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製作国
アメリカ
監督
ドルフ・ラングレン
脚本
ドルフ・ラングレン
マイケル・ワース
出演者
ドルフ・ラングレン
クリスティーナ・ヴィラ
ケルシー・グラマー
マイケル・パレ
ロジャー・クロス
アーロン・マクファーソン
おらぁ!久々のドルフ・ラングレン映画の時間だぜ!
今回見たのはこのウォンテッドマン(原題:Wanted Man)
ドルフ・ラングレンらしく戦闘力高い警察官、そして相対するは武装したメキシコ警察官やカルテル。
このあらすじだけでたまんねえ予感しかしなかったのですが、蓋を開けてみるとアクションよりもスリラーとサスペンス重視、そして意外と大切なメッセージが。
ドルフ・ラングレンの映画がそれで大丈夫なのか?と思いながら最初は見ていたわけですが、何というか気持ちいい終わり方でした。
ジャンルはスリラーアクションで上映時間は約85分となります。
(C) 2023 America’s Most, Inc.
目次
あらすじ
この男、最強のお尋ね者
Rakuten TVより
カリフォルニア州とメキシコの国境付近。麻薬の取引現場で、麻薬取締局の捜査官が殺害される事件が発生した。事件のカギを握るのは事件の目撃者とされる女性のロサ。アメリカの連邦保安局は彼女を確保するため、驚異の戦闘能力を有する巡査部長 ジョハンセンを麻薬カルテルが巣くうメキシコに単身送り込むことにする。しかし、ロサの身柄を引き受けた彼を待っていたのはなんと武装したメキシコ警察官の襲撃だった。
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登場人物
・マイク・ジョハンセン
デルビスタ市警の巡査部長
不法移民に対して差別感情を持っており、その感情も契機に取り締まりで暴行を行ったことが問題になっている。
その問題の払拭のためにメキシコにいる事件の目撃者の引き渡しを担当させられる
メキシコでは“白鯨”と呼ばれている
・ロサ・バランコ
“DEA”麻薬取締官殺害事件の目撃者である売春婦の不法移民
目撃者としてカルテルから狙われることに
・ヘルナンデス
デルビスタ市警の署長
問題を起こしたジョハンセンにロサの引き渡しを担当するように命令する
・ヒルツ
ジョハンセンの同僚
彼や仲間のブリナーとは気が合い互いにメキシコや不法移民への悪感情を語りながら酒を飲んでいる
・ブリナー
元警官でジョハンセンの元相棒
引退後もジョハンセンとは付き合いがある
・ミゲル
ロサの兄でメキシコの警官
負傷したジョハンセンを匿い彼だけをアメリカに返そうとしている
ざっくり概要

ここからはいつも通りにざっくりと終盤に至るまでの内容を。
カリフォルニア州とメキシコの国境付近。
そこで行われていた麻薬取引が取引の金目当ての何者かにより襲撃され、犠牲者の中には潜り込んでいた“DEA”麻薬取締局の捜査官もいた。
不法移民の増加により密輸や不法移民に対する警官の暴行で揺れる国境付近。
そこで巡査部長として働くジョハンセンもまた不法移民への差別感情から暴行を行う過激な取り締まりによって糾弾されていた。
相手が犯罪者であったことはなぜか報道されずに自分だけが糾弾される状況に不満を漏らしながらも、警察へのイメージ払拭のための署長からの命令でとある捜査につく。
それはジルバラードのDEA潜入捜査官が殺害された事件。そこの目撃者である売春婦2人をアメリカまで連れてくることであった。
テカテ国境検問所。
メキシコに入国したジョハンセンは現地の警察であるデラクルスの案内により目撃者である女性ロサとレティシアが引き渡される。
無事2人を引き渡されアメリカへの帰路の中、武装したメキシコの警察の襲撃により、デラクルスとレティシアは射殺され、ジョハンセンもまた腹を撃たれてしまう。
