【映画】2つの視点で一粒で二度美味しい!? ブラック・ダイハード 感想

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ブラック・ダイハード
(C)2022 BLACK WARRANT PRODUCTION LLC All Rights Reserved.

製作国

アメリカ

監督
ティボー・タカクス
脚本
D・グレイス・ロモンド
ジョシュア・A・コーエン
ジャヴィア・レイナ
出演者
キャム・ギガンデット
トム・ベレンジャー
ジェフ・フェイヒー
ジョナサン・アビグドリ

ウーゴ・メディナ

今回は2つの視点で進む映画ブラック・ダイハード(原題:Black Warrant)の感想。

注目点としてはやはり『山猫は眠らない』シリーズのトムベレンジャーが伝説の元暗殺者として登場すると言うところでしょうか。

彼の演じる暗殺者ニックとDEA捜査官のアンソニー、この2つの視点で1つの陰謀に迫っていくというストーリー。

この2つの視点が交わる時に明かされる真実(特に意外性はない)と協力が見どころとなっております。

ジャンルはスリラーアクションで上映時間は約94分となります。

ここが見どころ!

暗殺者と捜査官の2つの視点で1つの事件を追うストーリー

登場人物のポジションを考えると優しい終わり方

あらすじ

“伝説の暗殺者”と“DEA 捜査官”と共通の標的<国際テロリスト>を仕留めろ
国から暗殺の仕事を請け負っていた伝説の元暗殺者ニックは、友人からの相談で再び暗殺の仕事を引き受けることに。一方、DEA捜査官のアンソニーは、麻薬取引の摘発のため、ある倉庫に踏み込むが、容疑者1人に相棒を殺されてしまう。相棒を殺した男と裏で糸を引く黒幕を見つけ出すため捜査を始めることに。暗殺者とDEA捜査官という何の接点もないはずの二人が奇しくも全く異なる経緯で、テロによる世界崩壊を目論む国際テロリストの凶行を阻止すべく奮闘する。

Rakuten TVより
ビデックスより

ブラック・ダイハードを配信している配信サービス

※2024年1月13日時点

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登場人物

ニック・ファルコーニ

元米国家安全保障局の秘密工作員で伝説の暗殺者

日常では家族に潤滑油の販売員と説明していた

引退していたが過去の因縁の仕事をフランシスから依頼され引き受ける

アンソニー・ヴァンオーウェン

DEA捜査官

麻薬捜査で倉庫に踏み込んだ際に逃亡したジーコに相棒のフアンを撃たれ殺害される

逮捕したポラーの取引からフセインの陰謀知り、フアンの死も関わっていることから刑事として1人の人間として彼らを追う

幼い頃に母親を亡くし、父が祖父母に預けてそのまま祖父母に育てられた

フセイン・ビン・ファリ

ニックの標的の1人でテロを目論むテロリスト

ニックとは25年前のマイアミの件で因縁がある

ミーナ

パララックスで働く料理人の女性

パララックスで起きていることについて捜査中のアンソニーに協力を求められる

ポラー

ニックの標的の1人でビン・ファリの資金洗浄役

12歳ぐらいの少女に目がなく若い娘を次々に売春婦にしている

アンソニーに逮捕されてビン・ファリの計画について司法取引を持ち掛ける

ムスタファー

ニック標的の1人でビン・ファリとテロ組織をつなげている

生物兵器の取引をメキシコで行おうとしている

サカリアス・サパタ

通称“ジーコ”

