【映画】XENO ゼノ 感想 基盤のプロットがいいと普通に泣ける

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(C) 2025 XENO INVESTMENT GROUP, LLC. All Rights Reserved.

製作国

アメリカ

監督
マシュー・ローレン・オーツ
脚本
マシュー・ローレン・オーツ
出演者
ルル・ウィルソン
レン・シュミット
トレ・ロマノ
ポール・シュナイダー
オマリ・ハードウィック
ジョシュ・クック
マイク・ウルフ
ロン・ロゲ

 今回はアマプラにて鑑賞の映画、XENO ゼノ(原題:Xeno)の感想。

 プロットは思いっきりE.T.、ただ交流する異星人の見た目が物凄いのでどうなるのかと思って今回鑑賞した次第でございます。
 その感想としては…取り合えず自分は泣きました。

 ジャンルはSFで上映時間は約103分となります。

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あらすじ

ある晩、ルネは罠にかかったエイリアンと出会う。彼女はCIAがエイリアンを追っているとも知らず、そのエイリアンを地下室に運び込む。やがて彼女はエイリアンが恐ろしい生き物ではないことに気づき「ケロ」と名づけると、彼らの間には友情が芽生え始める。

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登場人物

ルネ

爬虫類や虫などを飼っている少女

鬱病の母や母の彼氏などの人間関係で孤独を感じている

家を飛び出した時に異星人が罠にかかっているのを見つけてしまう

ケロ

ルネが見つけた異星人

罠から助けてくれたルネに懐き彼女に匿われる

リンダ

ルネの母

夫の死からうつ病になり、現在はチェイスと交際している

ギル

ルネの同級生

ルネに貸したカメラに映っていたケロを見て、彼女と秘密を共有する仲になる

チェイス

リンダの彼氏

職にもつかず酒浸りで過ごしており、ルネに嫌悪されている

ジョナサン

CIAの男

ケロを追いかけており、冷酷にルネ達を追い詰める

ざっくり概要

 ここからはいつも通りに途中までのざっくりとした内容を。

 爬虫類や虫などを好んで育て、学校には理解し合える友人もおらず、家庭環境も母リンダがうつ病でろくでなしの彼氏チェイスと別れることもせずに依存気味、そんな複雑な環境で日々を過ごしている少女ルネ。

 ある日の夜チェイスと口論になり家を飛び出したルネはその先で厳重に拘束されている何かを見つける。
 恐ろしい見た目をしたその生物は罠にかかり傷を負って苦しんでおり、その姿を見たルネはその生物を拘束から解放してその場から急いで離れるのだった。

 次の日の朝、軍と思われるヘリが飛び回るのを見るルネ。あの生物を探しているのだと直感したルネは学校で同級生であるギルからカメラを強引に借りて帰宅する。
 帰宅したルネは更にチェイスの銃を盗み出して昨日の生物のところにルネは向かうのだった。

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 昨日の生物のいた地点を調べるルネ、しかし姿はなく既に捕まったと思いながらも引き続き周りを調べていたら昨日の生物の体液を見つける。
 それを辿っていくと穴の中で縮こまっていた生物を発見。銃で威嚇しても反応しない生物を見たルネはカメラで撮影しながら生物に近づきまだ足に挟まったままの罠を外す。
 罠から解放されて動き出した生物に押し倒され命の危機を感じるルネ、しかしその生物はルネを攻撃せずに大人しく彼女を見つめていた。

 敵意がなさそうな生物を見てリンゴを与えてみるルネだったが、生物は気に入らなさそうにそれを弾いてしまう。
 撮影を終えて大金持ちになれると宣言してそのまま生物を放置して帰宅するルネ、しかしチェイスの銃を落としたままだったことに気付き銃を取りに戻ろうとする。
 すると外に出たルネの前に彼女の後を追ってきた生物が自宅の前で待っていたのだった。

 生物と一緒に銃を取りに戻るルネ、その時生物がルネに触手を伸ばして彼女と共鳴しルネは意識を失ってしまう。目覚めたルネは生物を連れて帰り自宅の地下に匿うがその一方でCIAが生物の痕跡を探し続けていた。

 学校をサボりケロと名付けた生物と過ごすルネ、その時帰宅したリンダに慌ててケロを地下に戻す。
 更にその最中にカメラを返してもらおうとした自宅に訪れたギルがカメラに収められたケロの姿を発見してしまう。
 彼に説明するために地下のケロに直接会わせるルネだったが、初対面ということもあり敵意を向けたケロにギルはビビって気絶して漏らしてしまうのだった。