何とか警察を撃退したものの傷の影響により意識を失いかけるジョハンセン。
生き残ったロサに携帯での連絡により居場所がバレ、病院に行けば殺害されると言われながらジョハンセンは意識を手放してしまう。
目覚めた彼がいたのはロサのいとこサルバドルの家。
そこでロサの兄でメキシコの警察でもあるミゲルによって治療を受けながらも拘束された状態にされてしまう。
回復するまではそのまま、そう告げられたジョハンセンは現状を受け入れるしかなかったのであった。
一方アメリカではジョハンセンとロサが現地の警官を殺害して逃走中という報道がなされていた。
ジョハンセンの同僚ヒルツ、そして元同僚のブリナーはそんな彼の状況を知り、ジョハンセン救出のために動き出す。
ロサの一家によって治療されるジョハンセンはロサからあの事件の日に何を目撃したのかを聞く。
捜査官達を襲撃したのはおそらくアメリカの警官。それならメキシコの警官から狙われる理由は?と聞けば誰かがカルテルに密告したからだろうと告げられる。
ロサの証言を信じ、署長に電話して協力を要請するジョハンセン。一刻も早くアメリカに戻ろうとするがロサの兄ミゲルがそれを制止する。
メキシコでも警官を3人殺したとされ、指名手配されているジョハンセンを彼が回復するまでは家族が危険に晒されるので解放できない。
回復したらジョハンセンのみをアメリカに連れて行くと。
目撃者としてアメリカにロサを連れて行きたいジョハンセンと危険なため行かせたくないミゲルの意見は対立してしまうのであった。
ロサは自分がここにいれば母も危ないとして、ジョハンセンにアメリカに行く意思を伝える。
しかし、その矢先にカルテルからの襲撃により、家が襲撃されてしまう。
ミゲルとサルバドルだけで応戦するが、手数の欲しいミゲルはサルバドルにジョハンセンの拘束を解かせるために手錠の鍵を渡す。
サルバドルの持ってきた鍵によって拘束を解くジョハンセンだったが、その目の前でサルバドルは命を落としてしまう。
ミゲルと協力して何とか返り討ちにしたものの居場所がバレた以上はもうここに居ることは出来ない。
旅立つ前にロサの母からロサにはなけなしのお金を、ジョハンセンには正義と女性の象徴であるグアダルーペの聖母のネックレスが渡される。
“オオカミ達と戦うならオオカミになれ”
ジョハンセンとロサは再びアメリカを目指すために行動するのであった…
大きな括りの中の小さな括り
深くもないし、当たり前のこと、でも意外と大切なことを描いているかもしれない。
自分この映画はあらすじやドルフ・ラングラン主演だしとドンパチを期待していたんですよ。
でもこの映画はそこに関しては期待外れ。ただだからと言ってダメではなくちゃんと大切な物を描いていました。
その大切な物というのは価値観やイメージの固定や変化ですね。
この映画の主人公のジョハンセン。彼は物凄い典型的な差別主義者です。
不法移民は許せない、存在するだけで虫唾が走り、だから捜査にも暴力を行ってしまったり、ちゃんとしたアメリカ国民であってもメキシカン系なら敵対感情を隠そうともしません。

それを同世代の仲間とつるんで酒の席でも平気で語るのですから、まぁ年齢を考えるとあまり好きな言い方でもないですが、凝り固まった老害的な思想の持ち主と言えるでしょう。
ただそうだからと言って彼が全て間違っているのかと言うと正直そうでもない。
ジョハンセンが捜査で暴行を行った被疑者は明確に犯罪を犯していたにも関わらず、なぜかその部分は報道されずに彼への非難だけが世にクローズアップされている。
実際問題他所から見た身としては不法移民というのはやはり不法ではあるので納得行きかねるところがあるのは理解出来る。そしてそこを守るために不平等な報道がなされていたらそれは歪な状態なのも確かなのでしょう。
でもだからと言って爺ちゃん同士が酒の場で管を巻いて声高に昔は良かった、あいつらはクズなんて声高々にやっているのも共感はしにくい。
