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製作国
イギリス
監督
ジョン・エッカーズリー
脚本
ジョン・エッカーズリー
出演者
スコット・ライト
ジェイソン・フレミング
ブルース・ペイン
ロッチ・ボーイ・ウィリアムズ
作法や掟って厨二心くすぐるよね。
それがフィクションならではの暗殺者とかの組織ならなおさら、そこに雰囲気を纏った男が出たら厨二心へ振り切ってしまいます。
そんな作法と掟の映画がこの映画ザ・ストイック 暗殺者の森(原題:The Stoic)
描写不足が多めで、行間を読むことが求められる雰囲気映画ですが、そこは皆さんの培ってきた映画経験値による主観での“捉え方”によって楽しんでほしい。
ジャンルはスリラーで上映時間は約96分となります。
(C) 2023. Dark Meadows Production Ltd. All Rights Reserved
目次
あらすじ
地獄の掟をもつ暗殺者の使徒 闇を切り裂く衝撃のクライムアクション! 音もなく忍び寄る、聞こえるのは死の笛
Rakuten TVより
傭兵の一団がギャングの巣窟を襲撃した後、2人の人質を連れて田舎の隠れ家に逃げる。女性たちが捕まったことに激怒した犯罪集団の一員であるストイックが傭兵たちを襲撃する。争いは激化し、ストイックと彼を殺そうとする傭兵たちの冷酷なボスとの間で激しい対決へと発展する。
ザ・ストイック 暗殺者の森を配信している配信サービス
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登場人物
・ストイック
“帽子の集団”に属する男
他者を重んじ、自身を二の次としている
密輸業者に女性達が攫われたのを見て行動を開始する
・ブレイス
密輸業者の現場リーダー
人身売買にまで手を染めることになった現状を憂いている
ざっくり概要
ここからはいつも通り途中までのざっくりとした内容を。
とある森の中
湖の前で佇む男の先でどこかから逃げたと思われる女性2人が複数の男に追われ、そして再び捕えられてしまう。
それを見た男は密かに芽生えた感情と共に捕えられた女性2人を救いに男達の後を追いかけた。
男達の正体は密輸業者、時代は変わり今は命令で奴隷貿易にも手を出していた存在だった。
それを知った男アウレリウスは“院長”に連絡をして救援を求めるが、そのような底辺に構うつもりはないとその要請を断る。
密かに男達の拠点に潜り込み見張りを掻い潜り女性達と接触するアウレリウス。男達の数と増援について彼女達から聞き出し、そして行動を開始する…
しばらく後、見張りの男が見つけた1つの帽子。
その帽子を見た密輸業者達の協力者カーライルは1つの存在ストイック達について語り出す。

彼らストイック達が所属するのは“帽子の集団”
それは修道士のように生き領主の護衛をする傍らで独自の掟を持ち密輸業を行い、苦痛と苦行は原動力とし、笛を合図に日用品を武器とする者達。
女性達を連れたことを契機にストイックに狙われていることを知ったカーライルはその場から離れ、残った密輸行者達は対策に取り掛かるのであった。
一夜が明け、ストイック…アウレリウスを探す密輸業者達だったが、1人は殺害され、もう1人マルコは捕まってしまう。
アウレリウスに命乞いをするマルコだったが、アウレリウス引いては“帽子の集団”の精神により、その命乞いは聞き届けられることはなかった…
笛を鳴らし、マルコの無線を使い密輸行者達に女性達の解放を要求するアウレリウス。
それを断られたのを聞き、無線を使いマルコの最期の悲鳴を彼らに届けるのであった…
再び訪れた夜、アウレリウスは笛を鳴らし、密輸行者の前に現れ、マルコの銃弾を全て威嚇射撃に使う。
それを見た密輸業者のリーダー、ブレイスはボスであるロウズに連絡をして援軍を要請した。

