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製作国
コロンビア
監督
アンドレス・ベルトラン
脚本
マット・ピッツ
出演者
カロリーナ・ガイタン
セバスティアン・エスラバ
アーラン・ホーコ
アンドレス・カスタニェーダ
アリソン・カストリヨン
今回は底なし沼にハマってしまった離婚寸前の夫婦を描いた映画、底なし…(原題:Quicksand)の感想。
シチュエーションのため絵面が変わらない状況が続き更に脅威の存在がしょぼめとスリラー要素としては点数が低くなりそうですが、それに対処するサバイバルとしての要素はむしろ好評価。
そして何より夫婦の再生を描き神の見えざる手が働いているかのような展開と最後の打開には胸震える物があると思いますよ。
ジャンルはサバイバルスリラーで上映時間は約86分となります。
目次
あらすじ
離婚寸前のアメリカ人夫婦が、仕事でコロンビアを訪れる。仕事の合間に二人は熱帯雨林をハイキングするが、車に戻ると何者かに襲われてしまう。嵐の中、逃げる途中で流砂に足を取られ、泥沼にハマって身動きが取れなくなってしまった二人。助けを呼べない中、弱っていく二人に忍び寄る猛毒ヘビと殺人蟻。脱出するため、そして生き残るために二人の協力が必要になるのだが意見が合わず・・・
クランクイン!ビデオより
底なし…を配信している配信サービス
※2024年1月3日時点
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登場人物
・ソフィア
現在休職中の医師
夫のジョシュとは別居中で離婚が決まっている
共通の友人であるマルコスの依頼でジョシュと共に故郷のコロンビアに訪れる
・ジョシュ
ソフィアの夫で医師
マルコスの依頼でソフィアと共にコロンビアに訪れる
・マルコス
ソフィアもジョシュの共通の友人
夫婦が別居し、離婚予定であることを知らず2人を呼んだ
離婚間近の夫婦を襲う底なし沼サバイバル
もうすでに離婚が決定している夫婦がハイキングで 中に車上荒らしにあい、逃げた先でハマった沼で奮闘するという本作。
シチュエーション的に一言で言うと、
脅威となる対象を怖いとは思えないけど、それに対する対応は面白いかも?
と、そんな何か不思議な感想になる映画でした。
後で語りますが脅威となる存在がどれもあっ、意外と常識的な範囲なんですね…となること間違いなしでリアル感はあれど映画として見ると怖くないって感じなんですよね。
しかし、脅威は脅威なのでそれによって引き起こされることに対する対応はサバイバル映画としては面白く感じる…
これらを鑑みると事態よりも対応を楽しむ映画といったところでしょうか。
スリラー20点、サバイバル80点みたいな。
ただシチュエーションと比較するとストーリーの方はベタながら綺麗に纏まっている内容です。
内容としては夫婦の再生、向き合うことの大切さというものをしっかりと描いており、
そこからの向き合うことで思い出したことからの事態の打開というものも個人的には好みのストーリーとなっておりました。
ここに関してはシチュエーションも上手くハマっているので、
底なし沼だけに(ドヤァ)
ジャンルとしての楽しさよりはストーリーとしての楽しさを重視して見るべき映画だった自分は感じました。
脅威の対象のしょぼさ
底なし沼にハマったソフィアとジョシュの脅威となる存在。
1つ目は当然底なし沼、2つ目はアリ(多分ヒアリに近い)、そして最後に毒蛇。
これらが彼らにとって脅威となる存在なのですが、リアル感を重視した結果どれも絶妙にしょぼさを感じる脅威となっておりました。
まず1つ目の底なし沼ですが、
全然沈まねぇ!
なんと底なし沼なのに全然沈むことがないのです。
いや、一応あるにはあるんです。最初にハマったソフィアがパニックになり動き回った結果1回沈んで、それを助けようとしたジョシュが飛び込むということで今回のシチュエーションになるので。
逆に言うと沈むのはそこだけ。
動き回ったら沈むので大人しくしていると言って理由付けはしているんですが、ただその後も割と動き回っているんですねぇ。
シンプルに身動き取れない抜け出せないのシチュエーション作りのために使われてピンチには使われない、そんな感じの役割でしたね。
シチュエーション的には怖いには怖いんですが映画的にはやっぱ地味っすわ。
そして2つ目のアリ。
クッソ地味です。でも多分1番怖いです。
やったことはソフィアを刺してちょっと腫れさせただけ、それだけなんです。
でも視覚的にも心理的にも多分これが見ていて1番怖いんじゃないかなぁと。
首元に群がるアリと腫れていく患部というのは想像がつきやすくてうひゃ〜っとなって鳥肌が立つんですよね。
本作でのピンチにおけるリアル感がいい意味で作用していたのがこのアリだと思います。(超地味だけど)
そして最後の脅威である毒蛇。
ちっさ
1番ピンチに陥らせているはずなのにこれしか感想が言えない。
何でこんな感想が出るかというとこの蛇、実は冒頭からしっかりとフリがある存在なんですよ。
車上荒らしの仲間だった男のハンティングなどで恐れられていたり、そいつがわざわざショットガン用意していたりですね。
こんなフリがあるとそりゃ映画的には現実的な範囲で留まるにしてもその範囲での大蛇が出てくるのだろうと思ったら、
常識的なサイズの毒蛇が出てくるんですからおいおいおい!とやっぱなってしまいますよね。
いや確かにリアルなんですよ?ノリ的にも確かに間違ってもいませんよ?
