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製作国
アメリカ
監督
リー・ウィッタカー
脚本
リー・ウィッタカー
カラ・マイヤーズ
出演者
ジェット・ジャンドロー
ジェイミー・M・ティモンズ
ポール・ボンド
エリック・ピアース
今回は誘拐された妹を救い出す姉の映画AIMEE/エイミー マリーン・フォース(原題:Aimee)の感想。
スカッと系のアクションかと思いきや、主題となるテーマが少女の誘拐と売春ビジネス、
この2つをテーマとしているため想像以上に重い映画となっておりました。
救い出す姉と誘拐された妹、この2つの視点で進む胸糞な大人達による物語。
とはいえ現実に起きていることには間違いないので目を逸らさず怒りを持って見ることが求められる映画と言えるでしょう。
ジャンルはスリラーアクションで上映時間は約101分となります。
目次
あらすじ
ヒロインは“USMC精鋭特殊部隊員”!監禁された妹を奪還せよ!
Rakuten TVより
海兵隊員のジェシカにはエイミーという13歳の妹がいる。しかし、ジェシカがアフガニスタンから帰国する日の夜、エイミーは人身売買業者に拉致されてしまった。警察からは全て任せるよう釘を刺されたが、自分でエイミーを探し出すことを決意する。ジェシカは隊員仲間のダンに、売春がらみの人身売買業者を見つけ出すプログラム作成してもらい、監禁場所の候補となる住宅を割り出す。割り出された家に乗り込んだジェシカとダンは、業者たちを倒し、監禁されていた少女たちを救う。しかし、エイミーはいなかった。そんな中、エイミーが客を取らされる夜がやってきた。果たして、ジェシカはエイミーを無事に助け出すことができるのか…
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登場人物
・ジェシカ
アフガン帰りの海兵隊員でUSMC精鋭特殊部隊員
帰国後にエイミーの誘拐を知り、時間がかかる警察の操作に業を煮やし独自で彼女を捜索する
アフガンで自爆テロを行ったエイミーと同じくらいの年齢の少女を殺害しており、そのトラウマとフラッシュバックに悩まされている
・エイミー
13歳のジェシカの妹
バレエをやっている
空港に向かう途中で売春斡旋業者に誘拐された
・ダン
ジェシカの同僚でエイミー捜索に協力する
データ発掘ソフトを開発しており、それを使って売春組織の場所を割り出し、ジェシカと共に組織を襲撃する
ジェシカのフラッシュバックや強引な調査を心配している
・メイソン
エイミーの事件を担当する事になった刑事
エイミーの捜査中に起きている売春組織の襲撃に関してジェシカに釘を刺す
・アイリス
売春婦
ジェシカにエイミーの情報を提供する
・カルメン
売春斡旋組織の女で少女達の監視役
救う側の視点と被害者の視点、2つの視点で進む物語
この映画のストーリーは売春斡旋組織に誘拐された妹エイミーの視点、そしてそれを救おうと行動する海兵隊の姉ジェシカの視点で進んでいきます。
この視点どちらにも共通するのが汚い大人の犠牲にされた少女の存在というテーマ、
妹のエイミーの方は言うまでもなく、姉のジェシカにもアフガニスタンでの戦場で起きた自爆テロのトラウマ、
この2つの犠牲を見せてストーリーが進行していきます。
売春ビジネスという闇を見せるエイミーの視点
まずこの映画の冒頭は、
この物語で描かれていることはアメリカ中の住宅街で起こっている。
毎年30万人以上ものとらわれた児童たちが街で売春を強要されている。
平均年齢は11歳から14歳、大半が少女である。
このテロップと人身売買と売春ビジネスをさせられた少女達の告白から始まります。
この時点でシンプルにスカッと系アクションで収まらない映画になりそうな予感を感じさせてきます。
この誘拐による売春ビジネスのテーマを担当するのがタイトルにもなっている妹エイミーの視点。
扱っているテーマがテーマなのでエイミーの視点は胸糞悪いシーンが多いですね。
最初の時点で無差別に攫ったのではなく明確にターゲットを客が求めているタイプのエイミー狙って車で突っ込んで攫うという、
詳しくは作中で語られますがこういう細かい指定があって誘拐しているのが根の深さと気味の悪さを感じます。
