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製作国
モンゴル
監督
S・バーサンジャルガル
シュウダツェツェグ・バータスレン
脚本
シュウダツェツェグ・バータスレン
ボルドクウヤグ・ダムディンスレン
出演者
ツェドー・ムンフバット
バドラク・バトトグトク
ウムラフダン・オユンビレグ
アルタントゥル・アルタンジャルガル
トゥムルトグトク・ダバークー
今回は実在したモンゴルの女性を題材にした映画、女戦士クトゥルン モンゴル帝国の美しき末裔(原題:Princess Khutulun/The Wrestling Princess)の感想。
正直モンゴルの歴史についての知識がまるで深くないため(歴史の授業内容すら忘れているレベル)そこら辺については全く触れることは出来ず、
今の時代にこの時代の女性を主役にしたという意味はなんとなく察することが出来るくらいのうっすい感想なのでそこはご容赦を。
一応そこら辺に疎くても売りの1つとなるアクション面が派手さは足りませんが見せるところは見せているのでそこら辺だけでも楽しめると思いますよ。
ジャンルはアクションで上映時間は約87分となります。
目次
あらすじ
13世紀後半のモンゴル帝国。フビライ・ハンに対抗して独立した王族・ハイドゥが殺害される。後継者の座をめぐり兄弟たちが争うなか、武勇に優れた王女・クトゥルンは、忠実な臣下5人と共に父の敵討ちと奪われた教典の奪還を誓い、フビライ軍に攻め込む。
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登場人物
・クトゥルン
黄金の氏族の王、ハイドゥの娘
戦いの術を磨いているが女性というだけで軽んじらている部分がある
父の暗殺未遂の後に幼馴染や将軍を率いて黄金の経典を取り戻しにいく
・ゴルドス・アバタイ
クトゥルンの幼馴染
幼い頃にドゥアに反抗して大臣であるハサンに森に捨てられたところをノムガン達の陣営に拾われる
黄金の氏族への忠誠心は捨てておらずクトゥルンに従う
・イーグル
黄金の氏族の百戦錬磨の将軍
クトゥルンに付き従い黄金の経典を取り戻す戦いに参加する
・ウルフ、ホーク、ベア、タイガー
クトゥルンの幼馴染達
王として振る舞うドゥアではなくクトゥルンの旅に従う
・ハイドゥ
クトゥルン達の父で黄金の氏族の王
ノムガンの部下達により暗殺されそうになる
・ノムガン
元帝国、北安王
フビライ・ハンの息子で黄金の経典を狙いハイドゥを暗殺を画策する
・ズルファ
ノムガンの側室
ハイドゥに故郷をほろばされ親兄弟を失ったため黄金の氏族を恨んでいる
歴史に基づいた女性の戦い
モンゴルに実在した人物クトゥルンを題材とした映画である本作。
こういう人物だそうです。
クトルン(モンゴル語: Qutulun、生没年不詳)は、13世紀後半から14世紀末にかけて活躍したモンゴル帝国の皇女。クビライの大元ウルスに対抗して中央アジアに独立した王権(カイドゥ・ウルス)を築き上げたカイドゥの娘にあたり、女性でありながら武勇に優れ、父の軍隊に従軍して活躍したことで知られていた。テュルク語で「月の輝き」を意味するアイ・ヤルク(aï-yaruq)の名前でも知られる。
『東方見聞録』に描かれるクトルン
Wikipediaより
マルコ・ポーロの『東方見聞録』で紹介されたことによってクトルン(アイジャルック)の事蹟はヨーロッパで広く知られており、18世紀に作られた戯曲『トゥーランドット』に見られる「自らに求婚する男性に条件を突きつける姫」のモチーフの一つになった。
自分はモンゴルの歴史に疎いので今回初めて知ったのですが、この時代の女性の扱いと戦いというものが焦点となっている映画ですね。
当時の性別による立場として男性は戦い、女性は嫁ぐ物、そういう認識からの題材でありまた主人公となるクトゥルンの戦いというものが見れます。
当時の風潮としてはおそらく相当に革新的とも言える話で女性が自分の力で自分の道を勝ち取るという部分、
また元帝国相手の戦いという部分、そこら辺含めて今の時代にやる意味がある映画と言えるんでしょうね。
王の暗殺未遂から先祖代々受け継がれてきた経典が盗られるという国と国との戦争に近い流れとなり、
