この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
今回は中国の能力者によるリベンジ映画リベンジ・ガール(原題:致命少女姬/Fatal Girl)の感想。
よくある追っ手から逃げるために覚悟を決めて立ち向かう映画と思わせて、ラストでの主人公チェンホーの強かな思惑が明らかになるシーン。
これぞリベンジ映画という感じの思惑とそこからの反撃で溜めの時間こそ長いものの確かなカタルシスがある映画となっていましたね。
チェンホーの立場や体の状態からだと意外と見るようで見ない展開なので結構貴重な部類のシナリオ、映画だなと自分は感じましたよ。
ジャンルはアクションで上映時間は約88分となります。
目次
あらすじ
そして少女は、覚醒する―。
Rakuten TVより
2065年。チョン・フェイ率いる「知能集団」は、超人兵士を生み出すため、ICチップで人間の潜在能力を引き出す研究を秘密裏に行っていた。研究者のフオ・ランは、被験者であるふたりの子供と施設から抜け出そうとするが、男の子のアーフェイは取り残され、女の子のシンイーを自らの命と引き換えに逃がすので精一杯だった。そして数年後。シンイーは名前を替えて、貧民区に身を隠しながら車椅子生活を送っていた。しかし、貧民区に施設からの脱走者が現れたことによって、事態は一変する。監視隊が街に押し寄せ、シンイーの身にも危険が迫る。そしてそこには、チョン・フェイの右腕として殺気を放つアーフェイの姿があった―。
リベンジ・ガールを配信している配信サービス
※2023年9月13日時点
見放題 | レンタル | |
Amazon Prime Video | ✖️ | ✖️ |
Netflix | ✖️ | ✖️ |
U-NEXT | ✖️ | ◯ |
hulu | ✖️ | ✖️ |
DMM TVプレミアム | ✖️ | ✖️ |
登場人物
・チェンホー
元の名前はシンイー
10年前に母の手により知能集団の研究所から脱走した
脳腫瘍を患っておりその進行を食い止めるために母に第二世代のICチップを埋め込まれている
殺害された母の真実を祖母のユージーには内緒で密かに探っている
10年の間に車椅子生活になっている
チェンホーの名前は千鶴から
・アーフェイ
知能集団の能力者で番号は67番
10年前にシンイーと共に脱走をしようとしていたが取り残された
チョン・フェイにより自分は見捨てられたと吹き込まれ今は彼に仕えている
チップの影響で体が蝕まれており彼女を探すことが生き残る道となっている
・ジョウ・シャオシー
脱走後に出会ったチェンホーの友人
彼女のことを何かと気にかけており共に行動している
・ユージー
チェンホーの祖母で医者
脱走後の彼女の面倒を見ている
娘に続いて孫まで失いたくないと思っており、彼女が危険な行動をすることを咎めている
・チョン・フェイ
知能集団を運営している男
貧民区の格闘技大会からICチップを埋め込むための被験者を選別させて実験している
フオ・ランが開発した唯一の第二世代のICチップを求めている
・フオ・ラン
チェンホーの母で知能集団の研究者
チェンホーの脳腫瘍を食い止めるため唯一の第二世代のICチップを彼女に埋め込んだ
子供達を脱走させる最中で追っ手に撃たれチェンホーを逃したところで自爆して帰らぬ人となる
溜めこそ長いけど見どころはやっぱりアクション
中国B級映画だとやはりこれが見どころ。
というか自分がそういうのばかり選んでいるだけなんですが。
この映画もその例に漏れずアクションだけはしっかりと見応えがあり、かつカッコええのです。
これに関しては他の記事でも書いたのですが、確かな品質保証がされていると言ってもいいやつですね。
【映画】今、中国B級映画が熱い!(自分の中で)今作のアクションのジャンルとしては言うなれば能力者による高速バトル。
ICチップを埋め込むことで人間の潜在能力が解放されるという設定からくる描写となっております。
なので基本は格闘メイン。多少は能力で念力で物をぶつけたりもありますが、まぁこちらはほんの少しですね。
欠点としては主人公であるチェンホーの完全覚醒が遅いことですね。
最初の覚醒は大体映画が半分終わったくらいでここの時はただ相手を吹っ飛ばしてすぐ終了。
その次の高速バトルが見られる覚醒までは大体7割くらい進行してからと大分遅めですね。
その間は組織から脱走した男と追っ手のアーフェイが少し場を繋いでくれますが、
それまではアクションという見せ場を人任せになってしまっているのは少々もったいなかったかもしれませんね。
最後まで見ればストーリー的にはこの構成で問題はないんですけど、映画的な楽しさという意味でという話ですね。
ですが溜めに溜めて待たせた分、そこからの暴れっぷりはなかなかのもの。
それまで車椅子で隠れながら行動していたチェンウーが自らの足で立ちアクションで圧倒していくのはカタルシスがありまた圧倒感がすごいです。
明らかに他と違う能力による高速っぷりでアクションとしてのギアを1段階上げたのが分かるくらいの無双っぷりを見られます。
やはりこういう溜めからの反撃は振り幅が大事というのがよく分かりますね。
特に最終覚醒からの動作や演出がいいんですね。
余裕綽々に準備運動してから、大量の兵士相手に銃弾すら掻い潜りながら意に介さず無双、
更に幹部クラスだった女能力者も何てことなく倒すと。
しかもこのシーンは一切BGM無しで圧倒するんですよ。
何一つ盛り上がるような曲もかからない静かに派手に圧倒する、
覚醒したチェンホーにとってはこれは特別でも何でもない、そんな雰囲気を纏っているような気すらしてくる良い音を使わない演出でしたね。
