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製作国
日本
監督
羽住英一郎
脚本
土城温美
原作
ウェルザード
出演者
橋本環奈
眞栄田郷敦
山本舞香
神尾楓珠
醍醐虎汰朗
横田真悠
栁俊太郎
西田尚美
柄本佑
主題歌/挿入歌
椎名林檎
Ado
玉石混合な昨今の邦画ホラー(ホラー自体古今東西そんなもんですが)
最近は行きつけの映画館でもそれなりに邦画ホラー上映するので本物への期待半分、ネタへの期待半分で見に行っているおります。
そんな中で今回の感想は映画はカラダ探し。
多分ネタ寄りかなと思ったら意外や意外本物寄りなので得した気分になりました。
いい青春スプラッターホラーでした。
原作がある作品だそうですが自分はそちらは未見なのでそこはご了承を。
目次
あらすじ
7月5日、女子高生の森崎明日香は、校内でいるはずのない幼い少女と出会い、「私のカラダ、探して」という不気味な言葉をかけられる。不思議な出来事に違和感を覚えつつも、いつも通りの一日を終えようとしていた明日香。しかし、午前0時を迎えた瞬間、気が付くと彼女は深夜の学校にいた。そこには明日香の幼なじみで最近は疎遠になっていた高広と、普段は接点のないクラスメイト4人も一緒にいた。困惑する6人の前に、全身が血で染まった少女「赤い人」が現れ、6人を次々と惨殺していく。すると明日香は自室のベッドで目を覚まし、7月5日の朝に戻っていた。その日から6人は同じ日を繰り返すことになり、そのループを抜け出す唯一の方法は、とある少女のバラバラにされたカラダをすべて見つけ出すことだった。
映画.comより
登場人物
・森崎明日香
主人公
クラスでいじめの対象となり無視されている
少女の声を聞きカラダ探しに参加させられる
・伊勢高広
明日香の幼なじみでクラスの人気者
バスケ部の推薦を受けていたが断った
・柊留美子
明日香達のクラスメイト
性格はサバサバしており、社会人の彼氏がいる
・清宮篤史
明日香達のクラスメイト
中学時代はバスケ部だったが足の怪我で挫折し、引きこもっている
・浦西翔太
明日香達のクラスメイト
クラスでいじめられている
・鳴戸理恵
明日香達のクラスメイトで学級委員長
変わる関係性と魅せる死に様
死ぬことによりループするという内容だとやはりこの醍醐味となるのはこの2つ。
毎晩0時に始まるカラダ探しに巻き込まれ、カラダを見つけられずに全滅したらまたその日に巻き戻される…
そんな何度も死んで巻き戻るという自分好みのルールの映画でこの時点で楽しく見れましたね。
ハッピー・デス・デイとか大好きなんです。
ただこれをちゃんと楽しめるかどうかはループの中でどれだけ成長や変化があるか、そして何よりどれだけいい死に様を魅せてくれるかによると思います。
まずは成長や変化。
これは学生6人らしい青春映画のような様相を見せてましたね。
最初は余所余所しい6人も同じ境遇となり死んでいくうちにお互いにどんどん絆が育まれていきます。
篤史以外は2ループ目には死ぬ前に助けようとしたことですぐに仲良くなるという早さであり、死ぬことによる開き直りもまた早かったですが、ここら辺は若者っぽさがあるなとも感じますね。
ご機嫌な音楽と作戦でカラダ探すなどこういう開き直りとどこかループを楽しんでいるかのような行動はこの手の設定の醍醐味の一つですね。
呼び出された原因は完全に憶測となっていますがそれぞれが孤独を抱えていたことが原因となっており、
この6人はそれぞれどこか孤独や疎外感、諦めなどを抱えていますが、カラダ探しによりある意味では6人だけで共有する特別な体験と秘密で絆が生まれるというのはこれは完全に青春映画でしたね。
後半のカラダ探しを終えたらこの経験は全て忘れ去られる明日香だけがこれを知ることになりますが、
再び孤独に戻るこんな状況でもそれを恐れるその葛藤も若者らしい葛藤なのですんなり受け入れられるようになってました。
これを大人がやっていたらなかなかウザくなってしまうんですねえ。
総じてホラーだけではなく孤独と異常な事態、その中で得た友人、こういう人物描写を丁寧にやっていましたね。
互いが孤独を感じていたからこそ、この経験で得た友人は普通では得難いもの感じて、最後のループで“赤い人”相手にちょっと面白いシチュエーションでも全員で全員を互いに守ろうとする姿に感情移入して見れてしまうように誘導できていたんですね。
カラダ探しを終えてのラストの展開も合わせてとてもいい青春映画を見れた気がしますね。
青春なループをするにはそのループへと導く死が必要。
これこそループ物の花と言ってもいいでしょう。
こういう死んでループする映画というのは生き様より死に様を見るもの。
ぶっちゃけ自分はここに最大限期待して見に行ったのですが、この部分は概ね満足でした。
どれだけループの中で様々な死に方を魅せれるか、これが大事であると思っているのですが、この需要には完璧に応えてくれましたね。
やっぱり死んで戻るループ物は本人達が真面目でもはっちゃけた茶目っ気のある死に方があってこそ!