また宣伝や予告などの触れ込みで公開時間が短いなりに戦記物のような内容になるのかなと思ったんですが、
クトゥルンが女性という立場から戦いへの参加などは反対されるので少数の仲間と別働隊のような形で動くので戦争という部分はあまり強調はされていませんでしたね。
もっと派手な合戦シーンなどは見たかったかも。
ただ少数精鋭で動く内容らしいそれぞれの個性あるアクションは見れたのでこの時間と規模ならこちらの方が正解だったとは思います。
総じて武としての戦いより女性という立場への向かい風を跳ね除け、望んだ道を勝ち取る女性の話が強調されている今の時代らしい映画ですね。
これが創作ではなく事実に基づいているのがまたいいんでしょうね。
当時の風潮をしっかりと見せる
冒頭から当時の女性の立場というものをよく見せて題材を強調するような描写が多い内容。
幼少期の幼馴染達のウサギ狩り1つ取っても兄に手柄を横取りされたり、
女に弓矢の腕は必要ないと嗜められたりと僅かな子供時代の描写でもそこら辺をはっきりと強調してきています。
この序盤だけでクトゥルンの武の強さと女性の立場という本作のテーマ両方を引き立てに来ていましたね。
その後も女性の役割は子を成すことや同盟国に嫁がされそうになるなど序盤は特に当時の女性の立場を強調しており、
クトゥルンの「ワシやオオカミですら自由に生きている」という言葉の重みも合わせて彼女がどういう女性かと言うのもよく分かるようになっていました。
何度も言って恐縮なんですが自分はモンゴルの歴史に疎いので、こういう形で最初からどういう視点で見るべきか分かりやすくしてくれるのは助かりました。
そして王への暗殺未遂の後に黄金の経典を元帝国のノムガンに盗まれるとなり、目の覚めない父の代わりにドゥアが陣頭指揮を取ると。
ここのドゥア、冒頭から微妙に悪印象でここでも何とも言えない駄目さを感じるのですが、
これもあくまで当時の風潮としては当然の態度、行動なので、ドゥアは彼自身の問題というより当時の風潮の問題さを浮き彫りにしている立場とも言えますね。
資質や能力より性別や血筋を優先する、今でもあることでもですが、
ドゥアはそういう現代にも通じる問題の象徴として映画として少しばかり貧乏くじを引かされた立場でしたね。
そんな中でクトゥルンが幼馴染や将軍といった信頼出来る少数精鋭の人物と父を襲った捕虜アバタイと共に黄金の経典を取り戻しにいくと。
こんな感じで序盤はクトゥルンという人物と女性の立場というテーマ、黄金の経典を取り戻しにいく物語としての目的と、
何をどう見ればいいのか分かりやすさを重視していて話の導入としては結構理想的でしたね。
活躍と個性を見せる
中盤になるとやっぱりアクションシーンというこれまた分かりやすい見せ場が多く視覚的な楽しみが多くなります。
2度の奇襲が行われますが、そこでのそれぞれの見せ方をするのが上手いですね。
1度目の奇襲の際は乱戦ではあるんですが画面に映って戦うのはほぼ1人ずつ、
これで各々の特徴や得意分野というのがそれとなく理解できるようになっていました。
正直最初は乱戦なのに1人ずつしか映さないので集団戦撮るの苦手な映画なのかなと思ったんですが2度目の奇襲でその懸念は杞憂だったなと分かります。
2度目の奇襲は当時モンゴルにいたのか不明ですが頭巾を被った忍者達の奇襲でそこではちゃんと乱戦が見れるようになっていました。
互いに横並びからの一斉に走り出しての開戦なのでまるでヒーロー映画のよう。
そこで仲間の1人ウルフがやられそして怒りに任せたクトゥルンが捕虜のアバタイを問い詰めると彼が当時の幼馴染であったと判明すると。
冒頭のシーンの後にドゥアに手を出して大臣のハサンに捨てられ、それから敵の陣営に拾われていたという。
このアバタイの存在、彼はクトゥルンの資質と言いますか人間性を引き立てるようになっていますね。
幼少期に別れても尚、クトゥルンと太后であったクトゥルンの祖母に忠誠を誓っていると、伝統ではなく個人に惹かれるものがあるという形ですね。
ただウルフが死んだので「お前の罪は許されていない」とクトゥルンも辛辣な扱いをした…
かと思ったら次のシーンでは普通に仲良くなっているのでここら辺は尺の都合なのか結構ライブ感を感じますね。
