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製作国
アイルランド
監督
ケイト・ドラン
脚本
ケイト・ドラン
出演者
ヘイゼル・ドープ
キャロリン・ブラッケン
ポール・リード
イングリッド・クレイギー
エーオイフェ・スプラット
ジョーダン・ジョーンズ
今回は変質した母による恐怖の映画ユー・アー・ノット・マイ・マザー(原題:You Are Not My Mother)感想です。
赤ちゃんを燃やすという衝撃的な内容から始まり、そのせいで家族に疑いの目が向くことで何の仕業か最後まで読めないといういいストーリー構成でした。
明らかになってしまうとありきたりなホラーなのですが、そこに持っていくまでの楽しさは確かにある映画ですよ。
ジャンルはホラーで上映時間は約93分となります。
・何の仕業か最後まで読めないストーリー展開
・こういうポジションはやっぱいいなと思う友人となるスザンヌの存在
・帰ってきた母アンジェラの奇怪な動き
目次
あらすじ
ハロウィンの前週、少女チャーの母アンジェラが不可解な失踪をした。残されたのは放置された車だけ。翌日の夜、アンジェラは何事もなかったように帰宅したが、何故いなくなったのか何も話さない。そんな母を見てチャーと祖母のリタは何かがおかしいと感じる。アンジェラは見た目や声は変わらないが、まるで悪意のある力に取って代わられてしまったかの様だった。そして、アンジェラは次第に常軌を逸した恐ろしい行動を取る様になり、チャーはこの母は“別モノ”と思い始める。
Rakuten TVより
ユー・アー・ノット・マイ・マザーを配信している配信サービス
※2023年9月20日
見放題 | レンタル | |
Amazon Prime Video | ✖️ | ◯ |
Netflix | ✖️ | ✖️ |
U-NEXT | ✖️ | ◯ |
hulu | ✖️ | ◯ |
DMM TVプレミアム | ✖️ | ✖️ |
登場人物
・シャー・ディレーニー
アンジェラの娘
成績優秀で飛び級でクラスに通っていてやや浮いている
失踪から帰ってきた母の様子を異常を感じるようになる
顔の右側にヤケドのようなアザがある
・アンジェラ・ディレーニー
シャーの母
精神的にやや不安定な一面がある
謎の失踪から帰宅後、別人のような振る舞いをするようになる
・リタ
シャーの祖母
帰宅後に様子のおかしくなったアンジェラを見て何かの対策を講じようと動く
・スザンヌ・オコンネル
シャーのクラスメイトの不良
シャーに絡んでいたがアンジェラのことを知りシャーのことを気にかけるようになる
幼い頃に母を川で亡くしている
・アーロン
シャーの叔父でアンジェラの妹
アンジェラの失踪を知り捜索のために帰宅する
“何”の仕業か原因か最後まで読めないホラー
不可解な失踪をした母が帰宅後、異常な振る舞いをするという日常が侵食されていくホラーな本作。
この手の映画は何が原因なのか、何の仕業なのかがミソだと思うんですけど、この映画は最終盤までそれを読めないようにしていましたね。
人が怖い映画なのかそれとも何かホラーらしい存在が出てくるのか割と最後まで読めないんですよ。
蓋を開けてみれば妖精さんの仕業とやっぱそうなのかと思う原因なんですけど、
混乱させるというか読みに確信を持てなくさせる理由としてはやはり冒頭の映像。
冒頭で祖母のリタがアンジェラの躊躇いを振り払って魔術的な本を傍に赤子を燃やすんですよ。
これによって人が怖いもしくは家族が異常という可能性を最後まで捨てきれなくしていましたね。
ここがこの映画の上手いところだなと思っていて最初に家族に疑念を持たせること、精神的にアンジェラが不安定なこと。
これらの要因があることで内側にいると案外気付くことが出来ない家族の異常性による物が原因なのではないか?とか。
アンジェラに渡される大量の薬とそれを廃棄する様を見て、実はアンジェラの方がまともでシャーのために祖母達に抗おうとしていたのでは?とかそんな可能性を自分は最後まで捨てきれませんでしたね。
ちなみに薬を吐こうとしている描写はシンプルながらなかなかに強烈ですよ。
これを後押しするのが周囲の第三者の人達の反応であそこの“家族”に近づくなという発言で家族側に怪しさを感じる可能性に後押しがかかるわけなんですよ。
ちゃんと妖精さんの仕業を示唆する情報も課外授業の話なんかでも出てるんですけど、一度別のことで疑うとやっぱりそっちに引っ張られてしまいますね。
最後まで見るとなんて事ないホラー映画らしいオチなんですけど、
そこに持っていく話の進め方がミステリーな様相を混ぜているようでのめり込める飽きない作りになっていましたね。
第三者の反応
中心人物だけでは見えないというか読めない異常性。
そういう時に大事になるのは周りの第三者の思わせぶりだったり核心に迫る物だったりミスリードにも繋がるような反応だったりします。
上でも語った通り冒頭で赤ちゃんを燃やすという普通に考えたら異常な始まりを見せる本作。
こういう開始の仕方をされると家族側、特にリタに対しては視聴側としてはどうしても疑いの目を捨てきれないで見てしまう部分があります。
そうなってきた時に大事になるのが第三者の言葉。
ぶっちゃけ今回は完全にミスリード(自分が盛大に勘違いしただけ?)に繋がっていたんですが、まぁだからこそ最後まで飽きなかった話にもなりました。
まずはクラスメイトのスザンヌの父。
彼がシャーの名字を聞きスザンヌに対してあの“家族”には近づくなと言い、家族自体に異常性があると勘違いしてしまうんですよね。
家族の中にいるシャーからは見えない異常な何かを外の人間からは認識されているのではと感じてしまう訳です。
そこからの学校の先生が意味ありげに母の様子を聞いてくると、もうこれだけで自分みたいな人間はアンジェラの変質より“家族”への疑いを強く意識してしまいましたよ。
まぁ完全に勘違いだったんですけどね!
