【映画】キャッシュトラック 感想 ステイサム映画としては1つ1つ少しずつ物足りない

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(C)2021 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

製作国

アメリカ

監督
ガイ・リッチー
脚本
ガイ・リッチー
出演者
ジェイソン・ステイサム
スコット・イーストウッド
ホルト・マッキャラニー
ジェフリー・ドノヴァン
ニアフ・アルガー
ラズ・アロンソ
ジョシュ・ハートネット
アレックス・ファーンズ
バブス・オルサンモクン
リン・レネー

映画としては悪くないかもしれないけど、
ステイサム映画としては物足りない!
特に溜めに溜めたのに

最後のカタルシスが足りない!

 今回はアマプラにて観賞の映画、キャッシュトラック(原題:Wrath of Man)の感想。

 この映画、自分としてはステイサム映画として期待して観賞したのですが、実際にはかなり真面目な作りでステイサムの暴れっぷりもそれに従う内容。

 過去のある男、その目的、それが明らかになる時の暴れ…が足りないというカタルシスを得るより微妙にフラストレーションが溜まってしまう映画でした。

 ジャンルはアクションで上映時間は約119分となります。

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あらすじ

英雄〈ヒーロー〉か悪党〈ヒール〉か
LAにある現金輸送専門の警備会社フォーティコ・セキュリティ社。そこに雇われた新人パトリック・ヒル、通称“H”。試験をぎりぎりで合格した彼は周りから特に気に留められる存在ではなかった。しかし、彼の乗ったトラックが強盗に襲われた時、驚くほど高い戦闘スキルでそれを阻止する。彼は一体何者なのか?周囲が疑心暗鬼に陥る中、全米で最も現金が動く日“ブラック・フライデー”にとある強奪計画が進行していた…。

Rakuten TVより
Klockworx VOD

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登場人物

パトリック・ヒル

とある目的を持って警備会社“フォーティコ・セキュリティ”に就職した男

以前は別の警備会社で倒産したオレンジ・デルタ警備で働いていた

仕事ではHと呼ばれるようになる

ジャン

元軍人の男

仲間達と共に強盗を現金輸送車などを襲う強盗を繰り返している

ブレット

Hの上司

ダギー

現金輸送車が強盗に襲われた事件で偶然立ち会ってしまい殺害された少年

ざっくり概要

 ここからはいつも通りに途中までのざっくりとした内容を

 発端は現金輸送車の強盗。

 その事件で警備員2名とその場に立ち会ってしまった少年が殺害された。

 “フォーティコ・セキュリティ”

 パトリックは現金輸送車の武装警備が専門のこの会社に以前勤めていた警備会社の倒産したため面接に来ていた。

 常に1500万ドル近くの金に関わり悪党に狙われやすい仕事。
 彼は訓練の結果ギリギリの成績でこの会社に就職することに成功する。

 上司のブレットによりHと名付けられた彼は同僚のデイヴと共に初仕事に向かう。

 殺された警備員の話をデイヴから聞きながら無事初めての仕事を終え、同僚達とバーで飲むH。
 デイヴの以前の相棒だったジョンに絡まれるも軽くいなしてその日を終えるのだった。

 翌日1万ドルを運ぶ次の仕事につくHとデイヴだったが、なかなかブレットからの連絡がつかないことを訝しむ。
 するとその瞬間、ブレットの悲鳴が通信から聞こえ、ブレットを生かしたければ指示に従えという要求の声が聞こえてくる。

