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製作国
日本
監督
中元雄(ナカモトユウ)
脚本
中元雄(ナカモトユウ)
出演者
木戸大聖
黒崎レイナ
上野凱
里々佳
和田雅成
六平直政
屋敷紘子
大迫茂生
今回は口裂け女が題材の映画、先生!口裂け女です!の感想。
と言いたいところなんですが。
口裂け女は題材の割に物凄く出番は少なめ、そしてストーリーはとてもとても中弛みが激しい映画となっております。
ですがラスト…ラストまで耐え切ればみんなの期待する口裂け女の活躍が見れる映画となっている。
話の軸が2つあるのが中弛みの原因なんですがしかしそれによりタイトルの意味が変わるなど光る部分もあるので頑張って最後まで耐え切って欲しい映画です。
ジャンルはホラーアクションで上映時間は約84分となります。
目次
あらすじ
ヤンキー高校生VS口裂け女!? 遂に誕生した、闘う都市伝説+青春ヤンキーバトルホラー!!
Rakuten TVより
高校生のタケシとF1は、原付を盗んでは不良軍団に売ってお金を稼ぐバイトをしていた。ある日、タケシたちが通う学校に転校してきたアヤカ(黒崎レイナ)も仲間に加わり、3人で原付窃盗をすることに。寂れたアパートに停めてある原付をいつものように盗もうとしたとき、なんと持ち主と思われるマスク姿の女に見つかってしまう。慌ててバイクで逃げるタケシたちだったが、人間とは思えない身体能力で走ってくる女にすぐに追いつかれてしまう。そう、このマスク姿の女こそ、頬まで口が裂け、100mを6秒で走る伝説の口裂け女だったのだ!果たして彼らの運命は!?そして口裂け女の正体とは!?
先生!口裂け女です!を配信している配信サービス
※2024年
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登場人物
・ミカミタケシ
狂犬と呼ばれている高校生
窃盗団のレッドキングに単車を売り金を稼いでいる
口裂け女に出会し謝礼金を得るために仲間と協力して彼女の写真を撮ろうと考える
・アヤカ
タケシのクラスに転校してきた転校生
バイクで通学しておりタケシ達と気が合い彼らの“バイト”にも付き合おうとしてくる
タケシが憧れているリサとは昔の同級生で友人
・F1
タケシの窃盗仲間
かつて入学直後にタケシに救われたことがありそれ以来彼を慕っている
バイクの盗みからピッキングなどが得意
・口裂け女
タケシ達の近くに出没する口裂け女
タケシ達に単車を盗まれ彼らを追いかける
・ミカミカオリ
タケシの姉
喧嘩が強く口裂け女を探すタケシに協力を求められる
・レッドキング
窃盗団のリーダーでタケシ達に単車を盗ませて金を渡している
・サイトー
タケシ達のクラスの担任
ざっくり概要
正直予告などから受ける印象とは違う方向に進むと思われる本作のストーリー。
とりあえずまずは中盤までのざっくりとした概要を。
「狂犬」と呼ばれる高校生タケシは友人で舎弟であるF1と単車を盗み、レッドキング率いる窃盗団に渡して金を稼ぐ日々を送っていた。
ある日盗みの帰りに謎のバイクに煽られる2人。
次の日に学校に行くとそのバイクに乗っていたのは転校生のアヤカであることに気付く。
アヤカに因縁をつけるタケシ達だったがアヤカは彼らを気に入り、タケシが憧れるリサの好みを教える代わりに彼らの“バイト”に加わる。
アヤカを巻き込んだ最初の窃盗、単車の場所の下見に行き単車を盗もうとしたその時、アヤカに煽られる前にも見たマスクをつけた女が見つめていた。
単車を盗んだタケシ達を自分の足だけで追いかけてくる女。
追いつかれて女に襲われるタケシ、その女のマスクが外れ、タケシ達が見たのは、口が耳元まで裂けた口裂け女だった。
口裂け女に追い詰められる3人だったが、警察のサイレンの音を聞き口裂け女は姿を消すのであった。
口裂け女と出会った翌日、学校では行方不明になった1年生の女子の話題で持ちきりになっていた。
