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製作国
韓国
監督
キム・ヨンワン
脚本
ヨン・サンホ
原作
ヨン・サンホ
出演者
オム・ジウォン
チョン・ジソ
チョン・ムンソン
キム・イングォン
コ・ギュピル
クォン・ヘヒョ
オ・ユナ
イ・ソル
今回は韓国のゾンビ映画、呪呪呪/死者をあやつるもの(原題:방법: 재차의 /The Cursed: Dead Man’s Prey)の感想。
ゾンビ映画と書きましたが、この映画のゾンビの設定として重要なのは呪術により蘇った死体という少し特殊かつファンタジー感ある設定。
この設定を前提として話が動くため犯人探しや企業の非道な実験による隠蔽というサスペンスな要素を基調として話が進む良質なストーリーとなっております。
死体による殺人という怪事件、その裏にある声を失った者達からのメッセージと復讐の念。このテーマは呪術という要素無しでは成り立たないストーリーでドラマとしてもゾンビ映画としてもかなり楽しめますよ。
1つ注意点として、この映画は実は“謗法 ~運命を変える方法~”という韓国ドラマの続編映画となっています。
これを完全に前提した人間関係が存在するためもし今から見るならまずはこのドラマを先に視聴することをオススメします。
ジャンルはホラーで上映時間は約109分となります。
目次
あらすじ
閑静な住宅街で凄惨な殺人事件が発生。被害者の傍らに横たわっていた容疑者らしき死体は、なぜか死後3カ月が経過していた。そんな中、ジャーナリストのジニが出演するラジオに、犯人を名乗る男から電話が掛かってくる。男は自分が死体を操って被害者を殺したと告白。ジニは警察と協力して事件の調査を進めるうちに、ある大企業の陰謀が関係していることに気づくが…。
TERASAより
呪呪呪/死者をあやつるもの
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登場人物
・イム・ジニ
ニュースチャンネル「都市探偵」の共同経営者でジャーナリスト
死体による殺人という怪事件の犯人から取材の指名をされる
・ペク・ソジン
謗法師の少女
・チョン・ソンジュン
イムの夫で警察
イムが今回の事件に関わろうとしているのを止めようとしている
・キム・ピルソン
「都市探偵」の共同代表
探偵になる前は20年刑事をやっていた
「神は正しい人間を守る」が座右の銘
・タク・ジョンフン教授
呪術に詳しい教授
・パク・ヨンホ
怪事件の犯人と名乗る男でイムに自身の取材を申し込んだ
スンイル製薬で新薬開発研究所のチーム長として働いていた
スンイル製薬の3人に殺害予告をする
・イ・サンイン
スンイル製薬の専務
パクから殺害予告を受ける
・ピョン・スンイル
スンイル製薬の会長
パクから過去の行いに対しての誠意ある謝罪がなければ殺害すると殺害予告を受ける
・ピョン・ミヨン
スンイル製薬の常務
会長の娘で後継者とされる女性
・ジェシー・ジョン
「都市探偵」の新人スタッフ
海外出身
・ドゥクン
インドネシアの呪術師
今回の事件で死体を操っているとされる男
サスペンス基調にゾンビと呪術を混ぜたストーリー
死体による殺人事件という怪事件が発生、そこにジャーナリストであるイムへ犯人と名乗る男からの取材の連絡。
そんなサスペンスも基調としたゾンビ映画な本作。テーマとしては声無き者からの声が届くといったところでしょうか。
製薬会社の治験の隠蔽という要素が事件の根っこにあり、ゾンビ映画好きなら、
「なるほどこの治験による影響でゾンビ化したんだな。」
と思うでしょうがこの予測は半分正解で半分間違っています。
治験の犠牲者がゾンビとして襲ってくるのは確かなんですが、
呪術が存在する世界なので薬の影響ではなく呪術によって蘇り襲ってくるというのがこの映画の特徴でしょう。
この呪術という要素がこのサスペンスを基調としたストーリーに意外とマッチしてるんですよね。
