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製作国
イギリス、アメリカ、カナダ
監督
ティモ・ヴォーレンソラ
脚本
パヴァン・グローヴァー
出演者
ジョナサン・リース=マイヤーズ
アレック・ボールドウィン
マイアンナ・バーリング
ジョー・マーティン
マイケル・シロウ
パヴァン・グローヴァー
アンジャル・ニガム
ダヴォール・トミッチ
スラボー・ソビン
ピータ・ブルック
オースティン・パーソンズ
カシャ・コルチェク
今回はハイジャックされた旅客機の中で潜入捜査官が奔走する映画97ミニッツ フォールアウト(原題:97 Minutes)の感想。
内容的に緊張感はしっかりと持続されており、何より後半に明かされる事実と展開で最後まで見どころたっぷりとなっているいいストーリー展開の映画となっております。
スリラーとしては個人的には良作、しかしテロリストによるハイジャックと潜入捜査官という設定でアクションを期待するとやや物足りない内容と感じるかもしれません。
とはいえ後半の展開だけでお釣りは来るかなと思えた内容、アレックスという人間の存在だけでしっかりと話を引っ張っていけている映画でした。
ジャンルはスリラーで上映時間は約93分となります。
目次
あらすじ
国際テロリストによるハイジャック、瀕死状態の機長、撃墜される飛行機、そして97分後には墜落…乗客の運命は?
Rakuten TVより
ある日、ニューヨーク行きの767便はテロリストによってハイジャックされてしまう。機長は撃たれて瀕死状態、更に、飛行機は97分後に燃料切れで墜落してしまう危機が迫っている。テロリストの1人、アレックスはインターポールの潜入捜査官である。アレックスは、機内から医者のキムを呼び、機長の治療を任せ、乗客の命を救う方法を考える。しかし、管制塔でNSA長官のホーキンスは、地上に壊滅的な被害を与える前に、乗客ごと飛行機を撃ち落とそうとしていた。果たして、最悪な状況の中、乗客の運命は一体…
97ミニッツ フォールアウトを配信している配信サービス
※2023年11月22日
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登場人物
・アレックス
インターポールの潜入捜査官でテロリストに扮して潜入した
コードネームはステーキナイフ
内ではテロリスト、外ではホーキンスによる撃墜指示とこの2つと戦うことになる
・キム
テロリストにハイジャックされたオーシャニック航空420便に乗り合わせていた乗客
医者でありテロリストにより撃たれた機長の治療をアレックスに頼まれる
・ホーキンス
NSAの長官
テロに対して強硬派でハイジャックされたオーシャニック航空420便に対して即座に撃墜命令を出した
・サミュエル
オーシャニック航空420便の機長の息子
テロリストに襲撃された父の治療にキムと共にあたる
・トーイン
NSAの職員の女性
ホーキンスが出した撃墜指令を防ぐために密かにアレックスに情報を与えようとする
組織の一員としては甘く長官試験に5回落ちている
・レミー
NSAの職員の男性
トーインと共にホーキンスによる撃墜命令を防ぐために奔走する
先が見えないのが面白いスリラーストーリー
残り97分の燃料の旅客機がテロリストによりハイジャックされ、
潜入捜査官であるアレックスがテロを防ぐために奔走するという本作。
内ではテロリストにより機長が早々にダウン、外ではNSA長官のホーキンスがこれまた早々に撃墜命令を出すという内外と戦うという緊張感は強めなストーリーです。
しかし、それ以上に注目すべきは後半の展開、ストーリーを見ていけばまさか!?と驚くほどではないかもしれませんが、
このどんでん返しのおかげで最後まで飽きずに見れる展開が続く映画となっていました。
この規模の映画らしいスピード展開な掴み
ストーリー的にいきなり機内から始まり、そして早々にハイジャックされる展開。
ここら辺の乗客や乗務員の人となりなどを一切把握させない潔さはこの規模の映画の特徴の1つですね。
とはいえしっかりと最後まで見ると客もテロリストも大半がおまけに近いのでこれで良かったのですが。
正直最初はB級っぽい色々と切り捨てた映画ねと思ったのですが、
