この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
製作国
カナダ、ニュージーランド
監督
ダニス・グーレ
脚本
ダニス・グーレ
出演者
エル=マイヤ・テイルフェザーズ
ブルックリン・レテクシエ・ハート
アレックス・タラント
アマンダ・プラマー
ショーン・サイポス
管理されたディストピア社会には救世主が付き物。
今回はそんな映画ディストピア2043 未知なる能力(原題:Night Raiders)の感想となります。
ジャンルはSFで上映時間は約97分です。
この映画の見所
・重ーい重ーいディストピアな雰囲気
・娘を取り戻す母の決意
目次
あらすじ
【ストーリー】
この少女が、最後の希望?
世界戦争終焉後の2043年――
北アメリカでは軍事政権が都市を支配し、人々は権利を奪われ、子供たちは5歳になると国家の所有物とされた。
娘を連れ去られたクリー族の女性は、娘を取り戻すため自警団の地下組織に加わり、子供たちが集められたアカデミーに潜入する・・・
Amazon商品ページより
登場人物
・ニスカ・ハルクロウ
クリー族の女性でワシースの母親
ワシースを州から11歳まで守り抜いていた
・ワシース
ニスカの娘で11歳
動物と会話ができる不思議な能力を持っている
・ロバータ
ニスカの知人
過去に息子のピエールを州に連れ去られた
ストーリー感想
- とってもディストピア
邦題の通りとってもディストピアな世界観のこの映画。
子供はエマーソン州により”徴収“され、離れた親子は2度と再会出来ないと思わしき台詞もあります。
主人公のニスカはそれを拒み娘のワシースを森の中で11歳まで守り抜いてきた女性です。
そしてその娘のワシース、なんと鳥と意識を通わせるという特技を持っております。
これが後々役に立ったり立たなかったり。
そのまま隠れて過ごせればいいのですがやはりこれは映画、
ワシースがトラバサミに引っ掛かり更に隠れ住んでいる森の隠れ家は政府のドローンに見つかり移動を余儀なくされてしまいます。
ボートを使い都市部にやってくるもののやっぱりここもディストピア。
庇護下にない地域のため劣悪な環境であり目の前で子供の”徴収”も目の当たりにしてしまいます。
ここの政府の発言の子供の”所有権“は政府にあるなどディストピアが極まってますね。
昔馴染みのロバータの元を尋ねますがワシースの怪我がひどく膿んでおり、治療と逃走の目処が立たずニスカは1つの決断をします。
それは今の劣悪な生活を続けさせるより治療を受けられる政府のアカデミーに置くこというもの。
その決断はある種ワシースを捨てるということとも捉えられる決断であり、ニスカは涙を流しながら兵士にワシースを”徴収“させます。
- 10ヶ月後
ワシースを手放してからの流れはしばらくニスカの虚無感のある生活を見ることになります。
他にもやっぱりディストピアな雰囲気をさらに垣間見ることになり、
空からドローンで雑に落とされる食料に群がる庇護から外れた人々、州の市民権がくじの商品の1つなど、
ちょっと前の言葉で言うと上級国民とそれ以外みたいな扱いですね。
アカデミーの側に行きぬいぐるみをもっていくニスカのシーンは他の親が置いていったと思われる写真や花など、
“徴収“が今生の別れであり、まるで亡くなった子にお供えをするかのようなシーンは印象に強く残ります。
アカデミーのワシースの視点では意外とアカデミーの中は和気藹々としている部分もあります。
とはいえそれは子供達が幼少期からそこにいて当たり前と思っているからであり、11歳から入ったワシースは野生児としていじめられたりしています。
ただやっぱり思想教育はなされており”この国には旗も言葉も1つだけ“はなかなか極まった台詞ですね。
- クリー族との出会い
中盤は子供達をアカデミーから逃がそうとするクリー族とニスカが出会いますが、ここからちょっとスピリチュアルな感じになっていきます。
ニスカが言い伝えで子供達を導く守護者”オーガンウエスチギュー“であると思われ彼らから協力を申し込まれるのますが、
