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製作国
中国
監督
ジョン・ウェイシー
ヤン・シューアイ
出演者
リュウ・リンチェン
チャン・ドン
ワン・リダン
チャン・チュンゾン
クンルン
B級見る時は基本的にあまり期待しすぎず見るのですがそうすると時に思わぬ楽しさが与えられる時があります。
今回も想像を超えて普通にいいじゃん!と楽しませてくれる映画に出会えました。
題材がしっちゃかめっちゃかしている合体ぶりなのにちゃんと纏められているのに驚きますよ。
そんな映画ドラゴン・アーク 天空の巨人(原題:撼龙天棺/Dragon Shaken Coffin)の感想です。
ジャンルはアドベンチャーで上映時間は約77分となります。
短さ故のテンポの良さ
題材がとんでもない悪魔合体なのにちゃんと纏まっているストーリー
目次
あらすじ
国際窃盗団による墓荒らしを阻止する任務を担うジャンは、考古学者のユー、リー教授と共にチンギスハンが埋葬された墓を捜索することに。3人は地下宮殿に潜入し、手掛かりとなる経典「撼龍経」を入手するが、宇野千櫻率いる軍隊に経典を奪われてしまう。
U-NEXTより
登場人物
・ジャン・ティエンリン
墓荒らしを阻止する任務を担っている男性
チンギス・ハンの墓を探す協力をリー教授に求められる
・リー教授
考古学者
・ユー・ダイチエン
考古学者の新星
今回の調査でジャンの助手を務める
・宇野千櫻
大日本帝国第9特殊部隊の女性
撼龍天官の宝の入手を命じられた
悪魔合体トレジャーハント
様々な突飛な題材やどこかで見たことあるような題材をジェネリックして作られるB級映画業界。
そんな中でこの映画は要素を合体しすぎてとんでもないものに仕上がっております。
ジャックと豆の木にチンギス・ハンを足して忍者の日本特殊部隊が襲いかかり巨人相手に立体機動で戦うという正に悪魔合体。
ちなみにドラゴン要素はないです。
何を言ってるか分からないかと思いますが要は、
日本の忍者特殊部隊に狙われながらチンギス・ハンの墓へ向かうために地下迷宮を探索し、そこで見つけた種を使い天空の島へ行きそこで巨人と戦うという内容です。
何言ってるんだお前って言いたくなるくらいすごいでしょう?
何を考えていたらこんな発想が思いつくのか分からないあらすじですよ。
こんなとんでもない内容ですがゴール地点が宝を見つけるという分かりやすさからか意外と纏まっているから更に驚きです。
普通ならとっ散らかりそうなこの悪魔合体ですがイベントを同時にやらずに1つ1つをこなしてから進むからゴチャゴチャしなかったのが理由でしょうね。
ヒント、襲撃、潜入、探索、罠、裏切り、天空とちゃんと順番に消化していくのでちゃんと分かりやすさがあります。
まぁメインとなるトレジャーハントの要素としての謎解きは中国らしく卦象などが出てきて何言ってるかさっぱり分からなかったですけど、こういうのは雰囲気で感じ取ればいいだろうくらいの感覚で見てしまいました。
こういうのは詳しい人の方が突っ込みたくなりそうですね。
コメディも程よく混えており、色仕掛けを天丼するところなんかは個人的にお気に入りです。
数多あるチンギス・ハンの墓、その1つである天にあるとされる撼龍天棺のヒント経典“撼龍経”を求めるなか日本の特殊部隊に襲われながらも地下迷宮へ探索に行くという流れですが、
まず何と言っても日本の特殊部隊ですよ。
初登場の時は忍者っぽく刀で襲撃しているのに次に登場したら忍者の格好で銃バンバン撃つので、やはり忍者も時代の流れや便利なものには逆らえないんだな…と他国の映画の日本人ながらちょっとしみじみとしてしまいましたよ。
そして彼らの目的、ジャン達と違い文学的な目的としてチンギス・ハンの墓を求めているのではなくあくまでその副葬品。
この価値が一国に値する、つまり金です。生々しいです。こんなところで微妙に侘しい現実を突きつけられると思いませんでしたよ。
何となく製作側の日本観に色々含みがあるような気もしましたが、まぁこの手の映画にそんなもんにツッコミ入れるのも野暮や無粋というものでしょう。
次に地下迷宮の探索。
うっかり罠を起動させるなんていうのはお約束ですが、天井と壁が不規則に動き迫ってくるのを掻い潜るこの罠のアクション。
飛んだり滑り込んだり投げたりなどこの手の状況なら普通のことやってるんですが、何というか構図の良さなんですかね?