そして忘れてはいけないクラスメイトのスザンヌ。
彼女は最初こそシャーに対してなかなかの態度を取る少女なんですが、
アンジェラのことを知ると他の不良仲間を嗜めたりとシャーに対してかなり親身になります。
理由としてはスザンヌは母を幼い頃に亡くしているからというのが1つ大きな要因だったのでしょう。
だからこそアンジェラの失踪やそこからの変化を知るとシャーに親密になると。
しかも最後までシャーを信じて行動してくれたりと個人的にはこういう友人ポジションには弱いので結構お気に入りです。
彼女の亡くなった母の件がストーリーにおける本筋の核心に近い存在であり、彼女が第三者の中だと1番の核心に迫る存在だったと言えますね。
何気に最後は母の仇を討ったともいえる構図にも捉えられるのがやはり話の組み立ての上手いところだなと感じますね。
チェンジリング
アンジェラの変質は何なのかというストーリーの核心ですが、これは有名な伝承のチェンジリングという内容でした。
何気に題材としては多く使われているので知っている方も多いやつですね。
要は母の方が取り替えられているというのはちょっと珍しいですかね。
ちゃんとそこら辺は理由もあり、シャーが子供の頃に取り替えられてそれを追い払うために火にくべたというのが冒頭の火に放り込まれた赤ちゃんの話。
そしてそれを取り返すためにアンジェラに入り込んできた精霊が…という流れ。
途中で川や湿原には人間界に入り込んできた精霊が現れ人間を連れ去るという話が課外授業の時に成されるのですが、それがまんまのヒントだったということですね。
そしてスザンヌの話ではこの土地には広い川があり埋め立てに失敗したと語られ、精霊が出やすいということも分かりますね。
そしてこれらを鑑みるとスザンヌの母が川で溺死したというのも精霊の仕業だったと見るべきなんでしょう。
リタがスザンヌの名字を聞いた後に追い出そうとしたのもそれなら納得いきますしね。
だから上で書いた通り今回のラストでアンジェラに化けた精霊を火にくべたのはスザンヌにとっては仇討ちになっていたというのが登場人物に無駄が無い構成でいいですね。
正直これが明らかになって以降は至って普通のホラー映画となってしまったのですが、
まぁそれでもそこに持っていくまでの異質さはちゃんと出せていましたね。
明らかになってからはアンジェラが自らの髪を剥いで奇怪な動きで迫ってきたりと、
ほぼほぼクリーチャー映画の様相なので逆にありきたりで怖くないんですよね。
一応その前にもダイナミックな薬の吐き方やヤバすぎるタップダンスなどもあるんですが。
最後は精霊を火をくべれば追い払えるというリタの言葉に従って思いっきりスプレーとライター使ってアンジェラを燃やしますが、
こんな直接的に燃やして火だるまにしたら精霊でなくても死ぬわとちょっと思ってしまったのは内緒です。
ただ最後にアンジェラが帰ってきてハッピーエンドになったことを考えると、
火だるまにしても燃やして追い払うという手順が大事だったんだなというのも分かるので文句は言えねえですね。
まとめ
後半はありきたりなホラーになってしまったんですが、そこへの持っていき方が面白い映画でした。
冒頭の映像のせいで異常者の話なのか“何か”の仕業なのか読めないのでとにかく飽きはこない、しかし謎が分かるとありきたりになってしまうと。
何というか核心よりも核心に持っていくまでが怖い映画ですね。
ストーリー自体はホラーとしては珍しくハッピーエンドに終わるのですが、ちょっとした不満点として。
最後に今回の件とは完全に無関係では無くしかも協力者として味方になってくれたスザンヌとの交流がないことや、
ある意味では1番やばいやつなのではと思うケリーに何のお咎めも無かったのは少し気になる部分でしたかね。
特に前者があるだけでアンジェラの帰還以外にもシャーにとっての救いや支えとなる部分がますと思うので、何としてもこれだけは挟んで欲しい描写だったのでそこだけは不満です。
自分があまりにも家族に疑いの目を向けすぎるという勘違いが過ぎた故と言えますが、その過ぎた勘違いのせいというかおかげというかで最後まで興味深く見れた映画でした。
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