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製作国
アメリカ
監督
ジェームス・オヤラ
脚本
ジェームス・オヤラ
出演者
リサ・シェリダン
ブルース・ボーン
ジョナ・ベレス
ジョン・ヘニガン
カルロス・アラズラキ
スティーヴン・トボロウスキー
ティファニー・シェピス
今回は環境汚染、と思いきや意外な物が原因なホラー映画、ストレンジ・ネイチャー(原題:Strange Nature)の感想。
ホラーとしては環境汚染や外的要因による物から生まれる奇形という物に焦点を当て、
ストーリーとしては事実を基にしたということで農薬による弊害、しかし想像とは違う形の弊害を見せている内容となっています。
正直キツめな映像が多いため割と覚悟が必要な映画ですが、扱っている話的には暈すわけには行かない物でもあるため見るなら覚悟して見るべき映画です。
犬と子供が保護されないのもキツいかも。
ジャンルはホラーで上映時間は約99分となります。
目次
あらすじ
突然変異は、人類への警告か?
Rakuten TVより
父チャックの病気を知ったシングルマザーのキムは、11歳の息子のブロディを連れてミネソタ州の田舎町ダルースに戻り、疎遠だった父と暮らし始める。キムはかつてアイドル歌手だった地元の有名人だが、故郷を見下すような発言や、スキャンダルで失脚した過去があるため、批判的に見る人もいた。ある日、町で大量の奇形カエルが発生。キムは農薬被害を疑いポールソン市長に訴えるが、証拠がないため相手にされない。そこで科学教師のダグラスに調査を頼むが、町では行方不明者が現れ、内臓をえぐり取られた鹿が見つかるなど、不穏なことが続出。さらには飼い犬や同じ町に住むジュディが奇形の胎児を出産。そして、キムたちは謎のモンスターに襲われる。
ストレンジ・ネイチャーを配信している配信サービス
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登場人物
・キム・スイート
シングルマザー
疎遠だった父が肝臓ガンになったことを知りLAから田舎に戻る
過去に人気アイドルをしていたがスキャンダルで人気が失墜した
大量の奇形カエルの発生と行方不明事件に農薬による薬害を疑いトレントと共に調査をする
・ブロディ
キムの息子
生粋のLAの都会っ子で田舎に来るのは乗り気ではない
・チャック
肝臓ガンを患っているキムの父
犬のキンキーを飼っている
・トレント・ダグラス
科学教師
奇形のカエルが増えたことを知り調査をする
2年前から認知症の母の介護をしている、
・ポールソン・ダルース
市長
キムに奇形のカエルの大量発生による薬害汚染の可能性を説かれるが、町の評判や農家への影響を気にして動こうとしない
・ジョー
チャックの湖を挟んだ向かいの家に住む奇形の男
偏見から相次ぐ奇形の発生と人々の行方不明事件で関与を疑われる
・ミシェル
ジョーの娘
ジョー同様に奇形で学校でいじめられている
・ジュディ
キムと同じ街に住む住人でサムの妻
現在はサムの子供を妊娠している
・サム
ジュディの夫でハンター
奇形であるジョーやミシェルを忌み嫌っている
環境と奇形をテーマにしたミステリーやスリラー、そしてホラーが混じった映画
いわゆる薬害系により産まれる物を扱った事実を基にした映画な本作。
そのテーマ、そして事実を基にした内容を扱ったが故に全体的に描写を暈すことなく描写するという、とてもキッツイ映画です。
ただ人間不謹慎な物でこういった物を扱われると引き込まれるものがあるのもまた事実。
シンプルな薬害による原因ではない真実というミステリー要素と、人々の混乱によるスリラー描写。
見ていると嫌悪や忌避感、そして興味を生み出す映像によるホラー描写が噛み合った映画でした。
ミステリー要素強めな真実を探究する薬害描写
奇形カエルが急激な増加、それに伴い増える行方不明者。
この原因を主人公のキムと科学教師のトレントが突き止めようとする、このメインストーリー部分はミステリーやスリラー要素が強め内容となっておりました。