それを口裂け女の仕業だと思うタケシ達3人。
口裂け女のバイクを窃盗団に売ったタケシ達は嫌な予感を感じながらもその場を後にするのであった。
口裂け女について調べるタケシ。
そこで目にしたのは口裂け女の情報に20万の謝礼金を出すという雑誌。
大金に釣られて姉のカオリにも協力を求め、自身は大金をそして事件の解決にもなると口裂け女のいるアパートに乗り込む。
口裂け女に再び追いかけられる4人は何とか写真を撮るものの、逃げようとする彼らを口裂け女は追い詰める。
命を奪われると思ったタケシ達であったが彼女の望みはただ単車を取り戻すことだけなのであった。
口裂け女をミカミ家に招く4人。
話を聞くと彼女は都市伝説でもなくただ過去に彼氏のDVで口を裂かれただけの人間なのだった。
あらゆる武術に精通している彼女にタケシは師事を乞ち、口裂け女もそれを快く引き受けてくれる。
意気投合したタケシ、アヤカ、F1、カオリ、口裂け女はタケシの特訓の後に写真を取り、単車を取り戻して別れる。
口裂け女と分かれた次の日。
学校では彼女の映像が出回り行方不明事件の犯人は口裂け女だという話題で持ちきりになっていた。
その噂に憤るタケシだったがその最中でレッドキングから無くなった単車についての連絡が入り、タケシ達が呼び出される。
窃盗団の元に行き謝るタケシ達だったが、レッドキングはそれを許さず彼らに50万円を明日までに用意しろと要求する。
更にアヤカにまで手を出そうとする窃盗団にタケシが殴りかかるが当然返り討ちにあいリンチされてしまう。
2人を守るためにパンイチ土下座の映像を撮られるタケシ、
そしてタケシのスマホの壁紙として使っていた口裂け女と撮った写真もレッドキングに撮られてしまうのであった。
何とか50万を工面しようとするタケシ。
最後の窃盗だとアヤカとF1に頼みアヤカの家の近所にあるの高級バイクを盗みに入る。
高級車故にいつも勝手が変わり盗みが捗らないF1にタケシは焦りから彼を罵倒してしまう。
そこからアヤカとも口論になりF1とアヤカはタケシの元から去る。
残されたタケシは1人でも単車を盗み出そうとするが、警察に見つかりタケシは逮捕されてしまうのであった。
行方不明の事件の犯人が口裂け女では無いとしたら本当の犯人は?
そして脅されたタケシは仲間と別れてどうするのか?
2つの事態はやがて意外な形で結びついていく…
これが中盤までのざっくりとした展開。
はっきり言うとここまでは中弛みがすごい映画ではありました。
その分ストーリーの構成というメタ的な部分、登場人物達に対するフラストレーション、それを最後にしっかりと爽快感を持って解消はしてくれる映画でありました。
タイトルの意味が途中で切り替わるところなどシャレたこともしているので、全部見終わることが出来れば需要には応えてくれた映画だと言えました。
先生!口裂け女です!(ネタバレあるよ)
本作のストーリーは軸が2つ用意されている構成となっています。
1つは女子生徒の行方不明事件を巡るサスペンスな要素、そしてもう1つはヤンキー達によるジュブナイル的な要素ですね。
ぶっちゃけ軸を2つ用意したことで完全に中弛みが激しくなってしまった要因にもなっているのですが、
ただタイトルに2つの意味を持たせることになるシャレた演出にも繋がっているので、
単純に否定だけするのも難しいそんな2つの軸でしたね。
まず1つ目の軸のサスペンスな要素。
これは行方不明の女子生徒を巡る話となっているのですが、これ主人公であるタケシ達は直接的な関係性は全く無かったりします。
これが多分中弛みの原因となった1つで被害者との関係性が薄いどころか無いので、イマイチこちらからしたら乗り切れない部分がありましたね。
そんな中でなぜタケシ達が調査をするかというと最初は口裂け女が犯人であると思い、その写真を撮るため。
そして口裂け女との交流後は自分達のせいで彼女が犯人として世間に疑われてしまった濡れ衣を晴らすためということですね。
つまりこのパートは先生!(犯人は)口裂け女です!
