【映画】パージよ永遠に! フォーエバー・パージ ネタバレあり感想

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フォーエバー・パージ
(C) 2020 Universal Studios and Perfect Universe Investment Inc. All Rights Reserved.

製作国

アメリカ

監督
エベラルド・ゴウト
脚本
ジェームズ・デモナコ
出演者
アナ・デ・ラ・レゲラ
テノッチ・ウエルタ
キャシディ・フリーマン
レヴェン・ランビン
ジョシュ・ルーカス
ウィル・パットン
べロニカ・ファルコン
スージー・アブロマイト

映画館で見たいのに近場でやってくれない個人的No.1パージシリーズ。

シリーズとしては大きな禁じ手を使い、なぜか現実が追いついてしまう社会派に仕上がっておりました。

シリーズファンとしては少し思うところもあるんですがそれも含めての感想を。

この映画の見どころ

・ルール無用、問答無用の無制限パージ!

・なぜか現実がパージに追いついてしまった分断というテーマ

あらすじ

パージ法が復活したアメリカ。テキサス州のタッカー家の農場で働く移民夫婦のアデラとホアンは、パージの夜を迎え、恐怖の夜をやり過ごすが、パージ終了のサイレンを無視して移民排斥の殺人を繰り返す差別主義者たちが”フォーエバー・パージ”を叫び全米各地で暴走を始める。やがてメキシコが市民を保護するために6時間だけ国境を開放すると宣言し、夫婦は国境を目指すのだったが…。

ABEMAより

登場人物

ホアン

メキシコから不法入国してきた移民

タッカー家の牧場で働いている

アデラ

ホアンの妻

食品工場で働いている

ディラン

ケイレヴの息子

メキシコ人のホアンに対して否定的に当たっている

ハーパー

ディランの妹

キャシディ

ディランの妻

妊娠中で出産を間近に控えている

T.T

メキシコ人でホアンとアデラの友人

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今回は無制限!なのはいいけども

本作で5作もシリーズを重ねたパージシリーズ。

籠城、復讐、護衛、始まりと来て今回は言うなれば暴走。

ルール無用の無制限パージとなります。

本パージでは無事にやり過ごすものの、その後暴走したパージ支持者達が永遠のパージを求めルール無視でパージ終了後もパージを続けるという内容です。

今回のこの内容に関してはシリーズファンとしてはやはり当然ですが良い点、悪い点が分かれるところではありましたね。

  • 良かった点

まずはパージ後の社会が少し見れたこと

今回はパージの後こそが本編ということで本パージの後の社会が少し見れたのですが、これはファンとしては良かったですね。

今までも描写されてなかった訳ではないのですが今回は単純にいつもより尺がある。

遺体食べてる動物やらお掃除やらやっぱこういう制度がある社会での生活というのが見れるのはやっぱ楽しいものです。

そしてもう1つの良いところはアクションとしては派手派手になったことですね。

フォーエバー・パージ
(C) 2020 Universal Studios and Perfect Universe Investment Inc. All Rights Reserved.

今回は無制限パージ。
つまりルール無用、問答無用ということでもう完全に戦争の様相です。

これは絵としては良かったですね。

軍も投入されて(今までもこっそり投入されてはいましたが)武器のレベル制限も無し、戦車やロケットランチャー殺傷力の強い武装から何でもござれって感じでもう派手派手ですよ。

そして何も制限のないパージでルールも終わりも設定されていないという状況ですので、ともかく行動に変化がありましたね。

今までのシリーズだとある程度受け身の状態で進行するのですが、今回はルールが無いのでそれをしても仕方がない。
黙って待っていても助けも終わりも来ることなく事態が良い方向に向かうことは決してない。

こういうシチュエーションですので登場人物がとにかく積極的に動くので状況に多くの変化が生まれる。
これにより今までのシリーズとは少し趣の違う楽しみが得られるのが今回の無制限パージでしたね。

  • 悪いとまでは言わずとも気になる点

これもやはりルール無しになった点ですね。

フォーエバー・パージ
(C) 2020 Universal Studios and Perfect Universe Investment Inc. All Rights Reserved.

