【映画】邦題は少々偽りあり タイムボム 爆弾解除、ミスしたら即死。ネタバレあり感想

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タイムボム 爆弾解除、ミスしたら即死。
(C)2022 WIDE

制作国
フランス

監督
ヴァンヤ・ペイラニ=ヴィーニュ
脚本
ヴァンヤ・ペイラニ=ヴィーニュ
パブロ・バルベッティ
出演
ノラ・アルネゼダー
ピエール・キウイ
ラシャ・ブヴィック
サラ・モルテンセン
エドゥアール・モントゥーテ
マリウス・ブリベット
ルワイン・ウェーバ

危険を顧みずに人々を救う仕事。

どんな時でも賞賛されるべき仕事ではありますが、その裏にある犠牲というものも当然存在します。

今回の映画タイムボム 爆弾解除、ミスしたら即死。(原題:Déflagrations/Blast)は地雷撤去という観点でそこに踏み込んだ映画となっています。

ジャンルはミステリーで上映時間は約98分となります。

この映画の見どころ

車内という密室で命に危険に晒されることによる緊張感

地雷撤去という仕事の裏にある3つの視点からの犠牲

(おそらく)細かく描写している爆弾解除の描写

あらすじ

パリ、とある地下駐車場。地雷処理専門家のソニアは、時限爆弾の仕掛けられた乗用車に閉じ込められてしまう。爆発までのカウントダウンは30分、後部座席には2人の子供。ソニアは同僚のイゴールたちに助けを求め、爆弾の解除に挑む。トラップを潜り抜け、時限装置の停止にはギリギリで成功。だが仕掛けられた重量感知式地雷のため、車から降りることが出来ない。生き残る方法は?犯人の正体は?そして事件の真相には、ソニアたちがウクライナで行った地雷撤去計画が関わっていた・・・・・・。

dTVより

登場人物

ソニア

ディマインテル社に所属している爆弾撤去のプロ

同僚のイゴール達と共に村を救った

離婚歴があり今は息子のノア、同僚のフレッドとその娘のゾエと同棲している

駐車場の車にノアとゾエと共に乗り込んだ時に仕掛けられた爆弾が起動し対処にあたることになる

イゴール・コヴァチ

ディマインテル社所属でソニアの親友で同僚

ソニア同様に爆弾撤去のプロ

地雷除去中に子供を死なせてしまいセラピーを受けており、その時の後遺症として手の震えが起きる

ソニアの危機を知り駆けつける

フレッド・ミエ

ディマインテル社の経理でソニアの恋人

カミーユ

ディマインテル社所属でソニアやイゴール達の同僚

イゴールと共にソニア達の乗った車の爆弾撤去に尽力する

フランソワ

ディマインテル社に所属

ウクライナの地雷撤去の際に地雷源の下に埋まっているウランを巡りアマンティス社から賄賂を受け取っていた

ノア

ソニアの息子

危険な仕事にあたり家に不定期でいる母に内心不満と母を失う恐怖を抱いている

ゾエ

フレッドの娘

ソニアには懐いており母親になってほしいと伝える

ニナ・ドレズ

ウクライナ大使館の女性

戦争で子供2人を亡くしている

賄賂の件でフレッドから連絡を受け現場に駆けつける

セルゲイ・ザルコフ

ウクライナの活動家

学校を襲撃して民兵基地局にするなど過激さが目立つ存在

アマンティス社の介入にも怒りを覚えており今回の容疑者として上がる

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邦題は少々偽りあり

タイムボム 爆弾解除、ミスしたら即死。
(C)2022 WIDE

ある日、駐車場の車に乗ったら、爆弾が起動した。

冒頭これくらいのノリでいきなりソニア達が乗った爆弾が起動してストーリーが始まります。

人間関係もどういう人柄なのかも碌に分からず話が始まるのでテンポ重視の映画ですね。

この起動、最初は恋人であるフレッドが乗った時には起動せずソニアが乗ってエンジンかけたら起動したので、
これフレッド怪しすぎない?とは誰もが通る道だとは思われますがフレッドは無害なので安心しましょう。