自分の最初の懸念要素としては主演の橋本環奈さんが起用にあたってどういう評価を受けているかによって見せれる範囲が変わることくらいでしたが、
これに関しては完全に杞憂になり終わり何も問題なかったですね。
それ森の時にも書きましたがホラー映画というのは俳優がどういう評価を受けているのか示す一つの指標だと勝手に思っているのですが、
【映画】確かにとんでもないものが見れた “それ”がいる森 感想今回主演となる橋本環奈さん、初ループから喉貫かれてしっかりとだらしない死に方をしてくれました。
これを見て業界内ではちゃんと女優としての評価を受けているんだなと分かり、じゃあこの後はみんな容赦なく色々な死に方してOKなんだなと安心して見れましたね。
他の俳優陣もそろって真面目な死に方、面白い死に方。
力任せな“赤い人”の活躍を引き立てる文字通りちぎっては投げられるいい死に様を魅せてもらいました。
今回のカラダ探しに選ばれた6人の若手の俳優陣の方々はめちゃくちゃいい仕事してくれましたね。
“赤い人”の活躍と生きるための作戦
ホラーにおいては主役とも言える霊やクリーチャー。
今回は言ってしまえば隠れんぼと鬼ごっこ。
人間は生き残るために対策をし逃げる、霊は殺すために追う、この駆け引きこそが追いかけっこホラーの醍醐味であるわけです。
駆け引きがあるからこそ見せ場もドラマも生まれる、そして駆け引きを成り立たせるには追う側の設定や特性が寝られていることが大事です。
今回の“赤い人”はその要素においては個人的にはとてもグッドな霊でしたね。
何がいいって物理で攻撃するその姿勢が素晴らしいです!
霊特有の念力なんてものには何一つ頼らずカラダ1つで相手を千切る、貫く、吹き飛ばすというこの姿勢ですよ。
しかも投げ飛ばされてもすぐに復帰、カラダなんてエクソシスト歩き出来るくらいいくらでも拗らせることが出来る。
そこまで出来てやることは結局相手に捕まってフィジカル勝負、もうたまらんですよ。
“赤い人”は音で相手を探す、光に誘われるこの習性があるのですが、
この“赤い人”自体の相手を発見するための習性、そして見つけたらフィジカルで攻める、これが駆け引きとして上手くハマっていて良かったと思います。
隠れている相手にはしっかりとタメを作って襲撃するなど完全に今回の名女優ですね。
後半になるとルールを1つ追加して生前溺愛していたエミリー人形と合体して(!?)パワーアップするわけですが、こちらになるとどちらかというと見てる側としてはネタ寄りですね。
見た目も挙動も“赤い人”の時の方が絶対に怖いのですが、
ただこの形態になると食われた相手が次のループで現実から存在が消えるというルールが追加され、
登場人物にとってはこれ以上ないくらい恐ろしい存在と化します。
この視聴側にとっては合体したら愉快にしか見えない存在になっていないのに対して、登場人物にとってはこれ以上ないくらいの恐ろしい脅威になっているというこのギャップが面白かったですね。
面白さには駆け引きが大事と言いましたが“赤い人”との駆け引きは見ていてとても楽しいものでした。
何度も死ねることを利用してしらみ潰しにカラダを探すローラー作戦仕掛けるのは当然。
習性を利用して高広が可能な限り囮になったりするところはアクションの良さも相まって見応え抜群。
ちゃんと障害物を事前に配置してそれらを利用しながら躱し続けるのは最後に捕まって派手に死ぬのも合わせてループと“赤い人”の習性を活かした駆け引きの楽しさが詰まってました。
やっぱこれくらいちゃんと動ける俳優さん使っているとちゃんと相手との駆け引きが成り立って見せるように出来て尚且つ死に様が映えるのでいいこと尽くめですね。
“赤い人”強化後の覚悟を決めた最後のループはこれまでとはルールが変わりまた駆け引きに変化が起こります。