自分は視聴する前は全然知らなかったのですが、実はこの映画はドラマの続編として作られた映画。
なので主人公であるイム達は呪術というものが存在するということを知っているという下地があるんです。
それによって製薬会社の治験の隠蔽の他に呪術を行っている犯人の捜索という物も入ってきており、
しかもこの下地のおかげで呪術師の捜索なんてネタ会話になりそうな部分がちゃんとした犯人探しとして成り立っているのです。
リングとかでもそうでしたが呪いの大元を探すという要素が入ると途端にサスペンスとしての力も強く増すので面白いですね。
その製薬会社の治験というのがアメリカとの共同実験による軍事実験的な物であり、
その治験者に選ばれたのがホームレスや不法滞在者といった所謂寄る辺を持たない100人規模の人達。
これは作中でも指摘されていますが、問題が起きないのではなく問題を起こさない人達を選定したということですね。
ここら辺の富を持つ者による実験で貧しい者が犠牲になるというのはこの映画の1つのテーマだと思います。
この実験の犠牲者の中に今回の死体を動かした呪術師の家族がおり、それが行動動機になっている。
そして犯人の最初の目的と言うのが相手を殺害することではなく相手からの誠意ある謝罪を求めているんですよね。
ここの行動というのは結構一貫している部分で基本的にターゲット以外の犠牲者は不必要に出さないように動いてはいます。
あくまで不必要にというだけであって障害となれば排除はしています。
なので犯人の目的としては声を奪われた寄る辺なき者達の無念の声を届けさせることは1つの目的だったであろうなと思います。
そしてもう1つは自分を含めての復讐。
自分の能力のせいで苦労した家族、それによって何でもしてきてその結果治験の犠牲者にもなってしまった。
だからこそ贖罪の意味も込めて犯人は自分すら犠牲にしながら今回の事件を起こしている。
そんな犯人だからこそ、
これはドラマ未視聴の自分には完全に把握し切れず申し訳ないのですが。
ソジンが能力?で犯人と接続した時に彼女にかける言葉「心に棲む悪鬼に囚われ愛する人を失うな」が大きな意味を彼女にもたらしているのだろうなと未視聴でも容易に推察は出来ました。
製薬会社側と犯人は家族の構成こそ同じなんですが、同じ構成でもこうまで異なるかと思うくらい分かりやすい対比でもありましたね。
そんなソジンとイムの関係性なんですが、とりあえずドラマで色々あって心を通わせイムを姉と呼ぶくらい慕うようになった、
しかし彼女の中に悪鬼が住んでいるらしく共に生きることは出来ず日本や中国などを旅してきたというのが本作の範囲で把握できる内容ですね。
ただイムがピンチだと分かるとすぐに駆けつけたり、イムもそんな彼女と根気強く共に生きようとしたりと強い信頼関係があるのは分かりましたね。
だからこそ上述の犯人の言葉がきっかけで最後に共に生きようとしたのだというのも分かるのですが…
こればかりは完全に事前知識無しに見た自分が悪いのですが、
ドラマ未視聴故にラストのみんなの元に行くソジンと迎えるみんなの思いの強さというのにどうしても100%の感情のリンクが出来なかった…これは我ながら勿体無いことしてしまったなと思いました。
多分ドラマからだと万感の思いが遂げられた瞬間くらいのシーンだと思うんですが…
こればかりはリサーチ不足だった自分を恨むしかないですね。
後でドラマ見ておきます…
製薬会社の次期後継者の典型的な悪辣ぶりなど今時珍しいくらいの悪も見れて、
娘のピョンにはマジでイラッと来ますよ。
そして声なき者の無念の声を届けるというのは、呪術によって死者を操れるというこの映画の設定があるからこその強いテーマになっていると思うので、
設定を活かしたテーマの強い伝え方とゾンビという娯楽要素、そして呪術があるのが前提としたことによるサスペンスとしての話の進め方と、
呪術1つでこれらを見事に噛み合わせていて素晴らしいストーリー構築でした。
ゾンビ映画としての観点
ゾンビ映画としての面もあるのでそこについても当然目玉として語りたい部分。
