【映画】アンデッド ワールド・ウォー 感想 一途って狂気で悲しいね

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(C) 2024 DIE ALONE PRODUCTIONS INC.ALL RIGHTS RESERVED.

製作国

カナダ、アメリカ

監督
ローウェル・ディーン
脚本
ローウェル・ディーン
出演者
キャリー=アン・モス
ダグラス・スミス
フランク・グリロ
キンバリー=スー・マーリー
ジョナサン・チェリー
エイミー・マティシオ
レオ・ファファード
サリ・マーサー
スティーヴン・ロイ

 今回はアマプラにて鑑賞の映画、アンデッド ワールド・ウォー(原題:Die Alone)の感想。

 世界に蔓延する植物由来のゾンビ“再生人”に、記憶喪失の男ととてもオーソドックスなB級設定なゾンビ映画な本作。

 ゾンビ映画に出演者フランク・グリロと完全に自分得な組み合わせだからという理由だけで鑑賞を決意した映画だったわけですが、その組み合わせの味わいはどうだったのか。

 ぶっちゃけタネとオチは映画内ですぐに分かりますが、だからこその楽しみや満足があった映画でしたよ。

 ジャンルはホラーで上映時間は約91分となります。

(C) 2024 DIE ALONE PRODUCTIONS INC.ALL RIGHTS RESERVED.

あらすじ

衝撃のラストに喰われる――
植物由来とされるゾンビウイルスが蔓延する世界。青年イーサンは感染拡大地域から避難するために恋人のエマと車を走らせていた。しかし、交通事故に遭い意識を取り戻すとエマの姿は消え、記憶も失っていた。助けを求め彷徨うイーサン。すると、武装した男にゾンビなのではないかと疑われ、撃たれそうなところをメイという女性に助けられる。メイの手助けのもと、イーサンは襲来するゾンビからの脅威に立ち向かいながらエマを探し出し、記憶を取り戻そうとするが…

Rakuten TVより

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登場人物

イーサン

記憶喪失の男性

世界がウイルスによって感染者“再生人”が増えた中、恋人のエマと逃げている最中で事故にあい記憶を失う

助けてくれる女性メイと共にエマの行方を探す

メイ

イーサンを救った顔に傷のある女性

エマ

イーサンの恋人

イーサンと共に逃亡していた中で行方をくらましてしまう

ざっくり概要

 ここからはいつも通りに途中までのざっくりとした内容を。

 世界で急速に拡大していく植物由来とされるウイルスにより増えていく感染者達。イーサンとその恋人エマも急いで夜中に車で避難していたが出遅れており、スマホから危険を知らせる警報が鳴っていた。
 眠気を堪えて運転していたイーサンは事故を起こし、そのまま意識を失ってしまう…

 車の中で目覚めたイーサン。周囲は既には明るくなり、助手席にいたはずのメイはいなくなっていた。
 手に巻かれて包帯には“メイ”と書かれており、イーサンは急いで彼女を行方を探す、しかしいくら探しても周囲には人が誰もおらずもぬけの殻となっていた。

 途方に暮れて移動しているイーサンの前に1台の車が現れ、その車の前に飛び出て呼び止める。車の乗っていた男に事情を説明するが、男は急にイーサンを射殺しようと銃を向け発砲する。
 急いで身を隠すイーサン、すると男の方にも何者かによる発砲で銃撃戦が展開され、イーサンは何とかそのどさくさにより助かる。
 銃撃戦が収まり救ってくれた女性に自らの境遇を話す。それを意に返さずに襲撃してきた男達の車の復旧の手伝いを要求する女性、仕方なく手伝おうとしたイーサンだったが急にそのまま気絶してしまう。

 知らない部屋で目覚めるイーサン。先ほど救ってくれた女性メイに記憶喪失である事を告白する、何をを覚えているのか尋ねるメイ。

 自らの残った記憶を辿り物資を集めてエマと山奥の避難小屋に向かっていたことを話す。そしておそらくエマはそこに向かっているとも…

 今の事態をメイに聞くイーサン。
 ウイルスが人類を滅亡させるという説が現実になり、植物により数日で世界にそのウイルスが広がっていた。

 外に出ると周囲には殆ど何もない中でイーサンは蜘蛛の巣に巻きつけられたような何かを見つける。
 慌ててメイに尋ねるとマートルと呼称された感染者で害はないから放っておけと説明される。

