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製作国
アメリカ
監督
ランドール・エメット
脚本
アラン・ホースナイル
出演者
ミーガン・フォックス
ブルース・ウィリス
エミール・ハーシュ
マシン・ガン・ケリー
ジャッキー・クルーズ
マイケル・ビーチ
ルーカス・ハース
ケイトリン・カーマイケル
システィーン・スタローン
タイラー・J・オルソン
事件が起きた時被害者達に向けられる目は常に同じものか?
今回は実在の事件を参照に顧みられなかった者たちのための映画ミッドナイト・キラー(原題:Midnight in the Switchgrass)感想です。
ジャンルはスリラーで上映時間は約99分となっています。
この映画の見どころ
・実際にあった事件を参照にしたストーリー
・時に顧みられない被害者たちについて向き合った内容
目次
あらすじ
フロリダ州警察、殺人課の刑事、バイロン・クロフォード(エミール・ハーシュ)は若い女性ばかりを狙う連続殺人事件を追い続けていた。一方、FBI捜査官のレベッカ・ロンバード(ミーガン・フォックス)、彼女もまたパートナーを組むベテラン捜査官カール・へルター(ブルース・ウィリス)と共に危険なおとり捜査を続け事件を追うも犯人に辿り着けずにいた。
ある事件をきっかけにバイロンとレベッカは協力し、犯人を追いはじめる。
ピーター・ヒルボロー(ルーカス・ハース)は完璧なマイホームパパのように見えたが、裏の顔は罪のない人間を残忍に殺す欲望が渦巻くシリアルキラーであった。バイロンとレベッカはその真実に近づくも、レベッカが囚われの身となり……。
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登場人物
・レベッカ・ロンバルディ
FBI捜査官でカールの相棒
連続殺人事件の捜査のため囮捜査として売春婦を装う
・バイロン・クロフォード
連続殺人事件捜査を行うフロリダ州警察の刑事
事件について目を向けない周囲とは別に事件解決のために奔走している
・カール・ヘルター
FBI捜査官
・トレイシー・リー
姉の売春についてきた16歳の少女
犯人に誘拐され監禁される
・ピーター・ヒルボロー
トラックドライバー
顧みられなかった者たち
実在の殺人事件をベースにして作られたこの映画。
調べたら映画よりやばくてドン引きですよ…
一応Wikipediaより参照としてあまり気分の良い内容ではないので自己責任で。
そんな凄惨な事件を参照していますが、この映画はどちらかと言うと犯人よりは被害者達、
つまり顧みなかった者たちについて描かれたものだなと自分は感じました。
この映画の中だと犯人の動機とか一切不明ですし舞台装置感はあります。
冒頭のモノローグから、
狩りについてこんな言葉がある
肉食動物は狩る側で、草食動物は獲物だと自覚している
人間だけがどちらになる選択できる
と言いつつ最後に、
これを言ったやつはここを知らない
と続きます。
これにあるようにこの事件の被害者達は自分で選ぶことの出来ない獲物側としてこちらに焦点当たっている映画です。
被害者の女性達は全員売春婦や薬物中毒者、もしくはその両方という立場であり、彼女達の事件は早々に忘れ去られ無かったかのように扱われてしまいます。
売春婦やジャンキーなら自業自得だと思う者もいるという台詞からもそれが分かります。
被害者にも責任がある、だから誰にも顧みられず事件についても真剣に調べようとしない…
これは警察ですらほとんどそう思っており所謂自己責任論ってやつですね。
この映画の中で現在進行形でトレイシーが行方不明にも関わらず本腰を入れておらず、
陰謀もない、汚職もないにも関わらず境遇だけで動かないというのを描写するのは結構珍しいですね。
ここら辺結構リアルだなと感じまして当たり前ですがそれぞれが伸ばせる手というのには限界というのがあり、
そこで切り捨てられる者は何なのかということになると自業自得と言われるような存在になってしまうんだなと。
そんな中で彼らを顧みる者として事件解決のために奔走する存在となるのが、主人公のレベッカとバイロンになるんですね。
レベッカははっきりとは明言されていませんが過去に男性から暴行を受け同じような目に遭う女性のために、
バイロンは2年間起き続けているこの映画の殺人事件について常に向き合ってきた存在として描写されています。