 規則に従いブレットを見捨てようとするデイヴだったが、Hは彼を見捨てられないとして要求の通りに動こうとする。

 覚悟を決めたデイヴと共に要求に従い、誘導された地点まで運転をする2人。

 要求された場所につくとその場にはブレットがいたが、同時に周囲を囲まれてしまう。

 金をトラックの荷台に積むように催促され、従うHだったが、その隙を見て1人を射殺する。
 更にその後も冷静に他の強盗も1人1人始末していくH。

 そして追い詰めた最後の男に黒幕は誰だ?と問いただす。
 だが求めた答えを出さなかった男をHは冷酷に始末するのであった。

 FBIからの聴取を受けるH。

 訓練の結果とはかけ離れた実戦での射撃能力、6人相手に無事だったこと、これらを見て少しの疑いをかけられる。

 その後今回の事件が以前発生した強盗事件と関連があるかを確認するために当時の事件の映像を見せられる。

 そこに映っていた1人の男を食い入るように確認するHだったが、FBIには関連はないと答えるのだった。

 帰宅したHは謎の女性から頼んでいた従業員の資料、同僚の女性デイナの家族の写真、そしてダグラス・ハーグリーヴズという男性の検視報告書を受け取り確認する。

 3ヶ月後。

 再び輸送中に襲撃されるH達。
 だが強盗達はHの顔を見た途端になぜか逃走していってしまう。

 その夜デイナに飲みに誘われるH。彼女の家で寝たHはデイナを起こしてとあることを問いただそうとする。

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 デイナの家にあった謎の札束。この出所について躊躇なく威嚇射撃をして聞き出そうとするH。

 デイナはそれは受け取りの担当者が見逃した物を拾い、仲間もおらず単独でやったことと説明をする。
 それを聞いたHは彼女の家族の写真を見せながら嘘を言っていたら自分が本気だと教えてやると語り彼女の家を後にするのであった。

 5ヶ月前。

 ギャングのボスであるHことメイスは息子のダギーと久しぶりの団欒を楽しんでいた。

 しかし、その途中部下が仕事をしくじり、メイスに輸送車の方向先だけでも確認してくれた頼まれる。
 休暇中のために渋るメイスだったが、この仕事にかかった準備期間を考えて仕方なく引き受ける。

 ダギーを車に残し、輸送車の方向を確認するメイス。
 だがその時現金輸送車が襲撃され、その場にいた警備員、そしてダギーが目の前で射殺されてしまう。

 激昂して射殺した男の元に向かうメイスだったが、彼もまた撃たれ意識を失ってしまうのだった。

 3週間後。

 病院で意識を取り戻したメイスはダギーの死を思い出し、そして妻からは息子を殺したも責められ別れることに。

 復讐のためにダギーを殺した男を探すメイス。

 FBIの繋がりを使い、リストを入手した彼は20年かから仕事を2週間で終わらせてやると伝える。
 それに対してリストの連中は好きにしていいがあまり長い間目を逸らせてはやれないと答えられる。

 部下を使いリストの連中を“徹底的に”調べるメイス。
 その過程で他の危険な連中を始末するが、一向にあの男を見つけることが出来なかった。

 苛烈になっていく状況に部下のマイクからこのままではいつかこっちがやられることになることから、もうやめようと打診される。
 それを表向き受け入れたメイスはとある行動に移る。

 彼は名をパトリック・ヒルに変え偽装し、襲われた現金輸送車のある“フォーティコ・セキュリティ”に就職する形で潜り込んだ。
 そして事件当時に内部の手引きがあったことを疑い、Hとして会社全員の身元を調べていたのであった。

 野獣ども

 元兵士だけでつるんでいた男達。
 彼らは戦場で感じたスリル、そして金を求めて強盗を繰り返していた。

 そしてそのエスカレートしていく行動は内部の手引きという手段を手に入れ、現金輸送車の襲撃へと変わっていく。

 6週間かけた準備。

 その決行日に襲った現金輸送車。そこにいたのはメイスとダギーが乗っていた車。

 男達の1人、ジャンはその強盗で警備員に反撃された際に勢いで警備員を射殺してしまう。そして自分の顔を目撃したダギーをも…

 メイスことHの復讐、強盗を繰り返す元兵士達の中にいる復讐相手ジャン。

 彼らの強盗計画が再び動き始める時、復讐がついに交わるのであった…

同じ出来事を異なる視点で迫るストーリー

 ステイサム映画なのでアクションバリバリ!…ではなく、1つの出来事を巡って異なる視点でそれを映し出し最後に収束するというサスペンス重視のストーリー。

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 ステイサム演じるただ者ではない過去がありそうな男が何かを目的に突き進み。