これが中々に怖くてですね。
原因となる奇形カエルの増え方、その後に出てくる大量のカタツムリや消える鹿の死体、更には人と犬から産まれてくる奇形児など、
確実に侵食してきている怖さがありました。
原因に関して言うとぶっちゃけ農薬による影響が原因ではあるのですが、
ただ農薬を摂取してなんていうそんな危険な成分使った薬害事件なんて物はそうそう起こるわけがない、
というわけで少しだけ捻った真実となっております。
原因としては途中で大量発生しているのカタツムリに入りこんでいる寄生虫が本当の原因、
そしてそのカタツムリの餌である藻を大量に繁殖させているのが農薬と、
農薬そのものが原因ではなく農薬による繁殖力の影響を受けた藻がカタツムリ、ひいては原因となる寄生虫の大量繁殖を促した結果の奇形騒ぎとなったという話ですね。
そのカタツムリをカエルが食べて奇形となり、その奇形となったカエルを鳥が食べてまた寄生虫が糞に混じって繁殖する、
寄生虫→カタツムリ→カエル→鳥のサイクルで新しい形の薬害が発生していたという。
事実を基にしているのですから実際にあった、もしくは今も続いている話なのでしょうが、
これを面白い…と言ったら不謹慎ですが安全な農薬による繁殖の弊害という、
結局自然に関与するとやはり歪むという事実を突きつけられるのは目から鱗な内容でしたね。
大量に発生している奇形はこちらが原因ですが、忘れてはいけないのが行方不明事件の方。
こちらに関してはもっと後で詳しく語りたい部分なのですが、正直無くても良かったんじゃないかなぁと思う内容です。
一言で言うと奇形となった犬の仕業な訳ですが、これはこの映画にはテーマには正直そぐわない部分かなと。
分かりやすいモンスターの仕業というのは映画的には見どころとなりますが、ストーリー的にはそこに責任を負わすのはそぐわない、少なくとも自分はそう感じました。
スリラー要素強めな人間関係
この映画、奇形という物を扱っているわけですが、これはカエルだけに止まらず人間にも影響を与えています。
そうなると生まれてくるのは偏見や先入観、これがこの映画においては1つの大きなテーマだと感じましたね。
まずは真実を追求するキムですが、彼女は過去に人気アイドルをやっていたのですが、
スキャンダルで失墜(その内容は明かされませんが)そして人気だった時に故郷をバカにするような発言をしていたため、
真実を追求しようとしても町の人達にはやや邪険にされてしまいます。
最初の頃はこのアイドル設定いるかなぁと思っていたのですが、まぁ町の人間の非協力的な理由の強調のためと気付き納得しました。
応援したのに故郷をバカにした奴がまた注目されたい目的で騒ぎ立てているだけだろと思われるのは正直致し方ない部分があるので、
協力的ではない住人や市長などにも納得感あってストレスを意外と感じないのは地味に上手いと思ったり。
でも市長は意外と分かる人です。
個人的にはある意味1番感情移入しにくい人物であったり、
特にトレントとすぐ寝るところとか、父との別れを経験しておきながらトレントの母親へのフォローが全く不明だったりするところとか、
ここら辺が微妙に描写が甘いんですよねぇ。
そんなキム以上に偏見と先入観に最も晒されているのは奇形の親子であるジョーとミシェル。
彼らは本来ならこの件の中心にいるはずのない本当に何の関与もない人間です。
ですが、この事件が進むごとに彼らは偏見と猜疑心により犯人だと疑われる、集団とまでは行かないのですがヒステリーをぶつけられるんですよね。
ここら辺結構あっさりとした形で済まさせれはしても胸糞感は強め、
そして何よりキムやブロディ、チャックと言った主人公一家も最初はその偏見を持っているというのが生々しいんですよね。
その偏見を代表するのが最も偏見が強い男のサム。
彼は普段からジョーやミシェルに嫌悪感を持ち蔑んでいる男なのですが、彼の妻であるジュディは現在妊娠中。
こうなってくるとどうなるのかは言うまでもなく分かりますよね?