そして攫われてからの描写もきつく、6人いる部屋でマットが3つだったりエイミーより幼い少女がいる事、目の前で1人を射殺して支配しようとしていることなどまぁ胸糞悪い描写が続きます。
しかも身の上話をする時に親の扱いよりはマシだと思っている子もいるのがまたキツい。
そんな中でも姉を信じて他の子にバレエを教えながら気丈に振る舞うエイミーの強さが光るのですが、
それでもエイミーの売春の時が徐々に迫っている描写と合わせてなので落差の悍ましさも感じます。
結果として見ればエイミー自体はギリギリで難を逃れるのですが、
ただはっきりと描写はせずとも他の子達は明確に被害に遭っているんですよね。
ここがこの映画である意味1番嫌な部分じゃ無いかなと個人的には感じております。
また攫われた少女達の監禁場所が住宅街のど真ん中で普段は普通の住人を装っているというのが、
この事態がどれだけ入り込んで根の深い問題なのかというのも伺えるようになっています。
最後こそ救われた少女達がみんなでバレエ教室に通うという救いも見せていますが、
そこに至るまでの過程までも考えると、とても重く受け止めなければいけない課題に取り組んだ映画でありましたね。
タイトルがエイミーと救う側、所謂ヒーロー側のジェシカではなく被害者のエイミーをタイトルにしたのはそれの表明と言えるのでしょう。
大きな社会問題に取り組んだ映画と言え、加害者である女性のカルメンの過去を窺わせる僅かな描写や
ジェシカの協力者のアイリスなど様々な形の売春ビジネスの事情も描写しており、
この問題となるテーマに1つの方向性だけには留めないアプローチを試みている映画でしたね。
戦地のトラウマと別の犠牲を見せるジェシカの視点
救う側となる要はこの映画でのヒーロー的な役割となるジェシカの役割ですが、
極端に深掘りまではしていませんが大人の犠牲になる子供というのをもう1つの軸として見せてある視点でもありました。
それが海兵隊としてアフガニスタンに従軍中に起きた少女による自爆テロ。
エイミーと同じ年頃の少女が爆弾巻いて突撃してきたのを射殺した事件、
このトラウマが定期的なフラッシュバックとして登場してきます。
このフラッシュバックで定期的にピンチになったり暴走したりなどしてしまうという、
アクション的にはピンチ発生装置、ストーリー的にはもう1つの形の大人による子供の犠牲を描いていますね。
最初に言った通りあまり深掘りはしない事件なのですが、
大人による少女の犠牲を描いている映画なのでこれがジェシカの視点にとってのストーリーの1つの軸となっていると言えるでしょう。
実際にエイミー救出のために強引な個人捜査を行なっている時もこの抱えたトラウマを払拭するかのように妹以外の少女を助けているかのようにも見えます。
その証拠か全てが終わった後はトラウマやフラッシュバックに苦しんでいる様子はない。
ジェシカの視点は大人による少女の犠牲と共にその事件に関わった人間の傷も描いているとも言えるかもしれませんね。
実際のところトラウマの深掘りが浅いためジェシカはエイミーが本当に毒牙にかからないためのある種の舞台装置的な存在にもなっている部分があるのですが、
ただそれとは別にこういう輩に立ち向かってくれる強い女性という人々の願望でもある存在なのかなとも感じましたね。
最後は強引な個人捜査を行ったことから逮捕もされてしまうのですが、
これは上記の願望と共にだからといって法の逸脱もよろしくないという部分を見せていて個人的には好感触でした。
良いやつすぎるぜダン
この映画でジェシカの協力者となるダン。
この手の女性の犠牲を描いた映画だと男性の存在は露悪的過ぎていたり、情けなかったりするのですが彼は違います。
有能で付き合いも良いやつ、彼がいなくてはこの映画は解決しません。
彼は海兵隊でのジェシカの同僚であり上記のトラウマにも立ち会った人間でもあります。
その縁でエイミーの捜索、ジェシカの強引な捜査にも付き合ってくれるとナイスガイです。
まず組織を探るために個人的に開発したデータ発掘ソフトで被害者を探る、
更にジェシカが乗り込む時には共に着いていき戦闘までこなせる、
更に強引過ぎるジェシカの行動やフラッシュバックでピンチになった様子を見て死ぬ手伝いはしないと彼女を諌めたりと、
例えジェシカに所詮は他人事だからとなじられようとも見捨てはしない、
どうですか?とんでもないナイスガイでしょう?
