【映画】盲剣楼 無明の執行人 感想 復讐の刃は守り抜く刃に…

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(C) LianRay Pictures Co.,Ltd.(C) CIVELRIES FILM CO.,LTD.

製作国

中国

監督
ヤン・ビンジア
脚本
ヤン・ビンジア
出演者
シェー・ミャオ
ヤン・エンヨウ
ホアン・タオ
ペイ・クイシャン
ペマ・ジャド

 今回はアマプラにて鑑賞の映画、盲剣楼 無明の執行人(原題:目中无人2 /Eye for an Eye 2)の感想。

 以前感想を書いたあの盲剣楼の続編。

盲剣楼 【映画】静かな男から繰り出される派手なアクションを見よ! 盲剣楼 感想

 世の理不尽に義と怒りで復讐に手を貸し、渋いストーリー、そしてあまりにもハイクオリティなアクションと短くもまとまったここ数年の中でもバチクソに大好きな作品の続編ということで何の不安も躊躇もなく今回も見たわけです。

 内容は…ふふっ期待通りですよ。マジで良いですよ。

 ジャンルはアクションで上映時間は約90分となります。

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あらすじ

盲目の剣士・チェン。この男の剣は、音と気配だけで敵を斬り伏せる。ある日、チェンは、無惨にも弟を殺され、復讐を誓う少女と出会った。チェンは、成り行きから少女と長安を目指すことになる。剣を教えることは、憎しみを継がせることなのか?迷いながらも旅を共にする二人の前に新たな強敵が立ちはだかる。因果が連なる世界で、見えぬ剣が選ぶ結末とは-。

Amazon Prime Videoより

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登場人物

チョン・イー

盲目の賞金稼ぎ

弟を失った孤児の娘シャオユウに復讐を頼まれ、断るが彼女と過ごす内に心境が変化していく

シャオユウ

孤児

リーによる一家殺害を目撃して逃走するがその結果弟ツォンが殺害されてしまう

弟の復讐のためにチョンに復讐を頼む

リー

殺しを楽しむ極悪人

長安の大物の息子で息子に手を焼いた父親によって町に送られた

ざっくり概要

 ここからはいつも通りに中盤までのざっくりとした内容を。

 “盲目チョン”、賞金稼ぎの男。
 彼は賞金首を仕留め休んでいたところで悪漢に追いかけられていた孤児の少女シャオユウとその弟ツァオを救い帰るように言う。

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 その夜シャオユウは食料を盗みに入った家で1人の女性に見つかるが盗もうとした食料を分け与えてもらう。
 その時家に男達が押し入る。家族が見ていた長安までの地図、それを見つけた男リーは父親に密告されるのを防ぐために家族を皆殺しにする。
 隠れたことで目撃者となったシャオユウはリーから逃げ、たまたま近くにいたチョンの宿場に隠れる。
 しかし“子供”を追いかけていたリー達はそこにいたシャオユウの弟ツァオを連れ去る。銀の笛を鳴らしたことで弟の危機を知ったシャオユウは急いで追いかけるがリーは残酷にも馬からツァオを落としそのまま部下の馬に踏み潰させ殺害するのだった…

 復讐のためにリー達の殺害をチョンに頼むシャオユウ。断られたシャオユウは形見である銀の笛を担保にリーの似顔絵と手配書を作り町中に貼り付けていた。それを知ったリーはシャオユウに賞金をかけ探す。
 リーは長安の大物の息子だったが息子に手を焼いた父親によってこの町に送られていた殺しを楽しむ極悪人だった。チョンの宿場に潜り込んだシャオユウは再びリーの殺害を依頼するがチョンは彼女を放り出してしまう。

 明朝。
 別の賞金首の元に向かうチョンだったがその道中で馬が暴れた結果崖から落ちかける。その時自分の足を誰かが掴み確認するとまた密かに潜り込み追いかけていたシャオユウだった。
 2人で崖を登るが馬も無く道の真ん中で立ち往生したチョンはシャオユウに協力してもらい短刀を渡し地図を読み目的地に向かう。

 道中で出会った者に運んでもらい目的地である涼城の市場へと辿り着いた2人。
 そこにいた賞金首と戦闘になるがその賞金首はかつてチョンと共に戦場で戦った男だった。あの時代に必死に戦っても何も得られなかった。だから人を殺して金を奪った。そう語る男を介錯して仕留める。そしてシャオユウを置いて幽州へと戻るのだった。

