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製作国
中国
監督
ウーヤン
脚本
マー・ホアイチャン
出演者
ザオ・イーシン
リー・ジャーイー
エミール
ジャン・イェンシー
リー・チーホン
今回はみんな大好き蛇を題材にした中国B級モンスター・パニック映画、ディープ・シー・ミュータント(原題:深海蛇难/Deep Sea Mutant Snake)の感想。
中国B級モンスター・パニックと言えば大蛇シリーズのせいで自分の中では蛇の印象が滅茶苦茶強い。
そして今回も期待通りに蛇が大活躍してくれます。(最期はちょっと哀愁も感じたり)
ストーリーの軸としては陰謀なんかもあったりするのですが、
かなり割り切ってそっちの人間ドラマはご都合感ある感じでささっと片すので
怪獣映画に人間ドラマなんて不要なんだよ!って過激派の方々にも安心して勧められる映画となっておりますよ。
クオリティ?中国のモンスター映画のCGクオリティはB級としては高めっていつも言ってるだろ!
ジャンルはアクションで上映時間は約80分となります。
目次
あらすじ
新たなる支配者!制御不能の暴走DNA。ノンストップで見せる体感モンスター・パニック!!婚約者の死に大企業カルシン・グループが関わっている事を知ったチン・ウーはその証拠を握るジェイソンを追って豪華客船に乗り込む。そのカルシン・グループは薬を開発する為、ある孤島で違法な生物実験を繰り返し、結果、巨大な蛇を生み出してしまう。
TELASAより
ディープ・シー・ミュータントを配信している配信サービス
※2024年2月17日時点
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登場人物
・チン・ユー
元救助隊の隊長
カルシ・グループを調査していた婚約者である女性記者の死亡の真相を探るために元社員であるジェイソンを探していた
・フォン・リー
前任者死亡によりカルシ・グループを調査している女性記者
同じ目的のチンを隠れて撮影していた
・ジェイソン
元カルシ・グループの社員
不正の証人としてチンに協力を求められる
・Q博士
カルシ・グループの生体実験場に勤めていた博士
ざっくり概要
蛇と陰謀とご都合が入り混じる本作。
かなり割り切った作りなのであまりストーリーの話をしてもしょうがない気もするんですが、後半に入るまでの流れは大体こんな感じ。
とある島で蛇を使った生物実験していたカルシ・グループ。
実験は失敗し、蛇と研究員、その両方を全て始末して撤退しようとしていた。
しかし、始末しようとしていた蛇達が暴走、多くの人間を喰らい蛇達は海へと解き放たれるのであった。
時は経ちカルシ・グループの調査の最中で怪死した女性記者の真実を探している元救助隊の隊長のチン・ユー。
彼はクルーズ船で元カルシ・グループ社員のジェイソンに法廷の場での証言を求めるために彼を追いかけていた。
その一方で前任者の仕事を引き継ぎ同じくカルシ・グループを追う記者フォン・リーもまた同じ目的のチンを密かに追いかけていたのであった。
カルシ・グループを追うのは危険な行為だとフォンを咎めるチン、その最中で突如船の中に現れる大量の蛇。
海から入り込んでくる蛇達に船内は大混乱となり次々と犠牲者が生まれていく。
チンをリーダーとして船内を逃げ回る全員であったが、ついに大蛇に追い詰められる。
その時既に蛇に噛まれていて残った命が少ないと悟った学生が囮となりチン達を逃す、
彼の犠牲により操舵室に辿り着くチン達。唯一操舵出来るフォンにより再び動き出すクルーズ船。
そして近くにある島を探知する船、そこに向かおうとした時に海から今までとは比べ物にならないほどの大きさの蛇が姿を現す。
敵わないと悟ったチンは救命ボートに生き残ったみんなを乗せて彼らを先に逃す。
そして自身は蛇を引き付ける囮となりながら船内にガソリンを撒き火をつけて船ごと大蛇を沈めることに成功する。
何とか救命ボートに流れ着きみんなと合流するチンだがそのまま意識を失ってしまう。
朝になり目覚めたチンの目の前に広がる光景は船で確認した島だった。
生還を喜び島に上陸するチン達、しかしその島は怪物達が住まう島だった。
とまぁかなりざっくりした概要としてはこんな流れ。
相変わらずどっかで見たような展開もありますが、(何なら丸パクリも存在する)ここら辺は中国B級映画、更には中国B級モンスター・パニックですからね。
ここら辺は見る側も理解して割り切って楽しむ気持ちが大事です。
でも何だかんだでエンタメは大事にする中国映画なのでそれさえ出来れば楽しい映画ですよ。
どんどんクオリティが上がる蛇(後半に失速もご愛嬌)
中国の蛇映画と言えば大蛇シリーズなんですが(?)、蛇に関しては技術共有しているのかと思うくらい今回はクオリティがしっかりと高めとなっておりました。
ただクオリティの高さからの失速はB級には付き物、なので後半にちょっと残念ポイントもあったりします。
なんと言っても今回の見どころは巨大感の表現ですね。
冒頭から顔を突き合わせる、しかも粗が見えやすい筈のアップで人間と顔を突き合わせるところはそこらのA級にも劣らないクオリティに成長を感じて、
こりゃ今回の蛇も期待出来るな!と慣れた人間ならではの感動を覚える筈です。
ちなみにここで旧き共よと脈絡の無い台詞でゴジラKOMのパロというかパクリやってます。(相変わらずだな!)