 家中に罠があるから動き回るなと警告するメイ。そして自らの銃をイーサンに手渡し自分を撃つように言うが、それを拒否したイーサンに銃に仕掛けた赤い印の時に撃つと自分が死ぬことになる罠について説明する。
 夜になりエマを探しに出発しようとするイーサンに危険だからと明日一緒に探そうと提案し彼を引き止めようとするメイ、しかしイーサンは夜中にこっそりと車を盗み出発するのだった。

 記憶のフラッシュバックに見舞われながらもエマと約束した小屋に辿り着くイーサン。しかし小屋の中にいたのは見知らぬ親子でありその母親にイーサンは銃を向けられる。その時突如現れた感染者に小屋を襲撃され母親と協力して撃退。しばらく経ち小屋の中から様子を見るが頭を殴ったにも関わらず感染者は生きていた。この感染者は人じゃなくて植物に近い存在であり殺しても死なないと教えられる。
 小屋に辿り着いていたのはジョリーンと名乗る母親とその息子サムであり、エマの行方を尋ねてみるが、数週間ここにいるけど誰も見かけていないと説明され、数日前に離れたはずであるエマはここにいない事を悟る。

 ジョリーンに求められエマの話をするイーサン。
 目を閉じてるとエマとの些細な日常の姿ばかりが浮かび前から彼女を知っている気がする。しかし大混乱の世界で人の嫌な面も知った。その人々の様を見て今の植物由来のウイルスは地球が人類を見限ったからと分かった。そしてウイルスによって感染した“再生人”の増殖を見て逃げようとしたと説明する。

 話終わり眠りにつくイーサン。
 ジョリーンが襲われる夢とも現実ともつかない物を見て目覚めたイーサンの目に飛び込んできたのは“再生人”により殺害され、植物が生えてきて徐々に感染していくジョリーンと口の周りに血がついた自らの姿だった。
 状況に恐怖して外に飛び出ると今度は“再生人”に喰われたサムの遺体を目の当たりにする。イーサンもその“再生人”に襲われそうになるその刹那、再びメイによって救われる。

 初対面のように再び自己紹介をしあう2人。
 小屋の近くにある鳥小屋の中からエマのスマホを見つけ、その記録の中からイーサンの記憶喪失の悪化を伝えるエマの映像が残されていた。

 スマホを充電するためにメイの家に帰る道中で彼女の話を聞こうとするイーサン。
 個人的な話をしようとしないメイに話を促すが孤独で死にたくなることが返したメイに話過ぎと軽口を叩き合うのだった。
 移動しているとイーサンは見覚えの給油所を見つけ、再び記憶がフラッシュバックして気絶してしまう。

 そのフラッシュバックはエマとの逃亡中にこの給油所に立ち寄りエマを守るために“再生人”を撃つ、しかし、その直後に目覚めた“再生人”に腕を…

 目を覚ましたイーサン、目の前にいたメイは再び初対面かのように自己紹介をする、イーサンは彼女に知っていると返しメイの家に向かう。

 家に辿り着いた2人、しかし玄関を見て不審な気配に気付いたメイは近くにいた男に銃を向ける。
 トムと名乗る男は妻と逸れてここにいるかもと探していてたどり着いたと語り、食料を分けて欲しいと頼む。メイは仕方なくトムに仕事と引き換えに食事を与えることを決める。

 食事の時間、メイはイーサンに何も食べないように伝える。
 食事が終わり最後に恋人を見たのはいつかとイーサンに尋ねるトム、トムは自分の妻であるフラニーの写真を見せて10日前に突然消えた事を伝える。彼女はこの周辺に来て家を見たと最後に伝えていた。

