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製作国
中国
監督
リウ・ビンジェ
出演者
ムー・チミア
リー・ミンシュアン
ベイジー・リュウ
ツイ・チェンチェン
ムー・フォンビン
今回はあまりに節操なくパク…オマージュが多い映画、ゴースト 強化能力者(原題:变种人:幽灵战姬/Mutant Ghost Wargirl)の感想です。
遺伝子操作されたミュータントや記憶を辿る話など、かなーりアメコミ映画の話をそのまま使っている映画なのでそういう手法がダメな人はとことんまでダメな映画だと思います。
しかし、そこら辺はもうそういうもんだと受け入れている人からしたらいつもの名作同士の悪魔合体が楽しめるそんな映画ですね。
記憶を失ったエージェントと敵の組織のミュータント同士の戦いによるアクションもいい質してますよ。
ジャンルはSFアクションで上映時間は約72分となります。
・あまりにアメコミ映画の要素が多いのでツッコミながら見れる
・ミュータント同士の俊敏かつ重いアクション
・一見いらないと思った記憶を辿る話を後半で一気に意味を持たせる展開
目次
あらすじ
2077年、遺伝子技術が飛躍的に進歩した近未来。遺伝子研究を装って違法の人体実験を行い、超能力を有する人間=ミュータントを生成する悪徳企業メデューサ。政府からのミッションを受け、メデューサへの潜入捜査を行う捜査員:通称ゴーストは、逆に捕らえられ人体実験をされてしまう。遺伝子誘導液を注入され破壊的能力を手にしたゴーストだが、誘導液を切らしてしまうと死ぬ運命に。メデューサからの脱走には成功するも、操られた最強ミュータントたちがゴーストを狙い、次々と襲い来る!!誘導液を投与しなければ即死ー極限状態で、最強ミュータントたちとの壮絶なバトルが始まる!!
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登場人物
・ウー・チンチン
国際安全活動団体の捜査官でコードネームはゴースト
メデューサに潜入した際に遺伝子誘導液を注入されミュータントとなった
・ジョウ・ヤン
記憶を失い倒れていたウーを介抱したソウルの特別捜査官
・リー・ヨンシュン
メデューサの部長でミュータント
メデューサへの投資を投資家達へ呼びかけるためにウー達の実験結果を彼らに公開している
・アンジェラ
メデューサのミュータント担当部長で自身もレベルSのミュータント
驚異的な回復能力でありナイフの使い手
・ツイ・ヨウシー
メデューサに誘拐されミュータントなった女性
闘技場での戦いでレベルAのミュータントとなりウーの捕獲を命じられる
例によってパク…オマージュたっぷりな作風
2077年超能力を持つ人間の犯罪が深刻化し政府が捜査に乗り出した。
この冒頭からのミュータントというワードを見ると分かる通り、この映画はマーベルのパク…オマージュがたっぷりな映画となっております。
X-MEN以外にもオマージュがたっぷりと含まれておりお前の言い掛かりも多いんだろ?と思う人もいるでしょうが、
映画内で映る小物などを見ると完全に確信犯だと思われます。
何たって割と目立つ映し方でアベンジャーズのフィギュアが映りますからね!
しかも途中で薬を貰うためにバーのギャングらしき人間に会いに行った時のギャングの見た目がまんまジャレッド・レト版のジョーカーのコスプレしてる見た目で
更に主人公ウー達に協力してくれるおばさんは名前がメイでメイおばさんですから!