今までは隠れながらカラダを探せば良かったのに対して、最後は“赤い人”から最後のカラダ“頭”を取るためにエミリーから頭を取らなければいけないという逃げから攻めを求められるルールへと変更されてしまいます。
ここから霊から逃げるから見た目も相まってクリーチャーを倒すのにジャンルが変わるので人によっては(当然自分も)待っていましたという展開になりました。
相手を拘束するためにボンド、頭を取るためにドリルやチェーンソーなど分かりやすくここからはアクションだな!とノリを教えてくれます。
ここからはホラーではなくバトル、しかも今までと違って死に方によっては消滅のリスクも伴うので全員が全力で理屈抜きでやれることをやるのがいいんですよ。
頭を狙わなくてはいけないのに、頭に食われたらお終いとここら辺良く出来てんなとちょっと感心もしてしまいましたよ。
ちょっと残念なところというべきかツッコミどころというべきかあるとしたら、頭を手に入れての最後の一手ですね。
ここはさっさと頭入れたら終わりなのにグダグダなやり取りをしてしまって、明らかに橋本環奈さんに最後活躍させたいだけだなというのが透けて見えたのはいただけなかったですね。
ただエンドロール後のおまけの真実によってはこのグダグダも意味あるかもしれませんが。
ただ概ねこの駆け引きというのはジャンルが切り替わるのも含めて飽きが来ない、このジャンルらしい楽しめる内容になっていたなと思いますね。
死に様が大事と上で書きましたが、それも最後のループで強い生き様を見せつけるため。
そこら辺の感情面もちゃんとやっていたので満足できました。
エンドロール後のおまけ
ここに関しては自分は正直よくわかんなかったです。
最後に記事が入れ替わる…これの意味が最初からそうだったのか、ここから新しいゲームが始まりループするのか。
前者だった場合は最後のループのグダグダと妙に弱くなった“赤い人”に納得出来たりもするのですが、それでもよく分かんないというのが正直なところです。
これは多分原作を読んでいる方には納得できる部分なんでしょうね。
よく考えたら派手な冒頭やって真相探しているように見せているのにカラダ探しの源流というのが一切明らかになっておらずただただ理不尽なだけでした。
これはおそらく続編考えているのかなとは思うのですがやはり原作未見なので断定は出来ず。
個人的な意見を言うとこの作品しか見ていない身としては青春物としても綺麗にまとまっていたので蛇足かなぁと正直思うのですが。
原作がある以上は当然まずは原作ファンを満足させることが第一ですし、こんなこと言った自分ももし続編出してそこで綺麗に完結させるなら不満も消え失せると思います。
結局のところ原作を読むか、続編出してもらうかって話にしかならないですね。
見ていない人間に好き勝手言われるとファンは嫌でしょうし、やはり自分も原作読むべきですかね。
まとめ
ネタとして見に行った部分もあったのですがちゃんとしたホラー、青春やっていて普通に満足できちゃいました。
ループ物のホラー、青春としては王道もいいところなことをしていますし、
登場人物の理解や開き直りが早いかなとも思いますが、これは対立や確執などというストレスと引き換えになる物ですから、主要人物が6人の本作だとこれが良かったのかと思います。
実際ストレスを削ったことで登場人物みんなに好感を持てましたしね。
スプラッターとしてはやりすぎず温すぎずなバランスでしっかり描写していて、それを容認した俳優陣の方々には拍手を送りたいですね。
多分興行収入によっては続編期待できるので自分もそれを心待ちにしたいと思います。
ちょっと心残りがあるとすれば最後のループで結局助からなかった猫ちゃんですかね。
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