でも底なし沼に囚われて全く絵面が変わらない映画なんですから、最大の脅威くらいは映画らしいサイズの蛇を期待しちゃうじゃないですか?
この蛇は脅威的にも脱出的にもすごい重要な役割を果たしましたし、
倒すとなったら常識的じゃないとダメなのはわかるんですけど、もうちょい大きくてもいいんじゃないかなと思いましたね。
だってこれドキュメンタリーじゃなくて映画なんだぜ?
とまぁリアル感を重視してスリラー的にはしょぼさが目立つ脅威の数々でした。
脅威としてはすごい活躍しているんですが、どいつもこいつもいぶし銀的な存在に留まって花形がいないというのが地味さの原因でしょうね。
やっぱ映画なんですからスターは必要だなと思う要素でありました。
脅威はしょぼいけど、対応は面白いよ
上の方で散々脅威をしょぼいだの何だの好き勝手宣ってしまいましたが、
彼らの引き起こす脅威自体はガチなのでそれに対する対応の方はサバイバル映画らしい面白さや緊張感はあったりします。
底なし沼は確かに全然沈みません。
しかし抜け出せないことは間違いなくそして体温を奪っていく、空腹や渇きが襲ってくる、
そしてそれらが重なり心理的に追い詰められていくという
周囲は解放された空間でありながらまるで狭く暗い部屋に閉じ込められてしまったかのようなシチュエーションを引き起こしています。
これが夫婦の不仲と重なってパニック描写に繋がりそして互いを支え合おうともするという孤立したサバイバル環境において最も重要な役割とそれに対する対応を引き出していました。
抜け出すために沈んでいた死体が持っていたカバンでロープを作って外にある切り株に投げるけど届かないなどは絶望感あっていいですよ。
2つ目のアリは…酒で追い払うだけだけという対応まで地味なのでいいでしょう。
こんなこと言っていますがストーリー的にはジョシュが持っていた酒を引き出すという滅茶苦茶大きな役割だったりします。
噛まれた腫れた患部への対処があればもっと面白かったのですが、それがないので対応としてはスルーで。
そして最後の蛇、見た目の大きさでは色々言いましたが毒蛇なので脅威はガチ。
ジョシュを噛んであっという間にソフィア達をピンチに導いてくれます。
その毒の影響でジョシュの首に出来た血栓を取り除くのは医者という立場、
そして拾った道具だけで何とかするサバイバル要素、これらがしっかりと噛み合った対応となっていました。
死体が持っていたナイフで首から血栓を抜き取りそれをライターで炙り止血するとここに関しては2つの要素を完璧に使ったなと1人で盛り上がりましたよ。
そして何よりこの毒蛇の最後の意外な使い方。
これこそこの映画のサバイバル要素の真骨頂と言えるでしょう。
何と蛇を仕留めて足りないロープの長さを補填するというこれこそまさに足りない物から最大限の効果を導き出すサバイバル映画の醍醐味ですよ。
絵面は相変わらず地味ですが個人的にこの対応だけでお釣りが来たので、サバイバル映画としてはいい対応は多い映画でしたね。
夫婦の再生の物語
スリラーとかサバイバルとかあーだこーだ言ってきましたが結局はこの映画のメインはこれです。
別居中で離婚も決めている夫婦がこの件でぶつかり合って再生していくこれがいいんです。
この映画のソフィアとジョシュ夫婦は本当に最初から空気悪いんです。
初っ端から子供に国際電話かけることではジョシュがホテルについてホテルの電話でかけた方が安いと言わんばかりに揉めるし、
ホテルで夫婦の事情を知らない友人のマルコスが同室を取ったら即ソフィアが拒否反応を示すなどあからさまに泥沼感がすごいです。
これぞ底なし…
そんな夫婦が2人でソフィア側の気まぐれからハイキングに向かい、底なし沼で面と向かって向き合わざるを得なくなった時に再び相手をしっかりと認識して絆を再び結びあうのです。
この夫婦の不仲というのがメタ的に見てもなかなか上手く機能しておりまして、
夫婦の仲が悪い時には何も上手くいかないんですよ。
夫婦の仲が良いことと事態の打開に直接的な関係があるわけではないのですが、
まるで神の見えざる手の如く仲が悪いとダメ、相手を信頼すると前進するような展開になるのですよ。
そもそも底なし沼にハマった経緯が車上荒らしから逃げるためなんですが、
車上荒らしにジョシュが無謀にも立ち回ってしまったこと、で逃げる先で今度はソフィアが自分で危険な場所に逃げることを提案しといてジョシュがそこでは天候が回復するまでやり過ごそうと言ったら英雄気取り?
