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製作国
アメリカ
監督
オーウェン・エガートン
脚本
オーウェン・エガートン
出演者
ダニエラ・ピネダ
オースティン・アメリオ
エル・ラモント
マイルズ・エモンズ
ジャニーン・ガロファロー
リー・エディ
ソフィアンナ・スミス
都市伝説には生まれる経緯がある。
今回はそんな映画マーシー・ブラック(原題:Mercy Black)感想です。
ジャンルはホラーで上映時間は約88分となります。
この映画の見どころ
・衝撃的な事件により生み出され広まる新たな都市伝説
・実在と空想どちらなのかを考察出来る事件と都市伝説の内容
目次
あらすじ
“彼女”との約束を破ったら、死――
同級生の少女マリーナとレベッカは友人リリーを刺し、殴打して指を切る。それはマリーナの母親の病気を治すため、マーシー・ブラックを呼び出す儀式だった。
マリーナは精神科病院に送られる。そして、15年後。マリーナは退院し、新しい人生を始めようとしていたが、彼女にはある目的があった。マーシー・ブラックの存在を証明すること。
そしてマーシー・ブラックを葬り去ること――。妹のアリスとともに、都市伝説化したマーシー・ブラックの真相を追うマリーナだったが、そんな中、アリスの彼氏ウィルが謎の死を遂げる。
Amazon商品ページより
登場人物
・マリーナ
15年前にマーシー・ブラック事件を起こした女性
15年間病院で過ごしていた
・アリス
マリーナの姉
退院後のマリーナを引き取る
・ブライス
アリスの息子
マリーナの帰宅後マーシー・ブラックを見たと訴えるようになる
・ウィル
アリスの彼氏
犯罪マニア
・ウォード
マリーナの担当医
・ベローズ
図書館の司書
ブライスを気にかけている
・レベッカ
マリーナとマーシー・ブラック事件を起こした少女
マリーナより先に退院した
作られていく都市伝説
この映画の肝となるのが都市伝説マーシー・ブラック。
これは主人公であるマリーナ達が15年前に起こした異常な事件で生まれたような存在となります。
元々は事件を起こした少女達が頭の中で生み出したと思われるマーシー・ブラック。
しかし、この事件の衝撃により世間に知られ模倣するものが現れ、ある意味彼女は本当に実在するような存在となっています。
この設定が面白く、またラストまで(ラストまで見ても?)どう転ぶのか分からない設定として機能していました。
誰かが作り出したものでも模倣するものが現れればそれは世間ではどんどん顕在化していく、
もしくはそう錯覚していくというのはなかなか考えられていましたね。
実際に存在するのかはちょっと判断つきかねるんですけどね。
小規模なサイコな都市伝説の生まれ方としては結構納得出来る経緯なのがまた面白かったです。
退院したマリーナの周りで起こる異常な事態。
それは彼女が実在していて人を殺しているのかそれとも都市伝説を誰かが模倣しているのか。
その調査の中で入院生活の中で封印した過去の事件の記憶のフラッシュバックと視界に入る幻覚と幻聴。
ミステリーとホラーを行き来し、時にはその両方を伴う展開が最後まで飽きさせない内容になっていました。
マーシー・ブラックは実在か?空想か?
マリーナの退院後に見える幻覚、そして彼女を知らないはずの甥のブライスまでもがマーシーを感じるようになっていきます。
そしてマーシーの行ったものと思われる事件が起き、マリーナはマーシーの存在と向き合うことになります。
この“マーシー・ブラック”、実在か空想かはこの映画だと曖昧な扱いです。
元々はマリーナ達が精神的に病んでいたというのもあり、見えていたマーシーに纏わるものは全て幻覚とも捉えることも出来ます。
ブライスがマーシーの存在を知り彼女の具体的なヴィジョンを持っているという事実は彼女が現実の存在のように思えますが、
ブライスと交流のあった犯人がマーシーについて吹き込み続けていたので(直接描写は1つだけなので断定はできませんが)現実の存在として感じるのもおかしくはありません。
ブライス自体、マリーナの幻覚に対する対処法が途中までは効いていたので彼も少し心を病んでいたとも取れます。
父親不在とかそれっぽくなる要因もありますしね。
それとは逆に実在するのでは?と思わせる描写も多々あります。
15年前に共に犯行を行ったレベッカは“見えない家”でマーシーをみんなで作りますが、
これはマーシーを見たからとも取れますし事件となった儀式も子供が作ったとは思えないような内容です。
ブライスが起こした友人への殺害未遂もあの時は犯人の入れ知恵が入る余地はない状況と行動ですので本当にマーシーに吹き込まれたとも取れます。
このようにマーシー・ブラックは最後までどこか曖昧な存在であり続けます。
実在か空想か。
佳境となる後半でそれは明らかになり、マーシー・ブラックは2人存在していたということがわかります。
元々は母親達を救いたいがために少女達が作った“マーシー・ブラック”
1人1人が1つ1つ大切なものを捧げそして1人を生贄にして呼び出そうとするもマリーナの躊躇により失敗した儀式。
その儀式をやり直すために動いていた犯人、そして犯人に影響されて新たな儀式を始めていたブライス。
痛みを取り除くために起こした2人の行動はある意味どちらも結実することになります。
犯人は自身の死を持って、ブライスは犯人の殺害をもって彼らは儀式を成功させ、
少女達が救いを求めて生み出した都市伝説“マーシー・ブラック”はブライスに受肉し無事誕生することになります。
結果として見れば犯行は犯人がかなり頑張って奔走した結果であり移動距離や仕込みを考えるとまさに狂気でしたね。
そして犯人の行動の一部を見てまた自身の家庭状況や精神状態により救いを求めて“マーシー・ブラック”に縋ってしまったブライス。
この2人の“マーシー・ブラック”が空想を実在化させ本物の都市伝説へと変わっていくというラストは記号がしっかりハマったかのような変な気持ちよさがあるラストでした。
儀式に関しては犯人の望みは叶う結果となりましたね。
本当に救いたいと思った望みは叶うことはなかったわけですが…
まとめ
ミステリーとホラーを行き来するようなストーリーのこの映画。
映画の中で新しい都市伝説が誕生するというのはなかなか面白い試みで目新しくて面白かったですね。
ストーリーも派手な描写もなく怖いのでホラーとしても良質で良かったです。
始まりの願いとは違う存在となる都市伝説の誕生を是非とも見てほしいですね。
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