ただこれでとてもきついのは顧みる者である彼女達が貧乏くじ引く所ですね。
レベッカは自身の過去の件で調査をした警官の父が逆に警官を辞めることになり離婚したという事実、
バイロンは現在進行形で家庭と事件の板挟みになるなど
向き合い手を伸ばしたが故に損をするという現実をこちらに突きつけてきます。
上でも書きましたが差し伸べられる手には限界があり、
何でも救おうとすると犠牲にしなくちゃいけないものが出てきてしまう厳しい現実も見せられましたね。
自分も自己責任論というのは完全に否定出来ないと思っていますが、それでも向き合い見捨てず動く人間というのはやはり報われてほしいなと思うので、
組織が動かないというので独断専行に近いこともしているのでしょうがない部分もあるんですが、これで危険に合うのは結構見ていてきつかったですね。
間違いなく正しいことをしているんですけど協力を得られずキャパを超えるという、最後は報われるとはいえ考えさせられる部分は多かったですね。
正しさには常に理解と報いがあってほしいものです。
キモいぜ犯人
この手の映画だとこの存在が動かなきゃ話が始まらない動かないということで、ある意味主役みたいな存在である犯人。
実際彼のパートはかなり多いです。
まぁ彼はキモいです。
この映画でいうと肉食獣の立場ですが、それになぞられて殺害した相手に歯形を残すわ脱がせた服の臭い嗅ぐわで気持ち悪いですね。
監禁している時の粘着質な行動も気持ち悪いですし、
後半で臭いでトレイシーの居場所を確認するなど本当に気持ち悪いです。
こんなイカれたサイコパスですが(だからこそ?)家族とは良好な関係で仕事も順調そうと言う一見まともなのが怖い所です。
担当しているルーカス・ハースが失礼な言い方ですが、異常性と誠実さを足して2で割ったような風貌と演技で上手いんですよね。
まぁこの家族関係も特に娘に対して“神からの贈り物”“俺の罪を許し永遠の愛で祝福してくれる”など、
都合の良いこと言って娘を神聖視していてやっぱり歪んでいるなとは分からせてくれるんですが。
最後にはトラックドライバーがマイナスドライバーで刺されて死ぬという結末となりますが、
父を優しき父と見ていて自身も神聖視していた娘が運ばれていく父の遺体を見て何を思ったのか
全てに置いて罪深い犯人であり父親でしたね。
1番恐ろしいのは元になった人物の方が遥かにやばいということなんですが。
事実は小説よりも奇なりとはよく言ったもんです。
さーて、今回のブルース・ウィリスは?
い、いる意味あったかな…?
今回のブルース・ウィリスは主人公レベッカの相棒として登場。
最近見た映画だと黒幕、下衆、頼れる味方と様々な立場を演じていましたが、この映画のポジションは一言で表すなら置物です。
はっきり言って何もしません。役割を持っていません。
レベッカとバイロンだけでも正直なところ成り立つ映画だったと思います。
強いて言うなら顧みなかった者としての役割ですね。
トレイシーが行方不明になった日彼女を見かけていたにも関わらず気にも留めなかった、
事件に関わろうとするレベッカと相棒を解消するなど。
悪い人物ではないけど顧みない側の存在として置かれたのかなと。
これなら何もしない役割もないのは納得いきますし、むしろ置物じゃないといけないポジションですね。
ただこれをブルース・ウィリスにやらせるのは自分が贔屓目に見ている部分もありますがもったいないなと思いましたね。
主役以外の大物俳優というのは往々にしてこういう風に使われてしまうものなのですかね。
まぁ悪事に手も染めず死にもしなかったので良しとしましょう。
まとめ
実在のとんでもない事件を使い顧みられない存在を扱ったこの映画。
題材としては今時、しかし昔からある事実を扱ったとも言える社会派な映画でした。
強いて言うなら元の事件もあるし分かりやすいというのもあるんでしょうが、顧みられない存在を限定しすぎかなとは思いましたね。
実際は老若男女問わず起こりうる話なので限定しすぎるのもバランス良くないなと。
それでもスリラーとしてはよく出来ていますし、正しさが僅かでも報われるのはいい内容だなと素直に思えるいい映画でしたね。
でもブルース・ウィリスのポジションはやっぱり気になる。
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