で、この映画の邦題はタイムボム 爆弾解除、ミスしたら即死。つまり時限爆弾の映画だと思われるでしょうが実はそっちはメインじゃありません。

というかラストのテロップ見たら地雷をテーマにした邦題つけなきゃいけないと思うんですけどね。

時限爆弾自体は仕掛けられているんですが、序盤で早々にこちらは解除されます。

本命は車の下に仕掛けられた対戦車地雷、こちらがメインとなります。
重量感知式なので乗っているソニアと子供達を始めとした登場人物達は降りることが出来ない。

そんな中で同僚であるイゴールやカミーユが爆弾解除のために奔走、フレッドや警察が犯人捜しを行うという話なんですね。

このストーリーの性質上、中に乗っているソニアが爆弾解除のプロという設定なのに爆弾解除では目立つことは全く出来ません。

それどころか時限爆弾の時には1回線の色を間違ってしまう始末。

しかし、この設定に意味が無いかと言うとそうではない。

彼女は爆弾処理という英雄的な仕事の負の側面…とまでは言ったら言い過ぎですが、
この極限状況の中で息子のノアとのやり取りで犠牲としていた部分と向き合うという構成になっているのです。

爆弾処理の緊張感、そしてこの仕事に携わることで犠牲にしていた者、そして爆弾撤去による思わぬ余波。
とにかくこの爆弾というものを中心として人間ドラマや啓発などが行われる映画となっています。

爆弾撤去

タイムボム 爆弾解除、ミスしたら即死。
(C)2022 WIDE

爆弾を仕掛けられてそれをどうにかするという内容。

なので当然プロによる爆弾撤去がメインとなります。

最初に話した通り主人公であるソニアが仕掛けられている側で身動きが取れないという状況なので、
同僚のイゴールとカミーユがこちらを担当することになります。

そういった意味ではこの2人の方が主役らしい活躍をしているとも言える内容ですね。

で、その爆弾解除ですが邦題のタイムボム、時限爆弾は早々に解決するので対戦車地雷がメイン。

それぞれの爆弾の解除となる描写、これはかなり細かく描写されていたんじゃないかなと感じました。

自分は当然素人なので印象でしかないのですが、解析、考察、作戦、実行としっかりとプロセスを踏んで描写されていました。

素人なので何ちゃって科学やとんでも装置があっても自分目線だと気付くことはできないですが、この映画のラストのテロップを見ると、
ここの描写にそういう映画的ななんちゃって感あるものは恐らく挟んではいないだろうなと考えられます。

そして解除にあたるイゴールとカミーユのキャラクター性。

カミーユは正直最初から最後まで頼りになる姉御といった感じなのである意味では都合が良く薄いキャラクターとなっているとも言えます。

ただ犯人を撃ったりと活躍は多いです。

なのでこの映画のテーマ的に重要なのはイゴールの方ですね。

彼はこのストーリー開始の前に現地の地雷除去中に子供を死なせてしまいそれをトラウマとして抱えているという人間です。

その精神的後遺症で手の震えがある。実際に時限爆弾解除中にもこの症状が出て間一髪な場面があったりします。

その後遺症があるにも関わらず彼は友人であるソニアを救うために今回再び現場で戦うことを選ぶ。

カミーユが言っていますが、

傷を癒すには現場に出るしかない。

悪夢を断ち切るの。

正直トラウマに対してこれは安易に賛同していい考えではないですが、それでもこの映画の登場人物の中ではこの行いは肯定的に捉えられているもの。

ですがストーリー的にはもしかしたらそうでもないのかもしれません。

イゴールはラストで逃げるのを躊躇したノアのためにこれ以上子供を犠牲にしたくないと自ら重りを支えそして犠牲になります。

無理に現場に戻りそして犠牲となる。

映画的には“英雄”とも言える花形な終わりですが、この映画のテーマだとこれは負の側面でもあるとも考えることが出来ます。

地雷除去にあたる人間の犠牲、これが起きるのは絶対にあり得てはいけない。
その中で映画的で賛美されそうなシーンを敢えて描写したのはこの後のテロップを使い単純な賛美として見せないためなのかなと思います。