呪術によって生き返ったという設定の都合上、ゾンビ映画のゾンビとしても結構独自な要素が強かったりします。
まず名称としては“在此矣”と呼ばれインドネシアの呪術によって蘇る死体という設定となっています。
蘇る条件としては死んだ場所の土が必要となっており、これが犯人の居場所を突き止める展開でも役に立っていたりと意外と考えられていますね。
そして手にはインドネシアの文様が刻まれておりこれが蘇った死体に対する指示が書かれていると。
呪術というものに対してかなり真剣にやっている映画なので設定がしっかりと練られており、
自分はルールがあるホラーというのは大好きなのでかなり好みの設定でしたね。
そしてゾンビとしての強さですが、治験の実験により死亡した存在なのでまずその実験に使われた貝毒を保有しています。
これに関しては作中でも説明されていますが純粋な治験ベースの毒とは違うようで呪いの成分も混じっているらしく全て解決した後に毒で傷ついた人間は治ったりしています。
でも治験に使われた毒がベースというのは復讐も兼ねているこの映画だと自分達の非道が返ってくるようでいい設定でしたね。
そして身体能力が死体らしい限界突破っぷり。
これが本当に演出が上手かったです。
大量の治験者による襲撃のシーンはフードを被った死体が一糸乱れぬ動きで全力疾走して銃弾もモノともせず迫ってくるシーンはかなり迫力あります。
そして死体らしさを活かした動きで1番感心したのが階段から落下するシーン。
ターゲットが外に出たのを理解したら階段から飛び降りるのではなく文字通り全員で落下する。
そしてすぐに立ち上がりまた走って追いかけるところは死体らしい不気味さとタフさが合わさり思わずおぉと感嘆してしまいましたよ。
この後に説明しますが意思も残っているので車も運転してゾンビによるカーチェイスなんてものが見れるのもこの映画の独自の強さと良さですね。
最後の特徴としては先ほど説明したと通り復活した死体にはある程度の意思があること。
これは潜り込んでいた死体や取材を受けたパクが語ったシーンでも分かりますが結構しっかりと残っているのかなと。
犯人がそれっぽく代弁して部分もあるにはあるんでしょうが、ラストの涙を見るとやはり相応に残っているのかなと。
この犯人と崩れ落ちる死体が共に涙を流し果てていくシーンはこの映画の呪術としての設定らしいラストだと思います。
自分のせいで苦労をかけた家族がなりふり構わず行った治験の申し出で亡くなり、
それでも最後の最後に操られる死体とそれを操る親という繋がりを持って互いを思い合い果てていく…
これは間違いなくこの映画にしか出せないドラマだったでしょう。
呪術により蘇った死体ということでかなり思想が入っているというのがこの映画のゾンビの特徴だったかなと。
設定を活かしたアクション面での演出、親子のドラマ。いや、正直に見事なゾンビ演出でした。
まとめ
いや、滅茶苦茶いいゾンビ映画でした。
呪術という物が存在しているという前提の元に進む、サスペンス要素、呪術によって繋がったからこそ表現出来るゾンビとのドラマと。
この呪術という差別化点だけで独自性と悲しいドラマが生まれるいいゾンビ映画になっていました。
ここら辺は流石人間描写には良くも悪くも容赦のないエグさがある韓国映画といったところでしたね。
1つだけ完全に自分の責任で残念なのはイム達とソジンという間違いなく感動出来るはずの関係を、ドラマ未視聴故にフワッとした感情しか持てなかったことですね。
ここら辺はザックリと未視聴組を切り捨てている感があるのでもしこの映画を見るなら自分のような失敗をしないように先にドラマ見た方が絶対いいと思います。
それだと少しハードルが高い映画にはなってしまうんですが、
ただこの映画は娯楽としてもドラマとしても完成度が高いのでそれを100%楽しむためにその苦労に見合った物は多分得られそうな気配はしています。
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