はい、アウトー。
こんな感じでアメコミ映画の色々な要素が散りばめられておりこれに関してはあまり擁護はするつもりはないんですが、
まぁ中国B級見るならこんなん当たり前だしってことで自分の中だともうそこまで気になるもんじゃなくなっています。
ただアクションに関してもやはり中国B級、ここのクオリティだけはしっかりと保証された内容となっています。(まぁオマージュもたっぷりなんですが)
人間とは違うミュータント、身体能力の違いもしっかりと見せてMoSばりに別格に早い動きやナイトクロウラーばりの(今だとモービウスの方が馴染みある?)瞬間移動に衝撃波のエフェクトとともに相手を吹き飛ばす重い一撃、
そこにカンフーな殺陣を加えるので中国映画見ているならいい感じに馴染んで楽しめると思います。
いつもながらこういう節操のない悪魔合体が中国B級独自の魅力と割り切った方がいいですね。
特に最後の戦闘での決着の演出はかなり美しくて好みですね。
相手によって射出された無数のガラス片を瞬足で抜け全て粉々にしながらトドメを刺すのは時間差の演出もあって大変満足いたしました。
欠点としてはこの映画の尺を見ても分かる通り最後の決戦以外の戦闘がかなり短めなところ、
特に序盤から実力者として顔を出していたアンジェラとの決着のあっさりっぷりは覚醒具合の引き立てとはいえもう少し尺が欲しかったですね。
後は多人数戦も瞬間移動ですれ違い様に全員吹っ飛ばすのが多いのでちょっとこれはワンパでしたね。
ストーリー面では主人公のウーの記憶を辿る話とサスペンスな要素があり、(これまたどっかのアメコミで見たような物でなんですが)
正直序盤の頃は結構な方が微妙に感じると思います。
ただ後半は熱い流れになっていったのでチョロい自分は何かOKOK!いいじゃん!いいじゃん!となってしまいました。
やっぱ任務優先のエージェントが人の思いに触れて個人の意思で戦いに赴くというのは王道でいいもんです。
正直パク…オマージュ塗れなので忌避感感じる人はとことんまで感じる構成でしょうが、そこら辺気にしないぜって人には向いていると思います。
大事なのは差別化点
パク…オマージュたっぷりな映画なのでそういう時に大事なのは元とはどれくらい差別化出来ているのか、元とは違う魅力をどう出しているのかが重要になってくると思います。
この映画においてはまずミュータントの成り立ちですね。
この映画のミュータントに関してですが完全に後天的な存在です。
韓国の犯罪組織メデューサが神を作り上げようとして薬によって人工的に能力を持たせており、その違法な実験により生み出される存在ですね。
韓国が悪役とか中国B級だと初めて見たかも。
理念が神を作るためという大分カルトな思想で、「私は死と時間を制する」がキャッチフレーズっぽいので作られたミュータントも万能な存在担ってしまっていますね。
身体能力が全員瞬間移動並みに早く、そこの格闘戦がメイン、後はサイコキネシスとかですね。
原理は一切説明されませんが遺伝子操作したら出来るんだよ!ってことで。
これが映画的には能力面でのバリエーション不足に繋がっており、まぁ実際万能を目指して作られているので作風的には問題ないんですが、
映画やアクションの面白さ的にはそれぞれが特異な能力を持ち、それを駆使したり協力したりメタを張ったりの駆け引きの方が欲しかったですね。
特に主人公のウーが覚醒のたびに一瞬で敵を倒すので尚更駆け引きが発生する余地がなかったですね。
能力物なら能力を駆使した駆け引きはやはり欲しかった。
そして後天的に作られた存在なので元ネタのX-MENと違い種族の違いや差別といった重いテーマには踏み込んでいませんね。
その代わり遺伝子操作をしているのでぶっちゃけ最後に取ってつけたような感じとなってはしまいますが、
遺伝子技術の倫理的な問題、ただそれを否定するだけでなく遺伝子が人間を変えるなら人間もまた遺伝子を変えると肯定的な一面も覗かせるようにはしています。
最後のウーセリフ「私は光に向かって進む」などはかなり顕著な部分ですね。
これはいい差別化だと思います。現在の中国で人種間対立に近いテーマを扱える時勢とは思えませんし、
お国柄を考えると遺伝子操作によって得られる光と闇で締めたのは正解でしょう。
使っているワードは同じですが成り立ちを変えてそれに伴い扱うテーマも変わったので、絵面的な部分はともかく差別化は割と出来ていたのではないでしょうか。
ちなみに冒頭だけに、というか自分は予告映像でこれを見て視聴を決めたのですがでっかいクリーチャーが出ます。
このクリーチャー実験の末に出来たのでしょうが序盤だけで出番が終わってしまいそれ以降はバリエーション違いすら出なかったので、