 “昔なら”2週間も見つからなければ諦めたが“今なら”何年経っても可能性はあると言うトム。その会話の途中で倒れてしまうイーサン。
 するとトムはメイに銃を向けて彼女の銃を奪ううが、メイが食事に盛っていた鎮静剤の影響で朦朧したところを攻撃されてトムも気絶するのだった。

 目覚めたイーサンの前に現れるトムの仲間。
 メイを拘束して自分の境遇と同じと感じ、イーサンを誘いフラニーとエマがいた証拠を見つけようとするトム。そしてその散策の中でエマのペンダント、そしてフラニーの物も含まれた多くの人間の遺留品を見つける。
 メイに遺留品を突きつけるトム。イーサンもまたエマを殺した事を問い詰める。

 緊迫する事態の中、トムの仲間であるウルフが納屋の中を確認した時イーサンの真実が明らかになる…

オチもタネも読めたけど狂気で美しい

 植物によるウイルスによって爆発的に感染者“再生人”が増えた世界。その“再生人”は植物によるウイルスによる感染者なので、物理的に殺しても時間稼ぎにしかならずにいずれ復活して完全に殺すことは出来ない。

 そんな世界で記憶喪失の青年イーサンが覚えている恋人エマを探すというのが本作のストーリー。

 ぶっちゃけゾンビ映画で日本のパッケージを見てドンパチを期待して視聴した映画なのですが、映画冒頭のイーサンの自殺を見て、あっ、これそれを期待する映画じゃねえなと分かりました。

(C) 2024 DIE ALONE PRODUCTIONS INC.ALL RIGHTS RESERVED.

 そのこっちが勝手に期待した方向とは違う方向性の真面目でシリアスな本作なのですが、イーサンが記憶喪失という設定なので言うまでもなくその記憶の部分が鍵となり、そしてそのタネやオチが見どころ。

 なんですがこの映画のそのタネとオチ。これは映画開始30分でよっぽど素直すぎる人以外は全て予測出来ると思います。

 というのもイーサンと彼を救った女性メイとのやり取りではっきりとタネが分かる露骨な描写を挟むんですよね。

 物語が中盤に差し入る所でイーサンがエマと約束した小屋に辿り着き、そこで出会った女性ジョリーンが死亡する。

 そこでのイーサンの状態は自らの口が血塗れ、そして再び彼を救ったメイがまるで初対面かのように自己紹介をする。

 まぁこれで大体イーサンの正体もメイの素性も何となく予測はつきますよね。

 そう、イーサンは“再生人”でメイの正体は恋人のエマ。このオチとタネははっきりと中盤で分かってしまいます。

 この再びの自己紹介のシーンがイーサンからメイが誰か尋ねる形なら記憶の混濁で騙せる余地もあったのでしょうが、それをしなかったからこその分かりやすさですね。

 それが分かったらつまらなくない?と思う人もいるでしょうし、実際そう思う人もいるでしょうが、自分の場合は分かった上でどう物語を帰結させるのか、そしてなぜこうなったのかという興味があったので退屈はしませんでしたね。

 寧ろこのオチが分かった上で見たからこそ、狂気と美しさが際立つと思ったくらいです。

 イーサンはエマとの逃亡劇の中で“再生人”に襲われて感染してしまう。そのイーサンは感染により記憶が曖昧になったりとある条件で記憶が一部戻るを繰り返し続けていた。

 その条件というのがイーサンに“食事”をさせることなわけですよ。

 その食事というのは当然人間。人間を食わせると若いままで感染の進行は留まり、記憶が時に戻ったりもする。メイことエマは何年もイーサンのためにそれを繰り返し続けていたということです。

 恋人のために人を餌として与え続ける、それは完全に狂気の世界ですよ。でもこの映画の場合はそこに美しさすらある。

 最初は誰もいない世界でハネムーン気分だったというエマは何度も繰り返すうちに自分だけは歳を重ねて、イーサンは自分に気付かなくなっていった。

 狂気の行動を繰り返しながらも、相手は自分に気付かなくなっていく。そりゃもう疲弊するってもんですよ。でもその因果応酬がちゃんと描写されているからこそ、この2人の関係は一途さと悲しさと狂気が同居して美しいなとまで感じます。

 このエマの気持ちも全てを分かると、イーサンとダンスをしようとしたシーンとか子供にするみたいに顔の血を拭き取ってあげるところとか、そういった描写の数々にいじらしさすらありました。

(C) 2024 DIE ALONE PRODUCTIONS INC.ALL RIGHTS RESERVED.

