【映画】まだ見ぬ故郷を与えるために アース・レスキュー・デイ ネタバレあり感想

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

アース・レスキュー・デイ
(C)JETSEN HUASHI MEDIA CO., LIMITED@2021

製作国

中国

監督
フイ・ユ
出演者
リン・シアオスー
ジャン・チャオ
リウ・ジエンユー
ワン・ズージア
ユー・ロングァン

破綻なんて当たり前、見せたいものを見せればいい。

B級というのはこういうものですが、時にはそれが噛み合い奇跡的なバランスを見せる事があります。

今回はそんな破綻が少ない映画アース・レスキュー・デイ(原題:末日救援/Earth Rescue Day)感想です。

ジャンルはSFアクションで上映時間は約95分となります。

まさかの綺麗にまとまっている映画となっており驚きの1作となっていますよ。

この映画の見どころ

しっかりとした世界観の構築

命の懸け方など安易でもありベタな良さもある王道な展開

あらすじ

突然、上空に現れた未知なる巨大生命体が人間を襲い、地上は瞬く間に侵略者に破壊され、人類は地下都市へと追いやられてしまった。20年後、地上を取り戻そうと人類は連合政権を発足させる。究極の電磁兵器を完成させ、決死戦に臨もうとしていたが…。

U-NEXTより

登場人物

モー・フェイ

地上の中古品を集めて生活している“空飛び”

20年前の巨大クン襲来により孤児となった

リー隊長

黒隼隊隊長

クン討伐の磁力計画の鍵を運搬する任務を請けている

シャシャ

フェイの悪友

地上を知らない世代のため地上に対して憧れを抱いている

チュー社長

フェイの集めた品を買い取っている男

元“空飛び”で愛娘を溺愛している

しっかりとした世界観

開始5分で空から地球外生物がやってきて人類敗北という超スピードで始まるこの映画。

事件が起きる前の人々の営みなんて必要ないんだからいいんだよと言わんばかりのスピード感です。

実際のところフェイと父の暮らしを3分くらいは映しといた方が後半がもっと輝いたとは思います。

人類敗北、地球の地表は征服、そうなったら人類が逃げる先は地下しかない。

というわけで冒頭から20年経過して地上都市から話が始まります。

アース・レスキュー・デイ
(C)JETSEN HUASHI MEDIA CO., LIMITED@2021

もう何で化け物が来たのか一切必要がない。
ただただ天災に見舞われてしまったという感じで説明がないのが逆に理不尽さを際立たせています。

地上には定期的に元凶である巨大クンが出産を繰り返し化け物が住み続けている。
それに対して最大の作戦で反撃を試みようとしている連立政権と。

技術の凄さは置いとくとしてシンプルで分かりやすい世界観の構築です。

特に良いのが冒頭から20年という時間の経過、これがなかなか絶妙な時間の経過で、
地上を知っていて廃墟と思う者、地上を知らない世代で地上に憧れや希望を持っている者と世代間の違いが描写できるちょうどいい塩梅の経過です。

前者はフェイて後者はシャシャですね。
分かりやすく言うと戦前生まれ戦後生まれみたいなもんですが、ただ違うのは取り戻せるかもしれないというところ。
これにより戦うに値する理由もはっきりさせることが出来るので登場人物の心理に何も疑問符が浮かばないように世界観は構築出来ています。

これが後半の決意にも繋がるので本当ちょうどいい時間です。

地下都市の風景も魅力的でどこかアングラ感だけで構築されていてワクワクします。

地上のスクラップを集める“空飛び”という仕事もあったりなど、行き当たりばったりで適当な世界観の構築をしているわけではなくちゃんと生活感というものを構築しているのが素晴らしい。

後は世界規模での連立政権。

世界が荒廃しているので争いもなく巨大クン討伐のために1つになっている…利権などとは無縁な高潔な統治なのがどこか安心感あるものです。

中国映画ですので中国がリーダー的になっているのはしゃーなしですが、でも各国、各都市の協力もあるので下手な映画より熱い展開やってますね。

日本は東京で韓国はソウル、ロシアはモスクワとやっているのにアメリカはアメリカな辺りがちょっと面白いところですね。

わざわざこの4国チョイスなのはあちらだと存在感大きいってことなんですかね?