 目覚めたギルに改めて説明するルネ。ルネの鼻歌に反応するケロを見てケロのことを黙っていることを約束して帰宅するギル。
 だがその2人を遠くから監視する影があった。

 餌を食べないケロについてギルが提案して渓谷で狩りをさせてみるルネとギル。
 その狩りの間に高校より前のルネについて尋ねるギル、数年前に父が亡くなり母の環境の変化のためにこちらに引っ越してきていた。

 ケロの狩りを終えて帰宅したルネをチェイスが銃を持ち出したことに気付いて無理やり問い詰める。
 その異常な行為に恐怖したルネに反応したケロが怒り狂い地下で暴れだし、家を地震のように揺らし、ルネ達は急いで身を隠す。
 ケロの行動が収まった後、チェイスのルネに対する行為を見て彼を追い出したリンダだったが、ルネは今までチェイスの横暴を黙認していたリンダを信じきれずにケロの元へと飛び出してしまう。

 地下で暴れるケロを見て落ち着かせるルネ、翌朝登校しようと自宅を出たルネの前に男が現れる。
 CIAのジョナサンと名乗ったその男はルネに落としたチェイスの銃について尋ねる。その質問の中には直接的ではないが、言外にケロとの関係を疑念も含まれていた。そして連絡先をルネに渡して彼女を学校へと登校させる。
 ルネがジョナサンに質問されている頃自宅では水道から水が出なくなったことでリンダが修理業者を呼んでいた。そして業者が地下を立ち入りケロに気づき攻撃してしまったことでケロは業者に危害を加えてしまうのだった…

 事態に気付いたルネは急いで地下室に行くが人の血痕、それと傷付いたケロを見て、これ以上このままケロを匿えないことを悟る。その頃ギルの方にもCIAが訪ねていた。

 ケロを外に連れ出してギルに連絡をするルネ、ケロと道を疾走してギルを待つ。
 砂漠へとケロを連れ出そうとするルネだったがギルはCIAの男にケロは何人も人を殺すと忠告を受け、更にアメリカ生まれじゃない自分以外の家族について脅しも受けていた。

 リンダに書き置きを残し、飼っていた爬虫類や虫達を外に放ち出発の準備を整えるルネ。
 しかし出発しようとしたその矢先現れたチェイスにルネは捕まり、CIAはケロを処理しようと既に動き出していたのだった…

ベースはE.T.だけど見た目相応に話は重め

 孤独な少女が異星人と出会い心を通わせ、更に同級生とも秘密を共有して孤独が癒されていくと。

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 まぁ基本テロップはあらすじ見ても分かる通りE.T.がベースのような話なんですが、この映画で心通わせる異星人であるケロの見た目は殆どエイリアンシリーズのゼノモーフ。
 その見た目相応に話の重さや重苦しさが増したようなE.T.となっていました。

 まぁ、まず主人公のルネの境遇がまぁ重い。

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 母親は夫…ルネにとっては父親ですねを亡くしてからうつ病になり、勝手に家を引っ越しており、見知らぬ土地に、更にそこで出会った本当に碌でなしな男であるチェイスに必要とされていると依存してしまうと、まだ若くて自立しきるには難しい立場ではどうにも出来ない雁字搦めな家庭環境。

 そこで出会った恐ろしい見た目をした異星人ケロと出会い、孤独を埋めていくわけです。

 このケロの見た目が恐ろしいというのは個人的には結構高ポイントでしたし、話的にも上手く作用していたと思います。

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 見た目の怖さが話の重さにそのまま直結するのは勿論、この恐ろしい見た目で恐怖して嫌悪する人間がいることも、逆にそれだけで危険だと認識しないルネとケロの絆の深さもどちらも理解出来るようになっているんですよね。

 ここら辺の事情でケロの見た目が可愛いとどうしてもハートフルな話にならざるを得ないでしょうから、話のハードさを出すにはこの見た目は必要不可欠だったでしょう。

 それに見た目が怖くても仕草が可愛いと何だかんだで感情移入も出来るようになる。
 ルネに頭をくっつけるところや、鼻歌に反応するところなど、ルネと観客にしか分からない可愛さを出していくのも、隔絶されて追い詰められていく2人の関係性に感情的に寄り添えるようになっていけました。

後、意外と目が可愛いんだ。

定番の人間の恐ろしさ

 で、話を重くしていくと定番の人間の方の恐ろしさというのもハードさは当然上がる。

 今作での人間の恐ろしさというのは残虐性や冷酷さと言ったところ。

 まず残虐性はリンダの彼氏であるチェイスの担当。

 彼はリンダの彼氏ですが、無職だし飲んだくれて高圧的。正直作中では何一ついいところがありません。

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 従わないルネを(おそろく性的に)襲おうともしますし、最終的には殺害までしてこようとしたところをルネを守ろうとしたケロによって殺害されてしまう。