タイトル的にはこういうことなんですよね。
このタイトルにかけた部分がなかったら全くいらないと言っても正直いいかなと思うくらいだったんですが、
この部分とラストの犯人へのダークヒーローのような断罪があるからギリギリ許容できる範囲に収まったかなと思います。
で、まぁ真実の方なんですが実はクラスの担任であるサイトーがど変態野郎で攫った女子生徒を殺害してバラバラにするという
正直伏線皆無なので気付けた人は多分いないと思います。
振り返ってもサスペンスとしては何か微妙だったかなぁと思いますね。
何度も言いますが全然タケシ達に関係ないし、強いて言えば、
何もしていない人間を見た目だけで判断する誤解と偏見という部分を口裂け女という題材的に出したかっただけなのかもしないですね。
ただこのパートで出てくるバラバラ死体から色々とリアリティラインや倫理のラインを下げてくるので、
ラストの大立ち回りに向けての助走にはなっていたかなと納得することにしました。
続いてはヤンキージュブナイル路線という軸。
話的にはどう考えてもこっちが本命ですね。
車の単車泥棒やっていた喧嘩の弱いタケシが仲間や口裂け女との交流で成長するというサスペンスの方よりちゃんと関係性というものが構築されていくので、
話としてこちらの方が芯というものがしっかりとあります。
友との友情と決裂、そして修復。やってきたことの報いや反省からのタイマンでの勝利。
大体王道は揃っております。(ただ長いので退屈感はあるかも)
ただ感情移入出来るかと言うと何とも言えないのですが。
その理由としては単車泥棒をやっててヤンキージュブナイルというよりDQNジュブナイルに両足突っ込んでますからね。
喧嘩弱くても決して諦めない男が最後に喧嘩でも勝つという字面だけ出すと王道なんですが、
やってることがやってること、しかも仲間のF1とアヤカも途中で疑問を持てど最初はノリノリなんで、
青春の恥と言ってもラインは超えてる価値観なんですよね。
映画内での倫理のラインはガバガバなんで作中内だけならこれは可愛いもの扱い、でも見ている側にとってはどうかなぁというラインですね。
ギャグとして見れるかどうか意外と線引きされるラインだと思います。
でもそんなDQNな行いにはちゃんと報いはあって、口裂け女に対して偏見を持たない交流によって報われるというノリになるので、
本当ギリギリなラインの上に立ってる倫理感だと思います。
単車盗みを続けていたタケシ達が口裂け女の単車を盗み、その後は彼女の写真を撮って金儲けしようと考えたら返り討ちに合い、そこから彼女を先生として喧嘩を教えてもらう。
つまりここからタイトルの意味が(俺の)先生!口裂け女です!に変わるんですよ。
これはシャレていて素直に良かったですね。
自分はこういうのには素直に弱いです。
口裂け女との交流自体は時間にすると案外短かったりするんですが、
その短い時間だからこそ口裂け女がタケシ達を助けにくるのもタケシ達から偏見が取っ払われるのも、
この僅かな時間がかけがえのない時間だったんじゃないかと推測出来るんで悪くはなかったと思います。(擁護しすぎ?)
コッテコテな昭和な感じのDQN集団なレッドキング達もフラストレーション溜まる存在ですが、最後の解消のため。
そしてタケシが口裂け女の師事で得た技術でレッドキングに勝つと、改めて振り返るとこれは昭和の映画なんですね。
そう考えると倫理感のガバガバさもちょっと納得出来るかも?