 ラストは冒頭に繋がり、人を殺し続けていたことに気付いたイーサンが自殺をしようとしても無駄に終わり、エマと愛し合ってそしてエマも“再生人”となり手を繋いで終わる。

 このある種の救いがあるオチにするなら最初からエマはそうしろよと思う人もいるでしょうが、一応この映画のウイルスは植物由来で傲慢な人間を地球が見限ったからとガイア理論のような理由で蔓延しています。

 その世界においてエマが最も傲慢に人間の身でありながら、人を減らしていたというところに皮肉とそしてここでもまた狂気と美しさがあったなと思うストーリーだったと思ったのですよ。

 ゾンビ映画ってやっぱり人間が1番怖いよねってやることが多いんですけど、この映画もエマの狂気という部分がそれに漏れないフォーマットではあります。

 でもその怖い人間もゾンビも主人公側というのが、オーソドックスとは違うアプローチで新鮮…とまでは流石に言いませんが、本作の一途な愛と狂気のストーリーの美しさには繋がるアプローチでしたね。

 普通なら嫌悪や苛立ちを覚えそうな設定なのにそういった感情が芽生えることなく、最後までなんか好感持ったまんま終わりましたもん。

 個人的にかなり満足度が高いストーリーでして、この満足度は1回目の鑑賞の時点で最初からタネとオチが読め、人物の心情だけに集中出来るからこその満足度だったと思います。

 タネとオチが読めたからといってイコールでつまらなくなるわけではないということですね。

 それに言っちゃなんですが、B級映画を2周もするのは中々に物好き側なんで、このストーリーの仕掛けに対しての施策は身の程を分かっているやり方とも思えましたね。

さーて、今回のフランク・グリロは?

 最初に語った通りにゾンビ映画にフランク・グリロが出ているから、鑑賞したわけですが、その彼の活躍ですが、最近の例に漏れないポジションでした。

 言ってしまえばインパクトはあるけど、ちょい役。

(C) 2024 DIE ALONE PRODUCTIONS INC.ALL RIGHTS RESERVED.

 イーサン達の過去回想で現在メイが住んでいる家の本当の住人で、彼演じるカイはエマに殺害され、彼の家族はイーサンに食われてしまうという、最後に見せる最初の狂気という場面の担当で終わりでした。

 この映画のストーリーには満足しているのですが、自分が最近鑑賞する映画のフランク・グリロの出番は不満が募る一方ですね。

 彼にはもっとこうまだまだ殴り合ったり、斬り合ったり、撃ち合ったり、殺し合ったりとアクションをしていて欲しい。

 とまぁこの映画の作風には合わない活躍をまだまだ期待してしまうという出番で終わりなのでした。

まとめ

 この映画、評価は低い側の映画なんですが自分は大変満足しました。

 人の一途さで狂気や悲しさが展開されるストーリー、その恐ろしさを主人公側がやっている。しかもラストで最初からそうしろよって最適解な終わり方がするのもまたいいんですよ。

 人間なんて理屈だけでどうにかなるもんでもない、感情で諦め切れない、恐怖で踏み切れない部分があるのは当然。
 因果応酬で疲れに疲れきった果てでようやく最適解に雪崩れ込むからこそのこの映画の満足感がある。

 ゾンビや世界観ではなく、人の方に視点を徹底的に当てたゾンビ映画なら、これくらいの人間ならではの狂気からの美しさを展開してこそだなと思いましたね。

 ドンパチやフランク・グリロの活躍など当初の期待からは完全に外れましたし、大体の人からの評価は低いみたいですが、自分はお気に入りの範囲である映画でした!

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