振り返るとここでのスピード展開は結構計算として成り立っているスピード展開と切り捨て方だったんだなと思えます。
ここで乗務員などを即殺害という話が明らかに通じそうにないテロリストの描写を見せて、
潜入捜査官であるアレックスも航空保安官の女性を殺害するという衝撃展開(ここ何気に伏線でしたね)も混じえると、
このスピード感、そしてストーリー展開で客や乗務員などの事情は大して必要ない物なんだよと切り捨てるように教えるような掴みは完璧だったと思います。
そして外では外でハイジャックが起きたことを把握したNSAの長官であるホーキンスがほぼノータイムで旅客機の撃墜を決めるというこれまたスピード展開。
ここで彼の少数の犠牲で多くを救うというテロへの強硬的な態度や人物性が見えると。
早い展開とアレックスとホーキンスという2人の人物を見せて彼らが中心で他はおまけなんだぜと言わんばかりの展開。
最後まで見ると思想ではなく個人の問題に突き当たるのでこのスピード感と切り捨て方は正解だったストーリーでした。
緊張感持続のためのイベントは多め
個人的な印象としては2人の男に焦点を当てた映画と見ているのですが、
それはそれとしてスリラー映画らしく緊張感を持続するためのイベントはちゃんと定期的に挟んでおります。
まず機長の怪我から始まり、テロリストの目を盗みながらその貴重な手当てというまともな航空がままならないかもしれないという状況を作り、
そんな状況の中で一縷の望みでもあるNSAではホーキンスの指示でF22が旅客機を容赦なく撃墜しようとしてくると、
最初からハイジャックが起きた時に内外で想定される中でもトップクラスに最悪な状況を作って始まるという、
いきなりトップギアで緊張感のある状況を作ってのめり込ませてくれます。
ここからのイベントも立て続け、機長の治療にあたるキムとアレックスの会話で彼が潜入捜査官であると1人のテロリストにバレて格闘戦で始末。
そしてその時の銃撃で気圧の変化が起きて旅客機が破裂の危機に陥るという、
これだけではなく対処のために気絶している機長を無理やり起こすためにアレルギー薬で意識取り戻させたら対処方法を知る代わりに機長が亡くなってしまうと、
テロリストは仲間が行方不明になったことで更にピリピリするわ。
アレックス達からすると味方側で操縦できる人間を失うわで、
お腹いっぱいになるくらいの緊張感の持続が続くので映画のジャンル面では見どころ抜群となっておりました。
そして旅客機にテロリストが積んだ物、乗客達の反撃の相談、そして最後に明かされる真実と、
これほどの事態が旅客機という狭い空間で最後まで展開されていくので、仮にストーリー面では好みが分かれようと、
スリラーというジャンルを目当てに見た方には間違いなく満足出来る密度のイベント量だと思いますね。
これほどの事態にアレックスがひたすらに奮闘しますけど、それは誰のためなのか…と考えながら見るとニヤリと出来るかもしれませんよ。
最後の真実(ネタバレですよ)
ジャンル的には立て続けに続くイベントが見どころですが、ストーリー的には最後の真実が見どころとなっています。
ぶっちゃけると乗客と共にテロリストを撃退したアレックス、
彼は実はテロリストの一員であり、潜入捜査官ではなかったという真実です。
そして彼の目的は復讐、かつてホーキンスの指示による作戦で息子が犠牲になったことで彼個人を狙う復讐として参加していたわけですね。
ここまで知ると潜入捜査官であるアレックスの微妙に腑に落ちない行動の描写がスッと納得出来るようになっています。
なぜ航空保安官の女性を躊躇いなく殺害したのか、通信が繋がった時になぜすぐに返事をしなかったのか、
もっとメタ的な視点だと潜入捜査官の主人公のはずがなぜ微妙に後手に回るような対応になっているのかなどですね。
そりゃ潜入捜査官でもないテロリストなんだからスマートにもいかないし、躊躇なく邪魔者は殺害しますよって話ですよね。
他のテロリストを全滅させた理由も潜入捜査官が誰かまでは分からないからという、最後まで上手く乗客達すら利用していた…
言ってしまえばテロリストも乗客もイベントも全てはこの最後のアレックスの真実のためのお膳立てと言っても過言ではなかったですね。