 シャオユウと別れてから1ヶ月後。
 シャオユウは歩いてチョンの元に辿り着いたが、病気で弱ってしまう。彼女を介抱するチョン。そして回復したシャオユウにここに住まわせる代わりに復讐の話はやめるように言う。共に過ごす日々の中で賞金首を見つけるのを協力するシャオユウ、その結果2人は徐々に有名になっていく。

 1ヶ月後の夜。
 稼いだ金を預けようとするが中の様子がおかしいとその場を離れようとするチョン。シャオユウが中を確認すると強盗に入られており、チョンがそれを撃退するも残りの1人が使う炎の二刀流の前に撤退する。

 その強盗の名はホー。その居場所を知っている男から情報をもらうシャオユウだったが、そこであの夜に一家と弟を殺害した男の1人と出会ってしまう、後を追うとそこにはリーも。

 リーを見たシャオユウは殺しを教えてと再び教えを乞おうとするが断るチョン。そして伝手から醸造所にシャオユウを引き取らせそこで暮らすようにするがシャオユウは反発する。
 無理やり送り出そうとするがその最中で自分が死ねば代わりに果たす?とシャオユウはチョンに投げかけるのだった。自分は復讐はしない、例えシャオユウが殺されてもと返すとシャオユウは1人どこかへと行ってしまうのだった。

 シャオユウはホーの情報を使い彼の硝石を奪おうとするが失敗しチョンに救われる。チョンはシャオユウにすれ違い様に首を狙うやり方を教え彼女はメキメキと上達していく。

 チョンの愛馬シランの元に行く2人。シャオユウを気にいるシラン。
 帰りの道中チョンはシャオユウに自分の子供時代のことを語り長安に戻りたいと本音を吐露する。それを聞いたシャオユウは復讐を終えたら一緒に戻ろうと言う。

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 後日。
 ついにリーの配下に居場所がバレてしまうシャオユウ。配下を始末し密告した人間にもトドメを刺そうとするチョンをシャオユウが止める。
 復讐を諦めたのか共に長安に旅立つがその道中でチョンが目覚めた時シャオユウが側から消えていた。彼女は復讐を諦めておらず1人リーのいる幽州へと帰っていた。チョンはシランと共にシャオユウのために急ぐ、彼女を失わないために…

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今作の悪役もクズだぜ!

 正義なき時代。不法と理不尽が罷り通るそんな世の中で義のために力を振るう寡黙で盲目な男チョン・イーが帰ってきた。

 今作では殺しを楽しむ男リーに弟ツォンを殺された少女シャオユウのためにその剣を振るう。もうこのフォーマットだけで外す要素がない。

 逆に言えばストーリー的にも順当で驚く要素はないのですが、そうなると大事なのは順当の中で重ねる病者、主役の交流や悪役の悪辣さとなるわけです。
 特に復讐譚だとそんな順当なストーリーの中でこいつがどれだか作品の中でそして我々観客に怒りを与えてくれ、そしてこんな男に徹底的な裁きを与えてくれるのか、これが任侠、義憤、正義の作品においては重要なわけですね。

 で、今作のヴィランとなるリーは怒りしか募らねえ。

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 こいつは言ってしまえば権力を得たサイコパス。初っ端から非道を繰り返している分際で親への密告を避けるために家族を皆殺しにする。
 更に子供にも一切容赦はなく殺害現場を目撃したシャオユウの弟を手にかける。しかもそのやり方が馬から投げ捨てて馬に足蹴にさせるという惨さ。それどころか映画的には子供以上に聖域な犬まで蹴り殺す始末。この文章だけでも怒りが募る人が出るレベルでしょう。
 これらのシーンを僅か開始10分くらいでしかも初っ端から細かく描写します。犬の悲鳴、馬に蹴られて転がっていく子供、容赦なさすぎと思いますが中盤辺りは一切出番ないにも関わらずこれだけ怒りが持続するので効果的ではありはするんですよ。

それはそれとしてえげつない。

 ただ前作と比べると作品の傾向の都合上で出ずっぱりと言うわけでもないところが少し勿体無い…いやどうだろうこいつの出番多いと胸糞悪くなりすぎるかな?
 まぁそれでもまた終盤に出てからはシャオユウを遠慮なく殴ったり薬飲ませたりなどあまりに悪辣容赦無し。
 そしてこの手の中国映画お馴染み小物に見えて前作同様にちゃんと実力があって強い。しかも今回はチョンと切り結べる分リーは中々の実力ですね。

 まぁ最近中国の復讐譚な映画は結構見ていますが、その手の映画お決まりの文を書いてしまいますが、やはり相手に実力がある復讐譚は盛り上がりますね。実力があるからこそ主人公の最後のアクションが光る。そして強い奴が最期は無様に死ぬからこそのカタルシスがある。

 胸糞悪いことこの上ないヴィランでしたが、それは散り際含めていいヴィランという証なのでしょう。その役割をしっかりと果たしてくれていました。

復讐の刃から守る刃に

 前作のチョンは寡黙で他の登場人物との関わり方によってそのキャラクター性を語らせる存在でしたが、今作はシャオユウという幼い子供との関わりによってチョン自らがパーソナリティを語るような部分が増えるようになっています。
 何の力も持たない子供、立ち向かうにはあまりに無力な存在、そんな存在に無法と理不尽が襲いかかる。その復讐の剣となるこのフォーマット自体はそのままですね。

 今回の手を貸すシャオユウは子供であり前作のイェンより遥かに年齢が下がったためかこれまた定番ですが擬似親子的な関係性に。
 最初は世を知らないシャオユウに振り回されたりする部分もありますが、それでいて彼女は見えないチョンの目になったり道案内したり掃除したり賞金首を見つけるのを手伝ったりなど世話なども焼きます。

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 チョンはイェンの時と同様に最初は深く関わらないように邪険にしているのですが、中盤からは彼女と共に暮らすように。前作は短い期間でしたが今作の作中経過時間はこの過ごす描写で2ヶ月くらいは経っています。そこで長くシャオユウが家具の配置を変えたことでチョンがぶつかってコケるなど前作ではとても見られなかったコメディな一面も見れたりと擬似的な親子関係だからこそ見れる物の描写。

 でもあくまで復讐のために繋がっている関係でもあり、後半に入る頃にまた1つの試練がある。リーと再会したことで復讐の火がまた燃え上がり、殺し方を学ぼうとするも教えずに反目して出ていく。その後すぐにチョンがシャオユウを助け出す。

あまりにもテンポがいい。

 ここのやり取りが最後にかかっていてとても良く、シャオユウが自分が殺されたら代わりに復讐を果たしてくれる?と尋ねるのですが、それに対してシャオユウが死んでも復讐はしないと返すチョン。信頼し合えたと愛されたと思っていたのに裏切られるような描写。擬似親子的な関係では絶対に必要なシーンですよね。

 ここからねシャオユウを救った後にチョンが殺し方を教えるのは不器用ながらも子供と認めたようなもんだなと思うんですよ。
 無理やりでも手放してしまえばいい、何なら放っておいてもいい。でもシャオユウが止まらないことを知った上でそれを教えるというのは身を守るためにも繋がるし、自分が教えられることを教える姿は親のそれだとも思うのです。(だいぶ血生臭い教えだけど)

 そこから関係性が一歩進んで前作の愛馬に合わせたり、自分からシャオユウに子供時代の話をして長安に帰りたいなど本音を吐露するなど確かな不器用な信頼関係が生まれていってね。前作の怒りしかなかった男の安らぎを見たようでまだそんな感情残っているんだなと何故かこっちが安心してしまいました。

 そして最後の戦い。シャオユウを追いかけて駆けつけたチョンの戦い。薬で衰弱しかけたシャオユウを守りながら複数と戦う前作とは比較にならない鬼気迫る戦い。リーと対峙してシャオユウを庇って刺されながらも見事守り抜く。

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 ここで最期のセリフですよ。お前のためなら復讐出来る帰ってきてくれとシャオユウに言う姿は前作から見ている寡黙なチョンからは想像もできない姿。普段寡黙で感情を見せない、見せるにしても怒りなどの男が懇願するかのように祈る姿はこういう人間がこういう感情を前面に出すからこそ寡黙さと人情は響く。

 これを見て最初はシャオユウの復讐のための刃だった男が共に過ごす内にいつしかシャオユウを守り抜くための刃となり、その生涯を全うしたんだなと思いましたね。

 シャオユウと出会いから別れまでの153日の時間。殺すのではなく命をかけて守り抜くための者を見つけた男の生涯という物を見せてもらいました。

 そして続編なんて欲をかかない描写の作品としての潔さも…
 と言いながら前作も死んだと思って生きていたので続編出てもオールOKなんですけどね。

 というか前作で言伝とはいえイェンの酒を飲みに行くと約束したので正直それは果たしてほしいから生きていてほしいですね。

 とにかく今回はチョンのパーソナリティな部分がたくさん見れて人となりをより深く理解出来たようで勝手ながら嬉しくもなりました。

 そしてこれを見る上での注意点ですがアマプラ君はクレジット飛ばそうとしてきますが、スタッフロールでは作中で描写されなかったチョンがシャオユウも不器用ながら距離を詰めようとするシーンがふんだんに入っているので是非飛ばさずに見てほしい。