 これはケロの危険性の提示でもあるんですが、観客すれば当然だろとしか思えない。
 この認識の齟齬と一般的な客観性というのが、また相互理解した2人を阻む壁になるのがもどかしいんですが、ケロとは逆に言葉は通じる人間なのに理解出来ない行動を取る人間としての恐ろしさの提示で映画的な活躍はしているのが本当に嫌な奴って感じの男でしたね。

死んでもスカッとするのではなく、よりルネ達が追い詰められる原因になるのがムカつくいい仕事してるんですわ。

 そしてもう1つの冷酷さに関してはケロを探していたCIAのジョナサンの存在。

 彼は徹底的にルネとは反目する立場。

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 ケロとの相互理解なんてあり得ないと思い、更に仲間から止められているにも関わらず、最悪ルネやケロを始末しようとする過激な行動も取ろうとする。

 観客的には嫌な立場なんですが、ただ世界観的にはケロの存在の危険性の部分にも触れる重要な存在でもありました。

 明言こそ全くされないんですが、彼は子供用のミニカーをずっと弄っている。そしてケロが異星人の偵察用の尖兵であり、ルネとケロの共鳴率がかつてないほど高いと説明する。
 そして最終盤にはミニカーが破壊されて激昂するシーンもあると。

 これらを見ると、おそらくジョナサンはケロと似たような存在と接触したことがある。
 そして持っているミニカーから自分の子供か、もしくは幼い頃に兄弟辺りが今回のルネと同じように接触してその異星人に殺害されたような過去を持っているのではないかと推測は出来るわけですね。

 そうなると彼の頑なにケロを認めない行動は理解出来るようになる。

 チェイスは意味も分からず理解できない人間でしたが、こちらは理解は出来るからこそ言葉が通じなくなってしまう人間ということで、チェイスよりよっぽど心動かすことが出来ない恐ろしい人間として提示されていましたね。

 この行動の意味が分かるからこそ止められない覚悟と怖さというのは、視点や映画が変わればそれこそ英雄的な存在で主人公にもなり得る存在というのもなかなか皮肉が効いていました。
 彼が作中で言っている「出来ればヒーローでありたい」という台詞からもここら辺はきっと狙っていたんだろうなと思いますね。

ケロとは友達であったんだと信じたい

 最後はケロについてですが、この映画の重さ的にもおそらく上で語った通りジョナサンの言っていることは多分本当なんだと思います。

 ケロは異星人の尖兵であり、現地人の偵察に来た存在。そしてルネは調査対象に選ばれたんだと。

 それはルネがケロに触手で共鳴させられて気絶し目覚めた後、びっくりするくらいにケロを匿う方向に行ったことからも微妙に洗脳感があることからも推察出来ます。

 そしてジョナサン視点ではケロはルネを利用し続けていると思ってもいたのでしょう。

 ただ個人的にはそれだけではないと思いたいのです。

 ルネと共鳴したということはケロもルネの孤独感というものはきっと感じとったでしょう。
 そこにケロの生物としてのシステムとしての打算以外の物が生まれていてもおかしくはない。

 だからこそチェイスに襲われた時も怒り狂うし、ルネを救うために駆けつけることした。
 それはシステム的な挙動だったのかもしれませんが、それでもルネを守るためにジョナサンと差し違えた行動にはシステムを超えた友達としての姿だったと自分は思いたいのです。

 だって自分が死んだら、尖兵としての意味なんて殆どないじゃないですか?
 にも関わらずそれを行ったのは種族としてではなくルネの友達としての行動なんだと信じたい。

 1週間もないルネとケロの一瞬の出会いと別れ。

 それでもルネの孤独を癒し、彼女の人間関係を前に進ませる影響を与えた姿は人類の敵でもなく、種族としてシステム的に動いただけの生き物でもなく、間違いなく友達の姿だったのだと自分は思います。

 と言いながらスタッフロール後に解剖される前に息を吹き返して暴れたと思われる映像を残すのがこの映画の嫌らしさでもあるんですけどね。

まとめ

 そもそものプロットが優れているからか、普通に泣ける映画でした。

 当事者だけが通じ合っている異種族間の友情とそれを理解しない人間との対立というのは面白い。

 何よりこのプロットを使ったことで、生まれた映画が違うだけでこうも運命に差が出来てしまうのかと思いを馳せてしまう部分もあるんですよね。

 こういった楽しみ方も出来て個人的には掘り出し物で楽しめた映画でした。


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