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製作国
カナダ
監督
ランドール・オキタ
脚本
アダム・ヨーク
トミー・グシュー
出演者
スカイラー・ダベンポート
ジェシカ・パーカー・ケネディ
パスカル・ラングデイル
ジョー・ピングー
ジョージ・チョートフ
キム・コーツ
ローラ・ヴァンダーヴォート
今回は盲目の少女が強盗の襲撃に対処するという映画シーフォーミー(原題:Mira por mí/See for Me)の感想。
視覚障害者であるソフィ役を実際に視覚障害を持っている俳優が演じると昨今だと珍しくもなくなってきた配役ですが、
それ故のリアリティやまた努力の凄さというものも感じ取れる映画となっています。
ジャンルはスリラーで上映時間は約93分となります。
・少女の挫折と再生の物語
・実際に同じ障害を持つ俳優に演じさせたことによるリアリティ
目次
あらすじ
ペットシッターのアルバイトで、人里離れた豪邸を訪れた盲目の少女ソフィ。視覚障がいを逆手に取り、金目のものを盗み出そうとしていた。ところが日没後、武装強盗が屋敷内に侵入する。目的は、壁に隠された巨大な金庫だ。命の危険を感じたソフィは、視覚障がい者サポートアプリ《シーフォーミー》を起動し、元軍人でFPSゲームの熟練プレーヤーのケリーに助けを求めるのだが…。
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登場人物
・ソフィ・スコット
視覚障害者の少女
U-18の国内ベスト10に入る五輪候補の元スキー選手だったが、4年前に網膜色素変性症を患い出場の夢を断たれた
シッターのバイトをして家から窃盗を行いネットで売っている
デボラの家でいつまのように猫シッターのバイトを受けたところ強盗と出くわすことになる
・ケリー
視覚障害者用アプリ、シーフォーミーのヘルパー
元第22歩兵隊の工兵でイラクに出兵していたが今はデスクワークで管理業務をしている
歯に衣着せない物言いでソフィに接する
強盗に襲撃されたソファの目となり彼女を誘導する
・デボラ
ソフィを猫シッターで雇った資産家の女性
夫とは離婚している
・強盗犯D、O、E
指示をされてデボラの家に侵入した3人組の強盗実行犯
本来なら空き巣のはずだったがソフィが家にいたことにより計画が狂うことになる
盲目スリラー
盲目の少女がバイトである猫シッター中に強盗達の襲撃にあうというスリラー映画な本作。
これだけ聞くと当然ドント・ブリーズを思い出す人もいるでしょうが、
あちらとは違いこちらは盲目の人物が主役でありどちらかというと逃げの映画です。
割とすぐに反撃にも転じますが。
そして襲撃される主人公であるソフィはあくまでバイト先で襲われる、
つまりドント・ブリーズとは違って自分のテリトリーでは無いというところも差別点ですね。
ですので襲われても地の利がなく一方的に不利な状況なわけです。
その状況を視覚障害者用のアプリ、シーフォーミーのヘルパーであるケリーに目となってもらい誘導、反撃を行うという流れです。
これですごいのはソフィ役である主演のスカイラー・ダベンポートが役同様に視覚障害の女優であるということ。
最近だと障害を持った役はそのまま同じ障害の俳優さんに演じさせることが多いですが、この映画もその例に漏れずというところですね。
このことを理解し、注目してみるとすごい演技をしているなと感じるんですよ。
先程も言った通りソフィは自分のテリトリーではないところで奮闘するのですが、
これを演じるということは役者は現場を理解して自分のテリトリーとして把握しながらテリトリーではないという演技をしているわけです。
逃げるシーンや転ぶシーン、また反撃するシーンなど全てテリトリーとして把握しながらあんなにスムーズに把握していないように演技をするのは感嘆しか漏れなかったですね。
面白いのは強盗…というより予定が狂っただけで本来は空き巣犯だった犯人達にとってもソフィの存在は予定外という、
人がいると思わなかったのにソフィがいたことで強盗となってしまうという犯人達の軌道修正も見どころの1つです。
実際この犯人たちを指示しているボスの修正能力はなかなか高めで、
ソフィを見つけても盲目だから顔を見られておらず目撃証言としては証拠能力低いしということで最初は出直しを提案しますし、
よくある出くわしたから始末なんて提案もバイト先で雇った人間が行方不明になったら捜索で時間かかって金が取れないと、