 過去と現在の時系列を行き来し、異なる人物の視点を移動させていき、その男の素性や目的が明らかになっていくというものですね。

 何でまぁ、俳優面で期待するよりはお上品にまとまっている内容となっていました。

ステイサムにしては大人しい

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 ステイサム映画には基本的に2種類あります。

 その作品の雰囲気や作法に従わずにぶっ壊して大暴れする映画と雰囲気や作法に従ってその枠の中で暴れる映画。

 今作はサスペンス重視の作風なので後者の方となり、
 アクション的な大暴れよりは自身の経歴や立場を使ったスマートな暴れ方をするステイサム映画となっていました。

 勿体ぶらずに中盤で明かされ、別に隠すほどの真実でもないためさっさと正体を言ってしまいますが、今作のステイサム演じるHはギャングのボスです。

 そのため暴れ方もその作法に合わせて部下を使って相手を追い詰め、情報がなかったら通りすがり様に銃で始末したり、
 FBIの1人と繋がっているため正体がバレても取引で自由に動いたり、
 いざ潜んでいる職場で強盗が起きても顔見せるだけで退散させたりと、直接的な暴力ではない大暴れをする傾向が強いわけですね。

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 それだけでは流石に間が持たないし、期待にも応えられないと思っているからか、ちゃんと序盤で場数の違いを感じさせる冷酷な銃撃戦も行ったりはしますが、それでもやはりアクションとしては大人しめですね。

 ただギャングのボスとしては他のギャングよりはマシっぽくは見せており、目的となる相手を追い詰める過程でその目的のために犠牲になる哀れな連中もいるわけですが、
 情報を与えた人間や自分らよりもクズなギャングの犠牲者には恩赦を与えるという、あくまでギャング比ではありますが、こういうところで主役らしい部分を強調はしていました。

 そしてそんなステイサムの標的となった更に哀れな連中もやはり作品の作法に合わせてか行動はスマートな連中。

 金とスリル目当ての強盗をやっているような連中ですが元軍人なだけあり、基本は殺人をせず、
 メインとなり、そして因縁が繋がる現金輸送車の強盗も自然と道を塞ぎクレーンを使って車体後方を持ち上げるなど無駄はない。

 こちらも明確に練度を感じさせるような存在に仕上げてはいましたが、
 1人のトラブルによって復讐心を芽生えさせてしまうところは練度が高い者同士ではあるものの主役とそうじゃない立場の違いではあるんでしょうね。

 そんなただでさえ作風と主役達の練度からスマートな上に作品が同じ時間軸を別の視点で繰り返すため、
 本当の意味で盛り上がりどころは映画残り1/3に差し掛かったあたりの終盤まで我慢。

 作中最大規模の強盗、現金が集められて車庫を襲撃する強盗計画。

 ここも強盗側が防弾などの装備は完璧、内通者もおり、計画も万全なため、銃弾を防ぎながら着実に目的に近づいていく駆け引きは見応え十分。

 警官の動きも予測するため強盗が始まってからも溜めは長い、
 ですがここまで溜めたからこそステイサム演じるHの戦闘には待ってました感が生まれるのも確かでした。

 これはステイサムという俳優への期待値を十分に活かした構成ではありました。
 ステイサム以外でここまで観客に我慢を求め、実際に我慢することの出来る俳優はそうはいないでしょうからね。

 ま、結局ここまで溜めすぎな上にその戦闘やアクションが溜めに対してカタルシスがあるほどではなく物足りないのは大問題だったんですけどね。

 総じてステイサム映画としては大人しめなアクション。
 個人的には我慢させられた分の派手派手な大暴れは欲しかったところですね。

復讐の結末は…カタルシスには足りないかも?