エルホンゴ刑務所にいたが何者かが保釈金を払い出所した。

DEAによる麻薬捜査の際に逃亡し、その際にフアンを殺害した

フアン

アンソニーの相棒

麻薬捜査の際にアンソニーが踏み込み自身は待機していたが逃亡したジーコに殺害された

もうすぐ妻が子供を出産する予定だった

フランシス

ニックの友人

引退したニックに仕事を依頼しに彼の元を訪れる

ニックが見捨てた息子の面倒を見てきた

一粒で二度美味しい?2つの視点のストーリー

本作は1つの陰謀を巡り、2つの視点でストーリーが進む本作。

1つは引退した元暗殺者のニックが過去に自分が携わった件に纏わる依頼から、
もう1つはDEA、麻薬捜査官であるアンソニーが踏み込んだ事件で相棒を失い、逮捕した男から得られる供述から、
この2人の視点から1つの陰謀に各々がアプローチするストーリーとなっております。

この形式で上手く行っているのがポジションの違いから別のジャンルのようにストーリーが進行するところです。

ニック視点だと標的を殺害するスリラーアクションのように、アンソニー視点だと事件を追うサスペンスのようにストーリーが進行していきます。

そのためこれは一粒で二度美味しい映画、そんなジャンルも立場も違う2人が交わり協力する時にどうなるのか、これがこの映画の楽しみとなっております。

そしてこの形式としての欠点となってしまったのは敵となる相手が弱すぎるというところでしょうかね。

これに関してはしょうがない部分もあり、理由としては暗殺者だけの視点なら敵は盛れるのですが、
捜査官の視点も入れるとバランス調整で相手をこの2人の真ん中くらいに設定しないと捜査官側が太刀打ち出来なくなってしまうからですね。

その結果として暗殺者であるニックと敵が相対するとニックが無双してしまうという、
これはこれで需要はあるジャンルですがちょっと物足りなさを感じる部分もあり…

後は視点が2つあるということでそのジャンル自体が両方とも少しばかり中途半端になってしまう部分があるといったところでしょうか。

とはいえこの映画を最後まで見ると分かるのですがあくまで主役2人が交わることがメインであり、
敵はおまけみたいなものなのでこれくらいの塩梅で丁度いい部分ではあったのかもしれません。

最終的にはハートフルなジャンルになるので中途半端さも気にしてはいけないのかも。

普通の映画のようなアンソニー視点

DEA捜査官であるアンソニーの視点。

ブラック・ダイハード アンソニー
(C)2022 BLACK WARRANT PRODUCTION LLC All Rights Reserved.

彼の視点は実に普通の映画のようで刑事として事件を追う姿、出会った女性と心通わせていく姿と、うん、普通の映画の構成ですね。

事件に関わる経緯としては妻の出産を控えている相棒のフアンが捜査中に殺害されたこと、
そしてその現場にいた男ポラーの供述でビン・ファリの陰謀を聞くことから関わっていきます。

ちなみにこの映画、フアンの話もそうですが登場人物との関係性が明らかになるにつれて“復讐”というのも1つのテーマとして浮き出てきたりします。

そんな彼の視点は事件を追う警官というサスペンス風味。

ビン・ファリの米国のの電力を止めて経済に大打撃を与えるといえ陰謀を知った後に取引を持ちかけたポラーがニックの手により殺害される、
更にフアンを殺害した男がこの件にも関わっているとポラーから聞かされているため前のめりに捜査に当たるわけです。

ビン・ファリの通う店での監視行為やそこの従業員であるミーナに頼んで盗聴器をこっそり仕掛けてもらうなど核心には近づく方ではあるんですが、
そこで捜査の対象がニックに殺害されることが挟まることで疑惑は確信へと変わっていくのですが、
その代わり手がかりは殺害されるか、逃げられるかになってしまうんですよね。

なので上で書いたジャンルとしての中途半端感。
これはアンソニー視点の方だと結局自力では核心に迫らないままニックと合流してしまうところでしょうか。

サスペンスとしてはちょっと捜査としての描写がどうしても足りないし、ニックの力技の方が目立つ結果になってしまうと言う感じですね。

その代わり合流前で重要なのは捜査に協力してもらったミーナとの交流。

彼女はかなり積極的にアンソニーに協力してくれて急速に距離を縮めていきます。

ここら辺の進行の早さも2つの視点の弊害と見る人もいるかも?

