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製作国
イタリア
監督
エロス・ダントナ
脚本
エロス・ダントナ
出演者
ミルコ・ダントナ
キアラ・イエッツィ
フラン・キルシュメア
カテリーナ・コルチンスカ
マティア・ザンドン
今回はアマプラにて視聴の映画、デーモンズ・チャイルド(原題:The Solemn Vow/The Demon’s Child)の感想。
ホラーな出来事が起きる中でもとてもとてもミステリー構文な要素が散りばめられており、果たしてその真実は?という構成なのですが。
はっきり最初に言うとオチは自分好みでもなく怖さも感じる物ではありませんでした。
ここら辺は怖さを感じるアンテナの違いというものを改めて強く強く実感するストーリーとなっておりました。
ただその過程で起きる異変という物はジャンプスケアにも頼らず終始重苦しく寒々しい雰囲気で繰り広げられるためそこはいい映画でしたよ。
ジャンルはホラーミステリーで上映時間は約87分となります。
目次
あらすじ
「ママ、どうして僕はこうなっちゃったの?」
Rakuten TVより
行方不明の双子の妹ノーラを捜すドーラは、ノーラの足取りが途絶えた屋敷を突き止める。そこでは、交通事故で昏睡状態の息子コリーと母親キャロルが2人きりで暮らしていた。キャロルが出した介護士の求人広告に目をつけ看護師のふりをして屋敷に潜入したドーラは、家の中でノーラのネックレスを発見する。妹の手がかりがこの屋敷にあると確信したドーラは、不穏な雰囲気が漂う屋敷を探索するが、見つかるのは少年が書いたと思しき日記ばかり。やがてドーラとコリーの周辺で、不気味な怪奇現象が頻発するようになる。しかし、妹の消息がわかるまでは、この家を離れるわけにはいかない。昏睡状態であるはずの少年が屋敷内を歩きまわる姿を目撃したドーラは、ようやくこの屋敷の真の目的に気づく。
デーモンズ・チャイルドを配信している配信サービス
※2024年5月18日時点
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登場人物
・ドーラ
行方不明となった双子の妹ノーラを探している女性
ノーラの仇討ちのために最後の足跡であるキャロルの屋敷に訪れ、コリーの在宅介護の仕事を引き受ける
・コリー
父親の交通事故以来昏睡状態となっている少年
本来なら目覚めることも動くこともないはずなのだが…?
・キャロル
ノーラが行方不明になった最後の足取りとなった屋敷に住む女性
昏睡状態の息子コリーの在宅介護の求人を出している
・フェニックス
ドーラに協力する陰謀論者の女性
ノーラの件で唯一ドーラの話を聞き協力してくれ屋敷の外部から彼女と情報のやり取りをする
・ノーラ
キャロルの屋敷で働いたのを最後の足跡として行方不明になったドーラの双子の妹
ざっくり概要
ミステリーのようなホラーのような雰囲気で進む本作。
まずは中盤までのざっくりとした内容から。
行方不明となった双子の妹ノーラを探している姉のドーラ。
彼女はノーラが最後の足跡となる屋敷の在宅介護の求人募集を見て、そこに応募して接触を試みるのであった。
屋敷の主キャロルと面会して夫と共に交通事故に遭って以来昏睡状態となっている彼女の息子コリーの在宅介護の仕事の説明を受ける。
キャロルが遺産整理のために留守の間に住み込みでコリーの点滴を1日2回交換するという仕事。
何かあれば緊急時は自分、それ以外の時はマーロンという人物に電話するようにと電話番号を手渡される。
そして説明を受けたドーラは仕事の間に住む部屋で妹ノーラが身につけていたネックレスを見つけるのであった。
協力者であるフェニックスと情報を共有してキャロルが留守となった間に屋敷を漁りノーラの証拠を見つけ出そうとするドーラ。
どの部屋も当然鍵がかかっていたがとある部屋だけがドーラを招くようになぜかひとりでに開く。
電気もつかないその部屋を捜索するとそこで複数のダンボールを見つける。
箱の中身を調べるドーラだったがその最中に急に屋敷の中のベルが鳴り続ける。
自分と昏睡状態のコリー以外誰もいないはずの屋敷で鳴り続けるベル。
ドーラはナイフを持ち警戒しながらそのベルの鳴り続ける部屋へと向かう。
ベルが鳴り続ける部屋につくとその部屋のベル付きの窓がなぜか開いていた。