そして最大の見どころは中盤の船の前に登場するシーン。
ここはマジでクオリティ高くてカッコいいです。
自分はここでついにここまでの巨大感まで表現出来るようになったか!更に感動してしまいましたよ。
見上げた先に佇む巨大な蛇、一目で認識出来るこの絶望感、
中盤のクライマックスとなるシーンですが、ここだけでご飯が食べられるシーンとなっていましたね。
とはいえやはりB級、どこかで失速は訪れるもので今回はこの中盤がピークとなってしまいました。
後半に元凶の島に訪れてからはあまりいいとこ無し、
一応仲間や人間を喰らうシーンもあるのですが、暗転で処理されてしまうというモンスター・パニックにあるまじき演出をかましてしまい、
更にはその末路も作戦にハマって巨大フジツボ軍団に喰われてしまうという終わり方。
いや、何かに喰われて終わるのはそれ自体は全然良いんですよ?
でもこの映画の場合は一方的に四方八方から喰われて終わってしまうんですよ。
ただ喰われるにしても対決が欲しかったなというのがモンスター・パニック、更には怪獣映画に求めるものなんだけどなぁというのが本音ですよね。
ここら辺は最後に気合い入れて対決させたジュラシック・アースの方が“分かっている”映画だなと思いますね。
でも最後に何度も悲鳴を上げて力尽きる姿には人によって歪められた存在感としての哀愁を感じる物があったのも確かです。
ただそれも歪められた存在同士の対決の果てに見せた方がグッと来ると思うのでやはり勿体無い。
何と言っても巨大な蛇と巨大なフジツボの対決なんてそんなに見れる物じゃないので見たいじゃないですか?
なので力の配分を間違えなければもっといい怪獣映画になったと思いますね。
丸パクリな蜘蛛カットすれば行けたような気がするのは内緒だぞ⭐︎
2つのクライマックスがあるモンスター・パニック要素
今回の映画は豪華仕立てとなっており、モンスター・パニックとしては2つのクライマックスが用意されております。
1つめは概要でも説明した通り船内でのパニック、もう1つは辿り着いた島の中でクライマックスを迎えます。
まずは船内でのパートですが、島に近づいたことにより冒頭の蛇達が船内に大量に侵入して大混乱というパートですね。
大量に侵入した毒蛇、そしてその中には一際大きなサイズの蛇が混じり襲いかかってくる、
海のど真ん中という簡単には逃げられない船内という閉鎖空間の舞台において行うモンスター・パニックとしては実に王道でケチをつける部分がないパートですね。
ここが人間ドラマが意外と出来が良くてですね。
学生2人の犠牲というこの手の映画にしては珍しい子供の犠牲により助かるというのがなかなかいい演出でした。
別に子供が亡くなるから楽しいとかそんなやばい思想というわけではなく、
これによって誰が犠牲になってもおかしくはない、そういった緊張感が生まれるのが良かったわけです。
しかもこの学生が犠牲になるのが毒蛇に既に噛まれていて自分には後がないと理解した上で自らを犠牲にするのがいいんです。
大人ではなく子供がこれをやる、どうです?今後の犠牲者が読めなくなるには十分な描写だと思いませんか?