 この映画の目的は復讐。

 過去や視点をシャッフルして収束していく真実はHの息子が殺されたこと、そしてその犯人の存在なわけですが、
 ちょっと話を構成の方にずらしてしまいますがこれあんまりシャッフルした意味は無かったですね。

 ただその視点や時系列で明らかになることが明らかになるだけで、
 別に交わった時に実は細かい描写の中に隠された出来事が結びついて新しい真実が明らかになるとかもなかったので。

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 この手の物には交わった時に膝を打つような何かが欲しいのですが、そこは正直欠けていましたね。
 とはいえ目的が明らかになるまでの期待感や何者か分からない緊張感には繋がったので無駄とまでは言いませんが。

 話を戻してHの復讐の結末。

 強盗側のスマートな計画を1人混じるクズのジャンのせいでHの息子ダギーを射殺して怒りを買い、本編に繋がる訳なんですけど、
 本音を言うとこのメインとなる復讐に自分はあんまりノレなかったりしました。

 理由としてはシンプルでHは当然ダギーを愛しているのですが、観客視点だと別に思い入れがそこまで無いと言いますか…

 ダギーとの親子の交流が殺されるまでの僅かな時間なので全然悲しくもない、ただ射殺されたなぁという事実しかないんですよね。

 何と言いますか幼馴染ヒロイン的な存在というか主人公からすると長年過ごした相手ですけど、観客視点だと初めて出会った相手なので感情にギャップがあるんですよ。

 そもそもの話を言うならHがギャングのボスっていうのもあって、息子の復讐のために動いてはいてもこいつは多分もっと多くの相手に復讐したいと思われているんだろうなぁと考えてしまうのも良くない部分かもしれません。

 わざわざストーリー構成的に溜めに溜めてカタルシスを得るための復讐の動機なんですから、ここはもう少し積み重ねて欲しかった部分ではあります。

 個人的にはどうせなら同僚との交流がもう少しあり彼らに思い入れが生まれそこからの協力や信頼があれば好みだったんですけどね。

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 観客目線だと曲がりなりにもわずかな交流が描写された同僚達の方がまだ思い入れあるんですよ。
 だからこの部分を強化してある程度の交流があれば、後半無惨にもあっさりと殺されていく同僚達の仇というカタルシスがついでに生まれますし、
 ただ過去を見せられるだけの息子の死よりも、現在生きている同僚達を使って観客へのカタルシスを産んで欲しかった。

 ストーリーとしては復讐の動機というのはHは息子の方でいいんですが、
 観客的には同僚という存在を用意した方が後半の感情の持って行きどころは分かりやすかったかなぁと。

 作中でも正直同僚達を殺したブレットの方がジャンよりも微妙にむかつくんですよ。
 なのにそのブレットを殺すのが金目的で裏切ったジャンなので、そもそも微妙に観客の感情の行方を分かっていないような気もしますね。

 ただ潜り込んでもサイコパスと思われて同僚からの信頼も得られない、襲撃が起きても息子を始めとして作中で交流した人物を誰も守らない、そして何もかも残らない結末。
 この結末こそがいくらでも恨みを買っている所詮ギャングの男の復讐の末路としては正しいのかもしれません。

 でも溜めに溜めた復讐者のラストとして見るとこちらの感情面でのカタルシスはかなり足りない映画でしたね。

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でも息子の撃たれた臓器を全て意趣返しする復讐は好き。

まとめ

 溜めに対しての物足りなさが目立つ映画でしたね。

 完全にこちらの勝手な期待でしかないんですけど、ステイサム使って復讐するなら少しの荒唐無稽さは欲しかった。

 1つの映画として完成度が低いわけではないんですけどね。
 自分が求めるのはステイサムが出てると求めるのはステイサム映画ですから。

 でも今回は振るわなかったものの、あんだけ溜めてもステイサムだからきっと挽回してくれるだろうと我慢させられることの出来るのはやはり俳優としての実績や力の成せる技だなぁと。

 これが確認できたのがもしかしたら1番大きい映画だったのかもしれません。


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