急いで窓を閉めて部屋から立ち去ろうと後ろを向いたその瞬間、再び窓が開きベルが鳴り続ける…
何かがいるような不気味な感覚に襲われながら何度も開くドアを固定して部屋を立ち去るのであった。
翌朝昨日発見した段ボールの中身を調べ始めるドーラ。
中には大量の点滴とコリーが書いたと思われるノートが1つ1つの箱に入っていた。
ノートの中に書かれていたのは似顔絵と2018年1月1日の日付、そして日記。
その内容は似顔絵の相手を
「目が覚めたらなぜかこの絵を書いていた、この人は僕を悪夢から守ってくれた人なんだ。」という内容。
そのまま他の日記を調べながらも時が過ぎ眠ってしまうドーラ。
その時何者かに顔を枕で押さえつけられ襲われる悪夢を見て目を覚ます。
そして目が覚めた彼女の耳に聞こえてきたのは昨日のベルの部屋に置いてあったレコードが鳴り続ける音だった…
レコードを止めに部屋に再び訪れるドーラだったが彼女が近づいた途端にレコードがやはりひとりでに止まる。
その瞬間に背後に何かの気配を感じ振り返るもそこには何もいなかった。
不穏な物を感じながらも自室に戻りコリーの日記を遡るドーラ。
すると不自然なことに書かれた年と似顔絵以外は日付も内容も全く同じ日記があることに気付くのであった。
差異があるのは2016年という年と似顔絵に書かれた人物だけ…
それに気付いた瞬間に何かに殴られてドーラは気絶してしまう。
翌朝何事も無く目覚めたドーラはフェニックスに連絡を取り現在の状況を確認し合う。
屋敷のカレンダーが2021年11月30日のみ“◯”が付けられそれ以外の日付には“✖️”が付けられていること、
そして年だけ違う日付とそれ以外の文章が同じコリーの日記のこと。
この日記にカレンダーとの関連性を疑う2人、
そしてドーラはノーラのネックレスの件も合わせて彼女がこの屋敷で殺害されたと確信するが、
フェニックスはネックレスだけでは彼女がここにいたという最初から分かりきっていた事実の証拠にしかならないと諌める。
調査を再開して他の日記を調べ始めるドーラ。
そこでノーラが行方不明となった年である2020年の日記にやはり年以外同じ日付と文章、
しかしそこに描かれていた似顔絵がノーラの日記を見つける。
日記の内容をスマホで写真を撮り収めるドーラ。
気分転換に外に出てスマホを確認するがそこに映っていたのは文章と似顔絵が消えたノートの画像だった。
気味の悪さと証拠を失った苛立ちで思わずスマホを投げ捨てるドーラ。
その時何かあった時の連絡先であるマーロンからの着信が入る。
急いでスマホを拾い掛け直すもなぜかその電話は繋がらない。
不思議に思うドーラがふと上を見上げると昏睡状態のはずのコリーが窓からこちらを見つめていることに気付く…
急いでコリーの部屋に戻り先ほどの事態を確認しに行くドーラ。
しかしコリーは何も変わらずベッドの上で寝たまま、混乱して今度は先ほど見たコリーのように窓の外を覗くと…
そこには謎の子供が外からこちらを見つめている姿が目に入るのであった。
立ち続けの異変に部屋に戻り酒を飲もうとするドーラだったが、奮い立ち再び日記を探しに行く。
しかし開いていたはずの部屋がいつの間にか鍵が閉められている。
ピッキングで無理やり入るがやはり異変を感じる、しかしそれでも彼女はノートを引き続き調べていく。
改めて日記をスマホで写して確認してもやはり文章や似顔絵だけが写らない。
ならばとノートに書いてある謎のマークを自分で書き写していくがその最中に自室のドアが強い力で何度も何度も開かれる。
事態が収まった後にフェニックスに連絡を取りノートの文章がカメラ越しだと見えなくなることを説明するドーラ。
他にも2020年の似顔絵がノーラだったことや連絡先として提示されたマーロンの電話番号が電話帳に登録がないことを伝える。
マーロンについての調査をフェニックスに頼み仕事であるコリーの点滴の交換に向かう。
しかし、コリーの部屋につくとそのベッドはもぬけの殻となっていた。
行方不明となったコリーを探して屋敷を探し回るドーラ。
屋敷の中では見つからず外にも探しに出ると庭に1人ボーッと立っているコリーを見つけ出す。
混乱しながらもコリーを外から部屋に連れてきたが、
部屋に入るともぬけの殻だったはずのベッドでコリーが眠っている…なら今連れてきた彼は?