実際これを賛美すると最後のテロップで冷や水かけられた気分になります。

イゴールという人物を通じて爆弾除去の現場で起きる負の側面や犠牲というものを描かかれているのだなと感じましたね。

突きつけられる人生

タイムボム 爆弾解除、ミスしたら即死。
(C)2022 WIDE

イゴールが現場で起きる負の側面や犠牲を描いた人物なら、
爆弾を仕掛けられた車の中にいるソニアは現場に行くことで起きる負の側面や犠牲が描かれた人物だったような考えられます。

車の中という密閉空間で爆弾による死の恐怖があるという状況。
この極限状態だとプロであるソニアはともかく息子のノアはそういう訳にもいきません。

そしてプロの冷静さがあるからこそ起きる軋轢もまた生まれてしまいます。

顕著なのが命の選択とも言えるシーン。

仕掛けられた地雷は重量感知式なのですが40kgだけ余裕がある。
つまり子供1人は降りることが可能になっているのです。

ここで息子であるノアと恋人であるフレッドの娘ゾエどちらを降ろすかの決断が迫られます。

プロ故に私情を交えた決断をしないようにフレッドに判断させるソニア。
作中でも言われていますがやや卑怯とも言える決断をフレッドに託す…

そしてフレッドは娘のゾエを選ぶのですがそこでノアは母のソニアに対して自分を選ばないことに憤るようになります。

映画的ならノアも気丈にも受け入れるのでしょうがこの映画のテーマだとそうはいかない。プロとしての決断を優先して母としてなりふり構わず息子を救うという決断が出来ない母を非難してしまいます。

それでもゾエにはちゃんと気を使えているので、
ただ周りに当たり散らすストレス要因にならないようにバランスは整えているですけどね。

そしてノアの告白からソニアは仕事の裏で犠牲にしてきたことを知ることになります。

3ヶ月前から学校でいじめられていることも知らず自分に興味がないと語るノア。
それに対して「相談してよ」とソニアが言っても」いつも留守だろ?」と返されてしまう。

出発も帰宅もいつも突然で父のところでただ待っている時に電話やメールが来るといつもソニアが死んだのではないかと恐れる。

“英雄”としての仕事の裏で起きている家族への心理的負担や恐怖。
こういう現場に赴く裏で起きる負の側面や犠牲を描いているのがソニアのパートでした。

現場で起きる負の側面や犠牲をソニアを通じて描かないのは実際徹底していたと思いますね。

ラストに車外へ脱出後に重りとして支えとなっているイゴールを救いにいきますが、
結局何も出来ないで逃げるしかない現場での活躍というものが一切与えられずに終わったことからもそれが伺えました。

犯人の目的

今回の爆弾を仕掛けた犯人が誰なのか?

その前に話す必要があるのはソニア達が活動していた地雷除去のために活動していたのはウクライナという点。

ウクライナ、戦争、地雷、など現実を見るとタイムリーなように感じるこのワード。

実際にはこの映画は2021年公開の映画のために現実と照らし合わせるのは不適切なものですが、
ただこういう映画が作られるということは当時から既に内包されていた問題なのかもしれませんね。

現実の状況が起きてから舞台や問題がウクライナの映画のリリースが増えたのは間違い無いのですが、
公開時期見ると大体は言い方はあれです流れに乗っかってリリースしたのが多いです。