待っている間に東日本大震災について語るブレイス。
日本人は幽霊を信じているとし、タクシー運転手が人を乗せ目的地に届けた後、その人物がいなくなった話をする。
バカバカしいと一笑する仲間達を見ながら馬鹿馬鹿しくても運転手をそれを信じ、今自分達が対峙している男も同じ原理で動いていると語った…
ブレイスの語りが終わった僅か後。再び笛の音が聞こえ、1人を偵察として送り出す。
だがそれはやはり罠。また1人アウレリウスの手により密輸行者の男が命を散らすのであった。
次の日の朝、帰ってこない仲間を探しに来た密輸行者達は刺されて臓物が飛び出した仲間の遺体を発見する。
その最中に再び拠点に忍び込むアウレリウス。
女性達が薬を使われ、意識が朦朧としているのを見て、激昂して見張りの男を殺害し、薬の一部を持って離脱。
そして薬を燃やした煙で誘き寄せ、また1人殺害するのであった。
1人、また1人と確実に仕留められていく密輸行者達。
アウレリウスを動かす物は何か?その密かに燃える激情上中、密輸行者のボスであるロウズが部下を率いて現場に到着する…
己を捨てて人に尽くす男
この映画、冒頭から観客を置いて何も分からずに進行を始める内容。

アウレリウスが何者か分からない、行動原理だって分からない、そしてアウレリウスが所属する“帽子の集団”についてだって名前だけ出されてあまり分からないと、
そんなこちらに知識が無い状態から当然のように女性達のために行動し、何かが彼の怒りに触れたということしか分からない状態から話が展開されていくのです。
そして徐々に明らかになっていく、“帽子の集団”という裏の世界の作法と掟。そしてそこに身を置いていたから形成されたであろう男個人の価値観と作法。
これらによって独特の空気感と雰囲気で進行する映画となっています。
その精神とは言わば己を捨てて人のために尽くし続ける滅私奉公の精神。
自己保身は忌むべき悪で堕落、保身は己を制限し他者を苦しめる、臆病さの裏返しで利己的な考えだ。
この組織の考えが想像以上に不気味なまでに徹底された男の狂気にまで行った戦いのわけです。
とにかく最後まで見てもアウレリウスという男の不気味さは変わらないんですよ。
ずっと機械的、掟と滅私奉公の精神を持って行動する機械みたいな存在。
なので組織の掟同様に個人よりも裏世界の作法と掟が重視された内容と言っても殆ど差し支えないでしょう。
この考えがあってか、とにかく密輸行者とは行動理念や台詞に対立軸がはっきりとしている。
密輸行者は自分以外ならどうなっても構わないや周りは全て透明人間と同じと語る個人主義に対して、
アウレリウスは他者を敬う自分の痛みなど重要ではないと語るなど、ちょっと詩的な言い回しをしながら対立していくんですよね。
とまぁそれっぽいことを言いはしますが、結局のところはアウレリウスに関しては本当によく分からない。
掟に殉じて行動はしていますが、それは組織の人間だからなのか、彼自身の意思なのかは正直測りかねるんですよね。
最後に女性達を救った後に恩人と言われて、彼自身も救われたような描写からただの機械ではなく後者なことは何となく分かるのですが、
彼の過去はあまり語られないので無実の子供を巻き込んでしまったという1つの言葉からその心情を推測するしかない。
まぁ行間を読ませまくると見るべきか、説明不足と見るべきかはそれぞれの人物ですね。
ブレイスと言う男を通して
アウレリウス、彼の個性が掟同様に徹底的に排除されているため分からない。
ただそう言う映画には窺い知るための鏡のような存在がいるのもお約束。
それが密輸行者のリーダーであるブレイスですね。
彼は密輸行者の中では比較的、まともな感性寄り。
人身売買まで始めた現状の自分達が身を置く世界にやや忌避感も覚えており、仲間達の行動だって嗜めたりすることが多い。
同じ密輸行者の中でも彼だけがアウレリウスの介入の捉え方を変えて行動しているんですね。
で、これで面白いのが冒頭の一文。
“人に影響を与えるのは物事ではなくその捉え方である”
これですね。
この一文を見ても分かる通り、あくまで物事そのものから受ける影響よりもそれぞれの行動理念によっての捉え方で受け止め方を変え、行動を変えている。
これは唐突にブレイスの口から出てきた東日本大震災のタクシー運転手のエピソードでも分かるでしょう。
タクシー運転手が警戒区域まで乗せた客は消えていた。それは成仏したからだと語る密輸行者のリーダーであるブレイス。
馬鹿馬鹿しいと語る仲間に対して、少なくとも運転手はそれを信じたと語り、同じ話を聞いても捉え方や寄り添い方が全然変わっている。
この捉え方が変わり、影響が変われば、行動も変わる。
これがこの映画の重要なところかなと解釈しました。
だからこそ同じように女性達を攫い、同じようにアウレリウスに命を狙われる立場になっても、ブレイスだけは行動や言動が違う、
行き過ぎた行動の仲間を嗜め、最後にはアウレリウスの死の偽装に協力だってしています。
そして重要なのが彼が最後に自らアウレリウスにボタンを差し出したということ。
“帽子の集団”は殺害した相手から戦利品としてボタンを貰っていくのですが、そこの作法にはもう1つの話があり、自らボタンを渡した者は残りの生涯を“帽子の集団”に服従するというもの。
つまり彼は“帽子の集団”に服従したわけですが、この作法と掟を見ると、
もしかしたらアウレリウスも自らボタンを渡したことで“帽子の集団”に所属した可能性があるのでは?という可能性が生まれるわけです。
アウレリウスはブレイスを“帽子の集団”には誘いませんでしたが、ブレイスには「他人のために生きろ、他人の不安を自分のものと思え」と言葉を授けています。
この掟に従わずにブレイスを“帽子の集団”に服従させないという、アウレリウスにしては珍しく己を出しているように見える描写によって、ブレイスを通してアウレリウスの過去も何となーく見え隠れするような…そんな気がするのです。
だからアウレリウスの不足している描写は彼を通じて見るとほんの少しだけ理解が進むんじゃないかなと。
ここまで言っておいてなんですが、どっちにしてもブレイスも描写不足なのでやっぱり推測にしかならないんですけどね。
作法と掟による雰囲気
この映画の空気感はけっこう独特と言いましたが、これはとにかくアウレリウスが己というものが少ないので、徹底的に作法と掟重視なのが原因。
でもそれによってなんと言いますか、マフィアや時代劇的な空気感が生まれたのも確かだと思います。
戦利品にボタンを持ち帰るとかボタンを捧げると組織に服従をみなすとかそういうルールや雰囲気作り方は面白いんですよね。
そこから生まれる詩的な台詞回しもなかなかに良い。