個人的にはテンポ良くて好きですが。

ここで語るアンソニーのパーソナリティな部分。
母が亡くなってから父が失踪して祖父母に育てられたという人生。

これが言うまでもなくニックとの合流の際にも重要な情報となっていきます。

サスペンス視点としては自力で辿り着く要素が少なく現場で居合わせるニックにも簡単に逃げられてしまうのですが、
最終的なハートフルな展開に向かうためそして“復讐”という共通テーマに向かうため、何よりニックの実力の引き立て役としては必要な視点だったと言えるでしょう。

どうでもいい余談なのですがアンソニー役のキャム・ギガンデットはやっぱ男らしさと色気のあるいいイケメンっすね。

ブラック・ダイハード
(C)2022 BLACK WARRANT PRODUCTION LLC All Rights Reserved.

凄腕が光るニック視点

引退した伝説の暗殺者であったニックの視点。

ブラック・ダイハード ニック
(C)2022 BLACK WARRANT PRODUCTION LLC All Rights Reserved.

彼の視点の魅力は言うまでもなくスリラーなアクションとなります。

隠居生活を行う彼の元に友人であるフランシスが25年前のマイアミでの因縁に関わる相手ビン・ファリを含めた3人の標的の始末を頼むという流れで始まります。

隠居しているはずの割にはあっさりと引き受ける彼に浅からぬ因縁を感じ取ることもできます。

このニックの描写は実にシンプル。

標的の元に現れあっさりと始末する、これだけです。

ポラー相手には『山猫は眠らない』よろしく鮮やかなスナイプで、ムスタファーとビン・ファリのいる場に訪れる時には堂々と正面から鎮圧と凄腕っぷりと無敵っぷりを見せつけてくれます。

…実は彼個人だけの視点だとこれだけだったりします。

これがニック視点でのジャンルとしての中途半端。

本人の葛藤も準備シーンも全くといっていいほどないのです。

こういう暗殺者やクライム・ヒーロー的な物として重要なのはここだと思うのですが、本当に準備シーンがないです。

どうやって入手したのかも不明なままいきなり標的の居場所に訪れ始末するとある意味怖くはあるのですが、
どこから情報を入手したのかとか始末する前に何か思うところはないのかとかここら辺はジャンルとしての物足りなさは間違いなくありますね。

遠くからスナイプと強引に正面突破という力技なところもやや物足りない。
スナイプするために間の障害物をどかす準備をするとか正面突破前に敵を罠にかけるとかやっぱそういう根拠みたいなものが欲しかったです。

ただ暗殺者としてどうやって情報を入手したのかはともかく、
彼の心情が読めないようにしているのはアンソニーとの合流後に描写するためというのは分かるので
ここら辺はやはりハートフルに向けてのギャップ感出すためだったのかもしれません。

唯一心情が読めるのは最序盤でフランシスに見捨てた息子の面倒見てやったと言われたところなので、
もう上のアンソニーの事情と合わせてこれだけでどういう関係性なのかは分かってしまいますね。

合流後に分かるハートフルジャンルと“復讐”

この映画の本番はアンソニーとニックが合流してから。

ブラック・ダイハード 親子
(C)2022 BLACK WARRANT PRODUCTION LLC All Rights Reserved.

この合流なのですが、多分見ている人の殆どが「えっ、こんなあっさりと!?」と思うこと間違いなしだったりします。

多分殆どの人は2人の捜査の果てに現場で交じり合い協力すると予想していたと思うのですが、まさか普通に父親に声をかけにいって合流とは。

ニックを尾行してアンソニーが声をかけて自分の名前を名乗る、そしてニックを親父と呼ぶと。

そう、アンソニーとニックはなんと親子だったのです!