正直2つも軸はいるか?と思いましたが、タイトルの意味が変わるのは素直にシャレていましたし、それはこの2つの軸が無ければ出来なかったことではあります。
でも中弛みは激しいのでもう少し合間合間に刺激を挟んでくれたらもっとのめり込めたのになと感じてしまうのも事実なストーリー構成でした。
口裂け女の存在
この映画のタイトル的には欠かせないのが口裂け女。
ただ多分期待ほど出番は多くない存在でもあったりします。
この映画での彼女はよくある都市伝説の化け物ではなく実は口が裂けているだけの普通の人間です。
彼氏にDVされて口裂かれただけのめっちゃ武道をやっていただけの人間なんです。
この答えは中盤で早々に出すのでこの時点で化け物ホラーではなくなるわけですね。
彼女はいわば物事を強制的に動かしたり解決する舞台装置でありジョーカー。
彼女の存在がサスペンス要素にタケシ達が積極的に絡む動機になりますし、彼女がレッドキング達からタケシを助けに来て9割近く彼女が解決します。
で、彼女の肝心な出番なんですが、本当に溜めに溜めます。
序盤でタケシ達を追いかけてワンインチパンチやり、タケシの先生になった後は最終盤まで完全に出番無しです。
ここら辺が自分が舞台装置と思った所以。
存在感だけは人の噂として犯人扱いされたりなどで示しますが本人の描写は全然無いですからね。
しかもタケシ達のせいで本人扱いされてしまって自宅に落書きなどの嫌がらせをされたにも関わらず助けに来るのですが、
そこでタケシ達のせいでこうなったことに対する心情は一切描写されない、
これはちょっと強制解決のための舞台装置になっていると言われてもしょうがないかなぁと。
タケシ達の描写は多いのに最も被害を被った彼女の心情を描写しないのはだいぶ時間の配分バランス悪いなぁと思いますね。
でもですね。
彼女の最後の大暴れを見たらそこら辺は全部許す気になるから不思議です。
レッドキング達相手に長尺の大暴れ、予告で期待した部分をここだけで十分満たしてくれるんですから。
黒いコートを靡かせ倫理感が完全に破壊された相手を殺害、切断、モツ出し、
まぁレッドキング達へのフラストレーションを溜めさせたところでこれですからスカッと感は半端じゃないです。
アクションも長尺でジャッキー・チェンやイップマンのようなカンフーアクション、
口裂け女らしく鎌を使って相手の足を切断(切れ味良すぎぃ!)
相手の腸を取り出してロープのように飛び降りたりそれで首を絞めたりなどもうやりたい放題すぎて最高です。
普通の人間なのに殺人しまくっているのいいのか?と思わなくもないですが、この大暴れにそんなまともな感覚は無粋というものでしょう。
自分はこの大暴れだけでこの映画の元は取れたと確信しましたね。
まとめ
中弛みが激しい映画だけど最後の畳み掛けるような展開だけで全部許しました。
もうあそこまでやってくれたら満足ですよ。満足。
口裂け女の出番が少ないのは不満でしたが、ラストの逃げていたサイトーを1人断罪するその姿は新たなヒーローの誕生を感じさせました。
関わる人間を変えていって彼女が最後に現れてスカッとアクションで相手を断罪していく、
そんなシリーズ化されたら自分はとことんまでついていってしまうかもしれません。
結局のところ出番の多いタケシ達より口裂け女が好きになるのはタイトル的には正しいのか、尺配分的には間違っているのかは微妙なところですが、
でもとことんまで気に入る展開や人物が出来るのは悪くないということで。
アクション目当てで最後まで耐え切って見たら絶対に気にいるタイプの映画だと思いますので試しに1回見て見て欲しいですね。
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