今までのシリーズだとルールがある、つまり制限があるからこそ生まれていた駆け引きというのがあったと個人的にはそう思っているわけです。

ですが今回はルールは無しということで駆け引きがあまり生まれないんですよね。
時間内にどうこの夜を生き抜くか要は終了時間さえ迎えれば生き残れる、
こういう希望が残されていたからこその立ち回りというのがどうしても無くなってしまうのでここは残念でしたね。

というかルール無用だとパージである必要がそもそも無いのでは?とすら思ってしまいますね。

ぶっちゃけ今回は純血主義者や貧困層が全米で一斉にテロやクーデター起こしましたでも成り立ってしまうのでパージじゃなくてもできる話なんですよね。

当然パージというシリーズと設定の下地があるからこそ説明少なくすんなり状況が作れたというのも確かなんですが、もう少しパージという作品である意味を見せて欲しかったかなと思いますね。

もう1つの不満点はNFFAが再び政権に返り咲きパージを復活させているという3作目大統領令の行動が否定されてしまっているような部分。所謂前作否定な部分ですね。

これが個人的には1番不満なポイントでした。

大統領令でジョーなどの犠牲を払っても成し遂げたことがこうもチャラになってしまっているのはシリーズ続けるのであればしょうがないとは思いますが、どうしてもファンとしては気になってしまいます。

見ていればレオ達の信念というものまでは否定されていないのは分かるんですが、それでも成し遂げた行動の方は否定されてしまったかなと。

NFFAはちゃんと報いは受けるんですがこれはレオ達が望んだ形では断じて無いでしょうしね。

パージ レオ
(C)2014 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

まぁぶっちゃけこの不満点に関しては自分がレオというキャラひいてはフランク・グリロのファンという部分が多分に影響しているので、
今回の新しいアプローチ全然良いじゃんという意見の方が多分多数だと思います。

  • 禁じ手

今回の参加者の肥大化した暴走によるルール無用のフォーエバー・パージ。

結末も含めてこれ以上何か新しいことできる?というある種の禁じ手を切ったなと思います。

おそらくここから続けるのはかなり難しいでしょうからシリーズファンとしては残念ですが、多分これで完結なんでしょうね。

というかここから続けるのはかなり蛇足になりそうなんでここで止まるのがいいとは思いますが。

あり得るとしたら今回の難民が外で他国で始めちゃうくらいですかね。
これならこれで国ごとの特徴が出て楽しそうだなと思うので。

ここで終了した方がという気持ちともっと見たいという気持ちがせめぎ合うのが、こういう長期シリーズの楽しみ方であり弊害であり醍醐味みたいなものですかね。

皮肉が効きまくり

フォーエバー・パージ
(C) 2020 Universal Studios and Perfect Universe Investment Inc. All Rights Reserved.

シリーズ1作目だと荒唐無稽ながらちょっとリアリティあるなアハハハくらいだったパージ。

だったんですがいつの間にやらアメリカの分断とおう現実がパージに寄ってきてしまった感がある昨今。

元々はとんでも設定を楽しむ内容のはずだったのに現実の影響でなぜか社会派へと変貌してしまいました。

まぁパージ側が寄せているという面もありますが。

パージというのはぶっちゃけ皮肉を書きまくっている映画だと自分は思っているんです。

パージを容認するということは自分がやられても文句は言えないんだぜ?というこの皮肉と狂気の中で一片の善性が己や仲間を救うことに繋がるというのが醍醐味だと思っているわけですが。

今回は国の分断というテーマを明確に入れたため、中々の皮肉が効いていました。

  • パージのメイン層

まずは今回の暴走したパージのメイン層。

純血主義者や貧困により富裕層を恨んでいるという面子が中心なわけですが、これは早々にディランの父ケイレヴによって否定されてしまいます。

純血主義者のアメリカを取り戻すなんていうのは元々先住民族から奪った土地なんだから取り戻すも何もないだろとか、
富裕層恨んで攻撃するのはいいけどパージなんて富裕層が始めたもんでお前結局富裕層に踊らされているぞ。
こんな感じでキレッキレな皮肉を言われるわけですよ。