これはおそらくですがこの後にアバタイがノムガン陣営に逃げ延びたフリをしてクトゥルン達の潜入を手引きするという作戦が控えているので、
クトゥルン達とアバタイの確執と和解に時間かかる暇がなかったんだろうなと思いました。
それぞれの個性を見せるアクション、古くからの幼馴染との再会でクトゥルンのカリスマ性を見せると、和解の早さ以外はいい配分の中盤でしたね。
ライブ感を感じる後半
割と丁寧に進めていたクトゥルンの話だったんですが主に敵陣営の動きでライブ感強いなぁと思う流れになっていきました。
アバタイの手引きがバレてクトゥルン達がノムガンの側室ズルファに捕まるまではそりゃそうなるよなと分かりやすい展開なのですが、
この後のズルファとノムガン達の行動には突っ込みどころが多いかなと。
ズルファは黄金の氏族に一族や兄弟滅ぼされたという私怨でノムガンに報告せず自分で独自にクトゥルンを拷問をするのですが、
敵全員捕まえているんだから何人かだけ手元に置いてノムガンに報告した方が絶対いいよなと思わざるを得ませんでした。
クトゥルンだけが目的なのですからクトゥルンだけ手元に置いて他の仲間はさっさと始末するか、
他の仲間を手元に置くならクトゥルンを拷問するのではなくクトゥルンの目の前で仲間を拷問して精神的に追い詰めるとかの方が理にかなっていると思うんですよね。
黄金の氏族に一族を滅ぼされたという黄金の氏族の負の側面という部分が見える存在なのでズルファはもっと上手く使えたように感じます。
そしてノムガン、彼の行動もなかなかの突っ込みどころ、
アバタイを過去に捨てたハサンがドゥアを裏切りノムガンにドゥアを献上したにも関わらず、
チンギス・ハンの残した言葉、「主人を裏切る者を信じるな」の言に従いドゥアの拘束を解いてハサンの方を捕まえるという。
まぁここだけなら良いんです。チンギス・ハンの言葉で敵国の王よりそれを裏切ったやつを処断するというのはそれはそれで筋は通った感じはありますから。
ただその後にドゥアの軍とノムガンの軍がぶつかるのは本当によく分からないライブ感があります。
ドゥアを人質に取ればいいノムガンが焦ってるのもわからないし、敵にドゥアを押さえられているドゥアの軍が平然と仕掛けるのも謎すぎます。
しかも敵国の指導者押さえている側のノムガンが逃げるとか敵の反撃予測して陣容構えていたわけじゃないのかと思いましたね。
ノムガンが逃げるのはクトゥルンに一騎打ちで決着付けさせたかったためなのは分かりますが、
題材的にはクトゥルンの存在で戦争の形勢が変わる形にした方が良かったんじゃないかなと。
ラストはクトゥルンが嫁ぐ先だったパミールの王子、アミールとクトゥルンがもし負けたら何も言わずに嫁ぐという条件でモンゴル相撲をして、
アミールに勝ちクトゥルンは自分で決めた男性と結婚する権利を自身で勝ち取るという。
これは当時としては間違いなく画期的な権利であり、それを王自らが認めるという柔軟性と、
正直この映画が伝えたかったのはこのラスト5分くらいの内容に全て詰まっていて、それまでの経過はこの画期的な決断と権利の大変さを示すための内容と言えるくらいですね。
色々と権利の問題に変化が起きている今の時代、昔にもこんな形で勝ち取った女性がいたんだよとそれを伝えようとしたストーリーだったんではないでしょうか。
後半の展開はガバいんですが、クトゥルンが権利を勝ち取らせるための展開を作るという内容としてはブレてはいませんでした。
まとめ
正直マイナーな部類の舞台や題材の映画だったんですが、そこら辺の知識に疎くても見やすい映画でした。
これはクトゥルンという主人公、また当時の女性の立場という物を序盤で示したので、どこに注目してどう見ればいいのかを分かりやすく示してくれた故ですね。
モンゴルの知識があればより楽しめる、もしくはより突っ込みどころを見つけてしまうのかもしれませんが、
そこら辺気にせず共感や理解を得やすいテーマでストーリーを楽しめるように上手く作っていたと思います。
こういう実在の人物を題材にしても人物そのものよりその背景をメインにする、今回の題材のマイナーさでこの手法の良さというのを再確認出来ました。
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