微妙に気になるCGからダメかなと思わせてからのカメラワークとアクションの良さで妙に見応えがあるんですよ。
まぁぶっちゃけ◯ンディー的な何かを感じ取れますがそれでも映像としての見応えは中々。
そしてメインとなるジャックと豆の木の天空の島。
特殊部隊に捕まって共に天空へとツルを登って行くことになりましたが、
すっごい時間かかって疲れそうとか考えてはいけない。
登場人物全員で天空へと辿り着きます。
ここで誰もが気になる昔話ならともかく今の時代なら飛行機で来れない?というのは疑問はすぐに解消してくれます。
日本の戦闘機が墜落しており特殊な磁場がなければなぁとちゃんとこの手段じゃないと来れない理由をばっちり説明してくれます。親切です。
ジャックと豆の木なので当然出てくる天空の巨人。
ここでの戦闘はもう何も言いますまい。立体機動やって爆弾で仕留めると、進撃の〇〇要素ですよ。
流石節操がないぜ!
この天空の島、実は後半も僅かというところで辿り着くのですが、メインなのにそれでいいのかなとも思いますが逆に言えば後半にも最大の見せ場をしっかりと残しているとも取れますからね。配分としてはこれでよかったのでしょう。
実際飽きずに最後まで見れましたしね。
内容としては時間が短いというのもありますがコメディ混えつつとてもテンポ良く展開していくので最後まで飽きずにあっという間に終わる映画でした。
考古学とは、人生とは
この規模の映画だと短さも相まってキャラの良さがどれくらい出てるかが重要なのですが、今回はこの面はバッチリでした。
ジャン、ユー、リーの3人がメインでキャラはしっかり立っていましたね。
考古学と人生というものをどう捉えるのかが後半になるにつれて1つ大きなウェイトを占めていくストーリーでしたがその中での各々のスタンスというのもはっきりしていて良かったですね。
まずはリー教授、考古学の教授で3人の中ではやや影が薄めな方です。
途中で日本軍のスパイと疑われてしまう何とも不憫なポジションでもあります。
遺産を利益追求の物としか見ていない日本軍に対して考古学のプライドを持って動く登場人物でもありました。
考古学の目的は富ではなく歴史だ。
先祖達が開拓した世界を求め、己を知るのが考古学だ。
出番は少なく不憫ながらも後半のこの台詞だけで一気にこの作品のテーマにおいて印象を残すことに成功していました。
次に一応ヒロインとなるユー。
今回の探索においてジャンの助手として抜擢されてパートナーとしてアクションでもコメディでも大活躍しておりました。
しかし、その実態は後半で明かされ、
実は彼女の方が日本軍のスパイであり宇野千桜の姉、宇野千代ということが明かされます。
ジャンと心通わせながらも実は最初から正体を明かすまで嘘をつき続けていたのが彼女。
共に行動し葛藤が生まれた中で彼女は最後の最後に嘘はつかず己の心に従いジャン達を命を捨てて救います。
仲間と見せかけて実は…という裏切りの代償を払った最後のおいしくも物悲しい終わりでしたが、
裏切りまでは割と愉快なムーブを見せていたポジションだったので出来れば生存匂わせて欲しかったなと思ったのが本音ですね。
この末路だからこそ締まった話になったのも確かなんですが。
最後に主役のジャン。
墓荒らしを取り締まり続け知識も豊富な有能ながらもやや責任感にかける人物でしたが、この冒険で彼も変わっていきます。
日本軍が遺産を狙うことが明らかになり自分たちがそれを防げる位置になった時、初めて責任の重さに押しつぶされそうになると心情を吐露しています。
よく考えたら別に兵器でもスーパーパワーの道具でもなく、お金にしかならないのでそこまで責任を感じる必要がない気もしますがまぁそこはスルーしましょう。
このジャンは要所要所での言い回しがいいんですよね。
知るを知る知らぬを知らぬとなす、これ知なり
日本軍に脅され罠付きの扉の施錠を求められた時の台詞ですがこれは彼の聡明さをよく表している台詞だと思いますね。
ただそれ以上に最後の考古学と人生について独白する、
考古学は過去を解明し昨日を証明すること
人生は未来を探究し明日に向かうことだ
ラストの台詞はその映画のテーマを語ることが多々あるもんですが、これはストーリー全体をうまく纏めるいい独白でした。
アクションでも見栄えのある動きをしておりしっかりと話を引っ張るお手本のような昼行灯系主役でした。
まとめ
この映画正直そこまで期待して見ようと思ったわけではないんですが普通に良かったですね。
当然期待値というものからの反動というのもありますが、それを考慮しても十分以上に楽しんで見れました。
時間が短いのが良い点でもありますが、もう少し時間を与えて肉付けしたら更に良くなったのでは思わせる上映時間でしたね。
ただこれはテンポと引き換えになりかねないので難しい。
こういう思わぬ楽しみが与えられ、惜しい点を補完する妄想が出来るからこそB級探索というのはやめられないです。
仮に(普通に?)話が楽しめなくてもアクションだけでも割と元は取れるクオリティですしね。
ハードルを高くしすぎるとアレですが、どうせB級クオリティでしょ?くらいの心構えで見ると絶対楽しめる映画だと思いますよ。
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