うん、知ってた。

ここからの流れがこの映画の見どころですね。

ニックの視点だと足りなかった彼の心情描写はここで存分に明かされることに、
自分の仕事についての説明や今回の標的であるビン・ファリは自分が始末し損ねた男であり、彼の家族を皆殺しにしたことで彼の怒りによってニックの妻、つまりアンソニーの母が殺害されたこと、そしてそれを受けてアンソニーを置いていったことへの後悔など、
息子に出会ったことで堰を切ったかのように自身の思いを息子に告白します。

ここら辺でアンソニーの心情描写が減りニックの描写が増えることから一応計算はされている構成なのは分かりますね。

この後の親子として描写がなかなかに良く、
アンソニーが攫われてそれをニックが助けた後に今度はミーナが攫われるという、
これ2回やる必要あるか?という気になる部分はありつつもここでのアンソニーとニックのやり取りがいいのです。

ミーナを攫った相手がアンソニーの相棒であるフアンを殺害したジーコなわけですが、
そうなるとアンソニーは当然激昂して何もかもを捨ててまでジーコを殺害しに行こうとするわけです。

しかしニックはその姿を見てそれだと自分のようになってしまい自分のような過ちを繰り返すなと止める、
復讐心と怒りだけで全てを捨てるような行動をするならと諭すと。

言ってしまえばこの戦いはビン・ファリとニックとアンソニーの親子の関係性が明らかになった後は互いに“復讐”の戦いの構図なんですよ。

ニックにとっては妻の仇、アンソニーにとっては母と相棒の仇、ビン・ファリにとっては家族全員の仇と、
その中でニックだけは過去の経験と息子との再会で復讐心だけでは動かない姿を見せるというのが実に父親らしい姿であったと思います。

ただこの映画のいいところはそれはそれとして復讐はさせてもらうという点でしてね。
相手の復讐心を利用して息子と共に乗り込みあっさりと決着をつける完全に仕事人の姿でした。

ブラック・ダイハード
(C)2022 BLACK WARRANT PRODUCTION LLC All Rights Reserved.

決着についてマジで説明しようがないくらいあっさりと行われますよ。

この手の映画だと息子を庇って死ぬとか当たり前に行われると考えるでしょうが、この映画は家族のハートフルなお話なので失うことなくみんな生き残ります。

特に出産を終えたフアンの妻に支払われる“保険金”に関してはほっこりすること間違いなしでしょう。

ラストにフランシスから新しい仕事を依頼されて父と子でそれを請け負う姿は正に家族、
サスペンスやアクションとして見ると中途半端に感じる2人の視点の部分も、
このラストを見るととってもハートフルなオチに持っていくために心情描写メインだったの理解できることでしょう。

最後に請け負う仕事は間違いなくハートフルからはかけ離れていそうなんですけどね!

まとめ

2つの視点で進みそれが交わった時にどうなるのか、それを楽しみに見る映画でしたが、まさか合流後にハートフルに進むとは予想外でしたね。

2つの視点が交わるジャンルとして見ると中途半端感は否めないですが、
アンソニー視点で行われる心情描写、ニック視点では心情描写が皆無なこと、しかし合流してからはニックの心情が一気に明かされること、
これを見るとハートフルなラストに持っていくためにちゃんと計算はしている内容なんだなと理解出来ましたね。

こういう映画で何も失われないラストというのもたまにはいいもんです。

それぞれの関係性が明らかになることで“復讐”というものが浮き彫りになる構成もとてもよろしく個人としては満足いたしました。

ただこれは自分が好意的に見ている部分なのでそうではない人にはもれなく欠点となる部分ではあります。

各視点のジャンルとしての中途半端感はもっとしっかりやってくれよと不満に思うでしょうし、
暗殺や家族の代償というものが付きまとう映画でハートフルなラストという痛みを伴わないラストは受け入れられないと思う人も出てくると思います。

なのでもし見るのであれば自分のように最初は俳優目当て、これがとりあえずベターな選択肢だと思います。

これならストーリーの好みに関わらず最低限の満足度は得られる…はず。


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