核が積まれた旅客機で復讐相手であるホーキンスに復讐しに行くという他のテロリストは思想犯でしたが、アレックスは思想には興味なさそうで純粋な復讐目的というのも魅力です。
ここに復讐と思想を繋げて語られると魅力が落ちますし、最後のアレックスの変心も納得いかなくなってしまいますので正解ですね。
正直読めない真実かと言われたら読めるんですが、読めたとしてもアレックスの考えや最後にどうするかという判断で引っ張っていけているのでその最後の判断含めていい真実だったかなと思っています。
驚きもないただのベタで魅力的じゃないと言われるとそれも納得なんですが、まぁ好みのお話ですよ。
アレックスとホーキンスという人物
この映画はイベントも真実も全て彼らで回っており、彼を見るための物語と言えます。
最後に実はテロリスト側だったということが分かるアレックス、しかし最後には復讐に染まった判断を変えて皆を救って絶命するという判断をした彼。
最後に強硬派な考えを溶かしたホーキンス。
彼らの決断がどこで揺れたのか、これこそがこの映画の魅力であるのかなと思っています。
この2人の因縁は至ってシンプルでホーキンスの指示の作戦でアレックスの息子が犠牲になったということなんですが、
この作戦では復讐を行っている、そして復讐が生まれたという側面がありました。
実はこの作戦はホーキンスの娘が拷問の末に殺害された、ホーキンスにとっては復讐の作戦でもあったのですね。
その作戦の結果アレックスの復讐が生まれたと正にお手本のような復讐の連鎖の講座です。
そしてこの映画が復讐の連鎖を扱ったのなら、それはどこかで解けなくてはいけない。
それを断ち切ったのが当事者同士の2人だったということですね。
アレックスは自分を潜入捜査官だと思っている乗客の協力者1人から互いにハムレットの話を混えて諭されますが、
ここの会話は個人的にかなり魅力的だと思っているので見てほしいですね。
彼は名前すら分からずテロへの反撃の際に亡くなってしまいますが、アレックスの事情こそ知らずともこの諭す姿、
なんて事ない人物が1つのきっかけになっているというのはこの手のテロと復讐が扱われている映画だと重要だなと感じますね。
そしてホーキンス。
彼の復讐のきっかけは娘が惨たらしくテロに殺害されたことですが、それに関わっているのがホーキンスの強硬的な判断を防ごうとする同僚のトーイン。
彼女が交渉の場で可能な限り多くを救うためにテロリストに娘の名を教えてしまったことで起こった悲劇と復讐でした。
そんな彼女が語るチャンスという言葉は最初こそテロリスト相手にしたホーキンスには届かない、
しかし諦めずに臨み事態が進んでいく中で乗客を全て救う“チャンス”が掴めると知った彼の心も溶けていくと。
復讐に身を委ねていたアレックスとチャンスを否定していたホーキンスが最後に自身の考えを変えて互いにそうだと知らずとも最悪の事態を2人で防ぐいうこの構図。
復讐の連鎖という物を描いた映画の中ではかなり綺麗なまとめ方をしているなと感じましたね。
アレックスには最後に報いの結果は当然訪れますが、少なくとも復讐に身を委ねて核で特攻して迎える最期よりは穏やかで満たされたものだったのだと思いたいですね。
まとめ
満足行くいいスリラー映画でした。
話としてはラストの展開に集約されていますが、そこまでの映画のジャンルとしてのイベントの積み重ねは緊張感があって面白く、
話の方では最後の真実が明らかに、また読めたとしても引き込ませてくる魅力はあったと思えています。
復讐の連鎖の話としてはこれくらい後腐れなく綺麗にまとめているのは素晴らしいですしね。
そしてちょっと話はズレますがテロを扱った映画というのもあり、出てくる勢力や国の名前。
これらを見るといよいよこの規模の映画でも現実の問題が設定として取り組まれていくようになってきてしまったんだなと少し暗い物を感じてしまいました。
ここら辺がいずれまーたこいつらを設定に使っているよと思えるような日になると嬉しいんですけどね。
ちょっと話はズレてしまいましたが、スリラーとしてもストーリーとしても中々に魅力的な映画ですので、見ても損はしない映画だと思いますよ。
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