物事に対する捉え方を重視しているのもあってか、個人主義の相手に対して「絶望を利用して被害者の立場でいることに価値を覚えている」とか微妙に耳に痛いことを言っていたり、
銃弾を撃ち込まない理由に「弾を打ち尽くしたのは信念だから、彼らは信念を銃に込め無駄に撃ち出している」とか何かこういう大人の厨二心に響く台詞回しは中々のもの。
この作法と掟が徹底されているので、これが1つ大きな味になっているのは間違いない雰囲気の醸し出し方でしたね。
アクションは期待してはいけない
正直自分はこの映画の邦題、あらすじ、シチュエーションで渋い暗殺アクションを期待したのが本当のところ。
ただそれを期待していたら大分肩透かしを喰らってしまいました。
この映画は正しく作法と掟の暗殺者映画。
なのでアクションも正しく暗殺者のアクションなんですよね。
近いので言えばイコライザー THE FINALですね。

笛が鳴ると殺害の合図。
そしてそこから草むらから現れて不意打ちしたり、暗闇から唐突に現れて殺害したり、派手なことはせずにホラー構文のアクションをやっている。
これを目がキマッた男がやっているのですから、中々怖い。

終いには協力ありとはいえ、とことんまで拷問されて銃で撃たれたのにゾンビのように復帰して、泥臭く殴り殺したり首絞めたりしますからね。
見栄えの良さなんて暗殺者にはいらねえし、暗殺者が奇襲バレたら泥臭くなるなんて当然だよなぁ!?ってノリなので、
アクション目当てならつまらない、ホラー目当てならそこそこって感じでした。

ちなみに嫌いではない。
まとめ
うーん、空気感だけの映画。
個人的にどんな映画にもカタルシスや見栄えってものご欲しいのですが、そこがちょっと足りなかったですかね。
別にそれらはアクションによってじゃなく、価値観の変化や価値観が報われるという形でもいいんですが、
登場人物達の掘り下げ不足でそこがイマイチ感じ取りきれないのが痛いポイントだったのかもしれません。
既に徹底した価値観のアウレリウスかこれからのブレイスのどちらかがしっかりと掘り下げられれば、うーん、 “捉え方”によって変わる影響や行動というものは面白かっただけに勿体無い!
この作りを行間を読めと言う大人の映画と見るか、それともただの説明不足な映画と見るか、
それは皆さんの映画への経験値や見る基準によって培われた“捉え方”によって判断してくださいな。
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