まぁ中国制作映画でここまで世界が1つになって協力するというのは少しほっこりしましたね。


残念なところとしてはこの地下都市の描写の少なさですかね。

物語上仕方ないのですが結構早く地上に荒廃した舞台が映ってしまうので、ここだけは勿体無かったですね。

もう少し地下都市の風景や人々の暮らしの描写、これをやっていればラストの人々の決意、そしてラストの太陽にもっとグッと感情移入出来るようになったと思います。

単純にあの世界をもう少し見たかったと言うのもあります。

命を懸けるに値する希望

これがこの映画のテーマ。(と勝手に思っています。)

この手の映画というかこの規模の映画だと人の死で盛り上がりやストーリーを構築するのは良くあることなんですが、この映画は流れも自然ですし上手くやっていた方かなと思います。

露骨なフラグ立てばかりではありますが。

自分の命を懸けてでも守るもの、与えたいものというストーリーとしてはしっかりと一貫性あったのでとりあえずという感じの雑さが無いのです。

子供のため、仲間のため、自身の後悔とあの時命を懸けた者が守った者を守るため、地上に希望を見ている者に希望を取り戻すためと、
理由が分かりやすく納得がいき、しかも意外と熱いので感情移入がしやすかったのも良いですね。

特にしっかりとしたストーリーラインになっていたのはフェイと父とリー隊長の3人の関係性。

アース・レスキュー・デイ
(C)JETSEN HUASHI MEDIA CO., LIMITED@2021

20年前の巨大クン襲来の時にフェイは父が目の前で逃げて見捨てられたと思っていた、
しかし実は側で倒れていたリーの爆弾を持ってフェアを守るために自爆していたということをリー本人から聞かされる、そしてそこからの流れですよ。

フェイは父が自分を守るために命を懸け、リーは息子のために命を懸けた父親の姿を見て当時賜りながらも恥と思っていた勲章をフェイに渡す。

そして巨大クンを倒すために今度はフェイがまだ地上を知らない若者たちのために命を懸けるという後半の覚悟の畳み掛けが素晴らしいですね。

小さな望みのために命をかける者がいる

彼らが希望をくれた

地下都市の人間もフェイを信じ襲撃されることを覚悟でバリアを切り、エネルギーを送るなど文字通り全員で命を懸ける。

ベタもいいとこですがベタはイコール王道ということですからね。
これは外しようがない熱い展開でしたよ。

地味に上手かったのは孫悟空について。

フェイがわざわざ悟空っぽい見た目や振る舞いしたり、子供の頃から孫悟空の人形を持っていたこと。

とりあえずの要素くらいかなと思っていたら父とのがっつりとした思い出や逆転の糸口を思いつくきっかけになっていたりなど想像以上にしっかりと意味を持たせていて脱帽しました。

最後の戦いも孫悟空のように暴れ、ラストも綺麗に完結。この読了感の気持ちよさも魅力的でしたね。

ストーリーの盛り上がりに死を使うのは安易と言われそうですが、
総力戦、決死行となるこの映画のストーリーだと命を懸ける価値を見せるのは間違いなく必要だったと思うので嫌味さや露骨さはそこまで無かったと思いますね。

まとめ

地球がやばいというB級映画見たら想像以上にしっかりとまとまっていて驚いたこの映画。

何かツッコミどころが無さすぎてこっちが困惑するレベルでした。

強いていうなら巨大クン倒しても小型が停止する保証なんて何もないよねくらいでしょうか。

アクションもまぁまぁ出来がいいですし、CGは動きが拙い以外は概ね許容範囲クオリティですので視覚的にも楽しめる要素は多かったですね。

最初に見ようと思った思惑を考えるといい意味で期待外れで思わぬ掘り出し物を見つけられた気分になれました。

スタッフロールで少しだけコンセプトアート流してますがこれも良いんですねぇ。


他のモンスターパニック映画感想はこちら。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA