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製作国
ドイツ
監督
ダニエル・ラボルト
出演者
ステファン・エベル
シーリ・ナセ
ニコライ・ウィル
ミッチェル・ヴィーゼメス
今回は(恐らく)クワイエット・プレイスのフォロワー映画アイアンサーガ 暴走機械兵団(原題:A Living Dog)感想記事。
ジャンルは一応SFアクションで上映時間は約98分です。
この映画の見どころ
・喋ったら見つかるという設定を忠実に守りほとんど時間を沈黙で進むストーリー
目次
あらすじ
これが想像を超えた《戦記》のはじまり
音に反応して人間を襲うロボット兵団によって、人類は滅亡の危機にさらされていた。トマシュとリリャは、
「絶対に声を出してはいけない」というルールを固く守ることで生き延びていた。筆談を使い、
静寂とともに暮らしていたが、二人は敵に対抗する手がかりを見つけ出す。
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登場人物
・トマシュ
逃げてきた男
とあるトラウマから薬で逃避することがある
・リリャ
戦う女
トマシュを一時拘束するも互いに協力をすることに
静かなる作風
設定を守りまくって本当にほぼ沈黙だけで進みます。
いや、本当に全然喋らないんですよこの映画。
理由としては暴走して人類を殲滅している機械達が音に反応してくるからなんですが、
それでもびっくりするくらい徹底して声を出すシーンがないです。
おそらく設定面で参考にしたであろうクワイエット・プレイスですらちょっとツッコミどころにはなったものの滝の裏なんかで自由に会話する場所などを設けていましたが、この映画はそれすらありません。
これでもかというくらい徹底的に沈黙を貫き続けます。
しかも登場人物の2人は全く面識無し交流無しの関係なので手話すら使えず、
身振り手振りと筆談というコミュニケーションもスムーズではないやや不器用なコミュニケーションです。
この関係性がこの映画ではいいんですけどね。
逆に敵対相手となる機械は大型が映画:宇宙戦争の機械みたいな圧のある音を好き放題に出して近づいてくるという、
この真逆の立ち位置が追い詰められている終末感を出していました。
登場人物も少なくひたすら沈黙の映画なのでパッケージやジャンルとは違いアクションなどは全く無くどちらかといえばドラマ性重視の作風でした。
ストーリー感想、逃げてきた男と戦う女
いきなり人間側が完全劣勢で始まっているので主要登場人物はトマシュとリリャの2人だけで進むという人間側の劣勢状態を徹底的に描写しております。
そもそも何でそんな事態になっているのかというのもほとんど説明がなく状況や回想から推察するしかないという状況だったりします。
人類に新たな友をというフレーズで作られた機械達が反乱起こしたのはわかるんですけどね。
その理由や過程はどうでもいいからか語られません。
バリアやごっつい銃などの装備からも舞台は近未来であることがわかりますね。
舞台が人里から離れているので装備以外だとそんな感じはしないんですけどね。
そしてたった2人の登場人物の関係性は逃げてきて家に忍び込んだ男とそれを不意打ちで拘束した戦おうとしている女という関係性です。
この2人は出会いと状況のせいで最初はまぁ滅茶苦茶仲が悪いです。
トマシュはとある事情とトラウマで逃げてきた男で、しかも薬を使っての逃避もしているなど本当に逃げの男です。
それに対してリリャは機械達に対して逆転の一手を考え戦おうとしているなど、
この2人はスタンスも真逆なので最初仲悪いのはしょうがないですね。
上でも書きましたが会話が身振り手振りなので意思疎通も不器用なんですよね。
そんな2人の関係性もリリャが敵ドローンからパーツを剥ぎ取ったところから変わってくるのですが、(ちなみにここはこの映画で相手に声を出す貴重なシーンの1つです。)
そのパーツを使った作戦はなかなか脳筋作戦でした。
ドローンの周波数使って敵をまとめて誘き寄せて核で殲滅と洋画によくある核をちょっと強力な爆弾くらいに思っている作戦です。
入ってる箱の扱いもガリガリ引きずるんで見ていてとっても危ないとしか思えないんですよ。
ちなみにお約束な道具作りのシーンやそのテストなんかは結構ワクワクしました。
静寂の中の決意(ネタバレあり)
後半からの雰囲気は結構好きでしたね。
結局出ていこうとするトマシュに対してリリャが写真で筆談し、
ここで見ている側もこの2人もようやく互いの名前が分かるんですよ。
どれだけ黙ってストーリーが進んでいたかが分かりますね。
家に戻ってからのシーンがおそらくこの映画の最も見どころというかこだわりを感じましたね。
怪我したリリャと核を託されるトマシュですが、この2人は最後まで互いに言葉を交わさず別れます。
声を出して敵を誘き出すリリャ、敵を誘き出した後声を出して自身を攻撃させて核を起爆させるトマシュと、
彼らが声をかけるのは敵である機械相手の時だけなんですよね。
これは流石に狙ってだと思いますが人同士だと言葉を一切交わさず意思を通じさせるのは人間としての強みを出していると思えました。
舞台が狭いので彼らの戦いがどれくらい戦況に影響を与えたのかは想像するしかないのですが、
見ている側としては少しでも意味のある報われる結果になっていてほしいなと感じられる話運びでした。
まとめ
ある意味元ネタ以上に沈黙に徹底する矜持を感じたこの映画。
敵の設定は聴覚はともかく視覚面に置いてはちょっと都合良すぎてガバいかなと感じますが、
まぁこういうのはシチュエーション重視の方がいいと思うので多少許容した方が楽しめるんです。
本当に喋らないのでこの規模の映画は作業しつつ、ながら見という人には向かないと思いますが、
沈黙しているが故の余計な会話のないテンポの良さもあるので腰を据えて見る分には楽しめると思います。
ただ予告やパッケージでバリバリのアクションを期待すると肩透かしを食らうので、
沈黙の中で生まれるドラマ性を重視した作品であるということは念頭に置いて見るべき映画でしたね。
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