こんな余計な一言言ってしまうなどもうお互いに関係最悪なやり取りするんですよ。
何気にどっちかだけに極端に非があるようにはしていないですね。
それを諌めるかの如くソフィアが沼にハマる、そしてパニックになって沈んだ彼女をジョシュが自分の身も省みず助けに飛び込んでこのシチュエーションが出来上がるのです。
そこからは上記の通りの沼とアリとヘビの脅威に絡まれる訳ですが、その度にぶつかり合っていくのです。
これは言いがかりに近い物も正直あります。
特にソフィアの自分が気まぐれにハイキングに行こうとしたからこうなったと思っているんでしょ?は割と言ってはいけない台詞ではあると思います。
でもこういうぶつかり合いはこの夫婦には間違いなく必要なことだったんですよね。
2人は離婚のために別居中、それは相手を避けてぶつかり合うことから逃げて相手を認識していないとも言えるんです。
ですが、それこそ死をも覚悟しなくちゃいけない状況で脅威に対応するたびに再びお互いをしっかりと認識していくんです。
アリの時にジョシュがやめたはずの隠し持っていた酒で撃退した時にはジョシュの離婚の際におけるストレスの辛さや互いを他人を通り越して嫌いあっている相手と認識してしまったこと。
そしてジョシュが毒に侵されいく中でのソフィアの輝かしい医者としてのキャリアを妻として母として休職して手放して自分というものを見失ってしまったこと、
そしてそれを聞いてもっと声をかければ良かったとジョシュが後悔すること。
このソフィアの親として行った決断に後悔はないものの自分自身の人生においては決断に後悔が滲んでいる部分は人生におけるそれこそ底なしの課題なんですよね。
この互いの弱さや悩みを告白しあった時にこの夫婦は間違いなく再生しました。
そしてこの話の中で子供への思いを再び確信してそしてそれが最大の打開策になるというのがこの映画の最大の見どころであったと言えるでしょう。
上で言ったヘビをロープにするという発想、そしてそのヘビを誘い出せる確信は子供の近くにいようとするはずという同じ母としての思いからくる確信というのがいいのですよ。
これこそ夫婦のみならず家族として再生したからこそ思いつく打開策。先ほども言った通り神の見えざる手が働いてるかのような映画ですから、
夫婦が再生したらヘビも2人で仕留めますしロープを投げたらしっかりと届いて脱出だって出来てしまいます。
そして力尽きかけるジョシュを助けるために森を彷徨ったらマルコスが救助隊と捜索隊を連れてきて2人は助かるのです。
正直夫婦が再生したら何もかもが上手くいくというのはベッタベタな展開ではあります。
でもこの映画にはこのベタさこそが相応しい、やっぱ頑張った人間、前を向いた人間には世界は優しくあるべき、
そういうストーリーはみんな何だかんだで嫌いじゃないんですから。
まとめ
色々と文句を言った部分もありますが何だかんだで総合すると良いものを見たなと思える映画でしたね。
こういうメタ的な部分で展開が引っ張られるストーリーというのは嫌いではないのです。
こうして全てを見た後だと底なし…という邦題はなかなかいい邦題だったなと思いますね。
単純に底なし沼に沈んだシチュエーションは勿論、最初夫婦の離婚の泥沼感やソフィアの母と妻としての人生、自分自身の人生との狭間で悩んでいたというのも底なしな悩みですよね。
色々な要素にかかっていて狙ったかどうかは分かりませんが自分はいい邦題だなと思いましたよ。
そして友人のマルコスの存在。
こういう絶対的に無条件でいい人というのがいるのもいいですね。
元々の夫婦の人柄というのが彼1人で伝わりますし、何より最後に助けるジョーカーになるのもいいです。
こういうポジションの人間に自分は弱いんです。
沼だけではなく人生の底なしからも抜け出した夫婦が見れるストーリー。
吊り橋効果なんて言ってしまう無粋な人もいるでしょうが、自分は2人の輝かしい未来を信じますよ。
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