そして最初に犯人と目されるのがウクライナの活動家であるセルゲイ。

彼は学校を襲撃して民兵の基地にするなど危険な活動家です。

ソニア達の同僚であるフランソワがウクライナの地雷源の下にあるのがウラン埋蔵地であり、そこに原発立てるために便宜を図り賄賂を受け取っていた。

それに反対しているセルゲイがソニア達ディマインテル社よウクライナ入りを挑発とみなして今回の事件を起こしたのだと推測、調査されます。

こういう映画だとこういう人物を隠れ蓑にして(実際隠れ蓑にはされているんですが)実は身内の犯行だったというパターンが殆どだと思うのですが今回は違いました。

というか最後まで見るとテーマ的に地雷除去にあたるディマインテル社の人間を犯人にするのは絶対にあり得ない内容でしたね。

そんな彼を隠れ蓑にして犯行を行っていた真犯人はウクライナ大使館の女性ニナでした。

この犯人像も今だとちょっとやれそうにないですね。

彼女の動機が明らかになることにより地雷除去よるもう1つの負の側面と犠牲が浮き彫りになっていくことになります。

セルゲイに襲撃された学校、そこにはニナの子供達も在学しており犠牲になりました。

なぜ学校は襲撃されたのか?
それはソニア達が地雷を撤去した結果学校を守るものが無くなりセルゲイ達が容易襲撃出来たからという事実でした。

地雷除去の現場で起きたこと、地雷除去に赴きに行く裏で起きていた犠牲に続いて、
地雷を除去したことにより生まれた犠牲というものが描かれることになります。

地雷が寧ろ子供達を守っていた、それを知らずにソニア達は撤去してしまったのですね。

そしてニナはフレッドに対して地雷の撤去を止めるように要請していた…にも関わらず行われた除去による犠牲に対する復讐だったというわけです。

作中でも言われていますがこれは考えもしなかった犠牲だと思います。

犯行動機としては思想犯ではなく復讐なのですが、ストーリー的にはがっつりと思想と気付きを入れに来た真実でしたね。

ニナの最後はあっさりとした物ですが、この3つ目の犠牲と負の側面の気付きが彼女を通じて充分に描かれていました。

最後のテロップ

この映画は最後にこのようなテロップが挟まれます。

ウクライナ、ドンバスでは750以上の学校が犠牲に、

地雷除去エリアは4%、地域では2百万人が暮らす。

世界では1時間に1人地雷による犠牲者が出ており、

その4人に1人は子供だ。

こういう最後のテロップはその映画で伝えたいこと製作した動機などを強く強調するために挟まれるものです。

しかし、地雷による犠牲を強調したテロップに対してこの映画のストーリーは徹底して地雷除去による犠牲と地雷除去したことによる犠牲を描いています。

この内容のストーリーでこのテロップは正直チグハグなように感じます。

しかし、これには意図があるのでは?と自分は感じました。

地雷除去に準ずる人々が“英雄”なんて認識は当たり前で共通の認識。
それをそのまま描いたところでそれ以上の認識、当たり前の域を越えることにはなりっこない。

それなら“英雄”の行いによる犠牲や負の側面描くことでそもそもこんな状況が作られないようにしていくことを考えさせようとしているのかもしれません。

実際のところは分かりませんが敢えてテロップとは真逆のストーリーを描くならこういう意図があるのではないかと強く思うのです。

単純に捻くれていたり反骨心で背いて作っただけの可能性もありますが。

まとめ

緊張感のあるいい映画でした。

出てくるワード的にどうしても現実の問題と照らし合わせてしまいがちですが、
公開時期はそもそも問題が明確に起きる前ですし、
あくまで映画で描いているのは1つの視点でしかないということは忘れてはいけませんね。

それにこの映画の主題はあくまで地雷による多角的な犠牲ですので、汲み取るべき話は間違えてはいけません。

内容的には題材から見れると思う派手な物は見れません。
というか派手な事が起きないようにするために奮闘する内容ですし、ラストはともかくその導線までに派手な事が起きたらテーマ的に駄目な映画でもあります。

ですので爆弾というワードから派手な物を見たいと思った方には肩透かしな内容かもしれません。

しかし、賞賛される仕事の中の犠牲という別の視点を得たい方、そういう方にはおすすめできる内容となっています。

後は密室の中の緊張感というものが見たい方にもオススメ。


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