すぐに後ろを振り返るがそこには何も誰も存在していなかった…
日に日に加速していく異変…
一体この家で何が起きているのか…
そして妹がこの屋敷で行方不明となった真実は何なのか…
再び異変が起きる時ドーラに危機が訪れるのであった…
と、中盤までは大体こんな感じの内容となっています。
真実が何なのかは個人的には期待とは違ったのですが、
起きる異変と不気味な雰囲気に関してはかなり好印象な中盤までの展開でした。
後、何気に風景の撮り方が綺麗。
最後はミステリーやサスペンスにしてほしかった
この映画ぶっちゃけ真実は途中までの描写通りド直球のホラーです。
なのでホラー映画がホラーしているだけという至って真っ当な映画ではあるんですが、
ただ散りばめられた要素を考えると個人的には期待から外れたオチだったなぁと思ってしまいました。
というのもこの映画最初から割とミステリー構文が含まれているんですよ。
冒頭でドーラのベッドの上に“シャーロック・ホームズの冒険”というミステリー小説。
そして屋敷についてからはすぐに“遺産相続の手続き”のためという理由で“屋敷から退場する母親”、
そして連絡先として提示される“名前だけの登場人物マーロン”、
更には主人公ドーラの目的が“双子”の妹ノーラの事件の真実を知るため。
どうです?こう羅列されるとこの映画はミステリーやサスペンスなんだと思考誘導していると思いませんか?
これだけの要素を提示されたのでどれだけ途中までホラーな描写を診せられても、
「実はホラーじゃなくて人為的な仕業でミステリーなんだぜ」
というオチを期待しまった訳ですよ。
ですが、実際のところは昏睡状態のコリーに入り込んでいる悪魔の仕業という何でもありなことが出来る奴が相手というオチ。
昏睡状態となった息子コリーをどうにかするために代々魔術に入れ込んでいる家系だったキャロルが悪魔と契約して、
毎年コリーの介護として求人募集をして人を招き生贄を捧げ1ヶ月だけ息子が記憶を無くして目覚めるということを繰り返し続けているという話だったわけです。
この手のオチは正直雑な括りで申し訳ないですが、日本人的にはそこまで怖さを感じないオチなんですよね。
というかこのオチが怖くないから実は…を期待していたまである。
魔術系統に入れ込んでるまではいいんです。
ただ昏睡状態の息子を目覚めさせるために悪魔なんていないのに儀式を繰り返している狂人の方が怖く感じると思うんですけど、
ここら辺は国によって怖さのアンテナが違うということなんでしょうねぇ。
後、悪魔の契約に関しては結構引っかかる部分はあるんですよね。
生贄捧げると息子が1ヶ月だけ目覚めて契約者であるキャロルが死ねば完全に憑依するという契約らしいんですけど、
話的にはこれは悪魔有利な契約で悪魔側はキャロルの自然死を待ちキャロルは死ぬまで悪魔の操り人形と評されているのですが。
生贄捧げなかった時のペナルティが提示されていないので捧げなかったらそれで終わりじゃない?と思うんですよ。
多分ペナルティはコリーの死という形なんでしょうけど、
実質悪魔となっていて15年間姿形変わらない存在となったコリーにそこまで尽くし続ける必要はあるのか?どうしても考えてしまう。
息子を見捨てられない母の愛ということなのかもしれませんが、
それならやっぱ悪魔なんていないという設定の方が見捨てられないことにも納得感があると思うんだけどなぁ。
はっきり悪魔になっていると後悔して見捨てることの方が納得感があるため、