そしてここまで来るとアーフェイとの決着もやはり圧倒物、ヒュンヒュン動いて高速カンフーの型のような動きを見せて、
最後にはアーフェイの銃弾を躱しながら銃口に自ら頭を突きつけて発砲の瞬間避けて倒すと何だこの余裕溢れるケレン味ある演出はって興奮もんでしたよ。
最初は我慢、最後は圧倒とリベンジもののアクションかなりの振り幅を見せてくれ、カタルシスは十分なアクション内容。
カメラワークとカット割も安定感があり中国B級アクションの強みが存分に発揮されている内容でしたね。
強かな復讐の意思
アクションの項目で書きましたが、この映画は覚醒まで、つまりリベンジ反撃に移るまでは長めなストーリーとなっています。
しかし、最後まで見た時、そして覚醒の瞬間にチェンホーの下高杉は思惑と意思に思わずおぉ…と唸ってしまいました。
冒頭で2065年と近未来の世界で頭にICチップを埋め込み潜在能力を解放させる研究が密かに進んでいると明らかに非合法な研究、そしてそこからの脱走から始まる本作。
そこで母であるフオ・ランとの死別、そしてアーフェイとの別れが描かれチェンホー(この時はシンイーという名前)は自身に埋め込まれた唯一の第二世代のICチップを抱えたまま10年の潜伏をしているという設定です。
このICチップを埋め込まれた理由がチェンホーの脳腫瘍の侵攻を止めるためと言われているのですが、
あまり脳腫瘍に関しては話には特に絡まず、母親が敢えてなぜICチップを埋め込むなんて実験体みたいなことをしたのかという補足程度の情報ですね。
一応10年の間に祖母の元に匿われて車椅子生活となっているのですが、これが脳腫瘍による物なのかICチップによる副作用による物なのかははっきりしませんし。
ICチップに副作用があるとわざわざ明言しているので、十中八九後者だと自分は判断しました。
そしてそんな車椅子状態の生活の中でとある能力者の脱走者と出会い自身もまた唯一の第二世代ICチップの持ち主として狙われると。
普通の人より不便な生活の中でこういう状況なので復讐というよりは逃走がメインになっているなとこの時は感じていたのです。
実際完全覚醒までは母の死の真実を探りながらもずっと追い回されてアーフェイ達に遭遇しても何も出来ない状態が続きますしね。
これだけでほとんどの時間を進行しているストーリーなのでどこら辺でリベンジなんて邦題はつけたんだろう?と思っていたらラストの完全覚醒でその評価を改めましたね。
敵に捕まり装置に繋がれICチップの解析のために命を無くしても構わないほどの実験をされる中での覚醒。
この覚醒の時のチェンフーの言葉でこの映画の評価は自分の中で変わりましたね。
脱走の後に毎日力を使おうとしても上手く使えなかったこと、敵の手がかりを追い求めても何一つつかめなかった日々のこと、そんな最中で出会った脱走者との出会い。
この出会いの後に彼女の強かすぎる思惑がはっきりと主張されるのです。
ICチップの能力には理性を失うリスクがあり、しかも命の危機が迫った時にしか発言せず上手く使えない、この欲っしてやまなかった力を上手く使えるようにするために敢えて捕まり自身の覚醒を促したと。
相手に追われ捕まったように見えて自身の思惑通りに相手を動かしていたという、
脱走者に出会ってから始まった計画なのでしょうがゾワっとしましたね。
この計画のプランを考えると親身にしてくれていた人々への言動や心配していた思いというのが、
一体どこまで信用出来るのか最後の最後にチェンフーが1番話の中で信用ならない存在になるというこの構成。
覚醒後は完全に幼少期に共に逃げようとしたアーフェイすら思いも挟まずに涼しい顔で撃退する人間味の無い描写もまた彼女を分からなくする演出でしたね。
これは本当にいいですね。リベンジと邦題につけただけはあります。
敢えて自分を極端に弱く見せつけて復讐の牙を相手に解き放たせるこれは本当にいいプランを見せてもらいましたよ。
そりゃ覚醒後の無双で盛り上がるBGMなんか必要ないくらい圧倒するってもんです。
そんな人間味を無くしたように見せてのラストの展開、母の脳が保管されていたのを見て怒りに震えフェイを畳み研究所の破壊をする、
その中でアーフェイにすらトドメを刺そうとする中で両者の思い出の折り鶴を見て正気を取り戻すと、
彼女が偽名として使っていた名前チェンフーが“千鶴”と書くとこなどと合わせてちょっとおしゃれな流れでしたね。
途中までは特筆するような話の内容でも無いかなと思っていたストーリーだったんですが、ラストの強かすぎる思惑でこれはいいねと唸りました。
車椅子を使用しているという設定と合わせて逃亡からの反撃としか考えられないと思わせてからの
この敢えて捕まる攻めの姿勢というのは意外と珍しい流れだったのではないでしょうか。
チェンフーが最後にアーフェイ以外の人物にどういう思いを抱いていたのかはちょっと気になるところでしたが、何でも説明するのも野暮ってものなのでしょうね。
何かラストに明かされた思惑だけでこの映画悪くないなと感想を抱ける内容でした。
B級は唸る思惑1つで評価できるもんです。
まとめ
途中までは普通だなぁ(B級比)と思いながら見ていたのですがラストで思いの外心を掴まれましたね。
チェンホーが密かに研ぎ澄ませていた牙の鋭さというのが能力ではなく彼女自身の強かさで現しているのが特にいい。
能力の方もアクションでしっかりと説得力持たせて見せてくれますし、中国B級として見るなら十分に高クオリティ。
安定感があるのが中国B級映画ですが、損した気分にならない(あくまでB級ということを前提においた耐性と許容の心は必要ですが)のはやはり強みだなぁと改めて認識出来ましたね。
他の映画感想記事
他の中国B級映画感想はこちら。