ニスカからしたらなんじゃそりゃ?な話なので当然のこたなのですが断ります。
そして都市部に戻るとやっぱりディストピア、アカデミーから子供を逃すテロリストを見つけるために食料に毒を盛られているという非道が行われています。
連れ去られる最中ロバータが息子のピエールと再会しますが、そのピエールに撃たれて死亡してしまいます。
この思想教育の強さを目の当たりにしたニスカはクリー族の協力を借りワシースを取り戻すことを決意します。
ストーリー感想(ネタバレあり)
- 決意
視点は早々ワシースの逃亡に変わります。
当然失敗するのですがこの行動が評価されたりします。
銃の組み立てや同級生ぶん殴りなどちょっと誘導されるような台詞はあるものの(名前がエリザベスにされているなどサラッとえげつないこともされています)、
この一連の流れははちょっとワシースの心変わりというか諦めが唐突な感じもあります。
あえて乗っかったフリとも取れるのですが再会時の台詞を見ると違うかなと。
再びニスカの視点に戻り夜中に馬で駆け抜けて侵入!、ハッキング!、再会!って感じです。
ここの再会のやり取りは見せ場ですね。
置き去りにされたこと、置き去りにしてしまったこと、それでもまた一緒にいたいと望むことこの親子の絆のシーンです。
- オーガンウエスチギュー
侵入がバレたニスカ達。
野営地では兵士達と大量のドローンの迎撃に向かうクリー族。
このシーン何気に突っ込みたい部分があるのですが、
ニスカを誘った女性が子供達を逃すために仲間に迎撃を頼み自分は子供達と一緒に行くというものです。
ここで死んでも守り抜けといいながら自分は子供達と一緒に行こうとしていて、
これはクリー族の部族としての価値観なんでしょうが日本人な自分にはおっおう…と突っ込みたくなるシーンでしたね。
そんな状況を好転させるのは当然ワシース。
この動物と心を通わせている描写もありましたが、まさかのドローンとも心を通わせて味方にします。
ドローンに関してまでやるのはちょっと唐突感感じるように見えて、
ちゃんと序盤の都市部に到着した後の話で伏線は張ってあったりします。
ドローンを使い兵士達を下がらせ一件落着と思いきや、
こっそり移動していた兵士から撃たれたところをニスカが庇い今度こそワシースを見捨てず守り抜きます。
ラストに能力発揮する少女というのはアクセル・フォール思い出しましたね。
そしてニスカはワシースの守護者であり、”オーガンウエスチギュー”真の守護者はワシースであると判明して話は終わります。
この映画のいいところ
ディストピア感は描写的に良く出来ていたと思います。
庇護下から外れた人間達の処遇や子供を”徴収“しているなどまさにディストピアって感じですね。
まぁ無難っちゃ無難なんですがそこの陰鬱として感じ自体はしっかりとしていたなと思います。
この映画の残念なところ
ちょっと見せ場らしい見せ場が少ないですね。
ともかく淡々というか陰鬱な感じで後半まで進むので盛り上がりどころが少ないんですよね。
ラストのワシースの能力はいいと思うのですが、そこもあくまで追い出すだけなので、
そこに至るまでの陰鬱さを消しとばすほどのカタルシスにはそこまで繋がっていませんでした。
相手を殺し、殺されみたいなのが必ずしもいいわけではないのでこの決断自体は問題ないとは思うのですが、
もう何か晴れ渡るような気分にさせるシーンはどこかで欲しかったですね。
ただこれがこの映画の味なのかもなとも思っています。
まとめ
ディストピアの陰鬱な感じを漂わせ続けるこの映画。
体制の崩壊や破壊などではなく体制から逃げることで終わる映画なので、スカッとする展開を望む人にはあまり向いていない映画かもしれません。
これに関してはなぜこういう世界になったのか?などもしっかりとは語られない映画ですのでそこには主観を置いてはいないということなんでしょうね。
スカッとはしませんがこの陰鬱な感じはそれはそれで1つの味にもなっているので、そこに楽しみを見出せればという映画でした。
ちなみに終わり方まで陰鬱というわけではないのでご安心を。
別の戦う女性が主役の映画感想はこちら。