こんな感じでどちらも相手を知らずに凝り固まったイメージや価値観だけで進む露悪さを敢えて出していました。
で、そんなジョハンセンにほんの少しの変化をもたらすのが本編におけるメインであるメキシコ内での目撃者引き渡しからの解決な訳です。
目撃者である不法移民であり、売春婦でもあるロサ。
彼女ともう1人をアメリカまで送る帰路の途中で襲撃されてジョハンセンは負傷して警察が敵に回った可能性がある以上はとロサの家で治療、そして拘束されます。
ここでの拘束されながらも治療されるロサの家族との交流がジョハンセンのイメージや価値観に対して小さな変化をもたらしたんじゃないかなと。
拘束したとはいえ狙われていてリスクがある人間を匿いながら治療もしてくれる。そしてロサを通じてのある程度の交流。

ここでメキシコ人や不法移民という所謂大きな括りから、その大きな括りの中にいるロサやその家族という小さな括りを知ることになるわけですよね。
彼らの互いに家族を思い合う姿やそして、ロサ自身の苦境について直に知ることというのは固定されたイメージにヒビが入るには十分な経験だったと言えるでしょう。
そして何よりも価値観の変化に大きく背中を押したのはジョハンセンのアメリカでの仲間達の存在。
大した物でもないとはいえ思いっきりネタバレですが、ロサが目撃した犯人と言うのは実はこの仲間達という真実でした。

話の展開としてはまぁ予測は出来るのですが、作中内での登場人物の心理としては一緒にやっていた仲間が実は金のため、警官だった時の緊張感のためにここまでの犯行を行ってしまうクズだった。
これはジョハンセンとしては一歩間違えれば自分もそっち側の括りだったかもしれないという衝撃を与えたのではないでしょうか。
この2つの衝撃を持った上でアメリカに入国する手段が不法移民と共に不法入国をする。
これはジョハンセンの価値観が明確に更新されたように自分は見えましたね。
話としてはオチの予測は簡単、ジョハンセンに変化を与えるメキシコでの人物描写の積み重ねというのも正直自分が結構行間を読んだつもりで補完している部分が多分にあります。
でも作中でのテーマとしてはそんなに離れた印象のことは言っていないとも確信しています。
何となくでしか知らずに大きな括りで決めつけて怒りや不安や恐怖を抱いていてもその中の小さな括りを知れば、大きな括りに対しての印象も変わる。
別に偏見や価値観という色眼鏡を捨てたり、透明にする必要はないけど、何かきっかけがあったら少しくらいレンズの色を薄くしてもいいんじゃない?
そういう小さな一歩の話でもあるような気がします。
そして凝り固まったおじいちゃんが価値観を変える小さな一歩というのは、思うよりずっと大きな一歩でもあると自分は思うわけですよ。
安易に価値観を全て変えろとは言わずに小さな括りを知ることでもたらす僅かな変化を描いているところに好感を覚えました。
こういうのこそ、大作では描けないというかそもそもそんな小さいことは求められていない部分を
B級(といったらドルフ・ラングレンに失礼か?)映画が扱って描けるテーマだったように思います。
まとめ
テーマ的には自分には染みる映画でした。
正直ドンパチなどの派手なアクション見たい気持ちは残ってはいるんですが、
ドルフ・ラングレンもいい年齢ですから、こちらが妥協するべき部分ではあるんでしょうね。
ただ不法移民やそれに対する価値観というテーマをB級だからこそやれる描き方をしているのはいいですね。
小さい描き方ですから感動も小さいですが、ただ中々乾かないように静かに染みいる描き方でもあり、こういうのがたまに見れるから有名俳優使ったB級映画はいいんですよね。
頭悪くドンパチするのも大好きですが、B級としての意義を果たすような本作のような映画もたまにはいいもんです。
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