犠牲“者”を出さないようにする至って冷静な判断を行っています。
こういう慣れた感がある犯人達というのは盲目で反撃能力が低いという状況も相まって緊張感に繋がっていましたね。
後半には反撃に転じますがアプリからの誘導頼みなので、
そこから主役のソフィのスマホの視点を使ったケリーの操作という形に切り替わるのも面白いですね。
アプリ頼みでスマホの接続不良や電池残量を気にする必要があり実質時間制限があるという状況。
更に目が見えないので銃口を向ける先、移動経路の指示など、多分に語弊を招きそうな言い方ですがFPSゲームのキャラ操作みたいな形になっていきます。
ケリーがソフィと初めて連絡取り合う前にFPSやってたのはこの展開示唆するためだと思いますしね。
当然ソフィはゲームのキャラではないため躊躇をしてしまうなど、そこら辺の描写でただ指示通りに操られるだけの存在にはしていないです。
ラストは電気を消すという盲目の利点を活かす展開があるのですが、ただそのせいで画面が暗くて見えにくいという欠点が生まれてしまうという。
登場人物の設定は活かしているけど映像的には見づらいという痛し痒しな展開でしたね。
主演の背景を理解してみるとこの絶対的な不利なシチュエーションというを見事に演じきっているのには感嘆し、そしてアプリの誘導で立ち回るというアイディアも今風で新鮮味を感じられるスリラー映画でした。
人を頼って
主人公である視覚障害者のソフィ。
彼女は先天的な障害ではなく後天的な障害で視覚障害者となった少女です。
元々は五輪選手候補になるくらいのスキー選手、しかしこの障害によって競技人生と夢を断たれたという立場です。
輝かしい人生を歩んでいたからこそ、そこの挫折の傷も大きい、彼女も当然例外ではなくバイト先での窃盗など自暴自棄的な行動を繰り返す少女でした。
ただこれは人に同情されたくないという考えや自分の力で生きて行こうとする思いや意地からくる行動でもありました。
ソフィは冒頭から母やタクシーの運転手などの手助けを跳ね除け、人に頼りたくないという考えを持っていました。
これは所謂普通の生活が出来なくなったことに対しての意地の表れともいえる行動でもあったのでしょう。
とはいえ障害者なら捕まらないという発言はいただけない発言ですが。
ですが、当然そう上手く行き続けるわけでもなく防犯システムを起動した状態で家から出てしまい、
閉め出された状態になったソフィは視覚障害者用のアプリシーフォーミーでケリーと出会います。
ケリーは他の人と違いソフィに対して「頑固な資格障害書の家宅侵入の手伝いをしている」など遠慮のない物言いをする、
これは逆にいえばソフィを特別扱いしていない証拠でありソフィも彼女の連絡先を消さずに保存しています。
この特別扱いしないケリーを信頼して強盗の襲撃でも彼女を頼る、そして自身が抱えているスキーへの未練なども素直に語る。
これが合間合間で出てきているパラノルディックスキーの話に繋がっていくわけですね。
母や知人など距離感を互いに測りかねている近しい人物ではなく特別扱いしない他人によって決断出来るというのは良くある話ですが、
この強盗というとんでもない事態で出会った人物をきっかけにソフィはまた人を頼り競技人生へと戻っていきます。
母に素直に車椅子を押してもらい、カムにスキーのガイドを頼み、そしてケリーにその景色を見てもらう。
人を頼らないという過程で警官が死亡したり、そもそも窃盗を繰り返していたりと全て終わって成長したからOKOKと素直に思えるような行動じゃなかったのはアレですが、
1人の少女が傷を受け入れ新しい人生を歩み方を見つけるという話でもありました。
素直に褒められた物じゃない行動があるというところまでドント・ブリーズに似ていますね。
まとめ
シチュエーションがいいスリラー映画でした。
強盗からの襲撃を通じて1人の少女の人生の再生が成されるというストーリーですが、まぁストーリー自体は結構王道。
ジャンル的にバッドエンドもありえる中でこの終わり方なら十分いいストーリーだと思います。
とにかく良かったのはソフィ役のスカイラー・ダベンポートの演技ですね。
実際に視覚障害者の俳優だったということを考えると移動などで起きる1つ1つのアクシデントに対する演技のスムーズさは驚くほかにない演技でした。
この映画を見るのであれば彼女が視覚障害だという事実を前提に見るとその凄さがよく分かると思いますよ。
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