こんな事を言ってしまうと当然殺されてしまうのですが、
結局のところ気に食わない相手を殺すのにそれっぽい言い訳を作っているだけなんだなというのが透けて見えてしまう。もしくはそれを認識することすら出来ていない盲目さ。
それでいて見下している相手に最後は返り討ちにあうというこの皮肉ですよ。

ここら辺はシリーズの王道ですが今回はこの王道はちょっと大人しかった気がしますね。

いつもなら余裕ぶった格式めいた儀式やろうとしているところを返り討ちにあうというでっかいカタルシスがあるんですが、
今回の決着はアデルを人質に取ったところをメキシコ人のホアンと白人のディランの協力プレイで殺される、
皮肉は効いていますがシチュエーション的に今まで程のカタルシスを感じられなかったのは少し残念でしたね。

  • ホアンとディラン
フォーエバー・パージ
(C) 2020 Universal Studios and Perfect Universe Investment Inc. All Rights Reserved.

今回の主役的な2人ですが、こちらも分断というテーマで2人でした。

不法移民のメキシコ人男性のホアンと雇い主の息子である白人の富裕層のディラン。

この2人の関係性はお世辞にも途中までは良いものではありません。

ディランなんかはパージ前に少し嫌がらせなんかしてしまってますし、ホアンもそれに対してメキシコ語で悪態ついたりしています。

そんな2人もこの無制限パージで共に守る者を抱えて逃げる中で腹を割って話すわけです。

メキシコ人が嫌いか?というホアンの問いに対して差別主義者ではないが交わるべきではないと返すディラン。
そして気に食わなくても今は一緒だと言うホアン。

今回の分断というテーマにおいてはこの腹を割って話すというシーンは良かったですね。

腹を割って話すことで互いに相手の嫌悪を理解し合う、別に理解というのは手を取り合ったりすることだけが理解するということではないですからね。
こういう風に嫌悪や怨嗟そういうのを知った上で行動するのも立派に理解し合う行為です。

アメリカの分断というものをとてもミニマムに描き、それでも協力しあって生き抜くという今回のパージで最もテーマに沿った2人だったと思います。

まぁ最後は何だかんだで手を取り合い仲良くなりますがこれもメキシコの地でという。

移民への嫌悪などで行われたアメリカの分断の話がメキシコへの難民として終わるというこれはパージの中でもかなり皮肉が効いていたと思いますね。

  • NFFAの崩壊

今回最大の皮肉は恐らくこれ。

パージという毒をばら撒き都合よく人を間引いていたNFFAでしたが、今回の無制限パージによりついに明確に崩壊しました。

これ何が皮肉かって反対派に選挙で負けた大統領令の時と違って今回はパージの支持者によって崩壊したというところですよ

パージという気に入らない相手を消すことが出来るこの魅惑的な毒。
これは徐々に怪しいお薬のように中毒、禁断症状を起こし今回ついに制御不能な暴走を招きました。

大統領令の時以外は高みの見物だったNFFAがパージ支持者によって崩壊するのは結構気持ちいい瞬間でしたね。

出来れば明確にNFFAの人員がやられるのを描写してくれれば尚良しだったんですが。

そしてアメリカ全土まで肥大化した無制限パージ。

これを反対派が武器を持って止めるというのは希望でもあり結局暴力によってというのは皮肉でもある結末だなと思いましたね。

まとめ

ルール無用という禁じ手を用いた今回のフォーエバー・パージ。

パージは変わらないのに現実の影響でなぜか社会派寄りになってしまったといえ、思えば遠くに来たもんだという変な感慨が浮かんでしまいました。

これはもう1回しか使えない手段でしょうからこれで完結かなと思うと少し寂しい物がありますね。

感想としてはパージとしてはどうかなぁと思う部分があったのは確かですね。

これはシリーズファンとしての考えで柔軟性無くした老害思考みたいなものなのであんま気にしないでください。

ただ単品の映画として見るとかなり引き込まれる内容でした。

分断というものに対しての皮肉は効いていましたし、単純に映像としても見応えがあります。

シリーズの中では弱めとはいえ決着のカタルシスは気持ちいいものですし見たい物は全部見れました。

これでシリーズは最後でしょうしパージ支持者みたいな過激な意味ではなく、このシリーズに対して感謝の一言。

フォーエバー・パージ!


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