アクションが更に進化

 盲剣楼を見る最大の目的はアクション。

 今回もしっかりと進化したアクションをたっぷりと堪能出来ました。

 冒頭から本編とはそこまで関係ない賭場での戦闘シーンというアクション。刀と徒手空拳の組み合わせと前作同様の組み合わせを見せてくれる。しかしますますカメラワークと動きのキレが上がり前作からの変わらなさと進化を教えてくれる。
 まず今回は耳で相手を感じ取る描写が増えています。1つ1つの振動を感じ取ったりするなどを増やしてチョンの聞こえる世界をより分かりやすくして盲目ならではの壁越しに相手を把握して仕留めるとかもありす。
 そして鮮血描写も変わらず。この映画の特徴(と勝手に思っていることなんですが)鮮血の描写がありながらも内臓とかが見えるわけでもないのでグロではない。なので演出としては不謹慎な言い方ですが洗練された美しさの美術表現になっていると思っています。

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 マジで悩んでいる人は冒頭5分だけでも見てみよう、アクション目当てなら後悔しないと確信出来るレベルですよ。

 そして中盤では本筋とは少し外れた賞金首との連続の戦い。ここら辺は相手が実力者故にケレン味たっぷり。
 賞金首夫婦との戦いとか凄腕だけあって動きがキレすぎ。相手の陣地故にあちこちから仕込んである武器を取り出してくるのを捌く様は最早演舞ですね。
 そして今回は敵が二刀流エンチャントファイアしたのは興奮しまくりました。
 前作でめちゃくちゃ好きだった刀へのエンチャントファイア。今作だけ見る人なら特になんてことない一幕なのですが前作見てるとファンサのつもりなのかは不明ですが正直ニヤリとしますよねこういうの。暗闇の中で揺らめく炎の二刀流は敵なのに惚れ惚れとする。この映画はアクションでもこういった画面の力や純粋な洗練された動きの機能美など美しさを追求しているような描写が目立ちますね。

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 極めつけの最後の戦いは前作同様に権力者の敵地に乗り込むお決まり展開なのでチョンとシャオユウ2人による2対多の戦い。これが前作以上の人数相手。それでいてシャオユウもちゃんと使ったアクションをするのでこの製作陣は頭の中にどんだけアイデアが詰まっているのか見てみたいくらいに豊富です。この映画のアクションの全体的な特徴ですが柱を起点に空間を使った立体的な動きも上手い。多数相手だとそれが引き立っていて無双に説得力がある。

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 満身創痍の状態で入るリーとの決戦も最後の最後でタイマンなのでリーの狡猾さの描写が見事。今作で増やした音や振動を感じ取る描写。それをこの決戦で更に強調して音を立てまくってチョンを誘導する戦い方をする。しかしその中でチョンの耳に届くのがシャオユウのリーがどこにいるかの言葉なんですよね。ストーリーもアクションの積み重ねと親和のさせ方に惚れ惚れする要素しかなかったですね。

 褒めすぎると逆に胡散臭いので無理やり難点を言うなら今回はシャオユウとの生活…つまり日常も重要になったのでアクションとアクションの合間の時間が前作より長くなったことでしょうか。
 これは70分の映画と90分の映画の違いでもありますし、90分の映画としては別におかしい感覚でもないので前作のテンポが良すぎただけですね。

 何だやっぱり文句ないアクションじゃん。

まとめ

最高でした

 剣戟アクション映画としてこれを超えるのは今のところ自分にはないです。それくらいに見惚れるアクションが多い。

 それもただかっこいいだけでなくちゃんと切り札や逆転の手がストーリーとの親和性がある。だからこそ感動もあるという正直アクション映画として完璧ですね。

 ストーリーも擬似親子と復讐の話なので何一つ外れる要素がない。悪役もきっちりと憎く強くもあるがちゃんと無様にやられる。

 ストーリーで順当と王道を積み重ね、その積み重ねをアクションと親和させる。これほど完璧なアクション映画は中々見れるもんじゃない。

 アクション目当てだけでもいいので騙されたと思って見て欲しい1作です。

マジでオススメです


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