実際のところ彼は彼で自爆テロの場にいたのでジェシカ同様のトラウマを抱えていた部分を見せていたり、
更にデータ発掘ソフトで出てくる少女達の生々しい犠牲や悲鳴を聞き心が折れかけてからの奮起もあるなど、
この映画の2つの犠牲を両方直面して見ている唯一の人間とも言え、彼もまた主役級の存在と見ていいんだと思いましたね。
この手の映画でよくいる都合のいいハッカー枠でありながら、テーマにも相棒にも正面から立ち向かうナイスガイ、
テーマ的にクズな男が多い中でダンのような男も出す。
このダンがこの映画における1番の清涼剤なのかもしれません。
装備の準備シーンでジェシカの祖母が弄ったテーザー銃喰らうなどコメディ担当しているのも強い。
アクションの質はいいけど展開に関しては?
相手が相手ということでクズどもには制裁をということでジェシカとダンによるスカッとアクションも外せない要素。
実際のところスカッとしきれているかは微妙ですが。
アクション自体の質はかなり良く動きはキレッキレでカメラワークも良し、銃撃戦などもしっかりあると基本は取り揃えております。
格闘戦だとややカメラのブレやカット割の多さが気になるところですが、
これは個人的には許容範囲内だったので問題はなかったです。
ただ映画のジャンルを考えるとアクションの質そのものより内容がどうしても不完全燃焼気味になってしまう部分はありました。
強引な個人捜査による急襲という形で行われるアクションなので逮捕させるため、そしてその後の裁判などの展開を考慮しているので、
相手を殺害したら釈放の可能性が増すということで、どうしてもやるところまでやるというのが出来なく手加減してる状態なんですよね。
テーマ的に法の極端な逸脱は出来ないため仕方ないのですが、どうしてもスカッとアクションとは食い合わせが悪い制約となってしまいました。
最後の最後は装備の準備シーンで匂わせていた遠隔爆弾で主犯を仕留めるのですが、お外で悲鳴を上げる間もなく爆殺というのはスカッと感が足りないかなと。
許せない悪で殺害が許される存在なら逃走した車を爆弾ではなく、直接対決の段階で仕留めるのというのがやはり見たかったかなと思いました。
アクションの質は文句無かったのですが、その内容の方で少し不満点が出てきてしまったそんなアクション群でしたね。
まとめ
スカッとアクションと思って視聴したら思わぬ重いテーマで大きくぶん殴れたような映画でした。
正直胸糞感強めなので人は選びそうだなとは思いました。
アメリカで起きているあまりに重い人権無視、世界で起きている問題と大人による子供の犠牲を様々なアプローチで見せてきましたね。
特にエイミーの売春組織での描写は胸糞感がかなり強めで、
本来ならそれを中和するはずのジェシカのスカッと系アクションだけでは補いきれないほどに感じました。
ただこの映画はスカッと系アクションですっきりするというのが主題ではないのでこれはこれで正しいと言えます。
あくまで溜飲を僅かにでも下げるため程度くらいと思えばいいかなと。
楽しい気分になれる映画では間違ってもありませんが、
それでも扱っているテーマの映画の中ではまだライトな作りの映画なので、
軽めに社会的な映画を見たいという方ならこの問題に向き合ってみてもいいと思います。
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