなちゃんはホラーアイコンとしては見た目も行動も可愛げがあるんですよねぇ。
いや、さなちゃんの怖さは見た目の方じゃないってのは分かるんですよ?
人々の命の音、つまり最期の音を集める。その自分の目的のためなら自分の命すら感情に入れないようなロックな曲作りをする少女が死して尚、同じようにロックな行為を続けている。
無敵な人が幽霊になったら無敵の幽霊になってしまい、しかも恨みつらみではなく単純に楽しんで幽霊生活やっているんで未練を晴らして解決など出来ない、じゃあ満足させればと思ったら犠牲者ありきな解決になってしまうと。
この常識や倫理が及ばないタチの悪いロックな活動をエンジョイしているのが怖いんだと分かってはいます。
でも、ホラーアイコンとしては母ちゃんや祖母の方が怖いのは割と致命的だろうとは思ってしまうのも本音としてあるんですよ。
それでもさなちゃんが高谷家を演出として使い続ければやはり一生怖いのも確かではあります。
でも、今回のラスト見ると邪魔をした母ちゃんを使う気には多分もうならないんだろうなと。
最強の武器である母ちゃん封じられたらますますホラーアイコンとしては可愛げが強くなってしまうので、
もう少し本人の怖さを強めてもいいんじゃないかなと。
今回なんてラジオをほのか側に取られたからか、前作のクソ怖かったラジオモードにもなりませんでしたしね。
2作目にして可愛げが出てきて順調に貞子や伽倻子が辿ってきた道を歩いてるような気がするさなちゃん。
冷静に考えるとキルスコアも案外少ないんですよね。
飛び降りさせる以外は自分の世界に取り込むだけで殺害することはせず、満足ポイント貯まったら帰してくれるんですから。
そこら辺の理由はミンナのウタと見比べると自分に露骨な敵意や害意を向ける相手に厳しいってとかでしょうかね。
それだとやっぱ邪魔した母ちゃんは今後使わなくなるよなぁ。
まとめ
話としてはともかくホラーとしては相変わらず怖かったです。
さなちゃんが順調に先人の辿った道をなぞっていることに一抹の不安を感じているのですが、
自分もさなちゃんと言っている時点でキャラクターとしか見ていないのも確かなんで何も言えねえです。
今回で話的な部分よりもさなちゃんの理不尽を披露するという方針になったことが分かったので、
もう自分がこのシリーズに対して抱く興味は高谷家という手段を使う気が失せていそうなさなちゃんが次回以降何を武器にするのかってくらいですわ。
この問題を乗り越えたらさなちゃんは高谷さなと呼んでホラーアイコンとして認められますし、
乗り越えられなかったらキャラクターとしてネタにされること待った無しだと思っています。
(次回があれば)さなちゃんの明日はどっちだ!
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