そう、彼の子供は奇形児として誕生するのです。
最も奇形の人間を忌み嫌って馬鹿にしていた男の元に奇形児が産まれる皮肉、
彼はそれを受け止められずにまた自身の偏見から来るものから怒りをジョー一家に向けます。
彼の何が怖いのかと言うと妻と息子も仲間と共に殺害してしまうと言うところ。
その際に彼らは自分に感染るんじゃないかと言ったり知識のないことによるヒステリーの怖さもよく描写されています。
正直この映画で1番大事なのは彼なんだと思っています。
彼こそが偏見により今回の件で薬害からも寄生虫からも原因からは何の影響も受けていない存在なのに、
偏見から自分の子供と妻を手にかけ、そして何の罪もないジョー一家まで手にかけようとする、
このモンスターが生まれる怖さこそがこの映画のキモなんじゃないかなと思うのです。
自分の子供が奇形だということが受け入れられない、
原因が分からないけど奇形の親子が原因に違いないのに全て偏見だけで突き進む。
俯瞰して見ると良くないことだよと綺麗事を言いたくなってしまいますが、きっとこれは本能的な部分ではみんなどこか彼と同じような物を持っている、
だからこそ彼がこの映画における象徴なんだと自分は思っているのです。
暈さないホラーな映像
この映画の映像面はホラーとして中々に強い絵面を叩き込んできます。
何といっても奇形がメインの話、そして事実に基づき作られたということで映像的には全然ボカしません。
足の多いカエル、大量のカタツムリ、カエルの中にいる大量の寄生虫、そして奇形な子犬と赤ん坊。
これらを全てしっかりと見せてきます。
特に後者の子犬と赤ん坊ですよね。
普通ならはっきりと見せずに登場人物達のリアクションだけで済ませる映画も多いでしょうが、奇形児という物を正面から映しだします。
これ非難されそうなことですがはっきり言います。
これはだいぶダメージ大きい映像です。変なグロ映画より自分にはダメージ大きかったです。
皮が剥げたりとかハッキリと死体映すとやっているのですが、それ以上にダメージでかいです。
人間、あるはずのものが欠けていたり必要以上に多かったりすると本能的に恐怖を感じるそうですが、この映画の映像はまさにそれだと思います。
でもこれを逃げずに正面から映し出すのはこの映画には絶対に必要なんですよね。
上記のサムの行動にもつながりますし、何より警鐘として見れば、言葉を並べるよりこれ以上に危機感を感じ取れる映像はありません。
人によっては悪趣味と言われそうな映像ですが、でも現実にある事実と向き合わせるならこれくらいは必要だよなぁと言わざるを得ないインパクトを感じ取りました。
ホラーとして見ると…?
この映画はホラー映画なんですが、ホラーとして見るとラストに兎に角不満が出てきたりします。
そのラストというのは上でも語りましたが奇形の犬に襲われるというもの。
行方不明事件の犯人となるのがこの奇形となった動物達なんですが、
…これ別に無くてもいいんじゃない?
ホラー的な見どころとして分かりやすい化け物用意したくなったのは分かるんですよ。
自然からしっぺ返しとして奇形となった動物に襲わせるというのありっちゃありなんでしょう。
でもこれやっちゃうとただのモンスター・パニックになって偏見による恐怖が薄れちゃうんですよ。
いや、そこに強いテーマ性を感じたのは自分だけなのかもしれませんが、
この映画は分かりやすい化け物を出すのではなく、
奇形じゃない人間が化け物のような行動を取る方がストーリーとしてはらしいなと思うんです。
ホラーとしてなら映像だけで成り立っているのでこんな分かりやすい存在を出す必要性を自分は感じませんでした。
最後のキムが出産した女の子の肩に目玉が付いているとか、こういうのだけでちゃんと成り立たせているんですよ。
なのでこの分かりやすい化け物の登場というのにはちょっと冷めてしまいました。
しかも映像的にも犬の全貌を映さずにカット割使いまくりなのでここだけクオリティ落ちてるので尚更。
案外撮影している人も同じようなテンションだったから、
こんな雑さやエンドロール後の茶化しのような描写入れたんじゃないかなとちょっと疑っております。
まとめ
面白い…といったら不謹慎かもしれませんがインパクトの強い良いホラー映画でした。
人々の偏見、少し捻った薬害、映像だけで伝わる恐怖と全体的に目を奪われ、引き込まれる内容、
だからこそ最後の雑なモンスターが余計で入らないと思う訳ですが。
正直キツめな映像や展開が多いので覚悟は必要な映画ですが、
ただ本能的な嫌悪感や忌避感は目を奪われる物でもあるということをよく理解出来る映画でもありますよ。
それはそれとして子供や犬が保護されず、犠牲になるのは辛いんですけどね。
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