クリーチャーとのバトルを期待していた身としてはちょっと肩透かしを感じてしまいました。
映画を全て見るとすごい異端な存在だったので、あの複眼が素敵な造形といい妙に気になる存在でした。
記憶を辿る話
主人公のウーは記憶を失った存在であり、その記憶を辿るという話にもなっているのですが、
すいません、最初の頃はぶっちゃけこの要素いる?ってなっていました。
その理由としてなんですがね、ウーの素性って冒頭で大体明らかになっているんですよ。
国際安全活動団体のエージェントがメデューサに潜入したら逆に捕まって遺伝子誘導液を入れられてミュータントになってしまったと、
冒頭だけで記憶を辿る話にする際に必要な素性の謎がほぼ分かっています。
強いて言うなら託されたチップが何なのかと言うところくらいなんですが、
これも記憶を取り戻した後に上司にさっさと渡すので中身がしっかりと明らかになるわけではないと。
はっきり言うと観客視点だとウーの記憶に関心持てる部分が何一つないのです。
これがウーが記憶をなくしてメデューサの一員となっていて冒頭から敵味方の位置付けが変わっているとか、
メデューサが本当に悪なのか定まらない描写をしているとかならまだ観客目線で明らかになっていない部分が残るので記憶を辿る理由も分かるんですけど。
記憶を亡くしている状態でもメデューサに堂々と狙われているので別に新しい真実という物が出てくる気が一切しないのです。(実際何も出てこなかった)
ぶっちゃけこれだけアメコミ映画をオマージュしている作品なのでキャプテン・マーベル辺りのガワを真似しただけの展開だと思います。
なら記憶を失い辿ることに意味がなかったのか?というと全くそう言うわけでもなく。
記憶を失っている最中にヤンというお人好しなソウルの特別捜査官に介抱され、彼と共に記憶引いてはメデューサを追う関係となっています。
この記憶を失っている間の関係というのがちゃんと後半に意味を持たせていたのです。
記憶を取り戻してメデューサの犯罪の証拠を持ち帰ろうとした2人にメデューサのアンジェラが30分後に中華街を消すと2人に脅しをかけます。
そこで記憶を取り戻したウーは任務を優先して中華街を見捨てる判断をして、ヤンは1人でも中華街を守る決断をします。
しかし、結局1人の人間としてウーは中華街に戻ってくると、彼女が記憶を失っている間のヤンとの交流がちゃんと活きているんですよ。
これがもし最初から記憶を失っていないエージェントとしての彼女なら合理的な判断でしか動くことはなく戻ってくることなかったでしょうが、
記憶を失いウーという任務ではなく個人として動き、個人として交流していたことが彼女自身への変化をもたらしているんですね。
これで冒頭から記憶を辿る必要ある?と思っていた感想が、
記憶を失わせてヤンと共に行動させ、ウーという個人に変化を与えてこの展開に繋げるようにするためかと腑に落ちましたね。
ちなみにここのヤンの
俺の役目は人命を救うこと
ウー・チンチンは世界を救う
という台詞はカッコいいです。
この言葉はカッコ良すぎだぜヤン。
それに対して、帰ってきたウーが「協力し合った方がいいのでは?」とヤンの言葉を借りて返すのが実に熱い展開で良かったですね。
正直適当にガワだけ真似て合理性もなく記憶を辿るという話にしていたと思っていたのですが、
ここまでちゃんと意味を持たせることにしたのに驚きました。
最後もヤンとの思い出や幻想で奮起して逆転するなどベッタベタもいいとこですが王道な展開に持っていくのがまた良かったですね。
合理的な人間の仮面を外して変化をもたらすには記憶を失わせて交流させると、まぁ話としてはちゃんと活かせていました。
記憶を辿る意味はあんま無かったですが、記憶を失う意味はありましたね。
まとめ
例によって節操が無い要素で固められていた映画だったんですが、そんなこと分かって見ている身としては楽しめました。
最初必要なさそうと思っていた記憶を巡る話はちゃんと後半の展開に活かせていましたし、
中国B級の例に漏れずアクションの質そのものもB級としては十分すぎるくらいのクオリティ。
もう少しミュータントの能力やアクションにバリエーションがあれば良かったんですが、まぁ尺的にはこれは望みすぎなのでしょう。
ラストは思いっきりクリフハンガーしてきましたが、まぁおそらく続編は出ないでしょう。
流石に色々とパク…オマージュしすぎてあまりに節操が無いので1発ネタで終わるタイプの映画じゃないかなと。
出たら出たで多分見ますけどね!
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