やはり実は狂った人間がありもしない奇跡を求めて儀式を繰り返しているの方が理解出来たと考えてしまいましたね。
主人公ドーラも異変によるチクチク嫌がらせで上等じゃこらぁ!とキレて、
悪魔のマーク入りや妹の形見ですら燃やすくらいの強さのある女性だったので、
最後にどうしようもないホラーな相手と対峙することでその強さを失って恐怖してしまうという部分もちょっと勿体無いんですよねぇ。
人間相手なら最後まで強さを維持して足掻いたと思うんですよ。
ホラーとして見たら演出はいい
ホラーになったのは残念だとか、ホラー映画相手なのに勝手に勘違いして好き勝手言ってしまった訳ですが、
ホラーとして見たらこの映画いい演出が多いです。
徐々に迫る異変という物が上手く表現していてジャンプスケアに頼ることも殆どなし。
ビックリさせるのではなくゾワっとする恐怖感が常に漂っているテイストとなっています。
異変が起きた時にドーラが現場に向かうとさりげなくドーラの目線から外れた遠方で何かが歩いたり、大きくなったりしたり、鏡に映るコリーがベッドから立ち上がって見つめていたりなど、
ドーラの視線外、そして俯瞰して見ている側には見えてしまうという、さりげないカットインが多いのが好印象でしたね。
分かりやすく言うと志村後ろーなんですが良質ホラーとしてはこの演出はゾワっとするので好感持てました。
そして日常の中で徐々に迫るというのもまたいいんですよね。
ドーラの置かれた環境と言うのはコリーの点滴を交換して妹の事件の証拠を探すという実質誰もいない中で日常を繰り返すだけという環境。
そこに毎日異変が深まってくるという流れはある種ループ物の怖さもあるなという形になっているのですよ。
ゲームのP.T.以降同じ風景が繰り返される中での異変という物が結構流行った印象ですが、
この映画もそのテイストがあるなとは感じましたね。
だからこそ後半直接的になってしまうのは残念。
緩急としては良いのかもしれませんけど、このテイストを最後まで守ってくれた方が好みでしたかね。
生き埋めにされたラストとか怖さのベクトルが完全に変わっちゃってましたからね。
まとめ
こっちが勝手に勘違いして勝手に期待しただけかもしれないんですけど、真実にはちょっと怖さを感じない映画でしたね。
ホラーとして見れば演出良し、怖さの質も良し、と良質な部類だと思うんですけど、やはりこの真実には恐怖を感じない。
別に悪魔だから怖くないというわけではないんですよ?
ただ“誰の”仕業が突き止めるストーリーと“何が”起きているのかを突き止めるストーリーだと、
前者の場合はオチが人の方が怖いよねという話なだけで。
主人公のドーラに関しても異変が起きたばかりなのに堂々と寝たり、
開き直って立ち向かったりなど強いタイプの女性だったので、
ホラーな真実でそれがしなしなになってしまうというのも勿体無さがありました。
というか映画全部見ると双子である意味も全然無かったですね。
入れ替わりとか存在を近くに感じるとかもなく、生贄の条件というわけでもない、
こう見るとただの予算の関係なんじゃないかと思ってきました。
洋館らしい雰囲気のBGMとか風景の撮り方も良かったし全体的に漂うどこか重い雰囲気は良かったため、
真実とその真実の結果に引っ張られてしまう展開が惜しい映画でした。
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