そしてクライマックスでは海から現れる大蛇のスケール感とそれを倒すために船にガソリンを撒き爆発させる…正直ここだけでも1つの映画になるクオリティでしたね。
そして2つ目のクライマックスの舞台となるのが元凶の島。
大蛇以外に巨大なフジツボ、巨大な蜘蛛が登場して悪魔はまだまだ終わらないという流れは正に1粒で2度美味しい展開。
船から脱出して辿り着いた島でまたというのはザ・グリードの続きを実際にやってみたらという感じでちょっとワクワクしてしまいましたよ。
ただ中国映画の悪癖が出たのもこのパート。
巨大蜘蛛が登場するシーンなのですが、キングコング:髑髏島の巨神でやった演出まんまです。
こればかりはマジで擁護出来ないくらいにまんまです。
他にも怪物出したかったのは分かるんですけどね、だからと言っては流石に丸パクリは良くない。
大蛇シリーズのように巨大蛙や空飛ぶピラニアみたいな中型や特殊な生態で島の生態系の幅広げた方が面白かったと思いますね。
まぁでも中国のB級界隈はでかい蜘蛛も好きだしな…
しかもここで人間ドラマも少しばかりの陳腐化。
今時怖がって泣いて立ち止まった少女を庇って死亡するなんて分かりやすい子供による足手纏い要素は受けませんって。
この少女が後々何かの役に立つかと言うとそんなことでもないためここは流石に前時代的なドラマでしたね。
もっと言うなら元救助隊の主人公のチンが全然人救えなくなっているのも良くない。
そして蛇との決着パートがクライマックスとなるわけですが、上で書いた通りここは予算か時間かは不明ですが完全に力尽きてましたね。
作戦としては避難する救助船がやってくる前に大蛇を倒すという熱い展開なのですが、とにかく作戦中のカットが多いんですよね。
血を流した相手を襲うフジツボに蛇を襲わせるというなかなか見ないワード群で面白いのに
蛇を罠にかけて流血させるシーンはカット、元凶の人物が喰われるシーンもカット、
そして何度も言って申し訳ないですがフジツボ対大蛇も一方的な展開で対決無しで終了。
…船内でのクライマックスと比較すると完全に力尽きてると言わざるを得ませんね。
この尻すぼみさえ無ければ(中国B級映画比では)文句無しの名作になれたのに実に惜しい作品でした。
取捨選択が潔い人間ドラマ
この映画の軸はモンスター達との対峙というモンスター・パニック、
そしてもう1つはカルシ・グループという企業の不正を暴こうとして亡くなった記者の無念を晴らすという人間ドラマです。
このカルシ・グループというのが生体実験で大蛇達を生み出した元凶なのですが、
別にこれに関しては冒頭の時点で思いっきり明かしているので特に謎にはなっていないのがポイント。
証拠隠滅で研究員を殺害したことすら隠さず冒頭で全部見せているので陰謀や謎などというものは観客目線では一切存在していない潔さです。
ちなみにB級らしく社長のお付きである無駄に露出も戦闘力も高い美女2人が蛇達と無駄に長く戦い死亡するというシーンがあったりしますよ。
どちらも死亡するので後で合流して不正の証拠になる…
というわけでも全然無いのが潔いくらいのサービスと尺稼ぎである。
そして不正を調べていた主人公チンの婚約者であった女性記者が怪死し、
それを暴こうとしてチンと婚約者の仕事を引き継いだ女性記者のフォンがクルーズ船に現れたという訳ですが。
元カルシ・グループ社員であるジェイソンを証人として法廷で証言させようとする中で蛇達の襲撃が始まり島に流れ着く訳です。
ここでミソとなるのがジェイソンは割とどうでもいいということです。
島に流れ着いたのは偶然ではなく、研究員であったQ博士が島に戻るために船を近づけていたからなんですが、
それならチン達が探している証人をQ博士にした方がスマートじゃね?と思うのですよ。
平社員でカルシ・グループの研究施設のことを何も 1つ知らないジェイソンよりもこっちの方がよっぽどスムーズじゃありません?
ジェイソンが無関係なせいで平社員を追って乗り合わせたクルーズ船にたまたまもっと重要人物がいて、
その人物により島に流れつきカルシ・グループの生体実験の証拠も手に入れちゃったぜ!
うーん、これは流石にガバい!ガバガバなストーリー展開です。
でも割り切ったモンスター・パニックなんてこんなもんで別にいいのかなとも思います。
この潔さとご都合展開こそがB級モンスター・パニック。
ガバいことなんて覚悟で見る人ばかりなんですから突っ込みは入れても今更文句言う部分でもないでしょう。
まとめ
正直期待以上には楽しめる内容でした。
中国の蛇ということで普通のB級よりは期待値高めで見ていたのですが、それにはちゃんと応えてくれていました。
無駄にキレのある格闘シーンなんかも見れたりとか無駄な部分が無駄にクオリティ高いからこれがまた笑えるんですよ。
そして確実にクオリティが上がっていく蛇のCGクオリティ。
今回はスケール感まで手に入れたので中国の蛇の進化は止まりませんね。
作中での遺伝子改造よろしく、ノウハウが確実に蓄積されていっているのを感じます。
人間ドラマも割り切った作りですし、このエンタメ特化でお手軽な上映時間で見やすいというのが中国B級映画の利点ですね。
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